1985/11月号の雑誌「ポップティーン」からダンプの連載が始まります。「第一回メッタメッタ悪党口座」ど題して読者のお悩みに答えていくというコーナーでした。この連載、好評だったらしく、かなり長期に続きます。
当時はダンプは「日本で一番殺したい人間」と言われていましたが、ではなぜクラッシュではなく、なぜダンプが中高生の少年少女のお悩みに回答するのか? という疑問が湧きます。ダンプが嫌われていたらコーナーが成立しませんし、お悩みではなくて文句が来そうです。
しかし、ミーハーの当時の女子プロレスファンというのは、クラッシュが好きなのは当然ですが、「女子プロレス」がネタになっていれば飛びついていた傾向があります。別にダンプが好きではなくても、「女子プロレス」が前面にあれば良かったのだと思います。「ダンプがこんなこと言ってる」というネタになればOKのようです。また、ダンプだからこそ大胆な意見を言える、というのもあります。「ダンプ松本のマジだぜ」という単行本もけっこう売れたはずです。ダンプは好き・嫌いの前に、彼女自身がどのような人間なのかに皆興味があったのではないかと思います。
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今月の本気ダゼ
タコ焼きがラーメンになったのヨ? なんつーことをほざいてる場合じゃねえんだよっ。ポップチンだか、ポップコーンだか知らねーが、ある日突然、変臭(編集)者がやってきて、いいやがったんだ。
「いやぁ、ダンプさん、相変わらず、お元気そうで。ハハ......本日はお日柄もよく......」
「何がいいたいんだよ。さっさといいな!」
「ハハ。これはどーも。じつはですね、きょうはおりいって、大事なお願いが・・・・・・」
ヤツの言葉を要約すると、つまりこういうことになるらしい。読者の手紙、とくに、悩みごとに関して、ダンプ松本からの"御言葉"をくれないか。真剣に答えようが、バ声をあびせかけようが、手紙を便所紙のかわりに使おうが、あ、こんなことはいってなかったな、なんでもいいけど、自由にページを使っていいから、あばれまくってくだすわい、と。
あんねえ、アタシはそんなにヒマじゃねぇーんだよ。もっともっと、この筋力にみがきをかけなきゃなんねーし、人の悩みまで考えてられるか! ってんだ。ふんとに。・・・・・が、実際、チラッと読者の手紙を読んでみたら、どうもシカトをキメこむことができなくなった。どいつもこいつも、小さなことで悩んでやがって。こいつは、一発カツを入れなきゃマズそーだぜ。とゆーわけで、今月から、アタシの悪党講座をはじめるよ。ハナクソほじりつつ、本気で答えてやるから、目ン玉洗ってハジからハジまでキチンと読みな!それから、テメーらも本気で手紙出せよな。よこさないと、なぐるよ。ところで、このページにあるサイン。講座開設を記念して、特別に書いてやったんだ。めったにサインなんてしないんだから、ありがたく思って、おがめよ。アタシのようなカワイイ女になれるゼ、ハッハッハ・・・・
コラコラ、見掛け倒しの優しさにダマされちゃいけねーヨ
Q ねえねえ、私の悩みを聞いて!ホントに困っちゃってるんだ。私には、2年ぐらい前からつきあってる、同い年のカレがいるんだけど、この人がなんというか、自分にまったく自信のない人なのね。で、4か月に1回ぐらい、そつい、その発作を起こすわけ。「オレは、おまえのこと心から愛してるけど、幸せにしてやれる自信がないから別れよう」とか、「どうせ、あと2、3年もすれば、ほかのイイ男にのりかえるんだろ?」とか、もうグジグジグジグジ・・・・・・普段は、いろいろ尽くしてくれる優しい人なんだよ。だから、私としても、安心できるし、別れたくないんだけど。発作のたびになだめすかしたりするのも、ハッキリいって疲れてきちやって。どうすれば、カレに自信を持ってもらえると思う?
