
3/15から開催されたフジテレビ杯争奪ジャパングランプリ「スプリング・センセーション'85」の勝田市民体育館でのダンプ松本vs大森ゆかり戦で、衝撃的な事件が起きました。
週刊プロレス 1985/4/9号より引用します。
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ダンプ-大森戦で"惨劇"起こる!!
目をそむけるような惨劇が起こった。 ダンプ松本が持ち出したフォークを奪い取った大森ゆかりはそのフォークをダンプの左腕に突 き刺したのだ。
「キャーッ」。客席からは悲鳴が上がり、たいがいのことには動じぬセコンド陣もロアングリだ。 大森が手を放すと、フォークは 突き刺さったまま、ブラブラと揺れ、血が噴き出した。すでに額からも出血しているダンプだが、 それでもひるまなかったあたりは、さすがに極悪同盟の首領だ。
勝負をかけた大森のダイビングプレスを自爆させたダンプが、すかさずフォールの体勢に入ると阿部四郎レフェリーが例によって素早くカウント3を数え、血の海でダンプの右手が上げられた。
試合後、ダンプは病院に直行し、 あわてて控室に駆け込んで来たフジテレビの山村ディレクターは、「なんという試合をやってくれたんだ。放送コードにひっかかってテレビ中継が出来ないよ!」
と叫び、しばらく余韻が残った。
事の是非はともかくとして、観客を興奮させたことは確かだ。ダンプー大森というカードが、なぜTV撮りの日に組まれたか? それには理由がある。
タッグマッチなどでダンプと大森が殴り合うシーンを思い出してみよう。これが凄い迫力なのだ。
潜在能力の大きさではNo.1といわれる"大森火山"は、なかなか噴火しないが、ことダンプを相手にすると、レスラー仲間からも恐れられる張り手が飛び出す。
それがいかに強烈であろうとも ダンプは引くに引けない。極悪同盟の首領としてのメンツがあるからだ。どちらも譲らないから、こんなに面白いシーンはない。
ファンは、この公式リーグ戦に ある期待を持ってリング上を見つめる。クラッシュ対決をはじめとするタッグを組む者同士のドリー ム・マッチ以外に、この日のダンプー大森戦のような目新しさのないカードにも何かを見つけようと目を凝らす。 その意味では、ダンプー大森戦は百点満点だった。ダ ンプの流血は珍しかったし(昨年6月28日・川崎大会の流血が印象に残る) 何よりも、どちらが勝つのか最後までわからぬ緊張感が、そこにあったからだ。
この日の勝田大会では、長与千種-ブル中野戦も行われた。クラッシュ対決が4月7日・後楽園大会に決まっただけに「クラッシュ対決への小手調べ」(試合後の話) と長与は、グラウンド・レスリングから入ってスタンドではキック を飛ばす余裕のある試合運びで、 格下の中野をほんろうした。
「ショート・カットですか? ええ、まあ、心境の変化ですよ。ちょっと悩みがあった、とでも言っておこうかな・・・」
と、開幕前にさらに短くした髪に手をやり、微笑を浮かべる長与。 その決意がリング上で、いい方向に作用してほしいものだ。(宍倉)
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さて写真をもう少し拡大してみます。
鮮血に染まるダンプの顔面。ダンプの流血は1984/6月の対ダイマナイト戦にさかのぼるようだが、ここまでの流血はおそらく初めてなのではないかと思います。
凄すぎます!!
当時の試合会場の最前列で見たかったなぁ・・。
試合開始から極悪の竹刀やらセコンド乱入やらの反則攻撃が続き、大森は相当に頭にキタんでしょうね。ここまでの報復に出たのは大森が初めてかも。
男子プロレスではしょっちゅう流血していましたし、ブッチャーがフォークで刺して(切って)いましたが、女子プロレスでは衝撃的です。
ちなみに大森は出血していないので、ダンプが先にフォークで大森の額を割ったわけではなく、持ち出したフォークを大森が奪って、突き刺したようです。
さすがに放送できなかったらしく、カットされた模様。事の経緯はその②の山崎照朝さんの本で記載します。大森は「凶器攻撃は痛いけど、試合中だから我慢できてしまう」と話していますが、ダンプは刺される直前に恐怖したのか、試合中だから怖くは感じなかったのか、知りたいところです。
大森の張り手で、ダンプのアゴが外れたこともありますから、相当に荒れた試合だったようです。
大森は竹刀も真っ二つにしており、セコンドのジャンボとともに襲い掛かった模様。
革命戦士より ------------
大森が対ダンプ戦で迫真の凶器攻撃を仕掛ける"事件"があった。ダンプ側の青コーナーに準備されていたフォークを逆に奪い取り、ダンプの左腕深くグサリ、と突き刺してしまったんだ。茨城県勝田市総合体育館での出来事だ。
テレビ・カメラも入っていたが、月曜日夜7時放映ということもあって、このシーンはカットされたが、女子プロレスもここまできたかと思わせる衝撃的なシーンではあった。
腕にフォークが突き刺さったままのダンプが、さらに次のシーンではそのままタッチしたジャンボにボディ・スラムでマットに叩きつけられるという壮絶さ。怒り狂ったダンプが最後は100キロの体重でフォール勝ちとなったんだが、さすがのダンプも試合後、真っ青だった。大森は無我夢中で憶えていなかったといっている。
ダンプは「いい度胸だ。凶器攻撃は本当に根性がすわっていないとなかなか思い切って出来ないもんだ」と、大森を極悪同盟に引き入れたいようなくちぶり。
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ジャンボとタッチというのは間違いだと思いますが、セコンドのジャンボがダンプを叩きつけて、そこから大森がトップロープからのダンビングプレスを敢行したようです。その間、フォークは突き刺さったままのようです。
この試合、禍根を残すことになります。(引退後は2人で桃色豚豚になりますが、よくよく考えると、フォーク刺したり、復讐でハサミを突き刺している2人が同じユニットになるのは凄いです・・)
ダンプが復讐するのは、翌年のジャパングランプリになりますが、その間にダンプが大森を極悪に入れようと画策したり、大森がヒザをケガしてしまったりと、大きく運命が動いていく試合の一つだったのかもしれません。
ちなみにこの試合について大森がぶるちゃんねるで話しています。
2分くらいから
ブル「ダンプさんのヒザに刺しましたよね? フォーク」
大森「腕だよ、腕。そしたら今でも忘れない」
大森「ウィンナー刺す音あるでしょ、あの音がした」
ブル「うおっ。プチッというあんな感じなんですね」
ブル「ダンプさんも凄いパツンパツンにしてたからウィンナーな感じたと思うんですけど」
大森「ちょっとやってみる?」
ブル「ハハハ・・・」
ウインナーの音がしたという大森、笑って話す大森が好きです。当時の全女をかいくぐってきた選手はやはり違います。
最も当時の全女だから出来た試合だったかも・・。このエピソード、マンガのダンプ・ザ・ヒールに登場しないんですかね(笑)
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