1985/10/15 ムック「クラッシュギャルズ」池田書店 長与インタビュー

1985/10/15に発売されたムック「クラッシュギャルズ」(池田書店)に髪切りマッチ後の長与のインタビューがありましたので引用します。

 

 

 

 

 

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千種に緊急インタビュー

武道館・大阪城の2大勝負を終え、"革命娘"千種は新たに何を思う・・

 

ファンの涙...感無量だね。よーし、ビューティ・ペア を超えてやる!
 

- 今年最大の試合ともいえる、武道館そして大阪城ホールでの2大決戦を終えた今、どんな心境かな?
 

千種 たった一週間で、 半年分の体力と精神力を使い果したって感じかな・・・武道館の結果 (デビル雅美の持つオール・パシフィックに挑戦し、ダブルKOで引き分ける)は、勝つことはできなかったけ ど、自分自身はわりと冷静に受けとめているんだけどね。今までの私というのは、 勝ち負けにあまりこだわっていないところがあったんだ。でもね、ああいった大舞台に上がると、勝たなければというか、勝ちたい! という思いが強くな るんだよね。
 

- それは、王者の手答えを感じたから な。
 

千種 う~ん、なんて言うのかなあ。デビルさんの強さ、そう、デビルさんって強い人ですよ。だから、強いデビル雅美を倒したい―と言ったほうがいいかなあ。 やっぱし、武道館の大観衆を前に試合を すると"天下を取りたい!"って気持ちになりますね。結局、試合内容が大事だけど...評価というのは、勝った負けたが第一に思われるしね...レスラーだったらね、武道館で試合をするのが夢だけど、いざ上がったら勝ちたいですよ。
 

- 大阪城ホールは、あまり後味がいい 結果じゃなかったね。
 

千種 あれは負けじゃないんですよ! だいたいプロレスになっていないもの。お互いに技なんか、一つもでてないじゃない。あんな裁定をされちゃったら、何のために"髪切りマッチ"に臨んだか、意味がなくなってしまうね。
 

- だいぶファンを悲しませたのも事実だね

 

千種 小さい女のコたちが、私が坊主になったことで大勢泣いているの。それを見ているとね「ああ、私たちはこのコたちに夢を与えているんだなあ」と改めて感じちゃってね...私たちって、夢を実現させる代表者なんだなと。 昔、ビューティ・ペアに憧れた一人の少女(千種のこと)が今度は、ファンに夢を提供している。なんて言ったらいいのかなあ、感無量だね。よーし! ビューテ
ペアを超えてやるぞおって、胸が熱くなっちうよ。ホント泣かせたことはお詫びしたいけど、この涙を無駄にしたくないねっ。
 

 

- 坊主になったってことは、精神的に相当ショックだったんじゃないの
 

千種 弟がね、ダンプと坊主マッチをやる日の朝にね 「姉ちゃん、もし負けて坊 主になっても、恥しいのはその時、一日だけだよ」 といってくれたの。でもね、 坊主頭になると、おかしいぐらい弟に似 てるんだよ ねぇ。私自身、弟に夢を託ている部分があるから、似てると言われると逆に嬉しくなっちゃう。今度はね、強い姉ちゃんを見せてあげなくちゃ。 

 

- 日本の2大会場を制したわけだけど、この次は、どの会場で試合をしたい? 

 

千種 国技館とかね・・・この前ね、身体が不自由で試合を見に来れない人のお母さんが「あまり命が長くない・・・」と言って泣きながら、千種たちのサインを貰いにきたの。TVでしか試合を見ることがで きないしというのよ。だからね、そういう身体の不自由な人たちだけを集めて、 そういう人たちだけに、千種たちのプロレスを見せたいんだ。 その人たちも、ファンなんだからさ。ぜひ、やってあげたいんだ。
 

じわじわ恐怖を与えるレスラーをめざす!
 

- クラッシュ・ギャルズの今後をどう展開したいと思っているの。
 

千種 今のクラッシュ・ギャルズというのは、本来のクラッシュの線路から脱線しているから、クラッシュらしさがないね。クラシュらしさというのは、常にチャレンジ精神、攻撃的で突っ込んでいくところなんだ。でも、へんに構えてしまっている。
 

- なぜ、構えるのかな...
 

