1985/3/29 東村山体育館 大森ゆかりvsブル中野 フォークの落とし前をつけてやる!!

Evito-X-PuroさんのYoutubeより

AJW 1985 03 29 東村山体育館 ブル中野vs大森ゆかり

13:00くらいより

(↓AIでフルハイビジョンに変換した動画です。試合部分のみ抜粋)

[AI FHD 60fps] AJW 1985 03 29 ブル中野vs大森ゆかりリンクyoutu.be
 
 
この試合までのあらすじ
 
3/15から「スプリング・センセーション'85 フジテレビ杯争奪ジャパングランプリ」が開催された。初戦でダンプは大森ゆかりと対戦。ダンプはクレーンと凶器戦法で大森を追い詰めるが、"大森火山"が大噴火。なんと大森はダンプが持っていたフォークを奪うと、ダンプの額を割って血だらけにし、さらに腕にフォークを思いっきり突き刺してきたのだ。
これにはさすがにダンプも悲鳴をあげるが、阿部四郎の高速カウントにてかろうじて勝利。フォークの傷を縫うこともなく、消毒液をつけただけでは痛みが治まらない。大森との再戦を待ちきれないダンプは、弟子のブル中野の試合で、大森に復讐しようと画策する。
 
こんな感じでこの試合を見ていきたいと思います。
 

 
ここまでの対戦成績です。フォーク突き刺し事件にいては以下で記載しています。
↓こちら

 

 

 
まずはブル中野の登場。
 
志生野アナ「このところタッグ戦が非常に多かった全日本女子プロレスでありますが」
志生野アナ「こうしてシングルで1対1で戦ってみますと、選手の性格とか」
志生野アナ「あるいはテクニックとか、よくわかるんですね」
志生野アナ「それが大いに注目を集めているようであります」
志生野アナ「いまブル中野選手がゆっくりとリングに登場してまいりましたが」
志生野アナ「竹刀を持ちましたダンプ松本、そしてクレーン・ユウがリングサイドに姿をみせております」
 

 
「ブル中野」にリングネームを変えて、心がすっかりヒールになった中野は、眼光も鋭くなった感じがします。
意外とSMチックなポリス帽も似あっていると思います。(^^;
アメリカで、こういう女看守が本当にいそうです。(^^;
 

 
続いて選手コール。
 

 
志生野アナ「敗れはしましたが、先週のダンプ松本戦、本当に根性をみせました」
志生野アナ「久しぶりに大森ゆかり、爆発といった感じのファイトでした」
 

 
続いてはブル。「ご意見無用」の文字が素晴らしいです。「覚悟」が見て取れます。
吹っ切れた髪形になり、「悪」の道へと走り始めます。
 
志生野アナ「そして、ブル中尾!!」←ナカオって間違えている感じがします。
志生野アナ「ブル中野選手は過去2戦して2敗と、黒星が2つ並んでいるわけなんですけど」
志生野アナ「このジャパングランプリに出場できるだけでも、中野選手にとっては」
志生野アナ「大きな経験になりますね」
解説「本人もいってますよね」
解説「私はよく出してもらえてありがたいと」
解説「だから一生懸命やりますと、勝ち負けは全然考えていません」
解説「それが正直なところでしょうね。彼女の」
 
さて試合開始です。
 

 
序盤は大森が貫禄をもって、攻勢に出ます。
しかし、大森はどうやら肩を前の試合で痛めており、ロクに使えない状況のようです。経緯は分かりませんが・・。
 

 
志生野アナ「ブル中野選手の変身ぶりっというんですか」
志生野アナ「極悪に入って、よくここまでできますよね」
ゲスト「ホント、普通じゃできませんよね」
解説「ゆかりがこんなに苦しんでいるのは珍しいですね」
志生野アナ「本当だったら問題ないですよ」
志生野アナ「キャリアからいっても、実力からいっても」
志生野アナ「まだブル中野は敵わないはずなんですけど」
志生野アナ「今日はなんといっても、リングサイド、目を光らせている」
志生野アナ「ダンプ松本、クレーン・ユウ、この2人の存在が大きいようだ」
 

