
Evito-X-PuroさんのYoutubeより
AJWW 1984/10/27 埼玉県飯能市 ダンプ松本・中野恵子vsデビル雅美・ライオネス飛鳥
(↓AIでフルハイビジョンに変換した動画です)
さて、今回は中野恵子が極悪同盟入りした直後の試合を見ていこうかと思います。
おそらく中野の極悪入り後の最初のテレビ放送が、1984/10/27の中継だと思います。
間違っていたらスミマセン。
試合を見ていこうと思います。
志生野アナ「おっと阿部四郎レフェリーの姿がみえました」
志生野アナ「なんと手に鎖をもっております」
志生野アナ「なんとカメラマンに対してやっておりますよ」
志生野アナ「失礼な態度ですね」
志生野アナ「そしてその後ろから今日はおとなしくダンプ松本、そして中野恵子が登場いたしました」
志生野アナ「(阿部四郎は)完全に極悪同盟のリーダーという感じねぇ」
入場時に大山カメラマンに対して、カメラ目線で挑発する行為は、ダンプ松本が最初に始めたと思っていたのですが、もっと前の試合からチェックしていくと、最初に始めたのは阿部四郎だと思います。
とても効果的な挑発行為なので、ダンプも阿部四郎のようにカメラマンに対しての攻撃を始めたんだと思います。そう考えると、阿部四郎は先進的なパフォーマーだったんですね。
今回も阿部四郎があまりにやりすぎなので、ダンプの放送席襲撃はなし。少々抑え気味という感じでしょうか。もしくは緊張する中野の初陣のため、あまり派手なパフォーマンスをしなかったかもしれません。
志生野アナ「中野恵子がこうしてみますと、どうでしょう、極悪同盟にどうやら参加したんでしょうかね」
宮本「そうでしょうね。ダンプ松本と一緒にやろうということでしょうね」
志生野アナ「そうですね」
グレていないのに、黒いガウンだけ着させられて、ムリヤリにリングに連れてこられた感じがします。入学式にお母さんが校門までついてきた感じです。
さらにダンプの命令により、相手のデビルと飛鳥を睨みつける中野。
中学時代は地元川口の中学校の番格だったようですので、ある程度は睨みはできたでしょうが、リング上のパフォーマンスとなると全然別ですからね。なにせ不慣れな演技です。
まだパンダちゃんがちょっと不良になったという程ですね。あまり本人も乗り気のように見えません。そもそも中野はパフォーマンスタイプではないので、最初は嫌だったでしょうね・・。
中野はデビル軍団のジャージはもらっていましたが、ここまでヒールらしい行為はほとんどしていなかったはずです。きっとこの頃は、本人もまだ長与千種に憧れていて、未練たらたらです。
そんな中野に、「ヒールとはなんぞや」という根本的な部分から叩きこむのがダンプの仕事だったと思われます。
(クレーンも場外で中野の行動をサポートしています)
極悪参加と同時に真っ黒のガウンも新調したか、先輩のお下がりですかね。ダンプは2段ロープに上がり、中野にヒールとしての基本的にことを色々とみせています。
本日の相手はデビル雅美とライオネス飛鳥です。デビルは入場時から紫の木刀を持っての入場です。タイトルマッチでは植田コミッショナー預りになっていましたが、今日はタイトルマッチではないので最初から握れたのでしょうか。
さて、選手コールです。
志生野アナ「これからダンプ松本、中野恵子、両選手の紹介です」
志生野アナ「今日は果たしてどういった気持ちでこのリングに上がって参りましたか、新人、中野恵子」
氏家アナ「青コーナー、全日本Jrチャンピオン150パウンドォ、ナカノォ、ケイコゥ~!!」
生野アナ「まぁしかしこうしてね、ダンプ松本、中野恵子選手の紹介にもやはりワッという歓声があがり、テープが舞っております」
この選手紹介のときに、ダンプが中野に何か話しかけています。何を話していたんでしょうかね。
↓予想
(ダンプ「今日はまだいつも通りの挨拶でいいぞ」か、「これくらいでビビってんじゃねーぞ」か、どちらかかな?)