A カ~っ!!(アタマに血がのぼってる音)バカめっ!死ね!!ったく、コイツ、何考えてんだよ。記念すべき連載第1回めの、しかもしょっぱなの悩みだっていうから、少しはおとなしくしてようかと思ってたのに、完全にセンが切れたぜ。エッ? 何が、「普段は、尽くしてくれる優しい人」だ? テメー、優しさを勘違いしてんじゃねーの?「居ごこちがいいから、別れたくない」? ハッハッハ~。ざけんじゃねーよっ。テメーにとって"カレ"つうのは"便利屋"はたまた"奴隷"の意味か!!! 何度も読み返したけど、思いやりってもんがかけらも感じられねーんだよ。感じられるのは「カレってば、私にこおおぉんなに夢中なのよねー」つうゴーマンな気持ちだけ。ヤなヤツ! バシバシツ(竹刀で机をたたく音)。それに、男も男だぜ。相手の顔色うかがいながらヘイコラしてるなんて。サイテーつつつ。自分の意志ぐらい、シッカリ持てよな。っとオ。いま思ったんだけどサ、この男、案外、カノ女とホンキで別れたがってんのかもしんないね。だけど、怖くていえないから、遠まわしに発作ブリッコしてるとかどっちにしても、よくこんなことでハガキ書いてくるもんだ。40円、もったいない。お金が余ってんなら、アフリカにでも送りな。♪ウイ、ア~ザワールド♪ ベリリリリっ(ハガキを破る音)。あ、ハラたつのりだぜ。フン。
Q あの日のことが忘れられずに、ペンをとりました。私が、になったのは、ちょうど1か月前。カレの部屋で、女3人、男4人で合同コンパをやったんだ。で、最初のうちは、みんなで明るくワイワイ騒いでたんだけど。そのうち、ひとり減り、ふたり減りして、気がつくと、部屋に残ってたのは私とカレとSクンの3人だけだった。カレとSクンは、やけにニヤニヤしてサ。でも、私はカレのこと信じてたから、ちっとも不安じゃなかった。なのに!!!
私が、ひとりでしゃべってたら、いきなりカレが襲いかかってきたの。服をひきさき、乳房をなめまわし、Sクンも私のアソコに指を入れてきたりして。イヤなはずなのに、私のアソコはもうビショビショにぬれてた。やがて、鋭い痛み。悲鳴をあげたかったけど、私は、いつのまにかもだえ声をあげてた。私がSクンに攻められてる間、カレはポラロイドで写真を撮りまくってたみたい。終わったあとで、カレはそのときの写真を目の前につきつけてきて、「コレをバラまかれたくなかったら、いうことをききな」ってスゴんできた。
あれから何度となく、ふたりに呼び出され、多い日には、5~6人の見ず知らずの男たちにまわされたりしてる。心も体も、もうボロボロ。私、これからどうしたらいいの?!?!
追伸・もし、この手紙を採用してもらえるなら、父に見つかるとヤバイので、謝礼は夜つくようにお願いします。
A ギャハハ。追伸には笑っちまったぜ。テメー根性がセコイんだよ。それに、アタシは別に郵政省の手先じゃねーけど、配達ってのは、午前の区域と午後の区域、だいたい決まっちゃってるもんなの!だから、テメーんとこだけ夜っつうわけにはいかねーの。わかったか、残念だったな。ハハハ。
ま、それはさておき。なんだかナサケない気分になってきたぜ。どーして世の中、こういうノータリンが多いわけ?ほとんどテメー、遊ばれてることを喜んでるような内容じゃねーかよっ。「私が、済になったのは」なんて、心も体もボロボロに傷ついてる人間がいえるセリフじゃねーぞ、ホントに。ましてや、ビショビショだの、もだえ声だの。おまけに、いまだに相手のパッパラパーニィチャンを"カレ"と思ってるフシがあるし。も、勝手にやりたいだけ、やらせとけば?そのうち、テメーがすりよってったって、あきちゃってハナもひっかけなくなるからさ。心配無用!
ただ、ホントにイヤだと思うんなら、キッパり相手にいうことだな。写真をバラまくったって、そういう手段でしかオンナをモノにできない弱い男なんだから(見かけは別だぜ) 「警察に訴えるわよ」ぐらいいえば、ビビって、絶対実行できないと思うよ。法律じゃ、女がヨガったりすると、強姦犯は成立しなくなるそうだけど、どうせ相手はパア。この際、「強姦」を逆手にとって、テメーが相手をおどすのもいいかもな。にしても、もっと自分を大切にしろよ。タコ。
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本当にダンプが答えているのか、ゴーストライターが答えているのか分からないのですが、第1回くらいは打ち合わせをしてやっているのではないかと思います。ダンプはこういうのが好きそうですし。
第1回ということで、本当に読者の質問なのか、ポップティーンの編集部が作ったのか謎ですが、質問内容は過激ですね。
ダンプ自身が「男嫌い」と週刊誌のインタビューで話しているので、あまり男と付き合っていないはずなんですが、それでもダンプ流(ダンプ語録的風)に、男と女の質問に、うまく答えている感じですね(^^;