後藤正


ゴンちゃんの魅力について、かなりがんばって妄想膨らまして考えました。



世の中で、小さなときに母親を亡くし、自分が弟を育てる立場になったという男の子は、どのくらい存在するのだろうか? 俺が考えるに、そのような境遇の人は、100人に1人もいないと思う。つまり、ほとんどの人が経験したことがない世界がゆえに、ある程度の空想や、妄想を交えて物語を作っても、皆が経験がないのであまり違和感は覚えない。「赤ちゃんと僕」は、とても現実的でシビアな物語のようで、作者がやりたいことを時にはおもしろく、時には過酷に創作している。俺は「赤ちゃんと僕」というアニメを見て、そのような印象を持った。

しかし、このアニメが単なる作者の独りよがりで、共感を得るに値しないかというと、そのようなことはない。母親を失った男の子とその家庭が、1人の赤ちゃんを育てるのに、どれだけ苦労をするのか。そして苦労しながらも、後にそれが家族愛として固い絆となったときに、とても感動できることを、このアニメは十分に表現している。

俺が「赤ちゃんと僕」を見るきっかけになったのは、web拍手で「『赤ちゃんと僕』ってアニメに、ゴンっていう結構よさそうなキャラいました」というコメントをいただいたからだ。いや〜、よかったですよ、ゴンちゃん。かわいい〜! 後ろから抱きしめて、脱がしたい!(←いきなりォィ)
ところで、俺はゴンちゃんを「デブショタキャラ」として考察してよいのか悩んだ。たしかに物語の中では、いわゆるデブキャラ的な位置づけにあるのだが、見た目はそれほど太っていない。普通体型よりも太り気味という程度だ(ゴンちゃんの服を、主人公の拓也が着れるくらいだし。半ズボンも全然ピッチリじゃないし・・)。だから、このキャラクターは厳密には「デブショタ」とは言えないかも知れない。しかし、俺はとても萌えるキャラクターなので、俺の基準で勝手に「デブショタキャラ」にしてしまいます!
ちなみに俺は「赤ちゃんと僕」の原作は読んでいない。あくまでもアニメの話での考察とする(そのうち時間に余裕ができたら読みたいと思ってます)。


キャラクター紹介

「赤ちゃんと僕」に登場する、主なキャラクターを紹介しよう。


榎木拓也(えのき たくや)
本編の主人公で小学5年生。一年前に母親を亡くす。母親の突然の死を悲しむ時間もなく、弟のみのるを母親の代わりに面倒をみることなる。当初は実をどうやって世話してよいのか分からず、泣き虫の実に感情的になることもしばしば。後には成長して、実を兄としてきちんと支えるようになる。ルックスが良く、クラスの女の子にモテる。また、スポーツ万能、成績優秀と非の打ち所がない美男子なのは、少女漫画のお約束ということか(←天は二物を与えすぎだろ、これ)。ゴンちゃんとは親友。



榎木実(えのき みのる)
拓也の弟で、第二ひまわり保育園に通う保育園児。拓也がいなくなったり、ちょっと怒るだけですぐに泣く。物語の最後まで、泣き癖が治ることはなく、毎回のように拓也を困らせていた。しかし、なぜか幼稚園ではモテモテで、そこは主人公の拓也と同じ。幼児は可愛いがここまで泣き虫でワガママだと、拓也がかわいそうで、正直見ていてムカついてくるぞ。



後藤正(ごとう ただし)
我らがゴンちゃんです。少女漫画にあるまじき3枚目の主人公の親友。後ほど詳しく解説します。



後藤浩子(ごとう ひろこ)
ゴンちゃんの妹で、顔は兄にそっくり。榎木実とは保育園の級友で「ヒロ」と呼ばれる。拓也が初めてヒロに会ったとき、リボンをしていなかったので男だと思っていたらしい。後で女の子と分かって驚いていた(実は俺も驚いたw)。泣き虫の実に惚れていて、一加とは恋のライバル関係にある。ゴンちゃんに性格が似ているのか、女の子だが男勝りなところが多々ある。無口だが、一加に「ブス!」の一言を言い放つ。ゴンちゃんとセットで、ギャグ要因にしたとか思えないキャラ設定に苦笑。