 
ブルの噛みつき攻撃。半刈りになって覚悟を決めてからは、非情ファイトをしかけていきます。
 

 
ここで復讐の鬼・ダンプが竹刀を持って乱入。
 
志生野アナ「あーっと、ダンプ松本、入って参りまりした!!」
志生野アナ「左の肩をやっている!!」
志生野アナ「レフェリーがこの凶器を取り上げられるかどうか!?」
志生野アナ「今度は鉄パイプが入って参りまりした」
 
ダンプは、大森が痛めている左肩を集中攻撃していきます。
レフェリーはトニー松崎。元大相撲の双見月(?)の長男だそうです。このトニー松崎は新人レフェリーのため、極悪同盟の凶器攻撃をなかなか取り上げることが出来ません。
 
わざわざ新人レフェリーをこの試合で使うあたりが、松永兄弟の手口にも見えます。もっとも、阿部四郎でも良さそうですが・・・
 

 
大森が場外へエスケープしたところで、ダンプとクレーン、さらにブルの3人で袋叩きにします。
これはもう集団リンチ!!
これは大森もたまりません。
ひどい!! 大森があまりに可哀そう(^^; この卑怯さこそダンプです。
 
大森はさらに右肩を痛めてしまい、ここで新人さんにサポーターを巻いてもらいます。
 
志生野アナ「やはりねぇ、どうやらサポーターが入ったようですね」
志生野アナ「いま右の肩、サポートが付けられました」
 

 
このサポーターを狙って、ブルが猛攻を開始。ブルのここまでの試合内容を見ると、悪さが前面に出ています。
 
志生野アナ「大森ゆかり、苦しくなっている!」
志生野アナ「ブル中野がサポーターを取っている!」
志生野アナ「極悪に対しては、サポーターを巻くと、かえって悪いみたいですね」
解説「ターゲットになっちゃいますからね」
 

 
志生野アナ「ゆかりゆかり、またゆかりコールが沸き起こっています」
志生野アナ「東村山市民スポーツセンター、しかし圧倒的に形勢が悪くなっている」
 
ブルは改名してから、まともなTV放送は初めてかもしれません。
恐ろしいほどのヒールとして豹変しています。反則も大胆に行動するようになりました。半ハゲになって、どこにも逃げ場がなくなり、ついに「私はリングの中だけで生きよう」と決心したとご本人が話されていますが、それがこの大森戦では如実に現れていると思います。
 
本来ならば、大森とのキャリアの差で、ここまで試合を有利に進められないと思いますが、大森が肩を痛めていることもありますが、本人の悪に徹すると決めた覚悟が大森を圧倒している感じがします。
 
しかし、こうしてみると、ブルの体格、体重は、大森にヒケを取らないほど大きくなっていますね。
やはり極悪軍団に新人の中でピッタリ合ったのは、小倉でも小松でもなく、中野でしたね。
 

(大森得意のトップロープからのフライング・ボディアタックが決まる)
 

しかし、ここでさらに右肩を痛めてしまいます。
 
志生野アナ「どうしたらこの窮地を脱することができるか」
志生野アナ「いやぁ、本当にこれは勝田市民総合体育館のお返しですね」
解説「結局、極悪同盟との戦いですからね」
解説「(ダンプは)『私は今まで相手にやられたことは初めてだ』と。だからこの恨みは怖いと」
 

(セコンドで虎視眈々と大森を執拗に狙うダンプ)
 

 
大森が足四の字に決めても、セコンドのダンプとクレーンが、ブルをロープまで引っ張って援護してます。
 

 
大森がロープ2段目から雪崩式にもっていきます。ベビー側は立野と山崎がサポートについていますね。
しかし、大森はどんな技をかけても、右肩を打ち付けてしまうので、自爆になってしまいます。かなり苦しい展開です。
 

 
ようやくフォールまで持っていきますが、クレーンの素早いリングインに妨げられてしまいます。
クレーンは手慣れた感じで、大森を軽く痛めつけています。
ダンプとクレーンがセコンドにつくと、ベビーフェイス側は決めるに決められず、どうしようもないんじゃないでしょうか。
 

