
Evito-X-PuroさんのYoutubeより
AJW 1985 03 15 松戸市運動公園体育館 ダンプ、ジュディ・マーチンvs長与、大森
48:00くらいから~
(↓AIでフルハイビジョンに変換した動画です。試合のみ抜粋)
さて、今回は1985/3/15に松戸市運動公園体育館で追壊れたダンプ松本&ジュディ・マーチンvs長与千種、大森ゆかりの試合を見ていこうかと思います。
(Youtubeにアップされている動画は、序盤はチョコチョコと静止画像になってしまいます。当時のVHSテープでよくありがちな現象ですが)
この時期、ジャガー横田が3/4からメキシコへ単身遠征に行っており、不在です。
さてこの試合でダンプとタッグを組むのは、動きに少々問題のあるジュディ・マーチンさんです。
ちなみにダンプは新人の頃に、散々顔面攻撃をされて、あっさりと負けてしまった恐怖のガイジンさんです。今回は味方です。しかし、ジュディ・マーチンさんはけっこうなお年です。公式パンフレットによると1954年生まれと書いていますから、ダンプよりも6歳年上となり、おそらくこの時点で30歳近くだと思います。
志生野アナ「しかしジュディ・マーチンもいまの熱狂のリングは」
志生野アナ「おそらくアメリカでも想像できなかったものでしょう」
志生野アナ「びっくりしているんじゃないですか」
志生野アナ「阿部四郎レフェリーに対して『カエレ』コールが起こっております」
1年ほど前にジュディマーチンが来日したときとは、全然ファンの熱狂が違いますから、戸惑いますよね。(前回は1984/4月くらい?)
ジュディマーチンは175cmほどの身長があります。ダンプほどの体重はないにせよ、上背があるのでダンプと同じくらいの見た目の迫力はあります。
1本目
颯爽と竹刀を持って登場のダンプ。
竹刀の持ち方がサマになっています。居合の持ち方でしょうか。
大森を捕まえたところでジュディ・マーチンにタッチ。
志生野アナ「ジュディマーチンは本当に気性の激しさがあります」
志生野アナ「気性だけで戦っている、そういった感じがいたします」
志生野アナ「ジュディマーチンは日本に来るのはもう7回目くらいですか」
志生野アナ「日本のレスラーはよく知っております」
志生野さんはジュディ・マーチンは日本慣れしているはずと言っていますが、この後ヘンテコな展開になっていきます。
長与に対して威嚇するダンプ。タッチしてほしいと手を上げますが、ジュディ・マーチンは無視。
長与とジュディ・マーチンが対峙する中、なぜか長与と試合中の口論が始まります。(^^;
長与「ここへ立て!!」
ジュディマーチン「※!B?#D%&A$%E※!#」
長与「ホラ、こいよ!!」
英語が聞き取れませんが、ジュディさんは、とにかく真ん中には行きたくないようです。
長与「ホラ、ここに来い!!」
志生野アナ「なにか罠がありそうな感じ」
志生野アナ「もっとリングの中央に進んで来い、これは長与千種の主張であります」
志生野アナ「一方のジュディ・マーチン、恐れをなして」
志生野アナ「コーナーからあまり前に進もうといたしません」
一体ジュディ・マーチンは何を狙っているのか!?
長与「かかってこい、かかってこい、オラ!!」
まだまだ膠着状態が続きます。
志生野アナ「なかなか試合になりません」
志生野アナ「アメリカ流といいましょうか、簡単には試合に応じてくれないんですよね」
志生野アナ「あーっと、長与がいった」
志生野アナ「しかしまたロープに流れております」
志生野アナ「ロープの近く近くで戦っております」
なるほど。これは立ち位置的に有利な戦いをしようとしていたんですかね(^^;
あまりに地味すぎて分かりませんでしたが、不利になればロープブレイクする作戦だったようです。
でもさ・・、
そのあと噛みついているから、結局、場所はどこでも同じじゃん!!
