1984/7/9 フジテレビのゴールデンタイムで、全日本女子プロレスの放送が開始される

全日本女子プロレスもクラッシュ人気で日本中が盛り上がりを見せる中、1984年の7/9(月)から、いよいよゴールデンタイム(19:00~19:30)で放送されるようになります。

 

昭和のスポーツ番組として、テレビのゴールデンタイム(19:00~21:00)に放映されていたのは、プロ野球の巨人戦やプロレス中継、キックボクシング中継でした。今思うと、プロレスは凄いメジャーなスポーツエンターテイメントだったんですね。

 

つまり、男性ならばプロ野球選手、女性ならば女子プロレス、または芸能界、というのがスターになる早道だったと思います。

 

 

 

 

 

ゴールデンタイムの放送開始で、全日本女子プロレスのレスラーたちも、気合が入っていたでしょう。この時、全女にいる全員にトップスターになるチャンスがあったと思います。

 

ジャガー横田は「女子レスリングは男子以上、見返してやる!!」と思っていたでしょう。

デビル雅美は「ベビーに転向した矢先に、この大チャンスが巡ってきた!!」と思っていたかもしれません。

 

果たして誰が人気が出るのか。

この放送開始によってブレイクした、いやブレイク以上に日本を台風のように飲み込んでしまったのは、放送開始時点で予想だにしなかったダンプ松本でした。

 

これは当然の帰結かもしれません。プロレスオタクでない私でさえ、ゴールデンタイムでの放送で絶対に目が素通りできない選手は、いままで見たこともない巨漢で恐ろしいメイクを施した、一見すると悪魔のような女性でした。一体、この女性は何者!? 誰もが思ったでしょう。

 

ミーハーな女性ファンはクラッシュギャルズに目が行ったと思いますが、ジジババ、子供にとって、ダンプ松本はあまりにインパクトのある、いままで遭遇したことがない未知の怪物だったと思います。

 

テレビ放送開始から、半年後、つまり1985年初頭には、ダンプ松本の周囲は一変していくのでした。

 

 

 

 

(週刊プロレス 1984年7月24日号より)

 

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クラッシュギャルズは救世主になれるか?

これまで日曜の不定期放送(関東地区を中心に)だった「全日本女子プロレス中継」が、毎週月曜夜7時~7時半のレギュラー番組に昇格した。

これは6/28、サマーファイティング・シリーズの開幕戦の川崎大会の試合前に行われた記者会見でフジテレビ側が正式に明らかにしたもの。30分ではあるが毎週必ず見られるうえ、ゴールデンタイムに伴いネット局も増えるとあって、パブリティーという点でメリットの大きさは計り知れない。

かつて、「真っ赤な青春」のタイトルでゴールデンタイムを占拠していたときは(52年7月15日~54年9月22日) 平均12~13%、最高21%の視聴率を稼いでいたが、今年も期待は十分。フジの月曜7時といえば、これまではアニメを放送「2%台で苦戦していた時間帯だが、女子プロならば」とフジテレビの女子プロ中継に寄せる信頼度は高いものがある。

挨拶に立ったフジテレビ編成局の内野は益男第二制作部長が「当面は歌なし。試合内容で勝負していきたい」と自信の弁を述べれば、それを受けて人気絶頂のクラッシュギャルズも「レコードを出しますが、歌はオマケ。試合内容でファンを惹きつけたい」と闘志満々。当初の予定はワン・クール(7月9日~9月24日)だが、むろん視聴率が見込み通りなら、そのまま継続となる。なお、日曜の不定期放送も通常どおり放送されるから、こちらもお見逃しなく。

ただひとつ、気になるのは、現在の女子プロ、けっして選手層が厚いとはいえないことで、これだけ放送回数が増えるとカード編成に無理が生じてくるに違いなく、スター性のある外人選手なども投入したいところ。また、試合内容に変化をもたせなくてはならないから、選手にとっても手放しで喜んでおられない状況下にある。ともあれ、勝負のときだ。

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