普通にベビーフェイスの顔をしています(笑)
この試合、新人の中野がいきなりメインイベントですからね。ダンプとユウ、さらに阿部四郎のサポートがないと、中野が試合についていけない可能性もあります。ダンプは試合展開を見てうまくサポートしないといけないし、中野が間違った凶器の使い方をしたら大変なことになるので、意外とダンプも緊張していたかもしれません。
このあと阿部四郎への「カエレ」コールがあり、試合開始です。
中野の水着は、ジュニア王者の時に小倉と戦った時の黒い水着をそのまま使っています。
偶然とはいえ、ちょうど極悪の黒色でマッチしています。ただ真ん中に可愛いリボンがついているので、ちょっと極悪には似合いません。まず間違いなく、この水着はダンプに捨てられたでしょう(笑)
ちなみに今日はデビルがやけに笑顔で張り切っています。相手に中野がいるからでしょうか? たしか中野は「デビルさん大好き」と言ってオーディションに合格していましたからね。
ゴングがなると、ダンプと中野は奇襲とばかりに、デビルと飛鳥に蹴りを入れて、先制攻撃。その後、中野が飛鳥をロープに振ったところをダンプが捕まえす。
(「おい中野!! 飛鳥に蹴りを入れてこい!!」ダンプの嬉しそうの顔)
(グォッフォー)
な~んと最初のキックがダンプへの誤爆!!
トホホ・・という感じですが、いきなりやらかします。中野の極悪デビューはダンプへの誤爆キックで始まったのでした。中野らしいといえば、中野らしいです(笑)
その後、飛鳥からデビルにタッチして、中野は攻められ続けますが、うまく受け身をとって、交わしていきます。
志生野アナ「中野恵子選手は新人王でしたね」
宮本「そうですね、今現在もジュニアのチャンピオンですね」
志生野アナ「この人もですね、体を活かして、なかなか順調には来ているんですね」
宮本「一時足の故障でね、ブレーキがかかりましたけども、こうしてメインのタッグ戦に出てくるんですからね」
志生野アナ「今日、体重を聞いてみたんですけど、80kgだと言ってました」
志生野アナ「一時相当にウエイトがあって、それから落ちて、またちょっと元に戻ったというか、体調はいいんじゃないですか?」
宮本「そうですよね、いちおう絞り込んでまた増えてきたんですけどね。体が出来てきたということですから」
ウエイトが落ちた件に関しては、以下に記載しています。
志生野アナ「デビルに一歩も引けをとっておりません。」
志生野アナ「デビル雅美選手にも、この中野恵子選手は入団当時からずっとレスリングを教えてきたんですからね」
志生野アナ「師弟対決ですからね」
宮本「中野選手にすればですね、遠慮なくぶつかっていて欲しいですね」
中野は攻められ続けていますが、ダンプはあまり助けようとしません。
中野がどこまでやれるか、ユウと一緒に確認している感じがします。
もしくは、やり返すまでタッチするな!! と中野に厳しい教育をしているのかも。
ダンプが手を伸ばして、フォークで助けようしますが、微妙に腕が届きません(^^;
中野が青コーナーに移動してきたところで、ダンプがフォークを手にして、タッチ。飛鳥に襲い掛かります。
志生野アナ「フォークがでました。こういった凶器で飛鳥は以前は顔面が真っ赤になってしまい、しばらくそのショックから立ち直ることができませんでした」
ここで飛鳥からデビルにタッチ。
志生野アナ「今度はデビル雅美がやられております」
志生野アナ「デビルと松本というのも因縁の対決であります」
志生野アナ「会場は大興奮であります!!」
お客様「デービールゥ!!デービールゥ!!デービールゥ!!デービールゥ!!デービールゥ!!」
志生野アナ「デビルコールがリング上に飛んでおります」
志生野アナ「去年までというか、今年の前半でこういったデビルコールが会場から飛ぼうとは、私たちは予想だにいたしませんでした」
志生野アナ「デビルも内心、嬉しいでしょうね」
宮本「デビル軍団のドンの時代のこの人なりの持ち味があったんですが、いまはキャラクターがだいぶ広がりましたね」
志生野アナ「デビル軍団時代にも数多くの若い選手がデビル雅美に教えを受けにきていたわけなんですが、いまはもう完全に若い選手の面倒を見るというか、コーチ役ですね。人望があるんですね」
このときにデビルコールをしているミーハーファンって、本当のデビルというか、アンチ極悪なんでしょうね。つまり、女子中高生のにわかファンってことです。