藤井昭広(ふじい あきひろ)
拓也のクラスメートで、クールな性格。みんなから「なにを考えているのか分からない」と言われているが、ルックスと運動神経は抜群である(少女漫画の王道的なニヒル役?)。バレンタインチョコや、ファンレターともに主人公である拓也と人気を二分する女泣かせの小学生。実家は6人もの兄妹がおり、拓也やゴンちゃんとは全く家庭の雰囲気が違う。兄姉から、妹の一加の面倒を押し付けられている。当初は一匹狼的な存在だったが、妹を幼稚園に迎えに行くところで、拓也とゴンちゃんとよく出会うためか、仲が良くなった。しかし、コイツは美男子で格好良すぎるだろ。



藤井一加(ふじい いちか)
藤井の妹で(6人兄弟の5番目)で、第二ひまわり保育園に通っているが、実とは別の組。なぜか実に惚れていて、ヒロと恋のライバルでいつもケンカばかりしている。園児とは思えないマセた会話が特徴。女の子として、ヒロとの顔の対比が凄すぎる。美男子の妹は美少女ってのも少女漫画ゆえか、徹底してるなぁ。


キャラクター相関図

上記のキャラクター紹介を見て分かると思うが、登場する3人の主要キャラクターである、拓也、ゴンちゃん、藤井は同じクラスメートである。そして、それぞれ妹弟を持っていて、全員が第二ひまわり保育園に妹弟を迎えにいく。各々の家庭環境や兄弟関係のあり方の違いを幼いながらも、肌で感じていくのである。




三者三様の妹弟との接し方

このアニメはいろいろなタイプの兄弟愛を描いている。

主人公の拓也はお母さんがいない。だから弟のことを生活を犠牲にして面倒を見る。学校から帰ったら、遊びに行かずにおむつを購入したり、散歩に連れて行ったり、食事の用意までしたりする。拓也は常にどうして自分だけが、こんな苦労をしなくてはいけないのかと考え、すぐに泣いてしまう弟をどう扱えばいいのか悩んでいる。しかし、拓也はとても真面目なので、子守も勉強も努力して、それらを両立させていこうとする。とにかく真面目だ。

藤井は6人も兄弟がおり、家族全員が子守に慣れている。藤井があれこれと手を煩わせなくても、家族の中で自然と自分の立場を知り、しつけをされるような家庭環境である。藤井は妹の面倒見はいい。嫌々とはいえ、きちんと保育園の送り迎えはするし、兄として妹に何をしなければならないかを分かっている。しかし、藤井家は家族均等、自分の立場を全員分かっているような感じで、藤井が妹を溺愛することはないし、愛おしく思うような描写はない。サラッと流している感じなのである。拓也から見ると藤井がたいしたこともしていないのに、妹がきちんと言うことを聞いて立派に成長しているのを不思議に思うのである。


ゴンちゃんの家は4人家族で、お店をしているために忙しい。しかし、ゴンちゃんは友達と遊びたくて仕方がないので、すぐに家を抜け出して遊んでばかりいる。妹の面倒見が悪く、ヒロを保育園に預けたのも、自分が楽をできると思ったからである。つまり子守には3人の中では一番無関心だ。しかし、ゴンちゃんと妹はなぜか仲がいい。面倒見は悪いのだが、兄妹の仲はきちんとした絆で結ばれている。

ある日、拓也が弟の食べ方があまりにも汚らしいので、怒ったエピソードがある。拓也はそのことをゴンちゃんに話すと、ゴンちゃんは妹が口に入れているおまんじゅうを力ずくで奪い取って、そのままパクパクと食べてしまう。食べ方が汚いとか、そんなことはまるで無関心で、ヒロとケンカをして接しているのである。つまりゴンちゃんの家では、細かいことを気にしていないのだ。拓也はゴンちゃんの妹との接し方を見て、学ぶところが多々あったかもしれない。


