1985/7/25 雑誌「週刊ザ・プロレス」ダンプのフェイスアート特集

1985/7/25号の週刊ザ・プロレスにダンプが特集されていたので引用します。

 

 

 

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色は毒色 悪の花戦士

作者はヌワント~ 本誌イラスト村出身の斉藤真知子

 

フェイス・アート

カブキ、ウォリアーズ、キマラ、ダンプ松本に共通しているものは、といえば顔のペイント。なかでも異彩を放つのが、このダンプ。 黒系統の濃い化粧 をしたうえにペイント。 それもカブキらが模様であるのに対してダンプはドクロ、 デビルなどの絵を描いている。 この画家が、 本誌イラストマッチの卒業生斎藤真知子改めコンドル斎藤なのだ。 ダンプと斎藤が合体した"フェースアート" 個展を開催。

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洗っても落ちぬ困りもの

 

〇絵具

イラストデザイン書を参考に斎藤が絵筆を振るうダンプのペイント、材料は何なのか?
カブキが女性用メーキャップの化粧品、ロード・ウォリアーズがイラスト用のカラーインクのリキテックスを使うのに対し、
最も手近なカラーサインペンを使っている。 金、銀だけはラインマーカーだ。
サインペンだから色は豊富、絵も書きやすい。暴れまくって汗をかいても、こすれても色が落ちない・・・の長所がある。 ところが長所は変じて大欠点。
試合後、ペイントを落とす のに、ダンプはベンジンでゴシゴシ顔をふく。これじゃまるで豚についたシミを落とす のと同じ。
いくらワルでもそこはオトメ。
「肌が荒れて困る」と職業病にダンプは泣く。 つらいもんですワルするのは・・・。 え、ダンプの顔ならクレンジングクリームよりベンジンがお似合いだって。 ダンプが本気で怒っちゃうぞ。

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ダンプのフェイスアートを描いているのはコンドル斉藤です。

「週刊ザ・プロレス」に「イラストマッチ」というコーナーがあり、コンドルが投稿していたようです。

ダンプのペイントはサインペンであったことで有名ですが、本誌にさらに細かい情報があります。金、銀だけはラインマーカーなので線が細くなりそうです。

ペイントを取るときはベンジンで。ゴシゴシ拭くと、肌が荒れそうです。

写真はダンプの太ももに描いたドクロです。おそらく4/2の愛知県立体育館で開催されたWWWAタッグ選手権の試合と思われます。

 

 

 

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今度は千種の血で描く

 

〇効果

ダンプのフェースアートは カブキ、ウォリアーズと全く 一線を画する。 カブキらが "ペイント"であるのに対し、 ダンプのは"書く刺青"だからだ。
その結果、
ダンプのメーキャップは模様でなく、 絵になっている。
「絵を書くのに手間がかかるから、するのはテレビ撮りの日だけだけど、 極悪メークをして、全身に悪魔の絵を書くと、本当にアタシャ、 魂を悪魔に売ったんじゃねェかなと思えてくる。 だからテレビ撮りの日はふだんの二倍も三倍も凶悪になるのさ。 見ているお前らもそう思うだろうが」 (ダンプ)。
さすが極悪一家の親分。 刺青を背負って大暴れとは、まさに仁義なき戦いである。
フェースアートが次第にボディアートへとエスカレート、観客の目を楽しませる一方、凶器攻撃も悪どさを増している。 女子プロ界のヒットマン・ダンプの暴れ具合は、その日の絵のサイズ、 形で判断できる!?
「クラッシュを潰したら、その血で絵を書いてみるか、ワッハッハ」。女は化粧で変身するというけど、 ダンプの場合はあまりにも凄まじいのだ。

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以前からこのブログではダンプのペイントは「アート」だと記載しています。「アート」ですから、前衛的なものという意味で書いています。他のプロレスラーが"模様"を描いていたのに対し、ダンプが前衛的だったのは女性でありながら「絵」(刺青)を描いていた点にあります。

ダンプの場合は、ロードウォリアーズのホークよりも太ももが太いですし、顔の面積も大きいです。絵を描く面積(キャンバス)が大きいこと、これは重要です。

 

令和になった現在では、タトゥーを顔に描いている人がいますが、面積が小さいので「絵」にまでなりません。コスチュームが一般的な水着というのも重要です。いまどきの女子プロレスラーは、同じ水着でもヒラヒラがたくさん付いている水着です。これは華やかですが、露出面積が少ないので「絵」は描けないと思います。

だからダンプのアートは今の人では真似できない、時代を超越したものになっていると思います。コスチュームの豪華さに頼ってはいけません。

 

 

 

 

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3時間がかり全身に蛇

 

〇大作

ダンプの"入れ墨"を書く絵師は、ご存じコンドル・斎藤。 極悪同盟入りして、いまや欠かせぬ絵師として軍団を支え ている。しかも、この斎藤が本誌イラストマッチの卒業生なのは、もう紹介ずみだ。
「今年に入ったころ、ダンプさんが"顔に絵を書いてくれ"っていってきたんです。 私が絵を書くのが好きなのを知ってたんですよね」
クレーン・ユウが脱退したあと、 斎藤は極悪入りしたわけだが、その伏線はここにあった。ダンプの刺青書きが、 純真な乙女・斎藤真知子を悪の華、 コンドル・斎藤に変えたのだ。
初めて書いたのがバラの花。それがダンプの気に入って、 専門メーキャッパーになってから、レパートリーも広がった。 いまはドクロ、 悪魔、 鷹、クモ・・・・・・etc。
最初は顔だけだったのが "キャンバス" もどんどん拡大。 前シリーズには腕から胸、太モモと全身にヘビが巻きつく超大作まで登場している。 なにせ100キロのダンプ、体がデカいから書くのも大変だ。
「ダンプさんから、こんな絵を書いてくれって注文がくるんです。 ヘビを書いた時は、 外人選手のマッキンタイヤーが"全身に書いた方が迫力でるんじゃない"とダンプさんにアドバイスしたら、面白いってすぐ決まったんです」 顔だけなら20~30分でできるのが、この時は水着で隠れる部分を除いて、うまくヘビ が体に巻きつく感じを出すのに苦心サンタン。 なんと3時間もかかった。

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ダンプのペイントアートを支えていたのはコンドル斉藤です。

このインタビューによると、ダンプがコンドルの絵才を知って依頼したとあります。さらに初めて描いたのはひとつ前の写真にあるバラの絵のようです。

そして最高傑作の全身ヘビは3時間かかったようです。ちなみにこのペイントをしたのは、1985/6/12 札幌中島スケートセンターでデビル雅美との試合です。

全身アートについては、ベルベット・マッキンタイヤーからのアドバイスがあったとのことです。ダンプの独創だと思っていましたが意外ですね。