1984/9/13 戸田市民体育館 ダンプvs山崎五紀 後輩でも容赦しないぜ!

AJWW 1984/9/13 戸田市民体育館 ダンプ松本vs山崎五紀 

 

ジャパン女子プロレスさんのYoutubeより

AJW TV 1984 09 & 09 13'84 フジテレビ ハイタッグリーグセン クラッシュ・ギャルズ vs. 山崎逸樹 & 舘野紀代オールパシフィック・センシュケンジアイ:デビル・マサミ vs. ダンプ・マツモト禅日本ジュニア・センシュケンジアイ:小倉由美 vs. 中野恵子'84 フジテレビ ハイタッグリーグセン: ジャガー横田 & デビル・マサミ ...リンクyoutu.be

48:00くらいから

 

(↓AIでフルハイビジョンに変換した動画です)

[AI FHD 60fps] AJW 1984 09 13 戸田市スポーツセンター ダンブvs山崎リンクyoutu.be

 

今回はダンプ松本vs山崎五紀のシングルマッチを見ていこうかと思います。

この頃はゴールデンタイムのテレビ放送で人気も高まり、ミーハーファンはクラッシュギャルズ以外の知らない選手にも関心を寄せるようになった時期だと思います。

筆頭は極悪同盟ですが、クラッシュギャルズをイジメまくるので、アンチ極悪が大量発生します(アンチもファンの一部ですが)。

立野記代、山崎五紀の56年組にも注目が集まりました。今回対戦する山崎五紀は元デビル軍団のNo.5で松本の一つ後輩になります。

 

ダンプが山崎五紀について語っているのはほとんど見かけないのですが、ザ・ヒールでは、以下のように述べています。

 

ザ・ヒールより------------------------------------------------

どうしても忘れられないエピソードとして、今では米国で幸せに暮らしている1981年デビューの山崎五紀のお父さんが1983年に亡くなり、同じ年にお母さんが亡くなるという痛ましいことが起きた。会社側は試合を控えているから、終わるまでは本人には黙っていようと決めたらしい。でも、自分たちは知っているから、本人の顔を見るともう涙が止まらないわけだ。だから試合前は誰もがうつむいて目を合わせないようにしていた。セコンドについている子たちはみんな目が真っ赤だ。結局、試合後に本人に伝えられ、お葬式には間に合った。プロとはいえ、辛い世界だなと痛感した。あの時の山崎は本当に偉かったと思う。

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また、このエピソードには続きがあり、志生野さんの「革命戦士」によると、「両親を失ったことは、17歳の山崎にはあまりに過酷な一年であった。その翌年の1984年(つまりこの試合の頃)、今度は山崎自身が体調を崩してしまう。原因不明の胃痛でみるみる体重が減り、プロレスを続ける体力と精神力を失う寸前までいってしまう。何度女子プロレスをやめてしまおうと思ったかもしれない。しかしいつまでも自分を励ましてくれるのは、夢に出てくる両親だった。ロープに飛んで華やかに反転しながら見せる五紀の得意技、ミサイルキックは五紀が両親に捧げる鎮魂の空中殺法なのである」

 

最近発売された「ザ・ヒール」で、このエピソードをわざわざ掲載しています。ダンプご本人が山崎五紀に対して好意的なのかは定かではありませんが、デビルと一緒にベビーへ転身したという点では、あまり気に食わなかったかもしれません。

1987年くらいには、伸び悩んでいた山崎五紀に対して、「山崎五紀と髪切りデスマッチをやりたい」とダンプが書いているので、後輩で伸び悩む山崎をベビーとして持ち上げようとしていたのかもしれません。(それに対して「絶対にヤダ」と応じなかった山崎は残念ながらチャンスを逃したと思います)

 

他にはこんなエピソードも書かれています。

ダンプ松本のマジだぜ!より---------------------------------------

女子プロレスのファンなら知ってるんだろうけど、女子プロレスラーのリング・コスチュームってのはたいてい市販されている水着に、手を加えたものなんだ。つまり破れないようにスニーカーのヒモなんかで縫い付けりして、補強している。

でもいくら入念に手を加えた水着でも、たまに事故が起こることもある。

新人時代の山崎五紀も、そのクチだったのさ。

な、なんと、相手の技で五紀の水着がズレて、ハミダシそうになっちまったのさ。

ところが試合に夢中の五紀は気が付かない。最初に気づいたのはTV局の人で、あ、あぶないッ!ってんで、アセッたらしいぜ。 

危うく女子プロならぬ。女子ブロになるとこだもんなぁ。TVのほうはうまくビデオ編集して流したようだけど、もしそのまま放送されていたら、視聴率がグ~ンと上がったかもしれねーのにな。

