極楽太郎


極楽の魅力について、かなりがんばって妄想膨らまして考えました。



俺と極楽タン

俺が極楽太郎に出会ったのは十年くらい前だったような気がする。最初にこのゲームをみたときに真っ先に「おお、極楽太郎って見た目、萌えそうなキャラだなぁ」と思った記憶がある(当時からこんなんだったんね・・<俺(^^;))。まだ当時は、ゲームで動画や声が出たら拍手喝采だったし、オリジナルストーリーでキャラクターをきちんと設定されたゲームは少なかったと思う。だから、極楽はある意味、ビジュアルイベント進行型コンシューマRPG(なんてジャンルあるのか?)ではデブキャラの元祖的存在なのかもしれない。
当時PC-Engine版をプレーしてみたが(←もちろん、極楽目当てぉぃ)・・なんか極楽の活躍の場が少ないんじゃないか?というのが印象として残った。プレーする前に随分と期待していた分、がっかりした記憶がある。たしかに天外魔境II自体、ゲームのテンポもよく、出来はすばらしいとは思ったが、極楽の活躍を期待していた俺にとっては、このゲームはなんとなくそれで終わってしまったのだ。
しかし、このほどGameCubeとPlayStation2で天外魔境IIがリメイクされた。ファンとしては大変喜ばしいことである。この考察のため購入してプレーしてみたのだが、PS2版はグラフィックが書き直され、操作性等もよくはなっていた。ただ、音楽のつながり方や難易度的な部分で、やはりPC-Engine版の方が良いのではないかと思ってしまった(懐古趣味な部分もあるかもしれません)。
今回はプレーしながら、当時はあまり突っ込まなかった極楽に関して、セリフをじっくり考えてみたり、攻略本を見てそれなりに妄想を膨らませてみた。たださすがにクリアするためには約70時間もの攻略が必要なため、最後までゲームをクリアすることはできなかった(極楽登場からちょっと先まではプレーしたんだけど・・根性ないっす)。なので、これから書く極楽の設定のことは、当時の記憶とあくまで俺の妄想、都合のよい勝手な解釈(愛入り)だと思ってください(^^;。では以下、妄想開始です。


千年前の因縁

極楽の年齢は1024才(デーモン小暮のような年齢設定だな・・)で、千年前の「火の一族」と「根の一族」の戦いの生き残りである。ただし、1024才のうち992年は牢の中に閉じ込められていた。どうして千年も生きているのか、実に不思議な設定である。しかし、初期情報としては人魚の涙を飲んだために寿命が千年延びたが、そのために人魚の女王の怒りを買い、牢獄に閉じ込められてしまったことくらいしか公表されておらず、極楽ファンにとっては実際のところどんな感じだったのかは、ある程度妄想を膨らまして考えるしかない。
ということで、まず極楽という人物を知るには、千年前にも遡られなければならない(気が遠くなるような年数だが・・)。
千年前(もっと以前かも)、2人の神であるマリとヨミは1つの世界を創造する。それはジパングと呼ばれる美しい世界だった。しかしあるとき、出雲の地下帝国である「根の国」は突如としてジパング制圧を掲げる。「根の国」の王であるヨミは「根の一族」の怪物たちを操り侵略を開始した。特に人間の精気を吸い取る「暗黒ラン」は、人々から抵抗する気力すら奪い取り、瞬く間にジパングは焦土と化した。
しかし、その怪物たちに挑んだものたちがいた。それが「火の一族」である。その戦いは数千日に渡んだと言われる。多くの犠牲を出した戦いの末、7人の勇者が7本の聖剣でヨミと暗黒ランを地下深くに封じたのである。ちなみに「火の一族」、「根の一族」はそれぞれマリとヨミから生み出されたものだとゲーム中では解説されている。
では、このときの7人の伝説の火の一族の勇者はというと、

「獅子王 法水院紅丸」
「闇の剣士 妙院カラス」
「水の貴公子 船海宮義経」
「火の巨人 大霊院女彦」
「火刃の女王 いろは宮静」
「浪華の火の玉小僧 鳥居堂三郎」
「悲恋の鬼百合 蛇光院松虫」

