1984/9/14 雑誌「週刊朝日」 極悪同盟 阿部四郎とザ・ベートーベンの記事

阿部四郎とザ・ベートーベンを記事にしています。注目のしどころが面白いです。

 

 

 

 

 

 

------------------------------------

レフェリーが凶器を振るい、マネジャーが乱闘に参加する女子プロレス無法現場に警察もお手上げ。

 

「警察を呼んで、警察を!!」無法地帯と化し、そんな黄色い絶叫も聞こえる、ここ格闘技の聖地・後楽園ホール。女子プロレスが、またまた過激に燃えているのだ。
ビューテイー・ペアの人気で盛り上がったのが七、八年前。その後、ミミ萩原時代が続いたが、昨年引退。そして現在、人気の頂点に君臨しているのが、ライオネル飛鳥と長与千種の「クラッシュ・ギャルズ」。
闘いの合間にリングで歌う「炎の聖書」もレコードがヒツトチャートを驀進中。おかげで、それまで月二回だったテレビ中継も七月から毎週一回、それも七時台のゴールデンタイムに登場し、すっかリメジャーになった。

 

この空前のブームを裏から支えているのが、実は善玉・クラッシュギャルズを痛めつける悪玉の「極悪同盟」。その名もダンプ・松本、クレーン・ユウと、聞くだけで恐ろしげなコンビ。八月二十五日、初めてこのコンビを観戦に行くと、巨大な体躯を黒い革ジャケットで包み、鎖をジャラジャラさせる風体は、なるほど、街のヤクザもびひびる凶暴さだった。

しかもこの試合、レフェリーが極悪軍団に話しかけたという阿部四郎

あろうことかレフェリーの分際で、いつも極悪軍団とグルになり、一緒になって凶器攻撃を手伝い、自ら相手のクラッシュ・ギャルズの首を鎖で絞める前代未間の無法者。
 

ルールを守るべき男がこのザマだから、場内の混乱は推して知るべし。この日も、ご覧のように極悪軍団がピンチになると、せっせと凶器のパイプ椅子を差し入れる忠勤ぶり。場内三千人の観客からは、一斉に「帰れ」「帰れ」コールが巻き起こり、中にはこのシーンを本気で心配する女の子もいて、「ひどいッ」「クラッシュ・ギャルズがかわいそォー」と泣く者も出る熱狂ぶり。
 

あまりの過激な反則にコミッショナーから一カ月の出場停止を食らっていたという阿部四郎は、この日復帰したばかりなのに、また出場停止を申し渡された。もっともこの試合、あらかじめ阿部の無法を見越して、もう一人レフェリーがいたのはご愛嬌。
 

さて写真左は、もう一人の悪党。極悪軍団のマネジャーなのに、なぜか覆面姿という正体不明の男。
この男も凶悪レフエリー同様、極悪軍団に味方し、リング下に落ちてきたクラッシュ・ギャルズに殴る蹴るのやりたい放題。それも、
「ウン」とも「スン」ともいわず、ただモクモクと痛めつけるところが不気味であった。ともかく、こうしたワルに支えられ、女子プロレスの夜は更けていく。

------------------------------------