
AJWW 1984/6/28 川崎市体育館 ジャンボ堀 大森ゆかり VS ダンプ松本 クレーン ユウ WWWA世界タッグ王者選手権
TimTamchannelさんのYoutubeから
(↓AI でFullHDに変換しました)
今回は1984年の極悪同盟の試合で、最もエキサイティングな試合であったであろうWWWAタッグ選手権のベルトを賭けたタイトルマッチを取り上げてみようかと思います。
1984年の試合を全部見たわけではないですが、ダンプにとっては、年間で一番壮絶なファイトだったのではないかと思います。なにしろ相手がダイナマイトギャルズ(ジャンボ堀、大森ゆかり)という当時無敵コンビでしたから、極悪としても総力を結集して臨んだ試合だったと思います。
ダイナマイトギャルズは、このとき破竹の勢いで世界タッグ王者を5回の連続防衛中でした。ジャンボ、大森はどちらもパワーがあり、特に大森ゆかりは同期でありながら、55年組の出生頭でした。この時期では一体誰が王者を止めれられるのかというほど、強かった印象です。
特に大森ゆかりはパワーの面でも、ダンプ、ユウとほぼ互角、レスリングセンスも合わせてしまうと、確実にそれ以上です。
ダンプ、ユウのペアは、昨年までは前座であり、実績だけで言うと挑戦できるようなレベルではありません。しかしクラッシュギャルズを破って、この挑戦権を得たことは自信にもつながったし、会社からもプッシュされていたと思われます。
ちなみにこの挑戦権を得る過程は以下のとおりです。
女子プロレス炎のこのヤロー!!より----------------------------
松本、ユウは謎の覆面マネージャと阿部四郎レフェリーを買収してクラッシュギャルズとのWWWA世界タッグ挑戦者決定戦に出場。やるに事欠き松本は長与千種の髪をハサミでザックリと切り込んでしまったのである。千種は流血失神し、レフェリーストップで挑戦権を極悪同盟に持っていかれてしまったのであった。
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"買収"はウソだと思いますが・・(^^;
さて放送席です。
宮本「堀・大森組が一年間このベルトを持っているんですけどね。極悪同盟、松本、ユウ、そして謎のマネージャ、阿部四郎レフリーもちょっと問題がありますからね」
志生野アナ「そうなんですよね」
宮本「本当に大乱戦必至という試合になるんじゃないですか」
志生野アナ「僕はダンプ松本、クレーンユウが登場しますとね、実況中継する気にはならないんですけどね」
志生野アナ「今日は果たしてどういうことになりますか、ご期待ください」
どうやら1984/6月に入ってからダンプ、ユウのコンビは「極悪同盟」という名前にようやく決まったようです。(その前は「ザ・ジョーズ」と書かれていましたが・・)
いよいよ入場です。
極悪はついに「ブラックデビルズのテーマ」に乗って入場しました。
サングラスをかけて、ザ・ベートーベン、阿部四郎を引き連れての入場です。
今回は放送席への襲撃はなし。WWWAタッグ選手権だから?(^^;
役者が全員揃っています。
ダンプ松本、クレーンユウ、ザ・ベートーベン、阿部四郎。極悪の総力結集です。
これで勝てなかったら、もう仕方ないというメンバーです。
花束の贈呈からすでに荒れ気味です。
志生野アナ「例によってマネージャーが極悪の旗印をもって、いまリング上に登場であります!!」
志生野アナ「早くも手には鎖であります。手に鎖を持っております」
志生野アナ「しかしリング上、早くもなにか嫌な感じです」
志生野アナ「今日の挑戦者チーム、メガトン凶悪コンビなんですけど、普通にやればジャンボ堀、大森ゆかりだと思うんですけど」
志生野アナ「どうしてもこのWWWAのタッグチャンピオンベルトが欲しいというね、ダンプとクレーンですから、何が起こるか分かりません」
志生野アナ「なにかもうイチャモンをつけてますよ」
宮本「早くもレフリーが2人立っているのもおかしいですね」
志生野アナ「このあたりもちょっとおかしいですね。レフリーは阿部四郎なんでしょうか?」
(ロッシー「俺の一張羅を破くな~」)
試合前からジャンボと大森もエキサイトしています。ベートーベンの一張羅を破り捨てしまいます。
さすがに覆面は脱がしに行きませんでした。事情が分かっているのでしょうか(^^;
いきなり松永俊国審判部長と、ベートーベンが取っ組み合いのケンカとなり、ベートーベンを場外に落としてします。なぜレフェリーがいきなり柔道技を披露するのでしょうか? ちなみにこれでベートーベンは肩が外れました。全女は色々とおかしすぎます。
この肩が外れた件については、ロッシー著の「女子プロレス秘史」に記述があります。
