
AJWW 1984/10/21 木更津倉形スポーツ会館 極悪vsジャガー・長与
初期の極悪メイクの方法
Evito-X-PuroさんのYoutubeより
43:00くらいから
(↓AIでフルハイビジョンに変換した動画です)
今回はダンプの初期の極悪メイクについて記載されている記事があったので引用してみます。
プチセブン 1985/2/15より--------------------------------------
クレーン「いまのメークは去年の初めころ(1984/2月頃)からだけど、デビル雅美さんが最初にイタズラでやってくれたんだよね」
ダンプ「やっているうちにデビルさんがビビリだしちゃって」
クレーン「自分で鏡見て、私もちびりそうだった(笑)」
------------------------------------------------------------------
元々、初期のメイクはデビル軍団解散が決まったときに、デビル雅美がバトンタッチするダンプとユウに、どのようにしたら怖がられるか、イタズラで色々とメイクをしたみたいですね。デビルはデビル軍団の中では、山崎五紀とタランチェラを贔屓していたとは思いますが、リーダーとして、ダンプとユウもきちんと面倒は見ていたようですね。ただ、突然ベビーフェイスに転向してしまいましたが。
私じゃダメかいより-----------------------------------------------
バッドメイクも、自分が考え出した・・。童顔だから、何とかそれをカバーするために。
最初のころは恐る恐るアイシャドーをつけたことがあったが、それをやったら「気持ち悪いから、ヤメとけ」って言われちゃった。あのときやめなかったら、もっと早くトップになれたかもしれない。
やっぱりメイクにだって、自分なりのテーマってなきゃいけないと思うんだけど、生き方と同じでさ。自分の場合はどうやったら怖がってもらえるか、っていうところからメイクを始めたわけだけど。最終的にはそういうとこにも美しさを求めていた。ひとつのファッションとして考えていたから。
------------------------------------------------------------------
そして、これがダンプ松本の初期のメイクの過程です。
(週刊平凡 1985.5)
おかあちゃんより-----------------------------------------------
試合の前、私は手鏡をみながら、"悪役"に変身していく。
"おかあちゃん、ごめんね"
そっと心の中でつぶやく。
だが、次の瞬間、心はリングに飛んでいる。メイクも決まった。チェーンも持った。
"よし、やってやるぞ!"
控室を飛び出して、さっそうとリングへと向かう。
私が一歩でも会場に姿を見せると、観客の興奮は爆発する!
ワーッと観客が逃げる。私が進むリングへの道がサーッとひらける。
超満員の観客席。私の周りだけ水を打ったように静かだ。
観客が恐怖に頬を引きつらせている。それを見て、自分が自分でなくなるような興奮を覚える。
ああ、もう最高に嬉しい。
------------------------------------------------------------------
私は男性なのでメイクはよく分かりませんが、アイシャドウ + 目の周りを黒いライン + 鼻筋を描く+ 頬にエクボを隠す + 唇を黒く
元顔は可愛いんだけど、目にバッチりと黒いライン、アイシャドウ、鼻筋を際立たせると、相当に不気味になります。
このメイクは最初にやるときは勇気が必要だったと思いますが、見慣れてしまうと、これこそ「ダンプ松本」という感じになりました。
しかしなにか不思議ですね。この程度のメイクで人間ってこんなに変わますかね!? "松本香"→"ダンプ松本"への変身って、本当にインパクトがあります。
私が思うに、メイクのやり方がうまかったのか、ロックバンドKISS風のメイクが、たまたま松本香の顔にハマッてしまったのか分からないのですが、女性にとってメイクってのは、性格まで変えてしまう魔法なんだなと自分は思いました。
ちなみにこれを言うと失礼ですが、メイクできる顔や体の面積が大きかったいうのも、かなり重要な要素だと思います。
ちなみにKISS風の顔のペイントは聖飢魔Ⅱも同じことをやっています。聖飢魔Ⅱはバンド結成は1983年ですが、メジャーデビューが1985年なので、ダンプ松本のほうがフェイスペインティングでメジャーになったのは早いと思います。
よくダンプはロックバンド「KISS」を知っていましたね。有名なロックバンドではあるけど、ハードロックに興味がないと意外と知らない人が多いです。邦楽ロック界よりも先取りしたという点でも先進的でしょう。日本のロック界がいまひとつパッとしていないのもありますが。
ロードウォリアーズのメイクなども、多少影響を受けている感じもします。
さて、試合のほうを見てみます。
ジャガー横田と長与千種が入場したあとに、極悪同盟の入場。
今回は放送席の襲撃はなし。テレビ撮りで放送席を襲撃するときと、しないときの差はなんなんでしょうね。放送機材をぶっ壊しちゃいけない会場があるんでしょうか。
志生野アナ「果たして今日は阿部四郎がレフェリーを務めるんでしょうか」
志生野アナ「おおっと」
志生野アナ「宮本さん、覆面のマネージャーの姿が見えますね」
宮本「このところ姿を現さなかったんですがね。ちょうど一か月半ぶりくらいですかね」
志生野アナ「阿部四郎がいて、覆面のマネージャーがいるということになりますと、今日は一荒れ二荒れしそうですね」
お客様「カーエーレー!!カーエーレー!!カーエーレー!!カーエーレー!!」
お客様は極悪同盟とザ・ベートーヴェンに、早くも「カエレ!!」コール。
そして対戦相手よりもなぜかセコンドのデビルに因縁をつけるダンプ。
ザ・ベートーベンは、WWWAタッグ選手権のときに、松永レフリーに肩をはずされて、ようやく完治したようですね(笑) ロッシー小川は本当にケガをしていたようで、広報&マネージャにケガをさせてしまう松永審判部長も、よく分かりません(^^;
リングの上では花束の贈呈が行われます。極悪が不人気でも必ずダンプとユウに花束を渡す人が一人います。彼女らは本当にファンなのか、それとも必ず花束を渡す人(サクラ)が一名は用意されているのか?