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この本自体がギャグ本なので、先ほどとのギャップが激しいですが(笑)、これはダンプ特有の山崎五紀の面白エピソードですね。「マジだぜ!」の本は他の選手のウ〇コネタが多いのですが(笑)、山崎五紀は上記の笑い話が書かれています。

ダンプは本を何冊も出しているのですが、色々な人をよく観察していて、どのエピソードも面白く書かれています。

 

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さて、試合のほうを見ていきたいと思います。

まず山崎五紀の入場、そして阿部四郎を先頭にしてダンプ松本の入場です。

阿部四郎は相変わらず大山カメラマンを相手に挑発を繰り返します。カメラ目線でアレコレやるのは、ダンプよりも阿部四郎の方が先ですね。阿部四郎というのは、どこまでも先駆者で、発想がユニークです。

 

その後、ダンプが「極悪同盟」の旗を掲げての入場。途中で観客から罵声が飛んだのか、前の試合でレスラーに触った客がいたのか、お客様を旗で殴っての入場です。

 

 

 

志生野アナ「ダンプ松本、極悪同盟の旗を持ちまして、いま会場のお客様を、なにか殴るような感じで入場して参ります」

 

 


何かの本に書いてあったのですが、試合会場でレスラーの体に触る不届きものがいると、そのあとにダンプなどのヒール役がわざとそいつのところに場外乱闘のフリをして殴りにいったりしていたそうです。この場合はそれに該当するのか分かりませんが。

よく見ると、テレビによほど映りたいのか、ダンプの後ろから子供たちが平気な顔をして付いてきています。極悪女王に恐れを知らない子供たち。勇気のある坊やです。

戸田市スポーツセンターはかなり自由ですね・・。

 

 

 

リング上の山崎五紀との睨み合いのあと、ダンプがゆっくりとリングイン。その後なぜか旗を高々と掲げたまま、山崎をジッと凝視しています。すでにこの行動自体が怪しすぎます。絶対になにかを企んでいます(笑)

 

 

 

氏家リングアナ「赤コーナー、全日本チャンピオン140パウンドォ、ヤマザキ~、イツーキィー」

 

山崎が観客に応えようと手を挙げて後ろを振り返った瞬間、ダンプがこともあろうに極悪の旗で山崎の頭をすっぽりと覆っていきなり奇襲です!!

山崎は完全にてるてる坊主になっています。ダンプの「てるてる坊主作戦」が成功です。

 

 

 

志生野アナ「早くもダンプ松本が襲い掛かりました」

志生野アナ「極悪同盟の旗を持ちまして、山崎五紀の頭をスッポリ、あー包んでしまいました」

志生野アナ「さぁ、試合が始まったか、まだゴングは鳴っていません」

 

お客様からは「バカヤロー!!」、「ちゃんとやれ!!」と罵声が飛んでいます。お客様をムカつかせる素晴らしい奇襲ですね。

山崎がジャンプしてロープを飛び越えて華麗にリングインです。山崎のこのシーンは格好いいですね。山崎は元はヒールでしたが、空中技が多いので、ベビーフェイスのほうが私は似合うと思います。

 

 

 

手品師のように、胸に凶器を入れたり出したりするダンプ。今回は凶器を持っていない感じに見えますが、どうなんでしょうか。もはや名人芸になってきました。

ダンプは力比べをしようとしますが、そうはさせじと山崎はドロップキックで対処。その後ダンプが場外戦を仕掛けます。

 

 

 

志生野アナ「ダンプ松本、早くも場外戦であります」

志生野アナ「まだなにも、場外へ降りなくったってっていう感じがするんですけどねぇ」

宮本「そうですね、最初からですね、旗で襲い掛かりましたね。それで場外戦ですからね」

宮本「リングの上で試合しようという気持ちが見られないですね」

志生野アナ「場内騒然ですねぇ。しかも今日のレフェリーは阿部四郎であります」

 

ダンプにとっては場外もホームグラウンドなので関係ありません。

また、凶器を用意していなかったのか、珍しくパイプ椅子で攻撃します。ダンプのパイプ椅子攻撃はクレーン・ユウとは違って、まだ優しく叩いています(^^; それでも痛いと思いますが。

 

 

 

 

(若干、山田邦子っぽい山崎)

 