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この日、私は例により極悪同盟のマネージャとしてリングが上がったが、試合開始早々にレフェリーの松永俊国に背負い投げを喰らい、右肩をキャンバスに強打した。凄まじい激痛が走り、投げられた瞬間に鎖骨を負傷。そのままリング外に降りて動けなくなってしまったのだ。覆面の下は苦痛の表情だったが、幸い観客には気付かれずに済んだ。
「ダメだ・・・もう何もできない・・・」
そうダンプたちに耳打ちするのがやっと。私は場外乱闘に紛れて退場処分となり、バックステージに運ばれた。松永兄弟から西野同情という柔道整復に行くように言われた。右肩の鎖骨は応急処置をしてもらったが、以降は極悪同盟のマネージャ役から遠ざかることになる」
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一旦、極悪ファミリーは場外へエスケープ。阿部四郎にレフェリーをやらせても、この試合は面白かったんじゃないかと思いますが、残念です。
志生野アナ「いまコミッショナーから、この試合に関してもし違法なことがあれば、即刻退場を命じるという厳しい通達がされております」
志生野アナ「さぁ、どういうことなりますか」
熱血コミッショナー君は、相変わらず興行が分かってない人なので困ります。
それも含めてリアル感があったともいえますがw
そもそも違反行為をしないはずがありませんし。
志生野アナ「いまダンプ松本、クレーンユウ、放送席で抗議であります」
宮本「コミッショナーに文句をいっていますね」
志生野アナ「とにかくご意見無用ですから」
志生野アナ「この2人には何を言って通じません」
志生野アナ「試合開始前からコレです」
志生野アナ「気になりますのは阿部四郎レフリー」
志生野アナ「今日はまたしてもメガトンコンビについてまいりました」
試合が始まる前から、徹底的に揉め事を起こす問題児のダンプ、クレーン。ベビーフェイスが抗議ならば分かりますが、極悪はヒール側も「抗議!!抗議!!」で試合を始めないというのも、なかなか面白いです。どこまでも執念深い女同士の闘いって感じが出ています。このネチネチ感は、男子プロレスにはない面白さです。
志生野アナ「ああーっと、花束を持って」
志生野アナ「早くもチャンピオンチームに殴り掛かりました!!!」
志生野アナ「無残に花が飛び散ったリング上!!」
志生野アナ「ゴングの要請があったようであります」
植田コミッショナーへの抗議は、ダイナマイトギャルズに奇襲をかけるための罠だったようです。
試合前にお嬢さんたちからもらった花束の一部をリングサイトに置いていたのが気になっていましたが、まさかの奇襲に使うとは。
その後、大森vsダンプの合戦が開始されます。
(大森の強烈な張り手)
(怒り狂って猛反撃を開始するダンプ)
動画がちょっと飛んでいますが、大森がダンプを思いっきり平手打ちしています。
この試合、ダンプのアゴが外れてしまったらしいのです。このときの様子が本に記載されているので、そのまま抜粋します。
なんたって女子プロレスより -------------------------------
川崎市体育館で行われたWWWAの世界タッグ・タイトル戦で、ダンプはクレーン・ユウと組み、大森ゆかり、シャンボ・堀に挑戦したが、試合中、大森の強烈な張り手がダンプの顔にさく裂したあたりから、どうもダンプの動きがおかしくなった。
レフェリーが、ダンプを呼んで調べてみると、「アウ・・アウ・・」と言っている。どうやらパンチで、アゴが外れてしまったしらしい。やっとのことでアゴが元通りになると、怒り狂ったダンプは「コノヤロー!!」と大森に猛反撃。あまりに凄まじい攻撃に、ついに大森が泣き出してしまったという一幕があった。
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女子プロレス炎のこのヤロー!!より----------------------------
試合はいつしか試合でなくなり陰惨を極めたが、反則をやり尽くした極悪同盟がスタミナ切れしてきた場面を逃さず、まず大森が恨みのビンタで松本のアゴを外し、そのまま抱き上げたところへ堀のダイビンデボディアタックが松本を直撃。松本は失神してしまう真に凄惨な幕切れとなった。
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前者はウソも入っていると思うのだが(大森が泣いてはいないと思うし、「アウ・・アウ・・」と言っていたのも過剰表現くさい)、この部分がYoutube上でカットされているように見える。実際の放送を見ていたわけではないので、いつどこでアゴが外れたんでしょうか?