別ににわかファンを否定することはしないし、むしろにわかファンが「キャーキャー」言っているからこそ、当時は面白かったのですが。
ニワカの人たちは、デビル軍団で悪いことをしていたときのデビルを知らない人達でしょう。いきなりクラッシュブームになって、ベビーフェイスのデビルしか知らないでしょうし。
でも、デビルにとっては嬉しいでしょうね。ベビーフェイスになって声援されることは、デビルの一つの夢だったかもしれません。
ミーハーファンは当然、ダンプの「ゆるキャラ松本香時代」も知らないので、もうハナッから「ダンプ=悪の権化」ということで、平気で酷い中傷や、石を投げつけたり出来たんだと思います。
もっとも、これが結果的に良かったんでしょうけど。
松本香時代の過去を知られていなかったのは好都合だったかもしれません。ゆるキャラ時代の松本を知っていて親近感が持たれても困りますし(現在のようにインターネットもありませんから、たった一年前の過去を知るのも困難な時代でした)。
中野のボディアタックがさく裂。このボディアタック、新人時代に中野が勝手に使用したため、先輩から物凄い怒られたという技です。当時は先輩の得意技を後輩が勝手に使うことは許されなかったらしいので、それでダンプ、ユウから怒られたんじゃないかと思います。しかし極悪同盟に加入した今は堂々と使えるようになりました。むしろ、どんどん使えって感じでしょうか。(^^;
中野は体格でも飛鳥やデビルに負けないところが、ダンプが中野を獲得した大きな要因かもしれません。
2年目でデビルと飛鳥相手に大奮闘の中野。今度はダンプの噛みつきを真似して、同じようにデビルに噛みつき攻撃。「ザ・ジョーズ(噛みつき)」になってきました。
志生野アナ「中野もまた同じように(噛みつきを)やってます」
宮本「なかなか果敢にやってますね」
志生野アナ「一見しておとなしそうな選手なんですが、こうしてリングの上にあがりますと、この人性格が変わってくるようですね」
宮本「パートナーがダンプ松本ですからね」
奮闘してきた中野に、飛鳥のサソリ固めがガッチリと決まってしまい、中野が大ピンチ。ここで親分のダンプがバケツ攻撃を敢行します。
しかし飛鳥はとっさの正拳突きでこれをうまく避けて、ダンプをサソリ固めに。
ここで、機転を利かせて乱入するNo.2のクレーン・ユウ。得意のパイプ椅子で、飛鳥とデビルを粉砕にかかります。
クレーンは、「パイプ椅子の魔術師」と呼びましょう。
クレーンは仲間のピンチに、助けに来る傾向が強いですよね。松本香時代も、クレーンはいつも松本救出にセコンドにいましたし。クレーンは仲間のピンチに真っ先に駆け付ける、相当に仲間意識が強い(極悪だけど)人なんじゃないかと思いますね。
志生野アナ「いまクレーン・ユウが出てきたんですか」
宮本「バケツをパンチではらったんですけどね」
志生野アナ「いや~、クレーン・ユウが出てまいりました」
志生野アナ「この試合には直接関係がない!」
ダンプも息を吹き返して、バケツで飛鳥を殴る。
志生野アナ「もうバケツがメチャクチクャになりました」
志生野アナ「3対2になりました」
志生野アナ「しかもこの試合に直接参加していないクレーン・ユウが一番思い切った攻撃を仕掛けております」
志生野アナ「3対2といいましたが、本当は4対2ですよね」
宮本「阿部レフェリーがいますから」
氏家「試合中にモノを投げないでください!!」
志生野アナ「騒然として参りました」
とうとうヒートアップした観客から次々とモノが投げ込まれます。
ダンプは凶器を見せながら、急所は外しているように見えますが、クレーンはモロにパイプ椅子で頭を殴るので、ベビーフェイスとしては堪らない感じです。やるときはやるのがクレーンです。
このあたり、中野とダンプのツープラトンでエルボーをやろうとしていますが、タイミングが合いません。試合後に中野はこの件でダンプに怒られたかもしれません(^^;
(クレーン「鎖はこう使うんだ、やってみろ」)
(中野「あ、なんかそれっぽく出来た」)
中野のはじめての鎖攻撃でしょうか。
初めての反則相手が、デビルだなんて!!オーディションで「デビルさん大好き!!」っていう大声を出して合格したって話がありましたが、まさか最初に鎖を巻く相手になるとは思っていなかったでしょうね。
なぜか嬉しそうなデビル。この時期はデビルは中野のことは結構好きだったのかも?
