デラックスプロレスの1985/8月号にブル中野が特集されていましたので引用します。
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ブル中野 Shocking Shots
「おはようございます!」と「お疲れさまでした!」...この2つの言葉は、女子レスラーの習慣となってい る同音の挨拶だ。いや、挨拶というより合言葉なのかもしれない。 これは、芸能界でのライフスタイルを真似たもので、昼だろうと夜だろうと、その日初めて会った人には「おはようございます!」。別れる時は「お疲れさまでした!」が決まり文句となっているのだ。
一般社会に生きる者にとっては少々、異和感のある言葉だ。一見、統一されているかに思えるが、この挨拶は彼女らを味気なくさせているのではないだろうか...?
プロレス界の住人である彼女らにしてみれば「何を今さら・・・」ということになろう。
だが人間は時として、その世界の決め事に押し流されると、自己主張を失う。
しかし、その中でも何気ない一言で心が救われることだってあるのだ。 全員が声を揃えて別れる際「お疲れさまでした!」と発するが、ブル中野は「サヨナラ!」と言い残し、去って行く。
この、さりげない 「サヨナラ!」 は、凄く新鮮な響きである。当たり前の言葉だが、 ブル中野の「サヨナラ!」を聞くと、ふと我に帰る思いになるのだ。
今日という日に別れを告げる・・・それは「お疲れさまでした」ではなく「サヨナラ」なのである。これは、中野の素直さの表われだ。
客観的に見て、中野は同期の小倉由美、小松美加、永友香奈子を大きくリードしている。極悪同盟では、 ダンプ松本に続くポストに位置し、 日を追うごとに成長が著しい。 周囲の評価も上昇カーブを描いている。だが、中野の脳裏にあるライバルといえば、いつでもゴンゴンこと小倉由美なのである。
「ゴンゴンだけには負けたくない!」 中野のログセだ。たとえ、自分の立場が大きくなろうとも、小倉を意識する気持ちは変わらない。
これも、中野の素直さの1つである。今やダンプのパートナーとして出世街道を突き進む存在でありながら、謙虚さを失わない。
なぜならば、中野の長所・短所を 一番知り尽くしているのが小倉だからなのである。おそらく、小倉に対する感情は最も、人間らしい一面なのかもしれない。
この2人が、やがてジャガーとデビルのような理想的ライバル関係を受け継ぐことを望みたい。
レスラーは、どれだけ他人に対して素直になれるかで価値が決まる。 風貌はアブノーマルだが、性格は 最もノーマルといわれる中野。 彼女は、いい意味での世間知らずだ。 常に、人の言葉を信じてしまう大らかな心。 そして強い向上心。「ねえ、どうして××なの?」と疑問への追求も忘れない。
近道ばかり探し歩く、現代っ子が 多い昨今。損得を計算するばかりが 生き方ではない。
素直さという貴重な宝を持つ
ブル中野は光ることを知りだした。
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