ダンプが怒りの反撃の後、大森を場外に連れ出して、またもや凶器攻撃。
場外ならばと、阿部四郎も協力を始めます。
志生野アナ「また場外戦になりました。この場外戦というのもチャンピオンチームとしてはちょっと不利ですけど」
志生野アナ「いきなり(放送席に)やってまいりました」
志生野アナ「阿部四郎レフリーがなにか不穏な動きをやっております」
志生野アナ「阿部四郎レフリーがおかしい」
志生野アナ「阿部四郎レフリーがいま凶器を渡しましたよ」
阿部四郎がジャンボ堀を羽交い絞めにして、ダンプのラリアートを誘発させますが、堀がタイミングよく避けて、阿部四郎に誤爆。
(この人はやはり名プレーヤーすぎます・・)
場外戦は互角。
志生野アナ「いまクレーン松本がゆっくりと登場して参りました」
クレーン松本って誰だよ(笑)
この時期にダイナマイトギャルズにパワーで対抗できるのは、ダンプ、ユウのペアだけだったでしょうから、迫力の肉弾戦になりますね。
その後、ダンプのジュースの空き缶攻撃でジャンボを殴った後、救援に入った大森にも空き缶攻撃を追加します。さらにラリアート+ショートレンジからの追加のラリアート。その後、クレーンが珍しくトップロープからのボディプレスでそのままフォール。3カウントが入りました。
大森もダンプと似ていて、攻めているときは良いのですが、守勢に回ると打たれ弱い印象があります。(空手チョップ習得後は、強くなりましたが)
その前のダンプの空き缶攻撃と、ラリアートが効いていたと思います。
2本目
さっそくユウの栓抜き攻撃とダンプのバケツ攻撃により、主導権を握ります。
ジャンボが反撃に出ると、すぐにダンプが手にチェーンを取り出して、ジャンボをロープ際で絞首刑。
阿部四郎がガッチリと鎖を引っ張って、強力なアシストです。あれ、ザ・ベートーベンは肩が外れたせいか、どこに行った? 先ほどジャンボにバケツで叩かれた以外は出番が見えません。阿部四郎のほうがフットワークが軽いです。しかし2本目でかなりのレパートリーの凶器を出しています。
志生野アナ「ああっと鎖を持ち出した! これですからねぇ」
宮本「ちょっとひどいですね」
志生野アナ「ああーっと阿部四郎レフリーが鎖を下から押さえております。これはたまりません」
志生野アナ「阿部四郎レフリーをなんとか退場させないとダメですねぇ」
宮本「ちょっと収拾がつかないですね、こうなると」
志生野アナ「お客様が逃げまどっております」
志生野アナ「さぁジャンボ、目には目、歯には歯であります」
志生野アナ「ジャンボが鎖をもっている。あー鎖でそのまま(ダンプを)殴っております」
志生野アナ「これはクレーンユウ、ダンプ松本、効いています!」
「番組の途中に不手際がありましたことをお詫びします」というテロップが入っているのだが、これは一体何? ダンプのアゴが外れたシーンのことでしょうか?
リングに戻ってダンプの栓抜き攻撃、さらにジャンボを鎖で2段ローブからの人間絞首刑にします。凶器のオンパレード。会場も大混乱の中、ついにリングにモノが投げ込まれていきます。やっぱり、これですね。本来モノが投げ込まれるのは危険行為なので良くないのですが、お客様の物凄いヒートアップを感じます!! 極悪冥利です!!