 
少し苦しくなったところでクレーンが乱入。クレーンはブルの背中を叩いて、気合を入れなおしています。
 
先輩として優しいですね。「ホラ、しっかりしろ!!」って感じでしょうか。ちゃんと中野の面倒を見ているクレーンです。
 

(ダンプの鉄パイプ攻撃。これでもか!! と何度も連続して振り回すところがいいです)
 

 
この試合、とにかく極悪同盟の連携が素晴らしく、ダンプ、ユウ、ブルの3人がうまく噛み合っています。ダンプがセコンドで大森を攻撃しているときは、ユウがレフェリーを誘導しています。ダンプがカウントを取られそうになるとユウとダンプが交互に乱入したりと、息が合っています。
ダンプとユウは、長年コンビを組んでいるので、何も言わなくても分かっているのでしょうが、そこにブルという新戦力が加わり、さらに勢いを増している感があります。
 
さらにレフェリーのトニー松崎も翻弄されています。
極悪チームの反則に対して、反則を取ることもできず、陽動されっぱなしです。
 
志生野アナ「(トニー松崎に対して)若いし、正規のレフェリーとして」
志生野アナ「私はデビュー戦のときは絶賛したんですが」
志生野アナ「今日は気合に欠けていますね」
志生野アナ「なにかいまひとつしっくりいきません」
 
トニーは演技なのか、本当に翻弄されているのか分かりませんが、この人、顔はすごい真面目な感じがするので、演技ではなく、松永兄弟にうまく使われている感じがします。
 

 
さらに場外戦へ。
 
ブルがコミッショナー・ウエダの前で堂々と反則攻撃!!
 
体格の良い大森を投げ飛ばすくらいの力が、ブルにはあります。極悪は場外戦でも、体格にモノを言わせてベビーフェイスに投げ飛ばされませんからね。
 

 
志生野アナ「本当にいい試合になりましたね」
ゲスト「いい試合です」
志生野アナ「しかしほとんど一方の手を使えない状態ですが、さすが大森ゆかりであります」
 
大森の肩が相当に痛そうなので心配ですが、ハンデありとはいえ、ブルの一皮むけた本当に良い試合です。
 
ここで残り時間がなくなり、両者大技でキメにかかります。
 

(大森のパイルドライバー)
 

(持ち上げられず・・両者ヘトヘトになっているのが分かります)
 

 
志生野アナ「いまゴングがなりました」
志生野アナ「最後は力尽きましたね」
解説「やっぱり右肩の故障が響いてますね」
志生野アナ「時間内で決めようという根性執念が、ややありませんでした」
解説「だいぶ疲れましたね」
志生野アナ「大森、今日は本当に疲れました」
志生野アナ「逆に言えば、よく30分ああいった状態で戦いました」
解説「そうですね、よくもちましたね」
ゲスト「ブルが力をつけてきましたよ。大森とあれだけ戦えるんですから」
志生野アナ「力いっぱい闘いました。本当にいい試合でした」
 
ラスト10分程度は、ダンプもユウも、リングインしないで中野のレスリングを見守っていた感じがします。
あえてレスリングに水を差さなかったというか、このあたりはダンプもユウも見せ場を理解しているのもあるし、最後はブルに任せたという感じですかね。中野の成長に期待しているのでしょう。
 
この試合の後は、ダンプもユウも、中野に対しては「よくやった」という控室だったんじゃないですかね。またまた「総括する!!」で厳しいお言葉になった可能性もなくはないですが。(^^;
 

 
フォーク突き刺し事件の復讐戦ともいえる試合でしたが、なかなか熱い試合です。
ダンプはこの試合で一旦復讐は終わり、来年のジャパングランプリまで待つことになります。
また、勝てなかったとはいえ、右肩が使えずとも決して負けなかった大森の根性にも拍手です。
ブルも非常に根性が座って、1月のときとは別人でした。
 
 
今日の凶器 鉄パイプ、竹刀
 
 

関連記事