
AJWW 1984/11/09 日立市池の川体育館 ダンプ・クレーン・中野vsデビル・ジャンボ・小倉
Evito-X-PuroさんのYoutubeより
12:00くらいから
(↓AIでフルハイビジョンに変換した動画です)
今回はファンのカミソリ入りの手紙について、ダンプ著の本から引用してみたいと思います。
おそらく、1984年の中旬くらいから、ファンレターという名のカミソリ入りの手紙が増え始めたんじゃないかと思います。
「私じゃダメかい」より--------------------------------------
自分は仕事だと思ってたから、ワザとお客に憎まれるようにポーズを取っていた。
お客のほうは、そうはいかない。個人感情に火がついちゃって、自分を徹底的に憎んでいた。それがハンパじゃなかったもの。
ファンは、悪役が本当に憎いと、カミソリ入りのファンレターを送ってくるんだ。「=死ね、ダンプ=」とか、「=殺してやる=」なんて、丸い女文字で書いた便せん入りの。ある封筒なんか、80枚近くのカミソリが刃を全部外に向けて、うっかり開けるたら手が切れる仕掛けがしてあった。これにはさすがの自分も驚いたぜ。
でも、ベビーフェイスのファンからそこまで憎まれてること知って、悪い気はしなかったね。
「このカミソリで、ヒゲ剃ろうよ」なんて、仲間たちに配って、浮かれてたもんね。心の中じゃ、<悪役として、やっと一人前になれたな>って、ホッとしてたけど。
カミソリの話をテレビに出たときに、うっかりしゃべっちゃった。
「うれしかった」って。
そしたら次の日から、ピタッと来なくなった。ファンは正直だぜ。ダンプが怖がってないって知ると、もう同じ手は使わないもの。
そのかわり、せっかく買った新車に10円玉かなんかで、傷をつけられた。これはアッタマにきた。車が大好きだったから。
それじゃ、と思って自転車にすると、試合が終わるまでにはパンクさせられてる。
こんな、嫌がらせがたくさんあった。嫌がらせされるのは、悪の勲章だなんて、イキがってばかりいられなくなったのさ。
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「PRINCE 1988年」より----------------------------------
遠藤「女子プロ当時、キミのところにはいろんなものが送られてきたでしょう?」
ダンプ「『死ね!』とか、凄かったです。カミソリなんて300個くらい」
遠藤「それ、使えるからいいな」
ダンプ「顔剃りしました(笑)。カレーライスを袋に入れて、『これはウンコだ』とか、汚い靴下を送ってきたりとか。みんなクラッシュのファンの女の子からなんですけどね」
遠藤「男はそんなことしないからね」
ダンプ「他にはバイクをパンクさせられたり。でも『今までの悪役はもらったことない』というので、カミソリをもらったときは嬉しくて、テレビで「嬉しい」って言ったら次から『嬉しいならオマエにはカミソリは送らない』って(笑)」
遠藤「硫酸ぶっかけにきたりとか、変なことはされませんでした?」
ダンプ「そこまではないですけれど、お客さんに日本酒とかカップラーメン(タコ焼きラーメン)をぶつけられたり、椅子を思いっきり投げられたり」
遠藤「飛び降りて『コノヤロー!』とお客さんを怒鳴ることはできても、叩いてはいけないんでしょう?」
ダンプ「先に手を出された場合は『一発くらいは殴ってもいい』ということになっているんですけどども」
遠藤「(笑) 殴ったことないでしょ?」
ダンプ「あります」
遠藤「男の子? 女の子?」
ダンプ「男の子です。女の子は殴りません」
遠藤「相手はどうしたの?」
ダンプ「みんな怯えます。化粧してまして血が出ているときに『バカヤロー!!』とかいうと、みん泣きじゃくります」
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さて、今回の試合を見ていきます。
入場から凶暴さがエスカレート。動画でも分かりますが会場の熱気は異常です。
今見ても本当に異常としか思えない歓声と悲鳴の嵐です。コロナ禍に慣れてしまった今、こんなに熱狂が渦巻く試合会場なんて、今後存在しないかもしれません。
まずは阿部四郎のカメラマン攻撃、そして放送席へ志生野アナと宮本さんへの攻撃。
ダンプもカメラマンに攻撃をし始めています。
そして、入場時にすでにお客様から紙屑やトイレットペーパーなどのモノが投げ込まれています。物凄いヒートアップです!!
