1985/4/15 ムック「好きだぜコノヤローッ!!」その③これでいいのか極悪軍団

その②の続きです。

 

 

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これでいいのか?!?!極悪軍団
エスカレートする一方の極悪軍団
サディスティック暴力に、女子プロファンからの投書が殺到!!!

猛抗議が95%、しかし賛成意見も!

 

最近は極悪軍団は、もはや「闘う大安売り、出血大サービスの化身」 となって、床屋でもないのにハサミ をふりまわし、千種を血グサッにして歯をむき出し、腹をたたいてよろこんでいる。
だがちょっとシャレじゃなくなってるじゃないの? 飛鳥や千種のカ ッコいいファイティングを楽しみにしているのに、ゴクアクと当たると 必ず血が出る。
「はっきりいって血はキモチワルイ です。お母さんも危ないから試合にいっちゃダメっていうし、飛鳥が血まみれになって妹は泣いちゃうし、 なんとかコミッショナーでとりしま ってもらえないんですか。(YK子 14歳)」
という投書が本誌編集部にも山の ように舞いこんでいる。

 

特に昨今のダンプ松本は、エクボのシャンプーのCMに出てもいいようなデビュー時代のカワユサはひとかけらもなく、汗で流れおちるメイクで顔をマックロにしながら黄色いハサミをふりまわすありさまは、 「ダンプさん、入院しなくていいですか? (TU子・13歳)」
とのハガキがくるほど異常だ。 さらにおどろくのは極悪加入で、 あっというまに洗脳され、御意見無用の刈り上げロンドンパンク和田アキ子となりはてた、元全日本ジュニ アチャンピオンの中野恵子改めブル中野。
 

クレーンよりブルの方がずーっと悪くなってきたぞ。 クラッシュよ、いまのうちにブルの悪の芽をつんで おけ。(ES江・16歳)」 とか「ブルを100kgにしたらダンプ以上の破壊力がでちゃう。 ブルの食事にカンチョーをまぜろ!(Y男・12歳)」 とか「美加ちゃん、ゴンゴン、香奈子。おねがいだから中野さんの目をさま中野さんをあやつってるのは阿部四郎とベートベンなんだよ。 あいつらから離せば、きっと中野さ んは正気に返るから、おねがいっ! (FB子・13歳)など、ブルをめぐっての投書が急 増している。
 

たしかにブル加入以後の極悪は、 場外乱闘戦力が倍増したといっても いいだろう。ブルの試合にはクレーンとダンプが外から反則の嵐で支え、 バイオレンス度200%のダンプ、クレ ーンの試合は「ブルの手も借りたい 忙しさ」となっている。
さらに阿部四郎だ。彼の存在を忘 れてはいけない。いまでは
「帰れ阿部四郎コール」を浴びせられないと燃えない体質になってしまったとい う危険取扱注意レフェリーである。 さすがのアベちゃんも植田コミッ ショナーには頭があがらないとみえ、時々叱られてシュンとなってることもある・・・かに思えたが、それは世の目をあざむくブリッ子芝居で、 もうパンチパーマの芯まで極悪体質 に染まりきっている。
そして謎の覆面マネージャー、ザ・ ベートーベン。

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この5人が織りなす極悪模様が、 どうも'85年女子プロレスのガンなのだ。デビルが悪役でダンプを率いてい た時も、たしかに木刀でメチャクチ ャやっていたが、これほどひどくは なかった。
「もうこれ以上クラッシュが血まみれになるのは耐えられませんのだ。
コラ! ダンプ。ハサミやめますか、それとも人間やめますか。(H 〇子・13歳)」
「デビルさん、どうか極悪を改心させて下さい。極悪を説得できるのは あなたしかいません。(SS子・1 歳)」
「名案があります。 極悪の試合は、 必ずレフェリーを松永審判部長がや ればいいんです。 とにかく阿部四郎 を実家へ帰せ! (OM子・15歳) 「
千種さん、ラ・ギャラクティカよりもベートーベンのマスクをはがして下さい。 たぶんメキシコ人の元レスラーだと思うけど、あいつがいなくなるだけでも今よりマシになると 思う。(NC子・14歳」といったぐあいに彼女たちのやりすぎをとがめる声が圧倒的である。 

たしかに2・25大田区体育館のク ラッシュVS極悪戦のように、ゴングが鳴る前から千種の空手着が朱に 染まり、場外戦では飛鳥がおびただ しい出血に全身を濡らすなどファン が顔をそむける試合が多くなっている。

 