ベビーフェイスvsヒールの分かりやすい構図です。山崎の線の細さがお客様に同情を誘いますね。リング上で山崎を挑発して何かしゃべっているのですが、残念ながら聞き取れません。ダンプは憎々しく悪態をついています。

 

 

 

さらにダンプは追い打ちとばかりに、山崎の痛めた左腕に攻撃を集中。さらに場外へ蹴り飛ばします。

志生野アナ「もう山崎場外で完全に伸びた感じになってしまいました」

 

 

 

志生野アナ「徹底的な集中攻撃を山崎の左のヒジですよね」

志生野アナ「やってますねぇ」

志生野アナ「これをリングの上から見下しております、ダンプ松本」


 

 

リングイン後、ダンプがコーナーに向かって山崎を投げます。そのコーナーで対角線の魔術師、山崎の華麗なフライングボティアタックが決まります。その後、ドロップキック→パッケージホールドと怒涛の反撃。フォールにもっていきますが、ダンプに返されます。

 

今度はダンプがヘッドバットで反撃。そのままバケツを持ち出して一撃!!

 

 

 

この試合はいまひとつ凶器が少なかったので、ついにバケツが投入されました。(^^; 思いっきり殴りにかかります。バケツがめりこんでいます。

お客様があまりに汚い反則攻撃にヒートアップし始めます。相手が細い山崎のため、余計に悲惨見えるので、効果抜群です。

 

志生野アナ「強烈なメガトンヘッドバットであります」

志生野アナ「そして、バケツ!! ヘッドバットで十分だ」

志生野アナ「これはたまりません。完全に山崎ノビました」

志生野アナ「非難轟々、満員の戸田市スポーツセンター」

志生野アナ「今度はお腹に2発」

志生野アナ「さて、髪の毛を持ってダンプ松本、ほとんど意識朦朧という山崎五紀」

 

 

 

志生野アナ「あーっと、うまく交わした!!」

 

ダンプのバケツを交わしてから、息を吹き返して山崎が反撃開始。

フライングのネックブリーカー→2段ロープからのミサイルキックと、流れるような見事な連携です。これはお客様も一気に盛り上がります。

 

 

 

ちなみに戸田市スボーツセンターには、天井カメラがついているようですね。

上から真下に向かって撮影しています。

 

 

 

一気呵成にフィニッシュに持っていきたい山崎は、ダンプにローブを振りますが、そのとき極悪レフェリー阿部四郎が、山崎に足を引っかけてスッ転ばせます。

 

志生野アナ「あーっと、足をかけた」

志生野アナ「あるいはいまレフェリーが足をかけたか?」

志生野アナ「汚いことをやります、阿部四郎レフェリー」

志生野アナ「あーっと、とうとうラリアートが飛びました」

志生野アナ「せっかくの山崎五紀の反撃でありますが、阿部四郎レフェリーがどうやら手を貸したようですね」

その後ラリアート2発で3カウントに沈む山崎。

志生野アナ「あーっと決まった!! 阿部四郎レフェリーきたなーい!!」

志生野アナ「手を貸すというか、足を貸しました!!」

宮本「いまのは偶然か故意か、疑惑の行為ではありますね」

志生野アナ「いまのは完全におかしかった」

 

阿部四郎の疑惑のスッ転ばせ攻撃。これには会場のお客様も大騒ぎです。

 

 

 

阿部四郎の足かけは、どうみても疑惑というか確信犯なわけですが(笑)、このおっさんは天才的なタイミングで、試合の美味しいところを全部持っていってしまいますね。

たった一撃の足の引っかけで、ダンプよりも目立っています、阿部四郎!! いやいや、ちょっと目立ちすぎだろ(笑) ダンプの地道な凶器攻撃は帳消しになるくらいのインパクトです。

 

 

 

最後は問い詰められた阿部四郎が、トンズラして終わったのでした。

お客様は最後の山崎の阿部四郎への蹴りで多少の溜飲は下がりましたが、なお会場は騒然としたまま、怒り状態です。まぁ、ヒートアップしたので、これはこれで良かった感じがします。山崎には悪いけどw まぁ、山崎としてはもダンプに打ちのめされるよりは、阿部にやられたということで、レスラーとしての強さには影響しませんしね。

 

私としてはダンプの最初の「てるてる坊主作戦」がうまく行っただけに、最後に阿部四郎に持っていかれたのが残念でした(笑)

 

 

 

今日の凶器 極悪同盟の旗、パイプ椅子、バケツ、阿部四郎の足かけ