中野恵子加入の1984/10月あたりから、テレビでも反響がどんどん大きくなり、反社会的なダンプ、クレーン、阿部四郎のパフォーマンスに対して、物凄い罵声が浴びせられるようになります。
志生野アナ「おおーっと、阿部四郎の姿がみえました」
志生野アナ「なんと極悪同盟が被っている帽子であります」
志生野アナ「あー、カメラマンと喧嘩になった!!」
(ついにポリス帽まで被りだした阿部四郎)
志生野アナ「挑発的であります、阿部四郎!」
志生野アナ「カメラマンも黙っていない」
志生野アナ「今度はダンプ松本が、そしてクレーン・ユウがフジテレビのスタッフを相手にしております」
志生野アナ「許されません!」
志生野アナ「いまやファンを、そしてテレビ局を相手に完全に喧嘩になりました」
志生野アナ「やりすぎた、やりすぎだ!!」
(志生野アナは逃げないが、宮本はあっという間に逃げ出す。さすがは志生野さん、プロです)
(2段ロープで挑発するダンプに対し、白い石みたいなものが当たる)
志生野アナ「いやぁ、私にも宮本さんにも、なんと阿部四郎レフリーが挑発しました」
お客様「カーエーレー!!!カーエーレー!!!カーエーレー!!!カーエーレー!!!カーエーレー!!!」
志生野アナ「もう極悪の3人はどうでもいいから、赤コーナーだけ紹介してもらいたいと思います」
志生野さんのマイクパフォーマンスも絶好調です!!
ダンプ、ユウ、中野に対し、相手はデビル、ジャンボ堀、小倉と、ちょうどいいバランスの組み合わせです。
志生野アナ「先ほども紹介いたしました極悪同盟入りが濃厚といいますか、はっきりしてまいりました、中野恵子」
志生野アナ「今日はどうやら、そのお披露目ですね」
志生野アナ「そしてレフェリーが阿部四郎であります」
志生野アナ「極悪レフェリーである阿部四郎に対して、早くもカエレコールが起こっております」
志生野アナ「この人がリングが上がって参りまして、しかも極悪同盟の試合をレフリングする、最悪のケースとなって参りました」
宮本「試合前から異常なムードですね」
志生野アナ「このところ、人気がなくって、誰も若い選手が極悪同盟には入って参りませんでした」
志生野アナ「全く孤立しておりました極悪同盟に、敢然として中野恵子選手が入門いたしました」
さて、ゴングが鳴って試合開始です。
この試合、映像が悪いので分かりにくいですが、中野が極悪メイクを初めて(?)しています。
きっとダンプに嫌々にメイクさせられてますよね・・この頃は。(^^;
志生野アナ「まずデビルとクレーン・ユウが対戦しております」
志生野アナ「いや、中野恵子であります」
志生野アナ「いや、私がいま思わず間違えたけども、メーキャップが完全に極悪ですもんね」
志生野アナ「体の大きさではクレーン・ユウに負けませんね、中野恵子は」
志生野アナ「これは驚きました。完全に極悪入りを果たしました、中野恵子」
以前から着用している黄色と黒の水着で、明らかに中野だと分かりますが、志生野さんの席からだと見えづらかったんですかね。
極悪メイクを最初にした、このときの中野の気持ちを是非聞いてみたいです。絶対に「恥ずかしかった」と話されると思うんですが。(^^;
今回は鎖で相手を動けなくしてしまう作戦のようです。ダンプがジャンボを、ユウはデビルの腕をぐるぐる巻きにして、動けなくしてしまいました。
