
デビル夫人 女子プロレスチャンネルさんのYoutubeより
AJW 1985 02 25 大田区体育館 WWWA世界タッグ選手
元の動画が見つかりませんので、見つかり次第リンクを貼ります。
(↓AIでフルハイビジョンに変換した動画です)
[AI FHD 60fps] AJW 1985 02 25 大田区体育館 WWWA世界タッグ選手権 クラッシュvs極悪 ダイジェスト
[AI FHD 60fps] AJW 1985 02 25 大田区体育館 WWWA世界タッグ選手権 クラッシュvs極悪 フルバージョン(画質が悪い)
1985年はダンプ松本のベストバウトが多くあるのですが、2/25のWWW世界タッグ選手権の試合は、まず前半戦のハイライトです。
ダンプにとっては、因縁のクラッシュ・ギャルズとのベルトを賭けた試合です。燃えないはずがありません。また、クレーンも「いつの日か、ダンプとタッグチャンピオンを取るのが夢だ」と雑誌インタビューで話していたので、これまた燃えないはずがありません。
これまで以上に凶器攻撃がエスカレートするであろうと想像できます。
大田区体育館は超満員。ほとんどがクラッシュのミーハーファンです。
クラッシュはこの日のために用意した「風林火山」の特別仕様の道着での登場。長与の背には「昇り竜」が、飛鳥の背には「下り竜」が刺繍されています。詳しくは、山崎照朝さんの著書に書かれているので、別記事として記載します。
極悪同盟の入場です。
まずは切り込み隊長の阿部四郎、そして、この日のために髪の毛をピンク(紫?)に染めたダンプが続きます。さらに、この日のために同じく髪の毛を紫に染めたクレーンです。後ろには改名して勢いにのるブル中野、さらに久々に登場の極悪マネージャのザ・ベートーベン。極悪が総結集しています。
(ついでにラ・ギャラクティカとロッシーモレノの外人組もセコンドにいます)
ザ・ベートーベンは久々の登場です。長い間、セコンド稼業を離れていました。しかし今回のWWWA世界タッグは、会社側からのロッシー小川が刺客として送られているところにも注目です。
志生野アナ「これから入ってくる極悪同盟はどうか!?」
志生野アナ「クラッシュ・ギャルズにとっても、今日はどうしても負けられません」
志生野アナ「長与千種、あくまでも戦闘的に、コーナーで自分が持っているチャンピオンベルトを、入場してくる極悪コンビに見せております」
志生野アナ「阿部四郎レフェリーが先頭を切って入場!」
志生野アナ「その後ろからダンプ松本、竹刀を持って入場であります」
志生野アナ「黄金に縁取りされました竹刀をもって入場であります」
志生野アナ「そして謎のマネージャーも入場して参りました」
(極悪同盟の創設メンバー4名が全員リングにそろい踏み)
志生野アナ「さぁいよいよ世紀の一戦を迎えました、大田区体育館」
志生野アナ「異様な興奮です」
花束が贈られ、チャンピオンベルトを見せびらかすクラッシュを尻目に、いきなりダンプが長与の額にフォークを突き刺します!!!
