
1985/3/5の週刊プロレスに、2/25のWWWA世界タッグ選手権試合直前のクラッシュ・ギャルズのインタビュー記事がありましたので、取り上げてみます。
試合内容はこちら↓
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-どう、体調は? 千種はサラシを巻いていたけど...。
千種 いつの試合でやったのかは わからないんだけど、痛い、痛い と思って病院に行ったら「あば ら第1関節にヒビが入っている。 全治3週間」という診断でした。 「若いから筋肉で固定されている。 1週間も完璧に休めば治る」とも 医師に言われたけど、とてもとて も・・・。今、大切な時期だから。
-得意のブリッジに支障はないの?
千種 ひねる、とかよりも、後ろの 受け身をとったときが辛いですね。
-飛鳥は絶好調?
飛鳥 最近、ひと回り大きくなっ て、その重さにも慣れてきたから 調子はいいんだけど、今また、左ヒザが悪くなっている。それと、 試合でボーンと指をついて、ジン帯と関節の袋が切れちゃった。あとは・・・・・・寝不足くらい(笑)。
-ずっと地方興行が続いている けど、何か感じたことって、ある?
千種(ファンの見る目が)地方は厳しいし、難しい! 一口に言え ば、東京は流れが早く、地方は1回のチャンスに集中して、いろんなものを貪欲に見ようとする。
-東京だったら、何やっても沸 くけど、地方はそうはいかない?
飛鳥 そういう面では、あえて地方に来た方が勉強になりますね。
-さて、25日の大田区体育館で 極悪同盟(ダンプ松本、クレーン・ ユウ組)の挑戦を、ついに受けることになったけど、このタイトルマッチを、どう闘う?
千種 願わくば、極悪との対決にピリオドを打ちたい。
飛鳥 勝っても負けても、はっきり決着をつけたい。あとに尾を引くのは、もうイヤ!
千種 この間、10人タッグマッチ というのをやったんだけど(2月10日・総社)あれは最低だったもんね。
飛鳥 名目上においては選手権試合だけど、喧嘩ファイトになって も決着をつけることしか、念頭に ない。
千種 ただ、目には目をと(極悪と同じことをやったら、クラッ シュのファンは悲しむんじゃないかと思っちゃうし、何もそこまでして極悪に立ち向かうことはないと自分達も思いますね。
-新しいことは考えてる?
千種 はっきり言って、極悪との 試合に新しいことを出す必要はないんじゃないかと思う。いままでの基礎をやれば・・・いえ、基礎も出し切れないかもしれないもんね。
飛鳥 とにかく、あの試合は技が出ない。いえ、出せないと言った方が当たっている。だって、ひどいときなんか、ジャイアント・スイングが1周も回らなかった。本当に1メートルも動かせなくて、もう自殺しようかと思った(笑)。
千種 私なんか、ニール・キックやったら、グルッとわざと回って上に倒れてきちゃったの。 まぁ、 新しいことは武道館のときに、と考えています。
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-武道館の話が出たところで、これが決定すれば、ひとつの夢の実現だね。
千種 願わくば、そこでクラッシュ対決を見せたいけど、デビルさんへの挑戦もいいな。そうなれば、 トモはジャガーさんに挑戦することになるでしょうね。
飛鳥 武道館だから、ノンタイト ルというわけにもいかないだろうけど、私としては現地点では、たとえ挑戦しても自分に納得がいか ないと思うから、タイトルマッチとしてはまだやりたくない、というのが本音。
千種 私、夢があるんです。ジャ ガー-デビルをメインイベントにクラッシュ対決、堀-大森、ダン プーユウ、山崎-立野、中野-小倉・・・・・・と、ぜーんぶライバル同士を対決させちゃうの。面白いと思 いません?
-もったいないくらいの超豪華版だなぁ(笑)
千種 もし自分が社長だったら、 ファンにプレゼントするんだけどなぁ(笑)。
<このとき、急きょ、TBSテレビ「ザ・ベストテン」への出演が 決まったとの情報が入った。話題曲コーナーではあるが、14日、香川・丸亀市体育館からの中継と急ぎの話なので、マネジャーは打ち 合わせに大わらわ>
-本当に"ベスト10"に入るといいね。
飛鳥 考えは変わってきましたね。 これだけ忙しい思いをしているし、スタッフの期待に応えるためにも形として残せるものは残していき たいですね。コンサートも、その ひとつです。
千種 プロレスラーの根性を見せたいですね。プロレスラーでも、 これだけやれるって、歌手にね、芸能人に見せつけてやりたい。
-最後に'85年の抱負を!
千種 5日・唐津でデビルさんと 20分ドロー試合をやったんだけどすごく気持ちよかった。 客席は静かだったけど、ワーッとなる所が いくつかあったし、こんな試合も いいんじゃないかな、と思っちゃったりして。その前に五紀とも同 じような試合をやった。
女子プロの場合、自分もそうだ けど、最初に大技をボンボン出しちゃうでしょ? そうじゃなくて最初は空手やレスリングの早いので地味に固めて、そのうちフッと大きいのを出すと、ウォーッと沸くんですよね。
なんて言ったらいいのかな・・・・・・ 私ね、お客さんに、ため息をつかせる試合をやりたいんです。
飛鳥 これからシングルの総当たりリーグ戦があるけど、クラッシュの試合はクラッシュの、シングルはシングル、と分けて考えていきたいんです。シングルでは、また違った自分の型を出していきたいな、と思っているんですけど、 難しいですね。
-今日は、どうもありがとう。
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クラッシュのインタビューを聞くと、長与と飛鳥はこの時期はヒザや腰の状態が悪く(といっても女子プロレスラーはみんな悪い箇所があると思いますが)、芸能もあって殺人的なスケジュールだったと思われます。
昭和の時代は、ピンクレディも超過密スケジュールで活動していましたし、今考えるとブラックすぎる時代なわけですが、「自分の夢に向かっていて」、「自分が実現したいことが出来ていれば」、どんなに過酷であっても、それを成すことができるんですね。
極悪との試合は「ただ痛いだけ」と話しています。「勝っても負けても終わらせたい」・・・「絶対勝つ!!」とは話していないところがポイントです。結末について意図的なところもあったのでしょうか。
試合内容を今振り返っても、竹刀で叩かれてただ痛いだけには見えますし、技も出せません。もっともそれが極悪同盟の戦い方ですから、長与が「早くピリオドを打ちたい」と話しているのも分からなくはないです。
その一方で、クラッシュ対決、極悪対決など、エンターテインメント性をもっと取り入れたいことも話していますので、長与も自分の延命策、話題性を常に追っていたのは確実です。
ですから、「極悪との試合はやりたくない」ようなことは話していますが、話題性になれば何でもやるのが長与の精神であり、だからダンプと髪切りマッチをしていくことになります。
飛鳥のほうは、プロレスというのもに純粋に取り組んでいて、ベルトを獲りたいという心が強いみたいで、あまりエンターテインメント性のあることは話していません。
このあたりが、2人の相違となって現れるのはもう少し先になります。