これはダンプが考えたんでしょうか。どういう悪いことをするか、いつも考えるダンプとユウの頭脳的作戦です。この鎖、あまり複雑な結び方をすると、本当に解けなくなりそうですが・・・(^^;
一番格下の小倉を孤立させる嫌らしい作戦です。このあたりが極悪の「いかにお客様に嫌われるか」を考えた狡猾な作戦に思えます。
案の定、3人でよってたかって、小倉を袋叩きにします(^^;
しかし、ここで鎖を外したジャンボが逆襲してきます。
志生野アナ「その鎖をもってジャンボ堀、登場だ」
志生野アナ「ダンプ松本の脳天に一発!! 」
志生野アナ「凶器攻撃の痛さを知れ!!」
志生野さんの解説が面白すぎます。
しかし、これでメゲる極悪ではない!! クレーンがすぐにコーナーに降りてダンプにバケツを渡します。
バケツでデビル、堀、小倉を3連続で撃破。その後、デビルがチェーンを使って攻撃しますが、阿部四郎に取り押さえられます。そしてまたまたダンプのチェーン攻撃。
この頃は、凶器、凶器、凶器の連続ですね(笑)
一瞬、チェーンがクレーンのアゴに当たったりして、痛そうです。
志生野アナ「今度は入れ替わってダンプであります、鎖をくるくる回しております」
宮本「これはちょっと・・凶器のオンパレードになりましたけど」
宮本「あまりに無法地帯になりましたね」
志生野アナ「いやいやいや、凶器が3つ、チェーンが3つ」
志生野アナ「中野はですね、なんですか、自転車のチェーンみたいなのをもってますね」
中野はまだ凶器使用許可が完全に降りていないのか、見習い中なのか、ショボい自転車のチェーンを渡されています。間違って凶器を変なところに当てても、相手の骨をえぐるところまでいかないように配慮したんですかね(^^;
場外戦のあと小倉のみをリングに入れて、ダンプがさらに痛めつけますが、デビルにタッチ。
ようやくベビーフェイスらしい攻撃が連続します。
志生野アナ「そしてまた小倉が捕まってしまいました」
志生野アナ「あそこで小倉が出ていくんですね」
宮本「あれだけ痛めつけられましてもね、出ていこうというのが立派なもんだと思いますよ」
志生野アナ「そのあたりが小倉のいい所でもありますし、相手の術中にはまる所でもあります」
小倉は小兵ながら気合も凄いし、先輩に立ち向かっていく姿勢も迫力も凄いありますね。この頃はスター候補生でしたし、声もよく出ていました。1,2年すると、体格的な問題もあるのか、伸び悩んでしまったのが残念です。
さてそんなこんなしている間に、極悪チームは一気に小倉を沈めにいきます。
ダンプラリアート×2発 これだけでも小倉はフォールを取られる可能性ありです。
(一瞬、中野がバケツを渡そうとしますが、不正解だったようです・・あとで怒られなきゃいいんですが)
この2段ロープからのギロチンはかなり危険ですね。ここで小倉の意識が飛んでいそうに見えます。
コーナーポストからのクレーン得意のバケツ脳天叩き。
なんというエゲツなさ!!(^^;
お客様「カーエーレ!! カーエーレ!! カーエーレ!! カーエーレ!! カーエーレ!! カーエーレ!! 」
見事にお客様にも「カエレ!!」コールをひき起こし、極悪チームとしては大成功です。
ただ、中野はあまり嬉しくなさそうに手をあげているのが印象的です。
タイトルマッチでなければ、阿部四郎とともにやりたい放題の極悪同盟。今後も快進撃が続きます。
ちなみにデビル御大とジャンボは、小倉が死んでいないことを確認すると、ホッとしたのか笑顔でした・・(^^;
今日の凶器 チェーン、バケツ、鉄パイプ