この物語に登場する3人は、3人が3様で子守で悩んでいる。だが、それぞれ皆、家庭環境も違えば、兄弟の性格も違う。だからどの育て方が一番正しいという答えはない。皆、それぞれ苦労しながら、自分の妹や弟を子守しているわけだ。拓也は一生懸命に愛情をかけても、幼児になかなか思いが届かないことを知る。しかし、ゴンちゃんは、特に愛情をかけて妹に接しているわけではないのに、仲がいい。それは明るい家庭環境と、何事にも凹まないゴンちゃんの性格が、兄妹関係を自然とうまく働かせているのだ。このような点に注目してアニメ本編を見ると、いろいろと発見ができておもしろいと思う。


性格

さて、ようやく本題をゴンちゃんに戻そう。
ゴンちゃんの性格は公式ページによると、「とってもいいヤツ。結構、純情。いつも素敵なボケをかましてくれる」とある。本編を見る限りまさにその通りで、とても友達思いな元気な男の子だ。主人公の拓也とは一番の親友であり、相談相手でもある。拓也が困っているときは献身的に力になってあげる。

また、とてもハキハキとして、サッパリしている。後腐れがない性格といえば分かりやすいだろうか? 女の子に対しては、無粋なところがあるが、本当はウブで純情。うまく接することが出来ないもどかしさが、見ていて微笑ましい。
クラスの中では、「ゴンちゃん」とか「ゴン」とあだ名で呼ばれており、親しみを持たれているのが伺える(ただし、女の子からは「ゴン」呼ばわりされて、恋愛の対象と見なされていないのが悲しいところ)。また、地声が大きくて、校庭から教室内に届きそうなガラガラ声だ。3枚目な容姿も合わせて、いかにも鈍臭い感じの子供なのだが、それがゴンちゃんの良いところだろう。いわゆる親友にしたい理想的な男の子ってヤツだ


また、後述する「くねくねダンス」に代表するように、とてもひょうきんで周りを和ませてくれるギャグメーカーでもある。ちょっと暗い拓也やキザな藤井の中にあって、ゴンちゃんの存在は飛びぬけて明るい。笑顔で元気にはしゃぐ姿がとても印象的なのだ。さらに、拓也が落ち込んで食欲がないときは、拓也の給食の分まで食べてしまう大喰らい。
つまりゴンちゃんは、クラスによくいるちょっと太り気味の快活な少年で、万年健康優良児という言葉がピッタリくる。「ギャグメーカー」、「食い意地」、「おっちょこちょい」とデブショタキャラとしては、魅力的な要素が十分に詰まっている。

ゴンちゃんは、デブというほど太ってはいないので、運動はかなり得意。やたらと色黒なので、おそらく毎日外にでて遊びまわっているに違いない。また、休み時間になるとクラスの仲間と、サッカー、野球、ドッジボールとなんでもオールマイティにこなす(ただし、肝心なところで、ドジをしまくるのがかわいい)。町内会の運動会では100m走で1位になっていたから、運動神経は良いと推察されるが、拓也や藤井に比べると劣るのは、3枚目役の宿命というところだろう(ちなみに、相撲大会のエピソードがあるのだが、ゴンちゃんが廻し姿を見せてくれればお祭りだったのに・・・。さらに廻しがポロッと・・←何の祭りだよ・・)。


後藤家の生活

後藤家は「後藤酒屋」というお店を営んでいる。お父さんが酒屋で配達をし、お母さんがお店番をしているようだ。ゴンちゃんは酒屋の長男なので、お店の手伝いを強制的にさせられる。読者の中で、実家がお店の人がどれくらいいるのかは不明だが、子供にとって店の手伝いをするほど嫌なことはない。なぜなら、他の子供が遊んでいる一方、自分は遊ぶ時間を奪われてまで、一見して何の得にもならない手伝いをしなくてはいけないからだ。

