1985/7月号のデラックスプロレスに極悪同盟が特集されていたので引用します。
----------------------------
「お前は未来のドンだからな(笑)」
「よ、よろしくお願いします。」
ダンプ オイ、パンダ!(中野の愛称)デラプロが好き勝手に対談して くれってさ。
ブル ハ・ハイ! アウさん(ダンプの愛称)デラプロで、それもアウ さんとの対談のページを作ってくれ るなんて光栄です。
ダンプ バカ! お前は甘い。
ブル えっ、なぜですか? デラプロのシシクラ編集長は、私が新人時代から懇意にしてくれたんですよ。
ダンプ それだから、お前は若いん だ。シシクラという奴は、クラッシュの担当だぞ。「月刊クラッシュ・ ギャルズ」ってのを知ってるだろ。 あれは、あいつの企画なんだ。
ブル 「月刊クラッシュ・ギャルズ」 は、いい企画だと思いますけど・・・。
ダンプ アホッ! 内容のことを言 ってるんじゃない。マスコミの野郎どもを信用しちゃダメなん 奴らは調子がいいからな。
ブル そう言えば・・・そうですね。
ダンプ 当たり前だ。人気が出てくると、どこも飛びついてくるんだ。 最近は特にその傾向が強いな。
ブル でも、アウさん。テレビや雑誌にモテモテじゃないですか。これは、ひとつのブームですよ。
ダンプ それは、私のキャラクターが時代にマッチしているからだ。でもな、マスコミの連中は脳がない。 同じ注文ばかりしてくる。例えば、 (片岡)鶴太郎や(野々村)誠にからんで暴れるとか、クラッシュを罵るとか...要するにワンパターンなんだよ。こんなことに、大事な時間を使うのはバカバカしい。
ブル その通りですね。一般誌は、 私たちの素顔ばかり追いたがるし。 アウさんの良さが出てないですよ。
ダンプ 元々、マスコミは嫌いなん だ。取材なんか面倒くさいし、なんたって "ダンプ"に改名するまで、一度も取材が来たことはな ことはないからな。 テレビ出演は、単純にギャラのためだよ。それしかないじゃないか。
ブル どうしたら、アウさんのようにギャラを稼げる るようになれるんですか?
ダンプ それはな、仕事に徹するこ とだよ。そして、プロの自覚を持つ こと。だから、ジャガーだろうがデビルだろうが先輩なんてこれっぽっちも思っていない。あいつらのや っていることはママゴトだ。
ブル 私はまだまだ、アウさんのように自覚が足りない部分がありますね。
ダンプ いや、そうでもないぞ。髪の毛を半分刈り上げるなんて、度胸がなければできないことじゃないか。
ブル このヘアースタイルにするに は、それなりに悩みましたから・・・。
ダンプ 時代の最先端をいってるじゃないか(笑)。まだ、試合中におどおどする所があるけどな。
ブル 気をつけます。いつも緊張感 が抜けなくて・・・。
ダンプ 緊張感があることは、いいことだ。なあ、パンダ、極悪同盟に入っていると、いろいろ困ることも あるだろう。
ブル 私はともかく、家族に迷惑、 かかると嫌ですね。
ダンプ そうだな。私の実家なんか金魚のバカどもに石を投げられているんだ。だから熊谷にはもういられなくなって近々、引っ越すことが決まったよ。
ブル それは、ひどい話ですね。家 族は関係ないじゃないですか。
ダンプ そいつら見つけたら、ぶっ 殺してやる!
ブル アウさんは前座が長かったから、私たちの気持ちをよく理解してくれますね。
ダンプ 前座が長いはよけいだ。言葉を選んで使え!
ブル スミマセン・・・。
ダンプ 私なんかな、入門して初めての旅の時、旅館で亀にさせられたんだ。
ブル 亀になったんですか?
ダンプ 亀になるわけないだろ もう辞めたけど、ある先輩が、飾ってあった亀の甲羅を背中に付けて、這って歩けと言うんだよ。
ブル それで這って歩いたんですか? ひどいことを命令しますね。
ダンプ そいつは練習嫌いなくせに新人だけはよくいじめたんだな。
ブル まるで、アウさんみたいですね(笑)
ダンプ なんだとコノヤローーッ!!
ブル 冗談ですよ。許して下さい。
ダンプ オイ、ユウの奴を除名したばかりなんだから、あまり怒らすこと言うな。
ブル ユウさんが辞めちゃったから、私にとっては責任が重大ですよ。
ダンプ やる気のない者は、去るに限る。ユウはイマイチ、極悪に徹することができなかったしな。最後の試合(4月26日・鹿島大会)なんか "ユウ・コール"がかかったのには笑ったよ。
ブル (技の)受けは巧かったですけど・・。
ダンプ あいつの取り柄は、それだけだったが・・・まぁ、1度はWWWAタッグのチャンピオンになったのだ から、いいんじゃないか。
ブル 私は正直、アウさんに付いてきて良かったと痛感しています。極悪同盟に入りたいという若手は結構いるんですよ。妊怪(斉藤真知子) なんか、その1人だし・・・。
ダンプ それは知っている。しかし今はパンダを一人前にすることが先決だ。何たって、お前は未来のドンだからな(笑)。別に軍団を作る必要もないけどな・・・。
ブル よ・よろしくお願いします。
ダンプ よし!覚悟しとけよ。格闘技がどうの、関節技がどうのと、 わけのわからん寝言を叫ぶ愚か者も いるけどな。パンダはクラッシュ・ ギャルズ破滅の先導役になるんだ。そのためには、ビシビシしごくぞ。お前は、ダンプ松本のパートナーということを肝に銘じとけよ。
----------------------------
この当時のインタビューで、「亀の甲羅」事件について話しています。
これはマンガ「ダンプ・ザ・ヒール」の第一巻の冒頭にあるシーンの話です。にわかに信じがたい話だと思っていましたが、当時から話しているということは本当なのでしょう(笑) 先輩は誰とはいいませんが、練習嫌いだったようです。(^^; 初期のB班は練習嫌いが偶然集まったような気がします(^^;
「アウさんは前座が長かったから」「練習嫌いで後輩イジメなんて、まるでアウさんみたいです」というブルの発言も笑えます。ダンプは練習せずに本番で鍛えるタイプだったので、ブルには少し疑問だったのかもしれませんね。もっとも、デラプロが勝手に編集のかもしれませんが、中野ならば本当に言っているかもしれません(^^; 「アウさんに点いてきて良かったと痛感している」というのも、当時は仕方なく言っている感が、いまとなっては漂います(^^;
また中野はユウについては「受けがうまかった」と話しています。その点、プロレスの本質である「受け」という基礎的な面ではクレーンを認めていたということなのでしょう。ダンプはクレーンのプロ意識に関して問題を感じていたので、「それだけだ」と一蹴しています(笑)
タイトルにあるダンプ「お前は未来の(極悪同盟)のドンだからな(笑)」、ブル「よろしくお願いします!」というのは、最終的には紆余曲折あり、実現しない結果となってしまいます。なんとも皮肉な師弟のやりとりです。
1985年当時は写真のようにおとなしかったブルですが、このころはダンプの厳しい指導についていくのがやっとだったのではないかと思われます。
写真部分を拡大してみます。
近影で綺麗に極悪メイクアップしているダンプ。肌つやもいいようです。
「極悪非道」のペイントに気合を感じるブル。さらに竹刀を突き立てられて、体育館の裏でスケバングループの番格に吊るしあげられる、分隊長みたいになっています。(^^;