1984/7/3 館林体育館 ダンプvsジャガー 全女トップといえどもぶっ潰す! でも怖いぜ!!

AJWW 1984/7/3 群馬県館林市体育館 ジャガー横田vsダンプ松本

Evito-X-PuroさんのYoutubeより

 

32:00~くらいから

 

(↓AIでフルハイビジョンに変換したものです)

[AI FHD 60fps] AJW 1984 07 03 熊谷 ダンプvsジャガーリンクyoutu.be

 

この時期、ようやく『極悪同盟』というバッチリなネーミングも決まり(『ザ・ジョーズ』じゃなくて良かった)、コンビもリーダーがダンプとなり、トップで引っ張っていくのが苦手なクレーンはNo.2ということで落ち着きました。(序列は最初から決まっていたかもしれません)

 

金髪、パンクメイク、サングラス、警察帽、皮ジャン、チェーン、音楽など、形がようやく整いました。さらにWWWAタッグチャンピオンベルトに挑戦することもできました。

そして精神的な問題、ダンプ自身が「悪に徹底する」という覚悟も、髪を金髪に染めたときに出来ていたと思います。

この時期(1984年~1985年)、私が思うにダンプに足りないのは"レスラーとしての強さ"だったのではないかと思います。簡単にいうと、「極悪(ヒール)No.1」という言葉と、行動を一致させる必要があります。いくら外見が変わっても、実力的には前座の"松本香"時代からあまり進化していないからです。

 

さて、今回の試合は、WWWAシングル王者のジャガー横田です。1984年に入ると、会社はダンプをさらにプッシュするために大物とのマッチをどんどん組むようになります。例えば、今回のジャガー横田を筆頭に、デビル雅美、ジャンボ堀といった先輩たちです。昨年まではダンプは前座であり、あまりシングルではやらせてもらえなかった相手です。

これはダンプ松本に対する会社の期待の現れだったのではと思います。「ヒールは負けてもお客様は喜ぶんだから、勉強してこい!!」という松永社長の意向かもしれません。ダンプとしては恐ろしい先輩だらけですが、チャンスを逃すこともできません。「やるっきゃない」という感じだったんじゃないでしょうか。

特にジャガー横田と対戦する恐ろしさは当時の全日本女子プロレスでは、一番ではないでしょうか。

 

 

 

さて、試合に戻りますと、まず選手入場です。今回は対戦相手がWWWAシングルチャンピオンのジャガー横田、しかもシングルマッチということで、ダンプの表情もなんとなく緊張しているように見えます(とはいえ、この試合以前にもローカルマッチでは戦っていると思われます)。

半年前の"松本香"時代には、全女トップのジャガー横田とシングルでやり合うなど、実力的には到底ありえませんでした。

全女のトップで会社を引っ張る大先輩のジャガー、緊張していたのか、あれこれ作戦を考えていたのか、放送席襲撃を忘れて今回はなしです(^^; (もしくはジャガー戦で揉め事を起こすと後からうるさかったとか?)

 

志生野アナ「さて不気味な音楽に変わりました場内」

志生野アナ「今日ジャガー横田と対戦しますのは、ダンプ松本であります」

志生野アナ「悪の限りを尽くしております」

志生野アナ「いまやもう、他の全部の選手を敵に回しております」

志生野アナ「特にこのダンプ松本がその女親分といった感じ」

志生野アナ「例によって手に鎖をしっかりと握っております」

志生野アナ「放送席のゲストのほう、そして私のほうをジロッと睨みまわしてですねぇ」

 

 

 

ここでレフェリーが阿部四郎ということで、ジャガーはさっそく植田コミッショナーに抗議を始めます。なにしろ1984/4/4の綾瀬体育館の試合で、阿部四郎とダンプがくっ付いて、ジャガーチームは何もできずにボロ負けしましたので、それ以来阿部四郎にはもう抗議するようになっています。

 

極悪戦は、必ずベビーかヒールが抗議で始まりますね(笑)

 

 

 

ここでアクシデント。ジャガーがコールされたときにお客様の投げたテープがジャガーの目を直撃。これでジャガーがムカッときたのか、ノソノソとリング外を睨んで歩き回り始めます。

 

「青コーナー210バウンドオゥ~、ダンプゥ~、マァツモトォ~」

 

あれ、以前って180パウンドじゃなかったでしたっけ。さらに一回り大きくなった印象です。ちなみに太腿の直径は84cmです。絶賛巨大化中です。

 

 

 

今回はグレーに白と黒の星印のある新しい水着です。アイドルっぽくてオシャレ、山崎や立野が着そうな感じです。たまにダンプはミーハーな水着になりますよね(笑) 地元だからでしょうか。

ちなみに、ダンプが手を挙げているときに、ジャガーは紙テープが当たったことにイライラしているのでしょうか。ノシノシと歩いてきて、それにダンプが「ビクッ」と怖がっている感じが・・。この頃のジャガーって、試合になると目を合わすのも怖い感じだったと思います。普段は面倒は色々と見てくれている先輩だと思うのですが、試合だと別人だったと思います(結婚してジャガーはだいぶ丸くなりましたが)

