マンガ「ダンプ・ザ・ヒール(1)」感想 (ネタバレあり)

マンガ「ダンプ・ザ・ヒール(1)」感想

 

原秀則  (著), ダンプ松本 (著), 平塚雅人 (著) 

 

 

初回限定で原秀則さんとダンプさんのサインがありました。

直筆サインですが一体何冊分サインされたんでしょうね。500冊くらいですかね?

サインを描いている手が腱鞘炎になりそうですが、大丈夫だったんでしょうか(笑)

 

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”日本一殺したい人間”の凄絶下積みドラマ、かつて女子高生を熱狂の渦に巻き込み、
「極悪」と名を馳せた悪役レスラー・ダンプ松本。
しかし・・・・・
1980年代の女子プロレスブームを盛り上げ、カリスマ的人気を誇った彼女の下積み時代は、
想像を絶する「女のいじめ」で溢れていた。上下関係が絶対の世界。先輩から亀の甲羅を背負わせられ罵られたり、練習という名のしごきに遭ったり・・・・・・「ダンプ松本」の誕生秘話を描いた
凄絶下積み(いじめ)ドラマ!!

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このようなフレコミが書いてありました。

 

このマンガが発売されたとき、1980年代から色んな雑誌や本でイジメや当時の内部事情は少しずつ書かれていましたが、令和になり、本格的に当時のことを書ける時期になったのかなと、まずは思いました。

元々「ザ・ヒール」という平塚雅人さんが書かれた、ダンプ松本自伝のようなものが発売されていたので、それと連動しているのかなーとも思いましたね。

 

このマンガで一番面白いなと感じるのは、当時は「クラッシュギャルズブーム」という認識だったのですが、クラッシュギャルズ(長与千種、ライオネス飛鳥)を主人公にしたマンガではなく、その敵役のダンプ松本を主人公にしたマンガが発売された、という点です。

つまり、当時スーパーヒロインであったクラッシュギャルズではなく、ヒールのダンプ松本視点でのクラッシュギャルズ時代が描かれるという点に、非常に興味が持てました。

 

これはご本人たちの出版意欲の有無もあるし、ダンプ松本はタレントとしての実績が、女子プロレスラーの中ではマッハ文朱と並んで傑出しているので、そういうコネクションや、出版のしやすさもあるのかなと思いました。

 

また時世もあると思います。

令和の時代になって、日本は凶悪な事件が増えています。また、偽善者ぶった政治家よりも、暴露系Youtuberが人気のあったりする時代になっています。つまり、正義というのが信用ならない時代になっています。むしろ、最初から「悪」、「偽善の正義」よりも「露悪」のほうが信用できる時代になっている風潮があります。こういう背景もあって、クラッシュギャルズよりも、極悪同盟のほうを主役にしたマンガが出てきたのかなとも思いました。

 

さて、内容ですが、マンガにするとかなりリアルになるな、というのがまず思いましたね。一言でいうと分かりやすいです。(^^;

 

なんたって、ページをめくるといきなり「亀の甲羅を背負わされた松本香」が強烈です。第2話ではおもちゃのお札で買い物をさせられるイジメ、第4話では泥棒探しのイジメ、第6話からはついに同期からも無視されて孤立する松本が描かれます。ハッキリ言って泣けます。

昭和に「おしん」というイジメドラマが流行りましたが、日本人が大好きなイジメ、下積み物語です。NHKの朝ドラでやっても話題沸騰だと思う内容です。

(血の表現などでできないでしょうが)

また、原秀則さんの絵はクセがないので親しみやすく、万人受けする絵だと思います。

 

おそらく1巻で気になるのが、登場人物だと思います。特にイジメ役のレイ高崎、リリー大月、エル三浦、この3人組は誰なのか気になります。このブログで散々書いているので、特に書きませんが・・。あとは財布を盗んだ取手という人も誰なのか気になります。(この人は誰なのか検討がつきません)

唯一の優しい先輩は「ウルス池上」とあり、これは明らかに文字からして「池下ユミ」なのではないかと思います。

 

また嬉しいのはクラッシュギャルズの長与千種、ライオネス飛鳥だけはきちんと本名で登場するところです。このあたり、内情はよく分かりませんが、長与と飛鳥はOKしてくれたと言うことなんですかね。もしこの2人が別名で登場していたら、物語は興ざめだったと思うので、クラッシュギャルズに感謝したいところです。

 

私は1巻は100点だと思います。イジメの内容が酷すぎるという感想が多いのですが、谷底を深くしないと、この先の頂点が高くなりませんから、これでもか、というほどのイジメ描写は非常に苛烈ではありますが、良いと思いました。

内容はマンガということで味付けが多いとは思うのですが、昭和のスポコン的な内容で、いまの40代より上の人にはピッタリなんじゃないかと思います。

あとは若い人には、イジメ描写が受け入れられるのか分かりません。そこだけ気になりますね。(^^;