1985/9 デラプロ ブル中野「今日も控室に『よろしくお願いします』の気合が響く

1985/9月号のデラックスプロレスに極悪同盟が特集されていたので引用します。

 

 

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今日も控室に『よろしくお願いします!』の気合が響く。声の主はブル中野だ・・。


「まったくもう、極悪同盟はバカばっかりなんだから(笑)」と苦笑する のは"ドン・ダンプ松本"である。 ダンプにしてみれば、子分のブル中野やコンドル斎藤とは8歳も年が 離れているため、いわば末っ子のよな存在だ。
だから特に、遅刻や忘れ物の多い子分たちの姿は、歯がゆくて仕方のないところだろう。

中でも、中野はダンプに怒鳴られっぱなしだ。パンダちゃんのニックネームが示す通りが示す通り、中野は限りなくお人良しで、冗談をすぐ信じてしまう。性格も、のんびりしているため、 几帳面(これは意外!)なダンプは、 いつもイライラしているのだ。
 

しかし子供のように純真な心を持 っている中野を見るダンプの目は、 妹を叱る姉のような愛情に満ちているのも事実である。
以前、ダンプはクレーン・ユウと極悪同盟を結成し、一時はクラッシ ュ・ギャルズからWWWAタッグ王座を奪取したこともあった。だが、 このコンビは、組んだ当時から分裂の運命にあったのだ。
というのは、
悪に徹することの出来ないユウに対して、ダンプが常に不信感を抱いていたからである。試合中に「ニヤッ」と笑みをこぼしたり、会場内に設置してある売店の前をウロウロするユウの態度は、ダンプにとって目ざわりだった。
 

極悪同盟として"大変身"に賭け ていたダンプは、もう1年以上も前からユウの追放を計画していたという。そこに現われたのが、これまた大きな身体をもてあましていた中野った。
中野はダンプの言葉を忠実に守り成長をみせた。
「パンダを自分のパートナーにしたい・・・」と、ダ ンプは口癖のように言っていたものだ。ダンプとしても、相性の悪いユウよりも若い中野の将来性を買っており、その機会を狙っていた。


ジャパン・グランプリは、ダンプにとっても中野にとっても、いい転機といえた。リング上での合法的制裁により、ユウは引退を余儀なくされマットと決別したのである。

このように、ダンプはユウを蹴落とすかのようにしてまで、中野に将来を託したのだった。
控室で出番を待つ中野は、いつも 緊張感で全身がピリピリしている。 常に真面目で、一生懸命なのである。
どんな後輩と試合をする時も、薄暗い控室の通路に向かって「よろしくお願いします!」と、ひとりで気合を入れる。
不安を感じながら自己暗示に務めているのか・・・。この気合こそが、中 野のファイティング・スピリットな のであろう。
だから、
中野の試合には遊びがな い。余裕がないし、緊張感が充満しているため、すべてが真剣勝負なのだ。この姿勢がある限り、中野の未来は明るい。
 

リングアナである氏家清春さんは2年ほど前から、ロード・マネジャーのポストに着いた。選手と年齢が近いため「マネジャー」と呼ぶ選手はあまりいない。

だが中野は、いつも元気のいい声 で「マネジャー!」と呼ぶのだ。こ れも中野の、人を見て判断しない素直さの一例である。
1年後輩の斎藤が試合のことで悩んでいた時、我がことのように心配 していたのも中野である。「辛いこともたくさんあるけど、一緒に頑張 ろう・・・」と親身になって相談に乗っ
ていたものだ。
決して、有頂点にならず、思いやりを忘れない中野は、その人間味が 周囲に愛されている。

 

趣味は?と聞くと「貯金!」と いう答えが返ってくる。これもボスであるダンプの教えだ。「ぜいたくしたらキリがない。将来のためにも、 貯金だけはすること」と...
今日も中野は、ダンプの影に脅えながら試合に臨む。パンダちゃんと いう素顔を忘れる一瞬だ。
レスラーは、ときめきを失ったら ジ・エンドだ。いま、ブル中野はプ ロローグが始まったばかり。

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ダンプがユウのことを追い出した経緯について、かなり詳しく書かれています。

当時は本当のことかわかりませんでしたが、いま「ぶるちゃんねる」で振り返って答え合わせをすると、この記事は本当であることがわかりました。ユウの引退については色々とゴシップネタが書かれていましたが、デラックスプロレスが正解だったようです。とはいえ、1年も前からユウと決別を考えていたというのは、ちょっと時期が早い感じもしますが。

 

中野については試合前は気合の「よろしくお願いします」の声があがるそうです。

当時の女子プロレス中継で何回か控室から出てくるブルの姿を見たことがあるのですが、大声で「よろしくお願いします」と深く礼をしていた記憶があります。入門時からなのか、極悪に入ってからなのか分かりませんが、リングに対して敬意を最大限払っているブルさんでした。

 

貯金はダンプもブルもしていたようですが、途中で全部ウンコとオシッコで消えたようです(ぶるちゃんねるなど、本人談なので間違いないです)。

 

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