
1985/2/20 本庄市体育館 クラッシュ・ギャルズ vs ラ・ギャラクティカ&ロッシー・モレノ
2/20の本庄市体育館で行われたテレビ中継アリの試合ですが、いまのところYoutubeに動画がありません。「女子プロレススペシャル 好きだぜコノヤロー!!」に掲載されていたので、引用します。
この試合の伏線として、まず1984/10/6にクラッシュがラ・ギャラクティカとロッシー・モレノの挑戦を受けたWWWA世界タッグがありました。この試合はクラッシュが勝利して防衛しますが、そこでダンプが乱入してクラッシュを血だらけにするという試合がありました。
クラッシュは、この試合の報復としてラ・ギャラクティカの覆面を剥ぐという行動に出たのではないかと思われます。
続いて、この試合で覆面を剥がされたラ・ギャラクティカは、さらに報復の報復として、2/25のWWWA世界タッグ、クラッシュvs極悪の試合でセコンドについて、ダンプたちをサポートします。
時系列的にいうと、
①1984/10/6 クラッシュvsラ・ギャラクティカ、ロッシー・モレノ WWWA世界タッグ
②1985/2/20 クラッシュvsラ・ギャラクティカ、ロッシー・モレノ 覆面を剥ぐトンパチ娘
③1985/2/25 クラッシュvs極悪 WWWA世界タッグ
ということになります。
では、その②1985/2/20 クラッシュvsラ・ギャラクティカ、ロッシー・モレノ 覆面を剥ぐトンパチ娘を見ていきましょう。
ムック「女子プロレススペシャル 好きだぜコノヤロー!!」より
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クラッシュギャルズは時として、とんでもないことをやってくれる。
勝負を度外視してまでも、覆面レスラーをクラッシュしにいく。これだけはやってはならないというマット界の 暗黙の協定、「覆面盗り」。
ところがルール違反を承知でこの大胆な行動にでたのが、2月20日本庄市で行なわれた対ギャラクティカ&モレノ戦でのクラッシュギャルズだった。いったい何が彼女たちをこのような戦略に走らせた のか?
この日、飛鳥と千種はいつになく殺気立っていた。試合開始のゴングが鳴る前から、 リング中央でのにらみあい。 激しい火花が散る。あるいはこの時すでにクラッシュギャルズの頭の中には「覆面盗り」のシナリオができあがっていたのか?
銀河帝国戦士ラ・ギャラクティカは そんな相手の戦略などを知る由もない。 ロッシー・モレノと共にメキシコ・マ ット界をになう女王だという自負があ る。かつてジャガー横田をWWWAチャンピオンの座からひきずりおろした実績もある。
「フン、なにがクラッシュだよ!」
「チグサとアスカの選手生命をズタズ タにしてやるさ。今夜でやつらもリングにアディオスだね」
試合直前のギャラクティカ・モレノ 組の控室では、われらがエース、クラ ッシュギャルズをなめてかかったスペ イン語が飛びかっていた。
モレノはまだ覆面をつけていない素顔のラ・ギャラクティカにむかって指を立てて笑った。ギャラクティカは 当然とばかりに鼻をならし、いつもの 癖で髪の毛を両手の指でかきあげてからマスクをかぶった。
覆面の布地はもちろん通気性・吸湿性を第一に考慮してつくられている。 しかしそれでも皮膚呼吸の何パーセントかを妨げてしまうので、控室での彼女はマスクを外してスタンバイしてい ることが多い。
だが素顔の覆面選手を見ることは、 関係者といえどもタブーだ。控室は出入厳禁、ドアをロックしてはじめて彼女は素顔になる。タッグを組むモレノはギャラクティカのマスクの下を知っ ている。だが、それを外にもらす ことは許されないのだ。
60分3本勝負の試合は一対一の互角で、最終ラウンド3本目にはいった。
