
1985/8/13号の週刊プロレスに「大和車体工業体育館 小松美加vsブル中野」の試合が特集されていましたので引用します。
下記の試合の総括です。
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山崎五紀が今年の2月25日、東京・大田区体育館で全日本選手権を返上したときの相手がブル中野であった。だから中野は誰よりもこの王座を獲得したいという気持ちが強かった。
戦前から本命視されていた中野だが、勝つべくして勝ったわけではない。地方での試合で胸骨を痛め、この日、サラシをグルグルに巻いてリングに上がった。
一方、前日のリーグ最終戦で本命の中野を破って意気上がる小松美加は「この会場は昨年の最終戦で新人王を獲得した思い出の場所。 (中野に)2度勝てるとは思えないけど、思い切ってフォールを狙います」 と晴れの舞台に臨んだ。
向こう見ずなファイトが魅力の小松は体力差の大きい中野をコーナーに詰めて顔面に張り手の連発を見舞ったが、中野は一発も返そうとしない。 「やらせるだけ、やらせてみようと思った」と振り返る中野には余裕があったということか・・・。フィニッシュはブレーンバスターからの押さえ込みで決まったが、控室に引き揚げてきた中野は腰をおさえ、表情をゆがめ、かなりの苦しみようだ。
「場外でボディースラムをやられたときに腰を強く打った。 (小松は)何をするかわからないから、 この連戦はキツかった。 今朝はテ レビの仕事で寝ていないし、とにかくてたことでホッとしたというのが実感ですね」
傍らで「これで満足しちゃダメだ。 私達の狙いはクラッシュからWWWAタッグを奪うことなんだから」とゲキを飛ばすダンプ松本も内心は嬉しそうだ。
「明暗を分けた」という言葉があ るが、中野が明なら、暗は小松よりもむしろ、小倉由美だろう。
誰もが小倉の決勝進出を信じていただけに、ショックは大きい。
「フォールを取られないけど、 取れもしない・・・。私、ジュニアの王座を返上したい気分です。 だって自分が情ないもの・・・」
そう小倉が考えるのも、この結果を見ると、無理もない。
小倉をかわいがっている長与千種は、こう言った。
「ゴンゴンはレスリングを考えすぎる所がある。それがいい方に向くこともあるけど、フォールを奪う勝負になったら、何も考えずガムシャラにいく方が強かったりするんですよね」
小倉にとっては、いい意味での 試練を迎えた。
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この試合、小松が場外戦を仕掛けてブルをブレーンバスターする場面がありました。そのときに腰を強く打ったようです。
それでもブルは余裕の勝利に見えました。実力的にはブルが小松をこの時期から圧倒していましたから、見ている側も大方はブル勝利で見ていたと思われます。小松も奮闘していましたけどね。
明暗の「暗」は小倉と書かれています。決勝進出はブルと小倉と大方の予想だっただけに、小倉は小松と永友に引き分たのが痛いところです。
では写真を拡大してみます。
星取表です。小倉は2戦の引き分けが痛いですね。
ブルの雄たけびをあげるブリッジが印象的です。