阿部四郎に花束を渡す子もいるのですが、本当に本意なのか? 泣きべそですから、レフリーにも一人は花束を渡す会場だったんでしょう。
(クレーンとベートーベンが入念な打ち合わせ中)
見ていて思ったのですが、ダンプはこの頃になると、極悪同盟の象徴の一つであるポリス帽を被っていないときが多くあります。
ダンプは髪の毛の分量が多くて、ヘアスタイルが抜群に良いです。
長与みたいにオカッパじゃないし、飛鳥のようなスポーツヘアでもありません。女性らしい美しいブロンドのヘア(染めているが)なのです。だから帽子をかぶらずに、髪の毛をみんなに見せていたのかもしれません。最初は金髪に顔が負けていましたが、この頃になると貫禄が出てきて、金髪とサングラスのスタイルがハマッてきたんだと思います。
確か数年後には芸能界を含めたヘアスタイル部門(?)を受賞していたと思うので、ダンプが髪が美しいのは確かです。
ダンプ松本の選手紹介のときには、テープの芯が投げつけられます。相当に嫌われています。
これぞヒールの鏡、ダンプにとっては最高の栄誉です。
場外では前の試合が終わったライオネス飛鳥が駆け付け、ザ・ベートーベンに蹴りを入れています。まったくこのトンパチ娘は、いちいち邪魔しにきます。
長与もかなり面倒くさいヤツなので、まずとっ捕まえたほうがいいですね(笑)
ゴングと同時にダンプとクレーンが長与を捕まえて攻め立てます。この試合、長与は腰にぐるぐるとサラシを回していて、「はい、ここを攻めてください」といわんばかりの目立ち度です。
これは極悪同盟としても、攻めざるを得ません(笑)
これは変わった凶器です。工事用のロープ(?)を持ち出して腰を痛めている長与にぐるぐる巻きにします。効果があるのか分からないのですが(笑)、細いので痛そうに見えますが、ちょっとインパクトに欠けますね。この試合あと、工事用ロープは使っていないので、お試しに使った感じでしょうか?(^^;
フォークを使う前に長与に奪われてしまいました。使う前にヒールの凶器を奪ってしまうのは、ベビーフェイスとしてはどうなんでしょうか・・(^^;
ダンプの珍しいパイルドライバーがジャガー横田にさく裂。ジャガーにはこれくらいやらないと勝てませんからね。しばらくジャガーを痛めつけた後、長与にタッチされます。
志生野アナ「今度は千種がでました」
志生野アナ「千種に対しまして、またどうでしょうか」
志生野アナ「凶器攻撃でしょうか?」
志生野アナ「何かを持っているか? いや、手には何も持っておりません」
志生野さん、完全にダンプを不審者扱いです。ダンプが素手で殴っても、凶器で殴っていると思っているようです。
クレーンが2段ローブからジャガーを抱え上げて、そのまま落とします。物凄いパワープレーです。
その後、このクレーンの華麗なるプレーに刺激を受けたのか、ダンプが滅多にやらない2段ロープへ登ろうとします。
珍しいダンプの雪崩式の技。
少々落ち着かない足取りながら、見事にジャガーを2段ロープから肩越しに落としました。ジャガーが軽いので足場が作りやすいってのもありますが、これにはクレーンも拍手。
ダンプは自爆系の技をやらなくても、十分にプロレスを盛り上げる稀有な能力がありますが、ヒザや腰の調子がいいときは、自爆系もやる感じなんでしょうかね。
このあと長与がソバットで反撃しますが、その後トペを失敗して放送席での乱闘へ。
場外では長与がパイプ椅子を持ち出して攻撃しますが、ダンプはうまくかわします。場外ではいきなり性格が変わる長与。
一方では同じく場外のジャガーをベートーベンが捕まえてリングインさせません。見事な連携です。というか、ベートーベンがいたのか!?