 

 

 

ダンプが少々緊張気味なのが心配でしたが、ゴングが鳴ると同時にジャガーの髪の毛を鷲掴みにしてヘアーホイップ。これは頭の皮膚が一瞬浮いてしまうような凄い感覚だそうですが、やられたことがないので分かりませんw (相手は何本も毛が抜けるそうです)

さらに場外で、ジャガーを客席に叩き込みます。

完全に奇襲攻撃は成功しました。というか、ジャガーに対して正攻法で攻めても勝ち目はありませんから、ヒールとして奇襲攻撃は正しい選択ですね。

その後、ジャガーがリングインしてからも、ロープを利用してジャガーを吹っ飛ばしたりといいペースです。

ジャガーは最強ですが体重は軽いので、ダンプにとっては大森のようなパワー系レスラーよりも、技はかけやすいんじゃないかと思います。

 

 

 

 

ボディプレスや、サーフボードストレッチは美しいです。これはジャガーがきちんと足先を揃えたり、柔軟な体を綺麗に魅せている点に注目です。こういうヤラレているときも魅せるところが頂点にいる選手なんだと思います。

 

志生野アナ「相変わらず太い腕が首に巻かれております」

志生野アナ「ダンプ松本、凄い迫力でしょ?」

ゲスト「す、すごいハクリョクですねぇ・・はぁ・・・」

志生野アナ「この人はもうね、今は完全に悪に徹しております」

ゲスト「でも可愛らしいですね、すごいなんか・・」

志生野アナ「あ、よく顔をみるとね、なんとなく愛嬌がありますでしょ」

志生野アナ「私たちも最初は愛嬌のある悪役だと思っていたんですが」

志生野アナ「最近はそうじゃありません。中途半端じゃありませんよ」

ゲスト「悪いですか?最近は」

志生野アナ「半端じゃないという感じ。悪の限り、ダンプ松本」

 

ゲストの女の子からは、"よく見るとかわいい"と言われてしまいました(^^

今回は放送席の襲撃がなかったためなのか。やはり入場での放送席の襲撃は、ゲストに怖いイメージを植え付けるのには、かなり重要なのかもしれません。

 

その後場外のクレーン・ユウの攻撃、ボティアタック、栓抜きを使った攻撃でジャガーを攻め続けます。

 

 

 

三宅「今日のジャガーは試合前の表情も厳しく、言葉数も少なかったですね」

三宅「それから右の手首、小指にテープングしてますが先日の試合で痛めたものです」

志生野アナ「なーるほどね」

三宅「一方のダンプ松本ですが、今日は高校時代の同級生、お友達の柿沼さんが応援に来てるんですよ」

志生野アナ「ダンプの出身は埼玉県の熊谷でしたね」

三宅「いまは結婚されて子供さんを連れて応援にきているんですよ」

志生野アナ「学生時代の友達に、はたして見せて良い姿かわかりません


志生野さん、そんなにひどいことを言わないでください(笑)

この☆印の白いカワイイ水着は、もしかするとそのご友人から、今日の試合のためにプレゼントされたものかもしれませんし。(熊谷仕様?)

 

ところでこの柿沼さんという方、どういう方なのか、自著に書かれていました。

 

ダンプ松本のマジだぜより-----------------------

最初の初恋は小学2年生のときに高橋君っていうお風呂屋さんの息子だった。とっても格好良くて、成績が抜群でさ。サスガのダンプちゃんもそれをきっかけに少し性格が変わってもんな。でもどういうわけか、本人の前に行くと、イジワルしちゃうんだよな。高橋クンの勉強道具を隠したり、口ごたえしたりね。結局高橋クンは転校しちゃったんだ。ドラマみたいにさ。悲しかったぜ、ホントに。

 

そう言うことで落ち込んだダンプちゃんでしたが、そんなに長い間グジグジしていたわけじゃない。

小学3年生になると、好きな子ができた。この子のことはハッキリ覚えているぜ。な、柿沼クン。

どうしてかっていうと、ダンプちゃんの妹(広美っいうんだぜ)が働いている柿沼観光の副社長さんなんだ。で、この柿沼クンの場合も、やっぱりダンプちゃんの悪いパターンどおり、結局何も起こらなかった。ま、今考えると本当に子供の憧れって感じだったんだな。

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つまり応援に来ていた柿沼さんは男性で、初恋の次に恋した人、ということになるらしい。

そんな人の前で、この極悪状態の発動・・・見せたいやら、見せたくないやら複雑だったかもしれませんね。

 

 

 

そうこうしている間に、ジャガーがあっという間に体勢を入れ替えて反撃します。ジャガーの特徴は、攻守の切り替えの早さ、そして連続攻撃のつなぎ方の上手さなんじゃないかと思います。

 

