1980/8/19の「週刊ファイト」に「飛び出せ!ヤングホープ」として長与千種のフレッシュ紹介記事がありましたので引用します。
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飛び出せ! ヤング女子プロホープ
長与千種
ヤングパワーで活気づくB グループの中でも威勢のいい のが 長与千種(ながよちぐさ)だ。
昭和38年12月8日生まれの15歳。長崎県大村市出身。小学校4年生の時、テレビでマハ文朱の試合を初めて見て、将来 は女子プロレスラ ーになりたい―― と決意したとい う。タイヤにひもをつけて、自分の体に結びつけて町の中を引きずり歩き 「私は将来は女子プロレスラーになるんだ!」と、 叫んでいたという から、その意気込 みがわかるだろう。
大村市立玖島中学校に入学してか らは空手を習うな ど、自称女子レス ラーへ々との 道を歩みだしたのである。55年2月、沖縄小林空手道2段に合格、長与の師匠とビクトリア富士美(引退)の師匠が従兄弟という関係であり、いわば 富士見とは姉妹弟子にあたる。同じ長崎県出身であり、富士美の生まれかわりのような感もあるが、「下にはなりたくない。空手を生かした技を使っていきたいけれど、 今は一つ一つの技を覚えるので精一杯です。 自分のスタイルを作る ではありません」と、きっぱ り否定した。
空手時代は、男の子を相手に試 合をしていたが、反則を使われる と相手が切れるまで鉄拳を振るったという。熱くなる性格で「好き な格闘技の中で、自分の限界以上 に努力したいです」と、目を輝か せていう。
彼女はブラック軍団の首領、池下ユミが目標だという。目標というより、まだ憧れに近い状態だろう。 長与に限らず、 池下の人間性にひかれている選手は多い。口数は少ないが、真面目で面倒みがいい性格が、頼りになる先輩と慕われるのである。 だが、長与の試合を見ているとベビーフェイスそのものなのだ。 顔から受ける印象もあるが、相手の攻撃を受けないと闘争心が湧かないところが見られる。
性格的には喜怒哀楽が激しい。中学を出たばかりの女の子、といってしまえばそれまでだが、歳に似合わず生き生きとした態度が見られる。
「好きではいった世界ですか辛いなんて言ってられませ ん。一人前になるまで長崎には帰らないつもりです」と、長与は言う。
彼女が故郷を出る時には、長崎の大村空港に、市長をはじめ地元名人が多数見送りに来ており、中途半パでのこのこと帰るわけに はいかないのだ。
何をやるにも声が大きく、まだまだ子供っぽさが抜けない彼女 は、自分で「さっぱりしていて男っぽい性格です」と言う。しか し、同僚からは理屈っぽいと言われることがある。だが、なかなか 道理にかなったことを言うし、プロレスしか知らない、世間知らずの無知な人間にはなりたくないのだろ 彼女は、空手と いう特技がある し、生まれつきの ショーマン・ショ ブも持ち合わせて いるだけに、努力 次第ではかなりお もしろい存在にな りそうだ。5月中旬にあった伊豆の 新人強化合宿の時 は、フジテレビの 昼の番組の取材班も彼女を迫ってい て、練習風景が長崎にも映るとあって彼女は緊張ぎみだった。しかしトレーニングが始まると、力いっぱい真剣にレスリ ングに取り組んでいた長与の姿はたいへん印象的である。 愛称はチコ。スペイン語で少年を意味するが、彼女は少年のよう なみずみずしさがとても魅力的 た。
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まだ新人の時の取材ですが、将来を暗示するかのような記事です。
週刊ファイトも記者はなかなか見る目がありますね。
愛称の「チコ」はスペイン語の「少年」を意味するそうです。「チコ」ってすごい良いあだ名ですよね。いまでも長与は少年のような態度(性格)に見えますし。
ビクトリア冨士見とは従兄弟関係でしたが、あまり有利には働かなかったようです。
この当時から「試合で攻撃されないと戦闘意欲がでないりでベビーフェイス向き」と書かれています。新人時代からスタイルは変わっていないようです。
さらに、記者によると「すでにショーマンシップが見られる」と書かれています。ライオネス飛鳥のときはそのようなことは書かれていませんでしたが、ショープロレス向きなダイヤの原石であることが記者には伝わったのでしょう。