ゴンちゃんは毎日、野球やサッカーで遊んでいる。家に帰ったらランドセルを放り投げ、親の目を盗んで遊びにいっているのだろう。しかし、ゴンちゃんのお母さんはとても強い。逃げ出すゴンちゃんを殴りつけたとか思うと、「店の手伝いをしろ」とか「妹のヒロの面倒を見ろ」と教育する。ゴンちゃんは、全然可愛くないヒロの面倒を見たくないと言うが、そこは家族の決まりごとがあるらしい。ゴンちゃんはふて腐れながらも、ビールケースを軽トラックに載せたり、店番をしたり、妹を保育園まで迎えに行ったりと、それなりに手伝いをしているのだ(たぶん手伝わないと、メシ抜きです! 大飯喰らいのゴンちゃんには、過酷ですね・・)。


実は商売人の息子というのは、分別をわきまえた子供になる。なぜならば、店番をすることは、お客さん(他人)に対する接し方を学ぶことと同じだからだ。「いらっしゃいませ」とお客さんに挨拶し、「ありがとうございました」と敬語を使ってきちんと礼をする。社会というものがいかなるものか、子供にして学ぶことができるのだ。一見がさつなゴンちゃんの性格だが、拓也の家庭のことを思いやったりする優しい性格は、このような商売の場から生まれているのかもしれない(ちなみにいままで考察したキャラクターでお店で接客しているのは、三沢健太、花田菊の助、向太陽、田所。なんとなく共通する部分があるようにも思えますね・・)。


遺伝

後藤家は、主人公である榎家の次によく登場する。後藤家には、お父さんとお母さん、そして長男のゴンちゃんと、妹のヒロがいる。主人公の拓也の家は、お母さんがいなくて華がない家庭に描かれているのに対し、ゴンちゃんの家はお店を経営していて、いつも賑やかだ。商売人だから分からないが、お父さんとお母さんの声も大きく、明るい家庭なのである。

ところで、後藤家の顔立ちには、とても特徴がある。細い紐が寄り合わさったような薄いマユゲ。くっきりと太い一重のまぶた。そして小さくて円らな瞳。ふくよかな輪郭。すっかり頭がハゲてしまったお父さん(ゴンちゃんも将来が危ない)と、ゴンちゃん、妹のヒロの3人は顔立ちがそっくりである。拓也が、妹のヒロを見たときに心の中で爆笑していたように、この物語の中ではおもしろい顔ということなんだろう(美少年の拓也はけっこう失礼なヤツなのだ←ォィ)


第27話で判明するのだが、実は後藤家には、静岡におじいさんとおばあさんがいる。おじいさんは写真を見る限りかなりの美男子で、近所でモテモテだったらしい。一方のおばあさんはというと・・・。おばあちゃんがゴンちゃんにそっくりなのである!(拓也がおばあちゃんを見て、思わず笑ってしまうほど←拓也はまたまた性格悪いぞ!)。つまり、おばあちゃんのDNAを受け継いで、お父さん、ゴンちゃん、ヒロがみんな"あの顔立ち"になってしまったのだ。設定としてはおもしろいのだが、ゴンちゃんが妹のヒロを「全然可愛くないから面倒を見たくない」というのも同情できる。


くねくねダンス

ゴンちゃんの特技は、自らあみだした「くねくねダンス」。両手を左右に伸ばして、波を打つようにヒラヒラとと曲げる。そして、同時に体と腰を振って全身をクネクネさせる。出来の悪い盆踊りみたいなものかもしれないが、ゴンちゃんがやると妙に場が和む。
ゴンちゃん曰く「心が落ち着かせる方法」がくねくねダンスらしい。しかし、どうも見ていると「心が落ち着く」というよりは、自分の気分が高揚したときや、場を盛り上げるときに出すのが、くねくねダンスのようだ。


どうしてゴンちゃんが「くねくねダンス」をするようになったのか? これは本編では語られていない。原作者の羅川真理茂さんに聞かなければ分からないが、俺なりに推察してみるとしよう。以前「菊の助」を考察したときに、デブショタキャラに対して以下のような意見を書いた。