場内騒然となります。ファンの悲鳴の中、氏家リングアナが喋べる前に、無言でいきなり奇襲をかけてきました!! 先手必勝です。
志生野アナ「なにか早くも凶器攻撃が開始されました」
志生野アナ「試合が始まっておりません」
志生野アナ「まだチャンピオンベルトの返還もなされておりません」
宮本「なにかハサミのようなもので襲われましたよ」
志生野アナ「早くも凶器攻撃ですよ」
選手コール前に、すでにダンプとラ・ギャラクティカが、長与に2人がかりで襲い掛かっています。ラ・ギャラクティカは、2/20の本庄市で行われた試合で、覆面をクラッシュに剥ぎ取られるという屈辱を味わっておりますので、復讐に燃えています(^^;
また、クレーンとブルが、飛鳥に襲い掛かり、分断作戦を計ります。さすが極悪はうまいコンビネーションです。
ある程度痛めつけた後、一旦全員がリングに戻りますが、すでに長与の新しい空手着は、鮮血にまみれています。
(空手着が血にまみれた長与)
一旦落ち着いたところで、ようやく氏家アナより選手コールです。
(長与に対するテープの量が尋常ではありません)
宮本「長与が早くも血を流していますよね」
志生野アナ「いきなりやられました」
植田コ「レフェリーにつきまして、クラッシュ側はジミー加山、極悪軍団は阿部四郎を指名しましたが、審議の結果、主審はジミー加山、副審は阿部四郎となります」
志生野アナ「しばらくジミー加山、阿部四郎の睨み合い」
志生野アナ「しかし阿部四郎が意外とあっさりと引き上げますね。珍しい」
極悪側はレフェリーがジミー加山であることに対して、珍しく抗議や揉め事を起こしません。怪しすぎます(^^;
実は、すでに極悪が用意周到な手を打ってきています。
阿部四郎をサブレフェリーにすることこそ、この試合の鍵を握ることになります。極悪側からすると、最初から主審がジミー加山でも、どうでもよいことが後から分かります。
さて、コールが続きます。
奇襲攻撃したあとに、改めて選手コールをする試合は珍しいですね。
(ダンプ松本のコール。クレーンには紙テープは飛んでいませんでしたが、ダンプにはかなりのテープが飛んでいます。この会場の雰囲気で紙テープを飛ばす人は勇気がいると思います。それだけに、悪は悪なりに人気が出てきている証拠です)
(嵐の前の静けさ・・)
さて試合開始です。
1本目
この試合に賭けるクレーン・ユウは今までとは違います。これまでは相手を血だらけにする行動は消極的でしたが、この試合だけは絶対に勝ちたいのか、最初から長与に噛みつき攻撃で出血させます(ザ・ジョーズの本領発揮です)。クレーンがここまで本気で血染めの攻撃をしてきたのは、かなり珍しいです。それだけWWWAの世界タッグチャンピオンになりたいという意思が見られます。
長与が左目の上からかなりの出血です。
クラッシュが押し気味になると、すぐにダンプの一声でリングサイドから助っ人が入ります。
これは、ぶるちゃんねるで、後にダンプが「フクロだー!!」と声をかけると、全員がリングに上がらないと、あとから遅れた人がフクロにされるという、ブルが恐れていた合図の"前身"のようなものでしょう。
この頃から、ダンプ松本の集団戦法が出始めます。
まだ極悪同盟はブル中野しか後輩がいませんので、ラ・ギャラクティカと、ロッシー・モレノが入っています。メキシコ人レスラーはかなり協力的で、試合を面白くするエンテーティナー性に優れていることが分かります。さすがは本場のルチャで幼少からプロレスをしているだけあります。
宮本「クラッシュは極悪同盟が勢ぞろいしてますから、一瞬の技で決めないとフォールを取るチャンスがないですね」
志生野アナ「なんといっても極悪同盟は2人だけではありません」
志生野アナ「ブル中野がいます。そして謎のマネージャーもいます」
志生野アナ「さらにギャラクィカ、ロッシー・モレノのメキシコ勢がいます」
志生野アナ「そして阿部四郎、セコンドとしてついております」
極悪同盟はセコンドが邪魔をしまくるスタイル。セコンドが常に監視するスタイルはこの試合から始まっているかもしれません。数だけでいうと、正義vs悪で、2vs7で戦っています。
テレビカメラに向かって、ベロベロベェーとしているダンプ。WWWA世界選手権なのに、なんというテレビサービスでしょう。余裕があります。
ちなみに、ダンプがこういう無邪気なアクションをするのは、次にとんでもないことを仕でかす合図です。
案の定、長与の出血している傷口に噛みつき攻撃です。さらにクレーンが鉄パイプ攻撃。
(長与は左目の上を、けっこう深く切っていそうです)
(クレーンのハサミ攻撃。今日のクレーンは本気モード!! やる気満々です)