ヒュン、ヒュン、ヒュン。
リングサイドのカメラマン達が思わず音のする方にレン ズをむけた。でた。ラ・ギャラクティカ の必殺凶器、黒ヌンチャクだ。 メキシコシティの映画館でブル ース・リーの「燃えよドラゴン」 を見て思いついたとも、香港のプ ロレスエージェントから伝授され たとも噂されるヌンチャクさばき。
ラテンの情熱とチャイナの霊気が二重構造の黒い渦を巻く。 対する千種。場内が沸く。手にしているの は極真空手の黒帯だ。黒には黒。ヌンチャク攻撃を受けとめる新手法がこの黒帯ヌンチャク止めだ。
意表をつかれたギャラクティカは凶器の威力をフルに 発揮できないまま、クラッシュにつかまった。そこへ思いもかけ ぬ「覆面盗り」だ。ギャラクティカ は驚いた。あせった。覆面をはがされてしまえば、選手生命を断たれるのは彼女の方だ。
全身の筋力をふりしぼって 必死の抵抗だ。すでに流血で顔面を真っ赤に染めたロッシー・モレノが助けに入いるが、クラッシュは止まらない。 覆面が破れた。ギャラクティカの額が半分のぞく。客席にどよめきが起こった。ファン達も予想しなかった飛鳥と千種の奇襲攻撃だ。もはやギャラクティカに闘魂はない。マスクを守るのに精一杯だ。場外に逃げた。なんとか両者リングアウト引分けに持ち込もうという必死の計算だ。
カウント20!
もくろみ通りの引分けに逃げこんだかと思ったのも束の間リングに戻ったクラッシュは、試合が終了しているにもかかわらずギャラクティカを攻めつづけ、ついに覆面をとってしまったのだ。
ギャラクティカは両手で顔を隠し、 差し出されたタオルを巻き、まるで白日の下にさらされたミイラマンのような風体で、逃げるようにリングを後に した。
もちろんクラッシュにとって、相手の素顔をさらすことが目的ではない。 覆面をとることで、力を慢心しクラッシュをあなどりはじめたギャラクティカに痛烈な警告を与えることが狙いだったのだ。
結果は引分けだった。しかし、きょうの勝負を捨てて、明日以降の布石とする、対ギャラクティカ構想の深いヨミ。そこにライオネス飛鳥と長与千種 の戦略家としてのしたたかな才能を見た思いがする。
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時々クラッシュ・ギャルズは、謎の行動に出ます。(^^;
84/4/1には突然マスクド・ユウの覆面を剥ぎ、今度はメキシコの女王、ラ・ギャラクティカの覆面を剥ぐという、ヒールも真っ青な行動にでます。
極悪よりも、よほど極悪してるぜ、って感じですが、長与とロッシー小川が話題作りに突然やりたくなったのでしょうか(^^;
血だらけのロッシー・モレノ。けっこうヤラれてます。どういう風に血だらけになったのかは記述がないのですが、まさか凶器攻撃ってことはないでしょうから、場外でのパイプ椅子でしょうかね?
ガンガン攻める飛鳥。
ラ・ギャラクティカはヌンチャクを使用していたんですね。長与も使っていましたし、ブルが使う前に意外とヌンチャクは流行っていたのか。ちなみにブルはセコンドにいます。
覆面を半分破られてミイラ状態のラ・ギャラクティカ。
ジャガーのライバルとして名を馳せたギャラクティカが、この時期クラッシュにコテンパにやられてしまうのは、なんというか、少し格が落ちてしまった感じがしなくもないです。
「ギャラクティカとロッシーのメキシコ悪者コンビはひきょう者なのだ。クラッシュが決め技で敵をホールドしようとすると必ずジャマをし来る」
いやいやいや、ホールドをジャマするのは普通ですよ~。覆面剥ぐほうが普通ではないです(^^;
しかも「悪者コンビ」っていう言い方が、なんともイイですね。なんにも悪いことはしていないとは思うんですが、外人ってだけでワルモノな時代です。