『デブキャラというのは、それ自体で身体的な特徴がある。わざわざ決め台詞を使わなくても、「デブであること自体」がそのキャラの特徴と存在感につながっているのだ。だから、デブキャラが準主役級として、2人も3人も登場するアニメはほとんどない』

ゴンちゃんは「デブ」というほど太ってはいない。どちらかというと太めという程度で、普通の元気が良くて、快活な少年というイメージだ。ゴンちやんは、生真面目で勉強が出来る拓也や、格好のよい藤井とは対照的に、ちょっと出来の悪いおっちょこちょいな子供として描かれている。
まして、このアニメの原作は少女漫画であり、ゴンちゃんのような容姿のキャラクターは女の子に受け入れ難い存在でもある。拓也や藤井の存在に埋もれてしまうキャラクターなのだ。そこで作者さんは、ゴンちゃんにインパクトを持たせるために、「くねくねダンス」を入れたのではないだろうか?

実際にくねくねダンスを踊るゴンちゃんは、見ているこちらがキュンキュンするほど愛嬌抜群だし(女性読者にウケがいいのかは不明)、ギャグメーカーとしても申し分のないパフォーマンスを見せていおり、存在感抜群である。デブキャラはただ太っているだけではなく、愛嬌のある決まり文句や、決まりポーズがあってこそ型にハマるという王道を、このアニメ(原作)もしっかりと守っているのかもしれない。


服が毎回変わる

このアニメの特徴は、登場人物の洋服が毎回のように変わるという点だ。しかも、同じ回で違う服を着ている場面も多数あり、まさか同じ日に何度も服を着替えるのだろうか?(←おかしいですね・・)。
ゴンちゃんの場合、夏は基本的に半ズボン。この半ズボンが萌え(冬は残念ながら長ズボンです・・元気がいいから半ズボンでいいのに!)。上半身の服は、緑のTシャツ、ピンクのシマシマと、水色のボタンシャツ、白いパーカー付トレーナー、ピンクのシャツ、おまけに体操着やら、ここに掲載できないほどいろいろな服を着ている。ここまでいろんなコスを見せてくれるキャラクターは初めてだ(残念ながら裸はなし!)。

ゴンちやんのファッションの一部↓


ある意味、ゴンちゃんのいろんなファッションを見ることができて楽しいのではあるが、実はこれはあまりよろしくない
アニメのキャラの萌え要素の1つが、コス(コスチューム)である。簡単にいうと洋服なのだが、アニメの登場人物は基本的に洋服は毎回同じである。これは実際の男の子とアニメの男の子(3次元と2次元)の決定的な違いである。アニメはセル画を使いまわしすることが多い。よって制作費の関係で服は基本的に同じにするのが常識だ。また、アニメを制作するときにキャラクターの原画設定があり、キャラクターの洋服はほぼ固定されているのが常識ともいえる。制作費や労力という現実的な問題が、皮肉にも2次元キャラのコス萌えを発生させているのである

いままで考察してきたキャラクターや、読者の好きなキャラクターを思い出してほしい。そのキャラクターには必ず決まった服があり、その服を着たキャラクターをすぐに思い浮かべるばすだ。例えば、柴山純平は「青いツナギ」。海野千太は「白い水兵服」。白金太郎は「白いパーカー付シャツ」。秋道チョウジは「食の字のシャツ」と言った具合だ。アニメのキャラクターのコスは、そのキャラクターの代名詞となる。要するにコスは、そのキャラクターのイメージそのものなのだ。
だから俺は「ゴンちゃん」というキャラクターをイメージしたとき、どの服を着ているのかイメージがパッと沸かない。固定されたイメージがあってこそ、そのキャラクターに萌えるのである。ゴンちゃんを着せ替え人形のように、毎回違う服を着せたスタッフの努力は賞賛に値すると思うが、萌えの観点からすると、「これがゴンちゃんだ」という服を1つ決めてほしかったのも事実だ。


拓也へのコンプレックス

主人公の拓也とゴンちゃんは一番の親友だ。誰かが拓也に母親の自慢話をすると、ゴンちゃんはまるで自分のことのように怒る。そんなところからも、彼が母親のいない拓也の境遇を、最も理解しているのが伺える。