やっぱりデビルは凶器を持った方が生き生きとしているので、ヒールで残っていたほうが輝いたんじゃないかと思いますね。
中野が握っている、必殺仕事人で三田村邦彦が持っていそうな武器は何でしょう?(笑)
志生野アナ「木刀と鎖の対決であります」
志生野アナ「いや~、こういったシーンがかつての日本には普通にあったんですけども」
志生野アナ「鎖鎌ですよ」
志生野アナ「これはちょっと暗いですよ」
志生野アナ「デビルの木刀に鎖が巻き付いております」
志生野アナ「どうなりますか、大変なことになりました」
志生野アナ「こうなりますと、レスリングじゃありませんねぇ、これ」
宮本「そうですよね(苦笑) 何か本当に凶器の一騎打ちですね」
今回の試合は凄いですね。武器vs武器。
太った忍者松本vs武士デビルです。
ここまで本格的な武器対決になる試合は、ある意味凄いですね。ダンプも先に鎖を出してしまった手前、引っ込めるわけにもいかず、どう収拾をつけようかちょっと迷っている感じもします(笑)
デビルが木刀を一瞬投げつけてダンプの鎖を手放します。頭脳的な作戦が成功します。そのあとにデビルは木刀を拾って、ダンプのお腹に一撃。モロに腹に決まりました。
ついでに中野もどてっ腹に木刀の一撃を喰らってしまいます。さらに阿部四郎にも天罰が落ちてしまいます。
さらにダンプにはもう一発、木刀の先端を腹のめり込ませてダウンさせます。
やはりヒールの師匠デビルが怒ると、怖いですね。
志生野アナ「さすがのダンプも参っている!」
志生野アナ「あれだけ木刀を思い切って使ったデビルは初めてみました」
志生野アナ「ここは容赦しません」
志生野アナ「今度は先端でついております」
志生野アナ「デビルは本気で凶器を使ったらね、これは中野恵子では太刀打ちができません」
志生野アナ「やはりデビル、久しぶりの迫力であります」
もはや武道大会になってしまいましたが、なんとかプロレスに戻ってきます。
飛鳥が中野を17回のジャイアントスイングで仕留めます。
この試合、飛鳥はほとんど何もしていない空気だったので、体力が有り余っていたのでしょう。
ついに中野が3カウントを取られて負けてしまいました。
中野はダンプのプレッシャーが凄かったと思いますが、ここまでよく頑張りましたね。
中野はユウお姉さんに救出されました・・。
中野にとっての極悪同盟初試合でしたが、かなり頑張っていたと思います。この頃は「どうして私がヒールなの!?」というクエスチョンを頭の中に抱えながらの闘いだと思います。だからヒールとしてのやり方は不自然ですし、まだヒールになりたてなので、まともに凶器も扱わせてもらえていません。確か会社からGo!が出ないと凶器は使えないはずなので、まだまだダンプの保護観察下(?)での凶器使用なんだと思います。
ブル中野に改名するまでは、このようなビミョウな試合が続いていきます。
さて、この試合のあとは、控室でダンプから第二ラウンドのお説教が始まっていたと思われます。いかに中野を早くプロのヒールに仕立てあげようかを考えていたダンプ、いかに中野をフォローしてあげようかと考えていたクレーン。この試合で2人のアプローチの違いがなんとなく見えますが、その後の試合もまた見ていきたいと思います。
今日の凶器 チェーン、フォーク、バケツ、パイプ椅子、中野が持っていた謎の小型凶器