なーんと、ブル中野のハサミ攻撃。以前からやっていた可能性もありますが、ついにハサミまで持たせてもらえるようになったんですね。お正月にようやくチェーンを持たせてもらえたと思ったら、もうハサミです。半ハゲにして、一気に覚醒中です。
ここまで反則をしても、ジミー加山は反則負けにしていないところを見ると、この試合は極悪寄りのレフェリングをしているように見えます。
志生野アナ「長与千種、真っ赤な血で顔面を染めております」
志生野アナ「阿部四郎レフェリーは参加していないんですけど、これだけの徹底した凶器攻撃にはなんとかレフェリーも断固たる措置を取ってほしいですね」
志生野アナ「ここまで血を流して、一体どうすれば気が済むんでしょうか?」
志生野アナ「極悪としても総決算の試合とはいえ、なんともひどいことをするもんであります」
志生野アナ「許せません」
長与も粘りに粘りますが、飛鳥のトップロープからのラリアートが誤爆。そのあとは場外戦となり、ダンプとブルが飛鳥を攻めて、クレーンが長与を攻撃して足止め。
そのままクレーン一人がリングインして、一本目は極悪の勝利です。
長与「負けてないぞ、負けてない!!」
長与「負けてなーい!!」
長与は大流血しており、今回は目立ち度は飛鳥よりも上です。もっと色々と喋っても良かったですね。"抗議"、"抗議"で得意のマイクパフォーマンスすれば良かったのに・・。
2本目
長与の猛攻が始まります。いきなりクレーンにジャーマンスープレックスを決め、そのまま飛鳥のトップロープからのミサイルキックを誘発。
クラッシュの必殺技、2人がかりでのパイルドライバーで、一気にクレーンを仕留めて2本目はクラッシュの勝利。
志生野アナ「2本目あっという間に返しました」
志生野アナ「宮本さん、ようやくクラッシュ・ギャルズ、速攻が蘇ってきましたね」
宮本「しかし飛鳥、長与、両方が出血してますからね」
宮本「タイに持ち込んだとはいえ、決勝ラウンドは相当ダメージ残ってますから、苦しいですね」
いやいや、長与はこういう逆境、目立つときは元気になる選手ですから!!(笑)
現にピンピンしてパイルドライバーをかけていますし。
長与の場合、飛鳥よりも血を流して目立っているので、喜んでいる可能性すらあります。(^^;
この試合、飛鳥は今のところ、空気になってます。
志生野アナ「しかし、一本一本になって、いかにも不気味なのがこの人であります」
志生野アナ「ダンプ松本!」
志生野アナ「いま、竹刀を持って挑発しております」
志生野アナ「極悪同盟を結成したのもですね、元をただせば、クラッシュギャルズからチャンピオンベルトを取りたいという気持ちがあるでしょう」
志生野アナ「私、最初に総決算の時とお伝えしたんですが
志生野アナ「極悪同盟としては威信をかけてチャンピオンベルトを狙っているわけでしょう」
宮本「クレーン・ユウ選手が先ほどのパイルドライバーで首筋を痛めたようですが」
ユウが大丈夫なのか心配です。
3本目
お客様「カーエーレー!! カーエーレー!! カーエーレー!! 」
3本目が始まる直前に、阿部四郎とザ・ベートーベンがリング内にいたことから、ミーハーファンからカエレ!!コールの合唱となります。
クレーンが先ほどのパイルドライバーでフラフラな状態です。そこに畳みかけてくる長与。一気にサソリ固めに持っていかれてしまいます。
志生野アナ「クレーン・ユウがフラフラだ」
志生野アナ「ここはクラッシュギャルズ、チャンスであります」
志生野アナ「極悪同盟側もなにか緊迫してまいりましたよ」
ここでダンプがバケツを持って乱入。長与と飛鳥、そしてジミー加山の脳天に一発ずつ入れます。
しかし飛鳥が反撃して、ダンプをサソリ固めに。
ここでブルが完ぺきなタイミングで乱入し、さらにメキシコチームまで乱入。
ベビーフェイス側はデビルが入ってきて、大混乱。
ダンプが長与にパイルドライバーを喰らわした後、さらに3人がかりでのパイルドライバーと、一気に畳みかけます。ここまでほぼ出番がないザ・ベートーベンもなぜか大はしゃぎです!!
さらにダンプの駅弁抱っこから、クレーンの2段ロープからのギチロン。惜しみなく必殺技を出していく極悪チーム。重量級の攻撃に見ごたえがあります。何が何でも勝とうという意思の現れです。
(ダンプの抱え上げからのバックフリップ。きちんとカメラに綺麗に見せてから落とします)
志生野アナ「いやいや、(長与は)本当に危ない。ファンは悲鳴また悲鳴であります」
志生野アナ「もういつ3カウントが入ってもおかしくない」
志生野アナ「どうしたらいいですか?」
宮本「さっきから大技の連続ですからね」
宮本「長与選手も凄い耐久力は持っているんですが・・・」
ようやく長与は飛鳥にタッチします。
ここからが極悪同盟の本領が発揮されます。
ダンプが、ブル中野とザ・ベートーベンに合図します。
作戦実行のとき!!