だが反面、極悪にエールを送るフ ァンもいることは事実だ。
「チェーンだっていいじゃん。 ハサミだっていいじゃん。だいたいクラ ッシュがエーカッコシイなんだよ。 これからは極悪がヒーローになる時代だ。ぐわんばれGOKUAKU! (MA子・17歳)」
「ダンプ松本は85年のヒーローだ! (WN子・16歳)」
「クレーンさんのファンです。 クレーンさんみたいなお姉さんがいたらと思う私は異常でしょうか?(EK 恵・14歳)」
「アベちゃんがいるから女子プロレ スはオモシロイ!
アベちゃん人形とか極悪着せかえ人形を売店で売ってくれませんか。そしたらすぐ買っちゃいます(RA子・11歳)」
 

昨年11月発売の「女子プロレス'85 炎のコノヤローッ!」では読者アン ケートで好きな選手、きらいな選手 の調査をした。
その結果、きらいな選手ベスト3 はいうまでもなく、

 

①ダンプ松本
②クレーン・ユウ 

③中野恵子
 

となった。とくにダンプの得票(?)はダントツだった。
そのころはまだハサミ攻撃もいまほどエスカレートしていなかった。 もう近ごろは限度知らずの極悪軍団 で、きらい度もグーンとアップしている。
「ダンプ、クレーン、ブル。 あなたたちはクラッシュ人気をねたんでる んでしょ。それで性格がゆがんじゃったんでしょ。死ねッ、ゴクアク」 と強烈な投書もふえてきた。しかし、極悪マニアのファンも過激度を ましている。
 

「私は女子プロファン歴3ヶ月の新 入りですけど、極悪軍団に心の底か メロメロです。私に体力があったなら、いますぐにでも入れてほしい。 クラスの学級委員の子の髪ひっつかんで、ハサミでジョッキンジョッキ切りまくったら気分いいだろーな ーとか考えたりして。あー、不良になりてえ。でも実は私自身が学級委員なんだ。 (匿名希望15歳)」
という恐しい二重人格的ファンレ ターが来たりもしている。

 

ここで本誌の読者に提案! さて 極悪軍団はこれでよいのか このままの無法状態を許していてよいのだろうか。それが女子プロレス の発展に寄与するのだろうか。
読者のみんなの意見をきかせてほ しい。 懸賞論文の募集なのだ。
テーマは「これでいいのか?!?!極悪軍団」。次ページの応募要項をよく読んで、あなたの意見をバシバシ送 ってほしい。
優秀論文3編はフジテレビ出版の女子プロレス・コノヤローッ・シリーズ第3弾に掲載。 あわせて賞金3万円を贈呈。あなたの論文が女子プロレス界を 革命するかもしれない!

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極悪にスポットを当てた素晴らしい懸賞募集記事です。

 

総額9万と安いですが、それだけ極悪に対する非難の声が大きかったんでしょう。

 

さまざまな投書、女子プロレスファン、クラッシュファン95%、極悪ファン5%(推定)からの応援メッセージが前段として掲載されています。

最もこのメッセージも本当かどうかは分からないのですが、おそらくフジテレビに送られていたメッセージの一部だと思ってよいと思います。

 

「ダンプさん、入院しなくていいですか? 」

という皮肉から、

「ブルを100kgにしたらダンプ以上の破壊力がでちゃう。ブルの食事にカンチョーをまぜろ!」

という将来を的確に予見した意見、

「アベちゃんがいるから女子プロレ スはオモシロイ! アベちゃん人形とか極悪着せかえ人形を売店で売ってくれませんか。そしたらすぐ買っちゃいます」

という、果たして阿部四郎の人形など本当に欲しい人がいるか!? という極悪大好きな意見もあります。

 

特に面白いのは、嫌いなレスラートップ3が全員極悪同盟、そして順番はダンプ、クレーン、ブルなのだが、2位、3位を大きく引き離してダントツで嫌われているのはダンプ松本という点です。

 

当時のダンプは嬉しくて涙が止まらない結果でしょう。

 

当時の月刊デラックスプロレスでは「好きなレスラーアンケート」を行っていました。しかし「嫌いなレスラーアンケート」はありませんでした。しかし、この号では当時嫌われているレスラーのアンケート結果が数値はありませんが、きちんと記載されています。

(特に指標を示さなくても、嫌われているのは中継をみれば一目瞭然ですが)

 

「アンチが多い」=「知名度か高い」ということでもあります。よく「好き」の反対は「嫌い」ではなく「無関心」といわれています。つまり「無関心」なレスラーになってしまうことが一番問題であり、「嫌いなレスラー」としてダントツであるということは、それだけダンプ松本に注目が集まっていたという裏返しでもあります。

 

 

そんなこんなで懸賞論文を募集したフジテレビ。この懸賞論文が意外や意外、ものすごい真面目に中高生から賛否両論で送られてきているので、それは次号の「コノヤローッ」シリーズで見ていきたいと思います。