この試合は松永レフリーも凶器を厳格に取り締まらないところを見ると、ある程度極悪に凶器を使うことは許容している感じですね。やはり熱血植田とは違って、プロレスとは何かを松永兄弟はよく分かっています。
志生野アナ「試合になりません。悪の限り、無法の限り」
志生野アナ「しかもマネージャが入り、阿部四郎レフリーが入り、試合になっておりません」
志生野アナ「また鎖であります。さぁ鎖を首に巻いて」
志生野アナ「お客様から何とかしろという声、悲鳴が聞こえます」
志生野アナ「ああっと」
宮本「レフリーまで殴りました。これは反則ですよね」
志生野アナ「反則を取られますよ、これ」
調子に乗ってレフリーにまで鎖攻撃をしてしまいました。案の定、やりすぎてしまつたのか、これには松永審判部長もやむを得ず反則コールという感じ。2本目は極悪は反則を取られます。もっとも極悪側は、2本目は最初からどうでも良かったのかもしれません。
志生野アナ「しかしこう見ると、ダンプ松本、クレーンユウは本当にWWWAのチャンピオンベルトが欲しいんでしょうかね?」←これを言っていいの?w
宮本「そうですねぇ・・これは・・」(盛り上げられれば、なんでもいいんだけど・・・)
志生野アナ「なにか選手権試合の名だけ借りてね、やりたいことを満員のお客様の前でやっているとそういった感じもしますよね」
もちろんベルトは欲しいと思いますが、身も蓋もないことを言うと、いまは極悪チームは暴れまわり、多くの人にアピールするというのも重要だったと思います。
審判部長「阿部レフリーとマネージャを退場させます」
志生野アナ「これは場内が沸きます」
お客様「退場~!退場~!退場~!退場~!退場~!退場~!退場~!退場~!退場~!退場~!」
場内が一体となって沸いています。これだけお客をヒートアップさせるって本当に凄いですね・・。
(酔っ払いのオッサンが運ばれているようにしか見えません)
3本目
阿部四郎とベートーベンがいなくなったところで、突然ダイナマイトギャルズが息を吹き返します。というか、あまりの凶器のオンパレードに、ついにブチ切れた感じがします。
リングではジャンボがダンプに凶器攻撃、場外では大森が放送席にユウを投げ込んで、机をぶっ壊します。このお二方、特に大森はキレると何をするのか分からないので、ある意味、極悪よりも見ていてオッソロしいです。
なんとダンプの顔面に噛みついて血に染めます。女性版フレッド・ブラッシーになってきました。
志生野アナ「今度はダンプ松本が登場して参りましたが、完全に流血!!」
志生野アナ「額を切っております。そして噛みついています」
志生野アナ「いやぁ、大森、目には目、歯には歯」
志生野アナ「金髪を血に染めて、ダンプ松本、やられました」
(本当に歯には歯。大森の硬い歯がダンプの眉間に噛みついて、流血ですね・・)
何かの本でダンプは「自分が反則攻撃をされるのが嫌だからヒールになった」とも書いていたと思います。
だから反則で額を割られて自分の血を見た瞬間、ダンプは少し気が動転してしまったかもしれません。これは正しいか分かりませんが、松本香時代も含めて、ダンプが額から血を流している映像は入門以来、見たことがありません。この試合が初めての流血かもしれませんね。
(以前に外人さんにやられた可能性はありますが・・)
もちろん極悪のドンになってからは、流血戦は好むところになりますが、それは結構後の話になります。
また、この場面で最初に書いたアゴが外れるというアクシデントに見舞わた可能性もあります。
↓先ほども記載したこれ-------------------------------------
試合はいつしか試合でなくなり陰惨を極めたが、反則をやり尽くした極悪同盟がスタミナ切れしてきた場面を逃さず、まず大森が恨みのビンタで松本のアゴを外し、そのまま抱き上げたところへ堀のダイビンデボディアタックが松本を直撃。松本は失神してしまう真に凄惨な幕切れとなった。
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志生野アナ「コーナーにもっていかれました。大森がいまダンプ松本を抱え上げた」
志生野アナ「そしてジャンボがいきました。強烈なボディプレスが決まりました!!」
志生野アナ「抱え上げます。そして後ろ、横に落としました」
志生野アナ「100kgがすっ飛んだ」
さらに大森に肩に担がれてジャンボのトップロープからのボディプレス、さらにジャンボの叩きつけで、完全に後頭部を打ってしまいます。
志生野アナ「ダンプ松本、動きが止まっている」
志生野アナ「大森が抱え上げるか、やっと100kgがあがりました」
志生野アナ「これを(2段ローブまで)抱え上げるのは大変だ」