である。実は極楽も「火の一族」の勇者としてこの戦いに参加していた。極楽の力は、千年後に卍丸とともにヨミを再び封印するゲーム設定からすると、当時でも圧倒的な戦闘力をもっていたはずである。もしかすると、極楽ほどの力をもっていれば、上記7人の勇者に代わって、「暗黒ラン」を封印した伝説の7人の1人として名前が刻まれるはずだったのかもしれない(「炎の豪傑 極楽太郎」(などと勝手に命名)とか呼ばれてりして・・ちょっと極楽にしてはカッコよすぎるか?)。しかし千年前の戦いも佳境にせまろうとしていたある日、極楽にとって、彼の人生そのものを大きく変えてしまう出来事が起こったのである。


極楽と千代

一人の人魚がいた。名前を「千代」という(「お千代さん」というべきかもしれないが、以下「千代」とする)。ジパングは実に不思議な世界であり、我々から見れば架空な"人魚"という生き物も存在する。おそらく千代は、人魚の女王ヤタギが守っている人魚の村に住んでいた美しい(絵からすると、"かわいい"の方が適切だな・・)女性だったのだろう。
極楽と千代がどのような形で、いつ出会ったのかは全く分からない。しかし、そこはいろいろと妄想してみるとしよう。そもそも極楽が牢に閉じ込められのは、32才のとき(1024-992=32)である。根の一族との戦いは数千日(3年〜10年程度?)ということから、極楽は25才くらいのときには、すでに戦いに身を投じていてもおかしくない。なんとなくだが、極楽は見た目によらず、女性に対してはロマンチストで奥手っぽいので、自分から人魚の村へノコノコと乗り込んで行ってプロポーズ、ということはないような気がする。根の一族との戦いで傷ついた極楽を、偶然千代が助けたことにより、付き合いが始まったとか、そんな運命的なもののような感じがする(そのほうが妄想しがいもあるしね!)。

そんなこんなで(どんなだ?)、恋に落ちていった2人。千代は火の一族として戦う極楽をしっかりと支える。ゲーム中には千代が極楽のために作った武具が出てくることからも、彼女の中では、極楽の常に死と隣り合わせの火の勇者としての戦いを、避けられない運命として受け取っていたのだろう。夜な夜な極楽のために、彼専用の武具を作ったりしていたのだ(意外と手先が器用だったらしい。それに料理も抜群にうまかったらしい。しかし千代さん健気でいい人ですな)。一方の極楽は愛する千代を守るためにも奮戦していたに違いない。
(余談だが、写真でみるに、極楽と千代の体格差がすごすぎますね・・(夜の生活は大丈夫なんでしょうか)。でも、なんとなくですが、千代さんが、心も体もでっかい(ついでにアソコもでっかい←結局それかよ!)極楽を好きになる気持ちも分かる気がします。それにしても千代さんって何歳なんでしょう?写真をみると中学生ぐらいかと・・もしかして極楽ってロリコンか?←ぉぃ)。


ところが、運命のいたずらか、ある日極楽と千代に大変なことが起こってしまう。どうも千代には火の勇者の血が混ざっているらしく、未来を予知する能力があったらしい。千代が予知した未来は、千年後に再び「根の一族」が復活しジパングを震撼させるという、まさに悪夢ともいうべきものだった。どこまでを予知していたのかは分からないが、千年後の「根の一族」はさらに強大となり、卍丸に極楽がどうしても必要だと予知したのかもしれないし、卍丸の存在自体は予知できていなかったかもしれない(火の勇者として、極楽だけでも生き残らせようとしたのかも)。ともかく、極楽は千年後の戦いのために、いまの戦いをすぐに止めて(このまま戦えば、暗黒ランの封印と引き換えに命を落とすことになる可能性もあるので)、千年生き延びなければならないことを知ってしまったのだ。
千年も寿命を延ばす方法。それは唯ひとつしかなかった。人魚の涙を飲むことである。人魚の涙は妙薬として知られ、それは人の寿命を千年も延ばす効果があるのだ(人魚はこういう都合の良い設定が多いっすね)。ただし、人魚の涙は、一生に一度流すか流さないかというくらい稀なもので、禁断の妙薬であるらしい。それが人間の手に渡ることは、人魚たちにとっては一大事であったのだろうと考えられる。
おそらく千代は迷ったと思う。千年後に「根の一族」が復活するとはいえ、あくまで予知である。すべてを極楽に話せばよいのであろうが、予知を人に話すとその人に災いが起きるとか、死んでしまうとか、歴史がおかしくなるとか、これまた妙な設定があるのだろう(バックトゥザフューチャーみたいなのだが)。ともかく極楽には本当のことを話すことができない理由があったのだ。
ある日、千代は極楽に、自分のことを信じて人魚の涙を飲むよう懇願する。しかし、極楽にとって、理由も分からずに人魚の涙を飲んで、しかも現在の戦線を離脱することは、決断のいることであった。もしそうすれば、共に戦っている仲間を裏切ることにもなってしまうし、根の一族に反撃の機会を与えてしまうことにもなってしまう。愛する千代を信じるか、ジパングを守るために仲間とともに戦うか。究極の選択を突きつけられたのである。