まぁ、老獪といえば老獪な戦法です。(^^;
もの凄い狭いリングの中で、地の利(?)を活かすという、まるで三国志の諸葛孔明のような作戦でした。
もしかすると、ロープ際に長与を誘い込んで、ダンプが後ろから急襲するという作戦だったのかもしれませんね。連携が取れていたのかも謎です。
その後、ダンプとタッチして、長与vsダンプへ。
ちなみにジュディ・マーチンさん、ダンプが不利になると得意の恐怖の顔面攻撃で援護してくれます。
この顔面攻撃は地味ですが、ダンプが松本香時代に散々やられてました。
今度は味方側になったので、頼もしい(?)のかもしれません。
ダンプは長与がリング外にいる時に、バトンガールのように竹刀をくるくると回しています。
ステッキを使う魔法少女みたいになっています(^^;
こういう場面できちんと「力比べ」に行くところが長与の良いところ。ダンプと力比べをしても、絶対敵うわけありませんが、場面を作ってくる長与は、細かい点でファンを魅了する術を心得ています。
一方のジュディマーチンは、古典的な反則・ネックハンギングで攻めてきます。アメリカのリングでは確か凶器の持ち込みが出来ないと聞いたことがあるので、こんな感じなんですかね。
その後、大森のフライングラリアートがジュディ・マーチンに決まり、さらにトップロープからの技を大森が仕掛けようとしますが・・。
逃げまくるジュディ・マーチン。(^^;
他の選手たちが全然動きが読めないらしく、大森はトップロープで呆然、長与は仕方なく、ジャーマンスープレックスにもっていきます。ダンプに至っては、途中まで出てきて引き返していくという、変な動きをしています。(^^;
さらに長与のサソリ固め。
志生野アナ「サソリ固めに入っております」
志生野アナ「ジュディ・マーチン、ギブアップか!?」
志生野アナ「当然これはギブアップでしょう」
志生野アナ「ギブアップを取らないか?」
志生野アナ「おおーっと、阿部四郎は取りません」
ここでゴング。
志生野アナ「ちょっと取り方が遅かった」
ジュディ・マーチンさん、ギブアップしているのか、していないのか、少々分かりにくかったのか、なぜか阿部四郎が取らず。それともダンプがブレイクに入ると予想していたんでしょうか。
あの阿部四郎も、いまひとつ行動が読めず、ギブアップまで時間が空いてしまいました。
ダンプも長与も大森も、阿部四郎まで、動きが読めないジュディ・マーチンさん!!(^^; こんなんだっけ!?
ジュディさん、7度も来日していますが、クラッシュの動きの速いプロレスや、ダンプの凶器攻撃という、新時代についていけなくなったのでしょうか。
2本目
志生野アナ「ジュディ・マーチンが出てこれるかどうかであります」
志生野アナ「いまのギブアップは早めにとらなかったため、ジュディ・マーチンが相当苦しみましたよね」
阿部四郎のギブアップ宣言が遅かったため、腰を痛めたジュディ・マーチンは、なかなかできてません。やる気がナシモード感をうまく醸しだしています。
(老獪な感じで、のらりくらりの選手ような気もしますが)
リング中央に進まないジュディ・マーチンに対し、仕方なくダンプがノータッチで出ていく事態になってしまいました。(^^; 長与もノータッチを認めざるを得ません。
ダンプと大森の張り手合戦。どちらも負けん気が強いので、やったらやり返しています。この負けん気の強さが、この後の恐ろしい事件に発展していくのですが・・。
試合の流れがいまひとつと感じたのか、クレーン・ユウが乱入。反則攻撃はお手の物とばかりにすぐに反応するジュディ・マーチン。腰が痛かったんじゃないのか?(笑)
ブルは完全に遅れています。(^^; 試合後に怒られそうです。
ダンプが腕に鎖をぐるぐると巻いて、大森にラリアート。ここで3カウントを入れて2本目はダンプチームの勝利です。