志生野アナ「危ない、ロープが切れないか?」 ←ダンプではなくて、ロープの心配って・・
志生野アナ「いま抱え上げて、このまま後ろに落とす」
志生野アナ「クラッシュギャルズが手を貸しました」
ここでWWWAタッグの挑戦権争いで負けたクラッシュが出てきました。ジャンボと大森だけでやらせた方が、ダイナマイとしても格が上がって良かったと思います。それにダンプだって、ロープのところを支えて持ち上げる協力はしているように見えるから、出しゃばりなクラッシュは不要ですね・・。
2段ローブからのブロックバスターで、完全にダンプは後頭部を打ってグロッキー状態。
この試合、ここで勝負は決まったと思います。
しかし、このあとの大森がさらにトドメを刺しにきます。
志生野アナ「壮絶な試合であります。今度はこのまま落とすか」
志生野アナ「ああーっと、パイルドライバー」
宮本「物凄い落とし方ですね・・」
志生野アナ「これは決まった!! カウントが入りました!!」
このパイルドライバーは、ヒザで寸止めしていないパイルドライバーなので、かなり危険です。
下手をすると首の骨がおかしくなる可能性があるので、お客様の溜飲は下げられたと思いますが、うーん、個人的には寸止めのパイルドライバーでも十分だったと思います。
(ちなみにダンプが稀に出すパイルドライバーは寸止めしてると思います)
ここでダンプが失神してKOとなりました。
志生野アナ「なにか背筋が寒くなるように感じでした、最後は」
宮本「6度目の防衛を果たしたんですが、極悪コンビもそら恐ろしいような執念もみました」
志生野アナ「ダンプ松本、大丈夫でしょうか?」
宮本「パイルドライバーでダメージが大きいみたいです」
志生野アナ「完全に伸びてしまいました。大きな体がながーく伸びてしまいました」
志生野アナ「6度目の防衛ですが、まぁでも勝ったという感じはいまはないんじゃないでしょうか」
ダンプはアザラシ状態になってしまいましたが、最後のダイナマイトの連続攻撃に耐え続けて、本当によく頑張った思います。"松本香"時代から見ても、ここまでの強烈で怒涛の攻撃は受けたことが無かったと思います。昔はバックドロップ一発でKOされていたダンプですが、2段ローブのところまでは、耐えられていましたからね。最後のパイルドライバーをしなくても3カウント入ったと思いますが、パイルドライバーで完全に失神させられてしまいました。
志生野アナ「やっと正気を取り戻しました松本。勝負はつきました」
夢遊病者のように、相手コーナーにフラフラと歩くダンプ。アゴが外れている状態でしょうか?
おそらく意識がもうろうとする状態で、ヒールとして因縁をつけに最後の力を出していたと思います。実力では負けましたが、雑草根性はそう簡単にくたばりません。最後まで相手に向かっていく姿勢は、本物のヒールにさらに近づきました。
この試合でダンプは大森に対して、少し恐怖感というか、全選手の中で一番恐ろしい相手であることを悟ったのではないかと思います。"松本香"時代では、本気の大森と対戦したことがなかったでしょう。85年以降、「大森、アイツはバケモンだ」とよく言っていましたが、この試合から始まっていると思います。ダンプの当面の嫌な相手は、おそらくこの時点で大森ゆかりです。長与千種やライオネス飛鳥、もっというとジャガー横田でさえ、自重でなんとかなりますが、大森だけは持ち上げられて高いところから落とされるので、ダンプが一番苦手とするタイプだったと思います。
対戦が嫌な外国人やクレーンユウは身内ですが、大森だけは対抗策を考えないといけない、そして自分にとって最強の相手になる可能性がある、という感じかもしれません。
それにしても、めちゃくちゃ熱い試合でした。お客様はもちろん、極悪もダイナマイトギャルズも、相当にエキサイトした試合です。特に極悪チームにとっては、同じパワー系のチームとの初めての試合ということで、自分たちの実力が今どの辺にあるのか確認もできたでしょうし、今後に繋がる試合だったように見えます。
特にダンプは試合を通して成長していった選手だと思うので、この試合での経験は大きかったのではないでしょうか。
ジャンボ、大森組はエリート組ですから、落ちこぼれのダンプ、ユウコンビは元々ムリな組み合わせと思われました。しかし、反則を使ってお客様をマジ切れさせて、怒号の渦に巻き込んだ点では、極悪は満点でしょう。
極悪の「どんな卑怯な手を使っても勝つ」という執念も感じますし、今年に入ってからどんどん試合巧者になっていくのが分かります。お客様もこれ以上ないほど盛り上がった試合だったと思います。
今日の凶器 花束、栓抜き、空き缶、バケツ、チェーン
なお、この試合前のインタビューが以下にあります。
この試合で肩を負傷したザ・ベートーベンはしばらく失踪します。