牢獄で耐えた992年間
極楽は思い悩んだ末に、ジパングの平和よりも、愛する千代の言葉を信じることにした。それは極楽にとってはつらい決断であった。いままで共に戦ってきた戦友たち、そして戦う宿命の放棄である。仲間からは、自分一人だけ生き延びることを選択したと非難されるのは間違いない。そんな裏切りをすべて覚悟して、愛する千代の言葉を選択したのだ。
1つの国と1人の女性の選択。極楽の一途な心は、戦うことを運命付けられた火の一族でありながら、愛を選択した。極楽らしいといえばらしいのであろうか。
極楽は人魚の涙を飲み、千年の寿命を得て、そして戦線を離脱した。その後、極楽と千代はほんのひとときの間、2人で幸せな生活をしていたと思う(※1)。極楽と千代は結婚していたという話もあるらしいので(※2)、このときに結婚したのかもしれない。ひっそりと千代と生活を過ごす極楽(妄想するとおもしろいですな。千代さんに甘える極楽タン萌え・・・(^^;)。しかし、突然不幸はやってくるものである。ある日、千代は、火の一族の血が混じっていたために、それを付け狙っていた根の一族の者の手にかかり、殺されてしまう (なんと川に洗濯に行く途中で←シチュエーション的に千代さんが洗濯してそうなんで(妄想です))(※3)。極楽が駆けつけたときには、すでに千代は虫の息であった。泣きながら千代をやさしく抱き、なんとかして助けようとする極楽。しかし、もはや事態を変えることはできなかった。千代は死ぬ間際に「あなたは、千年生きて・・」という願いを極楽に残していく。極楽は号泣しながら、その言葉をしっかりと受け止める。