クレーンがカウント20前にリングインして一本目を先取です。
いまの判定に長与が抗議開始。
長与「なんだあのセコンド、じゃ☆★〇●☆★〇●☆★〇●!!」
滑舌が悪いのか、何を言っているのか分かりません(笑)
2本目
クレーンのチェーン攻撃がダンプに誤爆してしまい、そのままジャガーがクレーンをジャーマンでフォール。5秒程度で終わりました・・。
志生野アナ「ジャガーがいった、速攻の勝ち、さすがジャガー横田」
志生野アナ「こういう風に決めなくっちゃ、体の大きい2人は仕留められません」
宮本「セコンドが手出しをする間もなかったですからね」
(ユウ「香ちゃ~ん、ジャガー横田にまたやられた~」)
(ダンプ「よしよし、仇はとってやるからな」)
みたいな図。
3本目
まずはダンプが怒りのバケツ攻撃。
ゴツン、ゴツンと鈍い音がします。
かなり思いっきりやっています。相手を死なない程度に痛めつけるのがダンプ松本の信条です。
志生野アナ「あーっと、バケツがでました。とうとうバケツがでました」
志生野アナ「2人攻撃にダンプが怒った」
志生野アナ「おおっと、サソリ固め」
宮本「サソリ固めできましたね」
志生野アナ「ダンプのサソリ固め、100kgサソリですよ。これは効くでしょうね」
ついにダンプにもサソリ固めが出ました!! 本邦初公開!?
前の試合でもサソリ固めを使っているのかもしれませんが、いままで見てきた中では初めてです。
だんだん技のレパートリーが増えていきます。クラッシュギャルズができるものなら、ダンプ様にもできるぜ!!という感じでしょうか。
このユウとの2人ブリッジ崩しも新しい感じがします。
このあたりの長与千種のやられ方に注目です。アントニオ猪木みたいなやられ方です。一気にファンの同情を買うのが、いつもの長与のやり口です。
お客様「ちーぐーさー!!ちーぐーさー!!ちーぐーさー!!ちーぐーさー!!ちーぐーさー!!」
宮本「いまのはタマらないですよね。ネッグハンギングをやられている所を松本が鉄パイプで打ちましたけどね」
志生野アナ「長与千種コールが、本当に大きくなっておりますが、長与千種、形勢は不利であります」
志生野アナ「1本1本からの3本目、長与千種、全く不利であります」
会場をこだまする「千種」コール。長与がサソリ固めに入るとお客様の溜飲も下がります。男性の応援も聞こえますね。
ここでダンプが長与のサソリ固めを阻止するために鉄パイプで乱入しますが、ジャガー横田の卍固めに阻まれます。ザ・ベートーベンも、一体どこにいたのか分からないライオネス飛鳥のサソリ固めにやられてしまいました。
(ちなみにベートーベンが持っていた空き缶と思われるものから、大量のジュースがこぼれていました。実は空き缶ではなく、中身が入っているんですね。空き缶攻撃ではなく、相当に危険なジュース缶です)
必死に新入りがこぼれたジュースを拭いているのを避けながら、ジャガーがヒップアタックを決めていきます。しかし長与を捕まえるダンプ。
志生野アナ「依然として千種が捕まっている、ダンプ飛ぶぞ」
志生野アナ「これは危ない、ヒップドロップ!!」
志生野アナ「完全に千種、風前の灯」
志生野アナ「抱え上げられました。これは痛い、あーっとエルボー!!」
ここでダンプがフォールで3カウント。
志生野アナ「カウント入った~!」
カンカンカン!! (ゴングの音)
志生野アナ「足がかかっていました~」
志生野アナ「いまのはロープに完全に足がかかっていました!」
宮本「右足がロープに完全にかかっていましたね」
リング上には暴徒と化したお客様からモノがガンガンと投げ込まれています。
お客様も相当にエキサイトしているようです。
志生野アナ「阿部四郎、どこを見ていたんでしょうか」
志生野アナ「いまのはミスジャッジであります」
熱血植田「レフリー!!」 ←コイツがうるさい
志生野アナ「お客様が納得しない」
志生野アナ「レフリーがいま控室に逃げ帰りました」
熱血植田「ただ今の試合はノーコンテストといたします」
志生野アナ「試合が成立しないわけなんですね。あーいったレフリングでは困りますね」
志生野アナ「そういったことができないレフリーですから、お客様が怒ってますよ」
志生野アナ「決着はついたんですけど、しかし一旦逃げ帰った極悪同盟と阿部四郎が出てくるとは思えませんね」
混沌とする中、極悪同盟と阿部四郎はとっとと、通路を歩いて出て行ってしまいます。お客様からは大ブーイングのまま、溜飲も下がらずに幕切れ。
今回は、阿部四郎がいいところをもっていきましたね。ダンプ、ユウ、ベートーベンもがんばっていましたが、なんだかんだでレフェリーの権限が強いので、阿部四郎が美味しいところを持っていきます。ダンプの強敵はある意味、阿部四郎ですね。
これが新日本プロレスだと、猪木が勝って必ずお客様の溜飲を下げるのですが、全女ではヒールがそのまま勝ち逃げしたりと、短期的なシナリオらしいものがありません。もちろん、長い目でのシナリオもあると思いますが、水戸黄門でいうと、水戸黄門がぶっ刺されたまま、次回へ・・みたいな感じでしょうか。こういうところが全女の面白いところだと思います。
今日の凶器 工事用のローブ、フォーク(未使用)、パイプ椅子、バケツ、鉄パイプ