ゲスト「ジャガーはいま何kgくらいあるんですか?」

志生野アナ「どうなんでしょうかね」

三宅「だいたい試合によりましたね、2kgぐらいの誤差で変動しているんですね。今日の体重は57kgですね。一方、ダンプがちょうど100kgです」

志生野アナ「100kgありますか。この人は一時90kgくらいだったんですけど、最近また一段と大きくなりました」

ゲスト「あの足をみてくださいよ」

志生野アナ「もう太腿なのか胴体なのかわかりませんですよ」

ゲスト「そのくせ、動きは速いですね」

志生野アナ「そうなんですよ。意外と器用なの。ですからダンプは体重があるのに小さく動きますでしょ、だから対戦する相手としては十分に警戒しなくてはなりません」

志生野アナ「なにか(ダンプが)放送席のほうをチラッチラッと見てまして、なんとなく嫌な感じがするんですけども」

ゲスト「こっちのほうにきそうな感じがするなぁ」

志生野アナ「ゲストの発言に非常に神経質なタイプですから気を付けてください」

ゲスト「褒めなきゃいけないんだなぁ」

三宅「志生野さん、ダンプ松本を褒めます。あの、水泳の腕前なんですが、女子プロレス界でNo.1にランクされているんですね」

志生野アナ「水泳はどんなにいい成績を残そうと、最近はこのダーティな戦いぶり。今日は高校時代の友達も応援に来ているということなんですけど、ダンプ松本、友達の目にどう映っているでしょうか」

そもそも女子プロレスラーの水泳ランキングなるものが本当にあるんでしょうか・・? 謎のランキングです。

 

 

 

続いてクレーンと椅子を持ち出しての凶器攻撃を実行。さらにリング内で強烈なラリアート2発を喰らわして、ジャガーを相手に有利に試合を進めます。

 

 

 

ダンプのこの汗の量、凄いですね。攻め続けるのも疲れますが、ジャガー横田のプレッシャーも絶対にあります。ジャガーはダンプの技を全部受けても、汗一つ掻いているように見えません。

その後、ダンプはパッケージホールドに捕まりますが、難を逃れての鎖攻撃、そしてロープに首を挟んでの首締めを敢行。さらにバケツ攻撃とどんどん凶器を出していきます。

 

もうここまで来たら、反則でヤレるところまでやってやれ、という意気込みが素晴らしいです。

 

 

 

 

この試合、レフリーの阿部四郎は完全な極悪寄りではなく、カウント5はキッチリと取る場合が多いですね。綾瀬体育館の試合でジャガーにマジ切れされて、追いかけられたからでしょうか?(^^;

 

そうこうするうちにジャガーがバケツを蹴り飛ばした後、ヒップアタック2発、トップロープからのミサイルキック、そして人間風車であっという間にフィニッシュを決めます。

もうこれは、お手本のような勧善懲悪の男子プロレス、全日本プロレスのような試合です。

すべての反則攻撃を受けきって、なおこのスピード感と流れるようなベビー側の勝利です。ジャガー横田に余裕すら感じる、底知れぬ強さを感じます。

 

ベビーフェイスの頂点、ジャガーのような選手と戦うことは、ヒールNo.1へ突き進むダンプにとっては、避けては通れない道だと思います。

しかし、凶器攻撃をいくら繰りだしても、さすがに実力を簡単に埋めることはできません。もっとも、ヒール役なので負けてナンボ、というところもあるのですが、全女はピストルタイムもありますし、勝つも負けるも実力次第な面もあります。そこは男子プロレスとは明らかに違うところだと思います。だから今見ても、リアル感があって面白いんだと思います。

 

ジャガー横田のような華麗なレスリングが出来ないダンプが、果たしてどのように今後実力を伸ばしていくのか、そして極悪同盟のドンとして、どのように後輩を引っ張っていったのか。

私が思うに、彼女は試合の中で受け身の取り方などレスリングのうまさをどんどんと吸収していきます。実践に勝るものはないようです。

また、ダンプの一番の特徴は、プロレスの伝統を破壊をしていくところです。これはジャガー横田とは正反対のポジションです。強くなるため、勝つためならば、どんな手段を使っても勝つ!! これこそがダンプ松本の強さになっていきます。だから、ダンプは負けないレスラーになっていくのです。しかしそれが故にリスキーな試合も多数あり、自分も相手にやられて大けがを負って救急車に運ばれるということもあります。とにかく壮絶、満身創痍で闘いに挑むダンプの姿は、凄いのです。

この点、ダンプ松本を再評価したい点の一つなのですが、それは後々の試合で見ていきたいと思います。

 

 

今日の凶器 チェーン、栓抜き、パイプ椅子、鎖、バケツ

 

 

参考

1984/4/4 ダンプと阿部四郎とユウが結託して、ジャガーチームがボロ負けした試合

『1984/4/4 悪徳レフリー阿部四郎登場「え、凶器? そんなのものは見えませ~ん」』(2023/2/20 画像と説明文を追加、修正)AJWW 1984/4/4 綾瀬体育館(神奈川) 悪徳レフリー阿部四郎「凶器!? そんなのものは見えませ~ん」…リンクameblo.jp