ところが、さらに不幸は続くもの。千代を失い、生きる望みを失いかけた極楽に、追い討ちをかけるように大事件が発生してしまう。極楽は丁重に千代を葬ろうと、人魚の村にやってくる。しかし、人魚の女王ヤタギは、極楽が人魚の涙を飲んで、寿命を千年延ばしたことをすぐさま見破ってしまう(女王は涙を飲んだことくらいすぐに看破できる能力があるのだ。たぶん)。怒ったヤタギを極楽を捕らえ、不思議な力を持つ牢獄にぶち込む。ヤタギは、極楽が火の一族にも関わらず、一生に一度流すかも分からない人魚の涙を暴力を振るって強引の流させ、自ら戦い放棄して自分だけ千年の寿命を得ようとした不心得者だと決めかかる。極楽もヤタギに何度も弁明を試みたが、到底聞き入れてもらうことはできなかったのである(本当に人の話を聞かない女王ですね・・)。こうして、極楽の牢獄での生活は始まった。
992年間、牢獄で過ごすと人間はどうなるのだろう? 話は変わるが、鬱病の治療でよく使われる森田療法というのをご存知だろうか?1週間以上、会話することもなく動くことも禁じられ、そこから徐々に鬱を直していくという療法だ。実は俺の知人は、何もない個室に入れられて、この療法をされたことがあるのだが、3日で気が狂ったそうだ(なにかやりかたが間違っていたのかもしれない←ぉぃ)。しかし、たった3日である。たった3日でさえ、動くことも誰とも会話することないことに耐えるということは、並大抵のことではないのだ。牢獄生活だって似たようなものだろう。誰とも会話することもできず、牢獄の中で動く範囲だって、ゲームシーンを見る限り相当狭い。よく極楽の筋力が落ちなかったと不思議に思うくらい動くスペースがない(毎日極楽は筋トレをしていたと妄想してみる←筋トレマニアかよ!)。992年間、約36万日も過ごしたのだ。36万日間、あの牢獄に入っているなど信じられるだろうか?普通ならば速攻で自殺するだろう(いや、ホント、まじで)。
しかし、極楽は違った。千代の言葉を信じた。千代が死ぬ直前に言った「千年生きて・・」という約束を一心不乱に守り続け、耐えた。ときには「すまん、千代。もうダメだ」と自殺しようととしたことがあったかもしれない。または「千代、本当にこれでよかったのか・・?」と自問自答を繰り返していたかもしれない。そのたびに極楽は千代との約束を思い出していたに違いない。毎日牢から見る景色は変わらなかっただろう。周りの人魚は、彼を「最低人間」だの「人間のカス」だと侮辱する。毎日のように、雑言罵声を浴びていたかもしれない。それでもなお、極楽は愛する千代のために耐えてきたのだ。こりゃ男の中の男だと思わないかね?
上で長いこと書いてきた文章は俺の妄想が入っているが、卍丸が極楽を仲間にする以前には、こんなにも長く切ないドラマが彼の身に起こっていたのだろうと推測される。だから、ゲーム中、極楽を仲間にしたときは、「極楽よ、よくぞいままで耐えぬいた!!」と拍手喝采で出迎えなければならないのだ(これからプレーする人はそうしよう)。

ここまで極楽太郎の千年前の因縁を自分勝手に解釈して、長々と書いてきたのだが、極楽って誠実でまっすぐな男ではないか(書いていて俺もちょっと驚いたりして)。果たして人間は、一人の女性をここまで愛することができるのかと思う。愛された千代のなんと幸せなことだろうか。"愛なんていうのは幻想だ"とかよく言うけど、そんなこと言っているヤツには極楽の精神を見習って欲しいものだ。


(※1) ゲームでは「涙を飲んですぐに捕まった」とあるが、少しぐらいは時間はあったと妄想してみる。
(※2) 結婚に関しては未確認だが、「妻」と呼んでいる資料もあるので、結婚したなどと妄想してみる。
(※3) 千代の死因は、1)病気のため、2)戦乱に巻き込まれたため、3)涙を流したため、といろいろと書かれている。ムックには病気と書いていたが、そうすると最後のマリの「根の一族により殺されたものを復活させる」という場面では生き返らないと思うので、ちょっと可哀相だが、殺されたということにしてみた。


忘れられぬ千代への想い

千年のときが経った。あるとき、牢にいる極楽の前に一人の少年が現れる。そう戦国卍丸である。もう忘れかけていた、しかしとても懐かしい匂いのする火の一族だ。とても懐かしがる極楽は、卍丸と2つの約束をする代わりにここから出して欲しいと懇願する。1つは「近くにいる根の一族を片付けること」。そしてもう1つは「どんなことがあっても最後まで卍丸についていく」ということである。そして極楽はその言葉どおり、最後まで忠義を尽くして卍丸についていくことになる(カブキと比べてえらい違いだが、これまでの人生をみれば、これくらいのことはできるに決まっている)。

極楽絡みのイベントの中で、千代に対する想いが感じられる短いデモシーンは存在する。幻夢城のはまぐり姫を倒した後のイベントである。はまぐり姫は生まれたときから姿が醜い悲劇の女性である。卍丸にこんなことを言う。

はまぐり姫 「このまま醜い姿のまま死にたくない・・こんな姿に生まれてこなければ普通の女として暮らせてきたものを・・・。答えてくれぬか、卍丸・・もしもわらわが生まれ変わって・・もう一度・・・お主と・・・」

その後、極楽のセリフに注目だ。

極楽 「女ってのは、悲しい生き物だよな・・卍丸
極楽 「あんたも、もう少し歳をとったらわかるんだろうけどな」(千才を超える極楽の言う、"もう少し"ってどのくらいを指しているんでしょうかね)
極楽 「かなえられるわけもねぇ夢を男に勝手に押し付けて、てめぇは一人で往っちまう
極楽 「やっかいだぜ・・残るほうは・・

