1984/11/1 ムック「女子プロレス 炎のコノヤローッ!!」発刊 極悪特集その②

その①の続きです。

本文の文章は詩的に書かれており、極悪vsクラッシュの叙事詩のようになっています。


 


 


 


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暴力無限大!! 限度を知らぬ極悪軍団、どこまで行くのか!

松永審判部長が出て来たぞ。この勝負、私に任せてもらおうという、大岡越前のような登場だ。そして、ここで新人の選手たちが阿部四郎ンフリーを退場させようと取り囲んだ。ここはシックリとしない極悪軍団だが、なにぶんにも多勢に無勢、中華人民共和国とバチカン市国だ。阿部四郎も不満を残しながらリングを去る。しかしながら、クラッシュ側も安心はしていられないぞ。極悪コンビのセコンドは、あのザ・ベートーベンだ。意表をついた凶器の提供は交通地獄、天変地異、ザ・デイ・アフターといったところ。そのため、試合はどうなるのか、暗中模索、五里霧中、 一寸先は闇という感じでまったく分からない。予期せぬ抜き打ちテストだ。

やっと、リングに上がったクラッシュ・ギャルズと極悪コンビ。さきほどのレフリーの一件もあってか、怒りの表情をモロにクラッシュ・ギャルズに投げつけている。ダンプ松本は凄いぞ。ダンプの右手に剣、左手になわを持たせ、背中に火炎を背おわせるならば、まさに不動明王といった感じだ。そのダンプにテープを投げるファンは、お不動様信仰にも似た心境なのか。

クレーン・ユウは、怒りの表情に変化した大魔神のようだ。しいたげられた農民の怒りを代弁するために、動かぬ神が魔に変わり、その巨体をノッシノッシと始動させる大魔神。まさにクレーン・ユウだ。
その極悪コンビに対して、クラッシュ・ギャルズは、警戒体勢をとっている。早くも、ゴングが鳴る前からファイティングポーズか? しかし、それも極悪コンビが相手では、早すぎるということはないぞ。備えあれば憂いなし、家内安全、商売繁盛、栄枯盛衰、諸行無情の響きありだ。

さァて、両チームが今にも入り乱れそうな様相のリング内は、呪み合いが続いている。火花が飛散って、プラズマエネルギーが交錯! 米ソの冷戦にも似た、激しい駆け引きが、すでにリングの空中、そして両チームの心のなかで始まっているぞ。

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この静かなる戦争は、超能力者の、テレパシー戦争のようだ。さすがのユリ・グラーもこの闘いは予知できなかったはず。激しい威嚇のやり合いの最中、両チーム激励のため、ファン代表のかたたちから、花束の贈呈が行われようとしている。まずは、クラッンュ・ギャルズが握手を交わして、花束を受け取った。手渡したファンの人は、心なしか頼が紅潮しているようだ。本物のスター、憧れの人に会った興奮か。
クラッシュ・ギャルズ、もらった花束を上々と掲げてファンに挨拶。が、極悪コンビに対しては、さすがに気を抜かない。このあたり、激戦を戦いぬき、ハードなトレーニングをつんできたプロのスポーツ選手といった感じがうかがえる。

そして今度は極悪コンビ、ダンプ松本とクレーン・ユウに花束の贈呈。人気の面では、クラッシュに及ばないが、それでも最近はなぜかファンの数をふやしているという極悪コンビ。ファンから花束を受け取ったが、その花束を、クラッシュに打ちつける。花束攻撃だ! まだゴングも鳴ってもいないというのに花束攻撃とは、さすが極悪コンビ。長与と飛鳥が打ちのめされている。花束のメッタ打ち。可憐な花びらがマットに飛散った。花の生命は短かくて・・・とは、まさにその通り。リング上で美しく輝くはずだったその花束は、瞬時にして、生命を奪われた。まさに極悪― 冷血無比。花も恥じらう乙女が、花をも凶器にしてしまった。

ここで、ゴングだ! ゴングが高らかに鳴って、 ついに試合開始。出鼻をくじかれたクラッシュ・ギャルズ、はたして、どのように闘うのか? 試合はまったく先が見えなくなってきた。先制攻撃をかけたクレーン・ユウが、飛鳥をつかまえて、 ロープに飛ばした。そして反動で返って来た飛鳥に対して、ボディ・アタック! 早くもユウの得意技が出た。山のようなユウに当たっては飛鳥もたまらない。

その弱った飛鳥をユウが、松本の待っているコーナーに引きつれて行く。松本とユウに、飛鳥が攻撃される。二対一の対決。これは不条理。さすがの飛鳥もこのままでは危いぞ!ここで、飛鳥コールだ。ガンバレ飛鳥、全国一億二千万人のファンがついているぞ。

その声にささえられてか、飛鳥が反撃に出た。ユウがやられている。さすがの大魔神も痛そう。 一気に形勢逆転だ。大技の連続。ユウのピンチか?
しかし、ここで松本が飛び出した。タッチもしていないのに出て来たぞ。手には、何か持っている。凶器か。その凶器は何だ、センヌキか、、センヌキだ。センヌキで飛鳥の頭を殴った。もの凄い形柑のダンプ松本。血に飢えた吸血鬼のようだ。血を見るとますますエキサイ卜するダンプ松本。早く血を出してやろうという魂胆!! ここで、思わず長与千種が出て来た。お得意の空手殺法が出るか。

松本をロープに飛ばした長与。空手技が出た。ダンプの胸元を突くチョップ! 長年の速いスピード攻撃。そのたたみかけるような技の連続に、さすがのダンプ松本も苫しそう。金髪を振り乱して、片間の表情。鬼の目にも涙、泣いた赤鬼といったところか。
そして、場外では、クレーンユウとライオネス飛鳥の乱闘。ユウが飛鳥を客席に投げつける。すかさず、イスを取り出し、頭へ一撃。さすがに、このあたりのラフプレイはお手のものだ。極悪の、極悪たる所以を見せつけている。

ザ・ベートーベンだ。この場面で出てくると危ないぞ。何が出てくるか解らない。凶器のビックリ箱、人間凶器販売機、意外性の落とし穴、ザ・ベートーベン。何を狙っているのか。隠し持った凶器は、チェーンだ。チェーンをユウに手渡した。飛鳥の首にチェーンがまかれた。人間絞首刑。チェーンの冷たい牙が飛鳥のノドを噛む。そして、ザ・ベートーベン、どうしたことか、今度はリング上のダンプ松本に、バケツを手渡した。殴る、殴る、バケツで長与をビシバシと殴りつけるダンプ。こうなると、ダンプの暴走には手がつけられない。レフリーが止めに入るが、まったく無視。カエルの面に小便、馬に念仏、猫に小判、ちいさな親切大きなお世話だ。

これはひどい、見る間にバケツが変形して行く。長与も痛そう。汗がほとばしり、 マットに飛び散る。ダンプもますます乗って来た。今度はチェーンだ。チェーンで長与を締め付ける。凄い! もう筆舌につくせない反則のオンパレード。リングは地獄と化した。見るも地獄、見るのも地獄、やるも地獄、やられるも地獄。まさにリングは阿鼻叫喚の生き地獄だ。

ダンプとユウの反則は、このまま続くのか? 悪の限りをつくす極悪コンビ。永遠の悪の長距離ランナー極悪軍団。ダンプとユウの悪にゴールはないのか。

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