1985/6/24に発売されたムック「青春革命」にクレーン・ユウのその後の批評がありましたので引用してみます。
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ガラナ・コワップ博士の「女子プロ研究室」
プワップ! わしがマッハの広告などを持 ち出して「引退レスラーの原則」を語ったの は実はクレーン・ユウのことが言いたかったのじゃよ。
クレーン・ユウ。 初代極悪同盟の切れ者じゃ。女子プロ悪役のパターンに、ダンプ松本に続くカタチで「ヘビメタ積み木くずし」と いう概念を導入した功労者の一人とも言える。 ダンプ→クレーン→ブルと至るネーミングの 安直さや、そのはにかみがちな、人の良さそうなキャラクターで結構な人気を勝ち得てい たあのクレーン・ユウである。
まず、わしは引退を惜しむ。プワップ。ユウはこれから華を持つレスラーじゃった。同時代の天才、桑田佳祐もクレーン・ユウのファンのひとりだったほどじゃ。ここぞという 「見所」では常に凄玉ダンプ松本に一歩おくれをとっていたユウじゃったが、見る者が見ればその哀しさは一目瞭然、スコブル魅力の人じゃった。
だが愛惜の情は言うまい。ここではそれは言ってもせんないことじゃ。プワップ。わしが敢えて森谷食品を挙げてレスラー引退を語ったのは、次のような不埒な放言をして人を 惑わせ世情を混乱せしめる亡国の徒がいるか らなのじゃよ。
「ユウは馬鹿だなー。あれじゃ他人に憎まれただけで、レスラーとしてのベストバウト も作りだせなかったしなー。いったいユウの ベストバウトってどの試合!? 印象ねぇなー。しかもあいつの寂しいのは、レスラーやめても女子プロの世界から足を洗えなかった ことだよな。しがみついて生きてやんの。 みっともねぇなー。馬鹿だなー」
黙れ町人っ! 馬鹿はお前の方だ。 女子プロレスの原則のひとつも知らんで、ヘーらへ ーらモノを言うお前のへっぽこ根性がわしゃ許せんぞっ。 プワップ。それは確かにユウは前途に幾多の春秋を残した「可能性のある選手」じゃった。しかし、お前のような腰抜け野郎にユウを「しがみついて生きてる」呼ばわりする資格はどこにもないぞ。
悔しかったら貴様も何かにしがみついて生 きてみろ。 しがみついてまで生きる何程の愛する世界が貴様にあるというんじゃ。人生の中の大半、胸の中の大半を占めてしまう大き な世界を、貴様はどこに持ってるというんじゃ。
所詮、腰抜けは腰抜け。へーらへーら生き てへらへらモノを言って、へーらへーら と流されてゆく、それだけのことじゃないのか。プワップー、プワップー。
レスラーは引退しても惑星じゃとわしは言 った。女子プロの歴史は30余年じゃ。数限りないお嬢さんたちが青春の輝きを放ち、そして惑星になったのじゃよ。
主婦になった者もおる。元女子プロレスラ ーの店ということでスナックをやっておる者 もいる。 レフリーとして活躍されている柳下勝江さんも昔は「柳みゆき」というレスラー じゃった。 重量級の王者だった人じゃよ。 なかには女子プロレスに関わったということを隠していた惑星もおるじゃろうて。色メガネで見られやすい前歴じゃものな。 女子プ口をやって、心の傷をつくってしまった惑星は可哀そうじゃ。心のどこかで触れられたく ない事柄として絶えず女子プロレスを意識しながら公転しつづけるのじゃ。 サッド。
そんな娘も、しかしいつかは母親になるじ ゃろのう。そして子供に青春の想い出を聞か れて、シワの寄った顔で笑って、「お母さんはレスリングやってたのよ。チャ ンピオンにはあと一歩のところでなれなかっ たけど、バックドロップが得意だったわ。 ヨ シオちゃんも勉強しないとケチョンケチョンにやっつけちゃうぞー!」
などと語れる日が来れば、わしはそれを幸せだと思う。子供もそんなお母さんが好きだと 思う。プワッププワップ。
クレーン・ユウは柳下勝江さんのような惑星になったのじゃよ。 恒星にごく近い軌道を 廻るそういう星になったのじゃよ。みっともないと言われることぐらいは、とっくに知っていたじゃろう。つまりそれでも離れなかったのじゃ。 離れられなかったのじゃ。
だから、最初のマッハ文朱の「体験」という謎のキーワードに答えを出してしんぜよう。 あれはレスラーをやっていたという体験が正解じゃ。 例え森谷食品の方で、いや、あれは正確にはハトムギ茶を飲んでマッハが健康になったという体験のことです、と言ってきても大きな意味ではそういうことになって くるんじゃ。
ユウよ。堂々と生きるがよろしい。どうせ 反対されて飛び込んだ道なのじゃろう。そう簡単にやめてしまってもせんないからのう。 それより偉大な先輩、柳下さんの道を目指せ。 柳下さんの居る場所はまだまだ遠いのじゃ! プワップ。プワップー。わしはガラナコウ ップー博士じゃ。これで今回の講義をおわる。 アジアはひとつ。また会おうぞよ。プワップ
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ガラナ・コワップ博士が何者なのかわかりませんが、ユウが引退して依然として女子プロにしがみついていることについて、「それは恥ずべきことではない」という意見が書かれています。
ぶるちゃんねるがクレーンが登場したときに真相を話されていました。プロレスに何が何でもしがみついていたわけでもなく、プロレス以外に特段やりたいことがあるわけではなく「給料もらえるからまぁいいや」的なノリだったとのことです。
ブル「ユウさんは全く知らないで引退に」
クレーン「私明日なにすんの?みたいな」
ブル「じゃ会社に(ベビーフェイスになる)交渉は?」
クレーン「だからそこがYESマンなんじゃない? もう面倒くさいからいいやっていう」
ブル「じゃそのまま流れで?」
クレーン「お前、レフエリーな、みたいな」
ブル「そこでもういきなりレフェリーになっちゃったんですか。早いですね会社も展開が」
クレーン「早いよ、え、レフェリー?みたいな? 」
ブル「話はしてましたよね」
クレーン「あのあと私の中では『ベビーフェイスに行きたい』って話はしたよ、会社に」
ブル「会社とはそこまでの話があったのに、その後の話もなく、レフェリーでOKになっちゃったんですか」
クレーン「もうめんどくせーからいいやって」
クレーン「私の中では仕事って割れ切っちゃった」
クレーン「そう思ったの。そうじゃないと頭回らないし、だけどプロレスは好きだから」
クレーン「まだ23,4くらいじゃん、いまここをやめても、どうしようかなみたいな」
クレーン「でも基本プロレスは好きだから、まぁいいかここにいて。給料もらえる」
クレーン「レフェリーだからタバコも吸えるかな、みたいな」