極楽 「悪いことはいわねえから、忘れちまいな はまぐり姫のことはよ」
卍丸 「いやだ」(実際はプレーヤーが[いいえ]を選ぶんですけど)
極楽 「あんたも大馬鹿野郎のクチかよ!
極楽 「じゃまぁ大馬鹿野郎二人で、暗黒ランでも切りにいくか!」

極楽の過去を顧みると、実に説得力のあるセリフである(さすが千年以上生きているだけある)。「女ってのは悲しい生き物だよな・・」なんて普通の人が真顔で言ったら、変人扱いされそうだが、極楽がいうとジンと来てしまう。千代は自分の夢を極楽に託して死んでしまった。残った極楽は千年も耐えてきた。だから、卍丸には俺みたいなバカはせずに、女のわがままなんぞ、忘れてしまえと言うのである。しかし、譲らない卍丸。それに対して、「あんたも大馬鹿野郎のクチかよ!」といっている。極楽の千代に対する思いを垣間見れるセリフである。そう、自分も大馬鹿野郎なのだ。千代は千年も前に死んでいるが、極楽にとってはまだ忘れることができない愛しい人なのだ。だからこそ卍丸の純粋な心も理解できるのである。


イベント少なすぎ

ゲーム中、さまざまなイベントシーンに遭遇するが、極楽のイベントというのは数が少ない。カブキ、絹、卍丸のそれぞれのイベントはかなりあるというのに、極楽だけほとんどないのは実に不満である。ダラダラと天外魔境をプレーしていると、極楽の深い部分はさっぱり分からずにゲームが終了してしまう。ただの力持ちでデブの火を吐いている仲間という印象で終了してしまうのである。エンディングで突然千代が出てきても、なんだかよくわからないだろう。

極楽には上記で延々と書いたような、絹にも劣らない千年のときを経た物語、宿命があるのに、それを解き明かすような重要なイベントが少なすぎる。ファンからすると、1つの章を使って極楽の過去を清算するようなエピソードが欲しかったところだ。人気からいくと、カブキや絹の方が圧倒的に高いのはわかるのだが、それにしてもこの待遇の差はどうみてもおかしい。極楽の個性の高さは特質物だと思うんだがな・・(趣向の問題を抜きにしても)。天外魔境IIはたしかに名作だとは思うが、この部分だけ俺はすごい不満だ!広井王子、なんとかならんかったのかね?


命の重み

ヨミを倒した卍丸たちは、マリから衝撃の告白を受ける。火の一族と根の一族は元々別の性質を持つものであった。しかし、それらがいつの間にか交じり合い人間という存在になったのだ。これはマリにも理解しがたい、そして予測できないことであった。マリは卍丸たち人間という存在を見て、もうジパングに神は必要ないと感じ、ヨミとともにこの世を去るという。そして、最後に根の一族によって殺された多くのものを、卍丸たちが念じることで復活させてくれるというのだ(すごいご都合主義的展開!!)。このとき極楽は、千年前に死んだ千代を念じることによって、千代を生き返らせることができた。
千代が生き返った後の極楽のセリフ。実に極楽らしい、人間味溢れる言葉で感動を与えてくれる。



「見てくれ卍丸!千年前に死んだわしの千代さんが生き返ったんだよ」
「生きてみるもんだな・・・」
「信じてみるもんだな・・・」
たとえ、みっともなくともよ・・
命ってあったけぇなぁ・・
命っていい匂いがする
命ってでっけいもんだ
「みんなおめえのおかげだ。おめえに会えてよかった・・」
「そうだ、卍丸!飯食い来てくれよ。千代さんの作る料理はうめえぞぉ。」
「男の約束だぜ!」