時は来たり!!! という合図です。
2つの手を打ってきます。
まず、ザ・ベートーベンが、ジミー加山を場外へ放り投げます。
ここでなぜか男子プロレスが始まりました。
ザ・ベートーベン(ロッシー小川)vsジミー加山(松永国松)の闘いです。
一年前の極悪vsダイナマイトギャルズ戦では、ザ・ベートーベンは国松さんに肩を外されていますから、今回はここぞとばかりに鉄柵に投げつけて、戻れないようにしてしまいました。
ジミー加山をリング上から消し去ること、これこそがザ・ベートーベンが今回参加していた目的だといっても過言ではあまりません。そして、キッチリ仕事をするザ・ベートーベン。100点です。
一方、ブルとクレーンは、ライオネス飛鳥を場外で足止め。
いよいよ、ダンプ松本vs長与千種の一対一のマッチとなります。
ダンプは長与との髪切りマッチを仕掛けます。長与の髪の毛をハサミで一方的に切りまくり、ファンに対してバラまきます。無残にマットに散る長与の艶のある髪の毛・・。
志生野アナ「髪を切られています」
志生野アナ「ジミー加山がいなくなりましたよ」
志生野アナ「やりたい放題だ、これはひどいぞ、これはひどい」
志生野アナ「もう試合ではない!!」
志生野アナ「ゴングを鳴らさなくっちゃいけません!」
志生野アナ「レフリー不在の試合になりました」
志生野アナ「宮本さん、レフリーはどこにいったんですか?」
宮本「阿部レフリーはサブなんですから、いかないと」
志生野アナ「あ、阿部レフリーがいきました」
あまりに凄惨な髪切りに対して動きが鈍くなった長与。そこにダンプのショートレンジからのラリアートがモロに決まります。
ダンプがそのままフォール。
なーんと、いつの間にか阿部四郎が入ってフォール勝ち!!
この流れはちょっと思いつかなかったですね。
①ダンプの合図で、ザ・ベートーベンとブル中野がリングイン。
②ザ・ベートーベンが、ジミー加山を場外に出してノックアウト。
③飛鳥をクレーンとブルが足止め。
④ダンプが千種の髪の毛を切って、ラリアート。
⑤阿部四郎がサブレフリーとして入り、3カウントを入れて終わり。
全員、ミッション・コンプリート!!(笑)
今回は特にザ・ベートーベンと、阿部四郎の役割がしっかりしていました。たった一場面の活躍で、2人とも一番おいしいところを持っていきましたね。阿部四郎に至っては、試合中の画面に映っていたのは、最後の3カウントを取ったところだけですが、一番おいしい部分です。
抱き合って喜ぶダンプとユウ!!
かつて2人のこんな場面は見たことないぞ。本当に嬉しかったに違いないです。
特にユウはダンプとベルトを獲ることにこだわっていたので、本当に嬉しかったんでしょう。
(この作戦もダンプが考えていて、クレーンには全部伝わっていたのか分からないですし)
しかしファンからは不満のヤジが続出。
志生野アナ「阿部四郎レフェリーは極悪同盟の手をあげました」
志生野アナ「それで果たして収まるか!?」
宮本「いまのカウントは入ったんですけど、長与選手の左足がエプロンに出てるわけですよね」
宮本「当然、長与選手としては容認できないでしょうね」
ということで裁定待ちとなります。
熱血植田「主審のレフリーが倒れている間に、副審のレフリーがカウントを入れましたので」
熱血植田「この試合は青コーナーの勝ちとします」
いつになく物分かりの良いウエダ!!(笑)
ついに念願のWWWA世界タッグ王者のベルトを手中にしました。
それも無理やりな極悪らしい方法で!!(笑)
いや~、素晴らしいです。
クラッシュファンを相当にムカつかせる方法で強奪しました。(^^;
この試合は非常に綿密に組み立てられた、極悪らしい面白い試合だったと思います。ダンプとクレーンの凶器攻撃が激しく、長与を血祭りに挙げた点が素晴らしいですが、それ以上に、ダンプの作戦勝ちでしょう。阿部四郎とザ・ベートーベンの使い方が良かったですね。
ほとんど目立たなかったのに、3本目にダンプが合図をしてからの極悪同盟全員の動きがピッタリとハマッと感じです。まさに極悪同盟のチームの勝利でした。
今見ても、初期極悪同盟の抜群のチームワークの勝利だと思います。
今日の凶器 ハサミ、竹刀、鉄パイプ、バケツ、