千種 芸能の仕事をやってると、疲れるって頭があるから、試合で突っ込んでいけないんだ。疲れていると、誰しも身体が動かないし・・・クラッシュらしさを取り戻すには、芸能の仕事を半分に減らすのがベターだと思うし、そうならなけばこの試合スケジュールをこなしていけないよ。
 

― その通りだね。 でも人気が出て顔が売れてくると、いろいろな対人関係が生じるから、すぐ半分に減るというのは難しい問題だね。


千種 これは私たちがいくら訴えても、 解決することじゃないけど・・・ただ、私はファンの人がね、アイドル・タレントを見るような雰囲気は耐えられないんだ。私たちって、いくら試合をすることに慣れているからといっても、一歩間違えれば命の保障はないからね。いわば身体を削ってるようなものだから、ひとつひとつの試合を真剣に見て、喜んでもらいたいという思いが強いんだ。
 

- 話は戻るけど、クラッシュギャルズの方向性をどう 捉えているかな。

 

千種 やっぱりね、ライオネス飛鳥・長与千種である前にクラッシュ・ギャメズとしての位置付けに重点を置きたい。ビューティ・ペアが"一世風靡"して大きな歴史を作ったように、 それを上回る歴史を作りたい! クラッシュ・ギャルズの天下を取りたいね。もし天下が開けたなら、またトモと納得のいくまで闘ってみたい。私は今まで、何でも突っぱねてきたし、がむしゃらに時がたってきたような気がする。 さっきも言ったけど、これからは"勝つ"こと頭に叩き込んで、じわじわ恐怖を与えるレスラーになりたいね。
 

人間としての本物の"強さ"を身に付けたい!
 

- 後輩の小倉由美や、 永堀一恵が空手修業をしていることについてどう思う。 

 

千種 ゴンゴン (小倉) るコだから、何事も考え過ぎるところがあるんだ。千種も割と神経質なところがあるけど、ゴンゴンはもっとリラックスして、いろんな事を見つめたらいいんじゃないかな。空手というのはゴンゴンにとっていい刺激材料になると思うね。 クラッシュギャルズの流れに乗っかっているのは、ゴンゴンぐらいだし・・でも同じ流れというのは個性的じゃないけど山崎先生の夢をいつまでも受け継ぐものがいなくちゃね。

 

- 永堀も後ろ回し蹴りとか日に日に上達しているみたいだけど・・・。
 

千種 後ろ回し蹴りというのは、私がデビューしてからクラッシュを結成するまで、ただ一つの得意技だったんだ。今でこそ、スープレッ スとかやるけど、それまでは回し蹴りしかなかったし・・・たった一つの技に、千種なりの魂をこめてきたつもり。だから一恵にはね、それぐらいの気持でこの技を使ってほしいな。単純に言っちゃえば、回し蹴りというのは プロレスでいうドロップキックみたいな必修技だけどね。ドンドン使えばいいんじゃないかな。またデビルさんとの試合の話になっちゃうけど...デビルさんがボクシング流のパンチも使ったでしょ。 私はボクシングをやったことがなかった から、あのパンチは凄く効いたんだ。でも...パンチよりキックの方が、数倍威力 があることを頭に入れといてほしい。 それだけ、空手というのは凶器なんだよね。一恵は、空手を使えるんだからもっと自信をもたなくっちゃ。

 

- 最後になるけど、千種にとっての格闘バイブルとは何かな。
 

千種 誰でも「強くなりたい!」という 気持ってあると思う。人それぞれ、なぜ強くなりたいのか―それは様々だけど心の底には、強さを求めている。 例えば精神面がすごく強い人は次に、肉体も強くなりたいと思う。それは逆の場合もあるけど...格闘というのは何もリングの上だけじゃなくて、普段の生活でもたえず格闘がつきもの。つまり、どんな状況になっても強い人間というのは魅力的だもの。 千種も、ただプロレスが強いだけじゃなく人間としての本物の"強さ"を身に付けたいんだ。千種にとっての格闘バイブルじゃないのかなぁ・・。

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