極楽は「命」という言葉を3回も使っている。千年間も想い続けた、たった1人の女性の命。そう、千代の「命」の重みだ。千代を千年ぶりに抱いたそのままの気持ちが伝わってくる。「暖ったかい」「いい匂いがする」「でっかいんだ」・・・千年にも渡る想いがあるからこそ、極楽にはこのセリフを言える資格があり、それを言う価値もある。カブキや絹にもそれぞれのエンディングがあるのだが、極楽のエンディングだけ別格というくらいセリフは重く、味がある。命がなにかと粗末に扱われる風潮にある今日この頃。極楽のセリフは、我々が忘れかけている命の大切さを、彼の人生そのものを賭けて教えてくれているのだ。惜しむらくは、この話がゲーム本編にあまり絡まなかったことだ。もし絡んでいれば、この言葉は何倍にも我々の心に感動を与えてくれただろうに・・・。
見た目はコミカルなキャラクターにみえる極楽(久石譲氏の極楽のテーマもコミカルだしねぇ)。しかし、注目すればするほど、このキャラクターの奥深さを感じることができるのだ。天外魔境IIはやはり偉大だ(極楽の出番の少なさを除いて)。



極楽の声を演じていたのは、「グランセイザー」でも活躍している赤星昇一郎である。俺はどうもこの人の声が気に食わない。たぶん、極楽が好きな人はみんな思っていると思うのだが、外見が豪快にもかかわらず、声が異様にか細いし、第一下手なのだ(言っちまった・・)。これは違うだろ・・と聞くたびに思う。俺なんか最初聞いたときは、ショックで気絶しそうになった(当時、声優ってうまいのが当たり前だと思っていたので)。どうも広井王子が赤星さんを選んだらしいのだが、これはさすがに失敗だっただろう(さすがに多少有名なタレントだろうから、途中で変えることもできなくなったんだろうな・・・)。当時のデブ声優定番の桜井敏治とか飯塚昭三でも使えばまだ良かったかもしれない(桜井敏治はちょっと違うかな。誰が似合うかはご想像にお任せします)。


好物?
極楽の大好物はなんといっても「おにぎり」。おにぎりをまるまる1個パックリと食べる極楽の幸せそうな顔は、我々をなんともホッとさせてくれる。これって千代さんの手作りおにぎりなのかなぁ。おにぎりがこんなに似合う純朴な男もなかなかいないね。


ファッション

極楽の服装はなかなか独特である。なにかに似ていると思っていたのだが、西遊記にでてくる沙悟浄がもしかしてモデルではないだろうか?緑色を基調とした服装、ドクロの首飾りなんか、絶対に沙悟浄から取っていると思うんだがな。
あと、極楽の揉み上げがすごい。どういう形なのかよくわからないが、なぜか揉み上げが顔に向かって伸びている。なんて斬新なデザインなんだ!!また揉み上げ萌えレパートリーが増えました。


天外魔境・真伝

極楽が登場する他のゲームというと、アーケード(NeoGeo)の天外魔境・真伝がある。これはストIIのような格闘ゲームである。このゲームで極楽を選択して最後のルシフェラーまで倒すと、千代とのデモシーンがある。なんと子供をたくさん作って(作りすぎのような気もするし、人魚とどうやってヤルのかね?←触れてはいけないことなのかも) 千代と幸せそうに暮らしているではないか(よかったね!)
(なぜか金髪っぽい子が一番左にいるのだが・・隔世遺伝?)
それと滅多に見られない極楽が兜をとった絵がある。貴重なのでせっかくプレーしたついでにサンプルとして掲載しておこう(しかし、なんか千代さんが老けているような気がするが、気のせいか?)。
ところでPC-FXで発売された「天外魔境 電脳絡繰格闘伝」というのがある。これはいわゆるカードゲームのような2Dの絵でバトルするゲームだ。オールスターキャストなどと銘打って置きながら、極楽が登場しないのである。極楽がいたら絶対に買っていただろうに・・・。制作者にはどうして登場させなかったのか小一時間問い詰めたいところだ。



ということで、極楽太郎をがんばって深く掘り下げてみました。自分でも極楽ってここまで熱いキャラだったかなぁ・・・と想ってしまいました。ちょっと想像力を働かせすぎたかもしれません。


使用している画像、台詞等はPlayStation2用「天外魔境II卍丸」、SNK「天外魔境・真伝」より引用させていただきました。著作権は株式会社HUDSON SOFT、株式会社レッドに帰属します。

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