ところが副審の見習いレフェリーであるトニー松崎が、阿部四郎に抗議を開始。あまり見ないパターンです。
トニー松崎 「阿部レフェリー!!」
トニー松崎 「いまのは判定ではないノーカウントです!!」
突然若手の副審がベビーフェイスチームを擁護するという、また違った展開です。
見習いレフェリーに意見されたダンプは、トニー松崎を竹刀で滅多打ち。
志生野アナ「ダンプが竹刀を持って、トニー松崎に襲い掛かりました」
志生野アナ「いきなり極悪同盟の急襲を受けました」
志生野アナ「怒っているダンプ松本!」
(きちんとカメラ目線で怒るダンプ)
トニー松崎が独断で正義感を持ってやったのか、若気の至りだったのか、会社から言われてやったのか、さっぱり分かりません。
トニー松崎さんって、その後もあまりレフェリングをしていた記憶がなく、少しして辞めてしまったと思うのですが、仕事が合わなかったんですかね。
3本目
トニー松崎に水を差されたダンプは、まだまだ怒りが収まりません。
引き続き場外で荒れ狂うダンプ。
志生野アナ「結局、トニー松崎の忠告は受け入れられませんでしたね」
ここで腰を痛めていた(フリをしていた?)、ジュディ・マーチンが中に入ってきます。
しかし、長与のヒザ固め、大森のフランイグボディアタックなどの重量攻撃の格好の的となってしまいます。
非常に足を高く上げた卍固め。ジュディ・マーチンの背が高いので、こんな格好になるんですね。
ダンプは今回はあまり手だししてきませんが、ここから反撃してきます。
(せっかくタッグを組んでいるので、最低限の連携攻撃をみせます)
(ジュディ・マーチンとは連携ができませんので、ここは頼みの綱のクレーンに、駅弁抱っこからのギロチンをしてもらいます)
(長与の空手殺法を平然とかわすダンプ。良く見えているんですね)
ここまであまり目立たない大森も、リング内に強引に入ってダンプを場外に突き落とします。その後鉄柱攻撃の応酬となり、ここで両者リングアウトとなりました。
しかし、長与がリングインしていたのではないかという審判部長からの抗議。
トニー松崎 「3本目の判定は長与選手がリングに上がっていたという」
トニー松崎 「審判長からのメッセージです」
トニー松崎 「なのでサブレフェリーの権限、そして最高審判長の権限により」
トニー松崎 「長与千種選手のリングアウト勝ちです」
なにかトニー松崎は、悪い大人に利用されている善良な若者にしか見えません。
大喜びの長与と大森。
ベビーフェイスらしい、尋常ではない喜び方です。(^^;
志生野アナ「怒っているのはダンプ松本であります」
志生野アナ「八つ当たりですよ」
志生野アナ「本部席で竹刀をめちゃくちゃに振り回しております」
志生野アナ「次々に選手が襲い掛かっておりますが、このダンプ松本の怒りを沈めるまで至っておりません」
志生野アナ「3人、4人がかりでは、ダンプ松本を沈められません」
志生野アナ「いま控室に戻ろうとしていますが、まだ通路で椅子が飛んでおります」
ダンプ一人を取り押さえるのに、新人何人がかりで行っているんでしょうか?(^^;
ダンプの帰り道は、モーゼの十戒で海が割れるように、観客が道をあけていきます。
自分の歩く道を、人が割れていくって、どういう気持ちなんでしょうね。
貴族か大統領か、指名手配中の犯罪者くらいか。ほとんどの人間が味わったことがない気分だと思います。
しかしこの試合、ジュディ・マーチンさんの動きと極悪が噛み合っていませんでした。
メキシコのラ・ギャラクティカやローラ・ゴンザレスは、極悪との息はピッタリ合っていましたので、やはりレスラーとしての才能というか、プロレス脳はラ・ギャラクティカはピカ一だったのかなと改めて思います。
今日の凶器 竹刀、チェーン
(参考) 昔は強かった印象のジュディ・マーチンさん