拓也とゴンちゃんは親友だが、性格はまるで違う。拓也は母親の代わりに赤ちゃんを育てる真面目な子。学校では勉強が優秀で、運動神経も抜群で、女の子からモテモテである。一方のゴンちゃんは、赤ちゃんは基本的に放置状態。学校では勉強はできずに拓也の答案をカンニング(笑)、運動神経は悪くないが、拓也には及ばない。そして、がさつでデリカシーのない性格のために女の子には全くモテない。正直に言って、ゴンちゃんが拓也に勝る点はなにもない。

性格がかなり違う2人なのだが、なぜかぴったりと馬が合う。拓也は、毎日泣き続ける弟をうまく躾けることができず、思い悩む。おそらく拓也は、自分で思うほど自分がしっかりしていないと感じている。だから落ち込んだときに、明るく元気づけてくれるゴンちゃんをとても頼りにしている。


そして、ゴンちゃんはなんでも出来てしまう拓也に頼りにしている反面、コンプレックスと劣等感を感じている。しかし、拓也の目の前ではそんな素振りを見せることはない。拓也はとても真面目で他人にとても気を遣う。もしコンプレックスのことを知ったら、拓也は只でさえ赤ちゃんのことで大変なのに、さらに悩んでしまうかもしれない。だからゴンちゃんは、自分よりも優秀であるはずの拓也を、自分のできる限りの力で励ましている

ゴンちゃんのコンプレックスが明確に分かるのは第3話と第18話、そして第29話。特に第3話ではそれが言葉として現れている。第3話でヒロの面倒をちっとも見ないゴンちゃんに対し、母親がついに怒りを爆発させる。

母親 「タダシーッ! ヒロの面倒見ろって言ったのに、また遊びに行ってたね?」
ゴン 「そんなこと言ったって、俺は俺で忙しいんだよ!」
母親 「拓也くんはちゃんと実君の面倒見てたわよ」
ゴン 「こんな可愛くないヤツの面倒、誰がみるかーっ!」
母親 「明日は日曜なんだから、一日中ヒロの面倒を見なさい」
ゴン 「そんな、あんまりだ!」
母親 「本当にこの子は拓也君とは大違いなんだから。
  ヒロも拓也君みたいな人がお兄ちゃんだったら幸せだったのにねぇ」
ゴン 「本当にそう思うんだな!?」


日曜日、ゴンちゃんはヒロを初めて拓也の家に連れて行く。ゴンちゃんが拓也にヒロを見せると、あまりに似た兄妹の顔に、心の中で爆笑の拓也(←またもや何気に性格が悪いぞ)
そして、ゴンちゃんはそのままヒロを拓也の家に預ける。拓也は、「ゴンちゃんは、ゴンちゃんで家の手伝いで忙しいんだ」と1人納得するのだが、当のゴンちゃんは、家でテレビゲームをして遊んでいる。
(しかし、この顔でヒロが女だというのは、あり得ないですね・・・)


そんなゴンちゃんを見て、母親がまたもや爆発。それに対してゴンも本心を打ち明ける。

母親 「タダシー!」(といって思いっきり殴る)
ゴン 「痛えな! いきなりなんだよ!」
母親 「ヒロはどうしたんだい?」
ゴン 「ちゃんと面倒見のいいところに預けてきたから心配するなよ」
母親 「アンタって子は!それでもヒロのお兄ちゃんなの!?」
  「少しは拓也君を見習ったらどうなの? ヒロが可哀想でしょ」

ゴン 「だから可哀想じゃないように、拓也のところに置いたきたんだよ!」
母親 「なんでそんな真似をしたんだ!」


1人、畳に座り落ち込むゴンちゃん。

ゴン 「だってよ・・母ちゃん言ったじゃないか。
  拓也みたいなのがお兄ちゃんだったら、ヒロは幸せだって。
  だから、俺のところにいるよりは、拓也のところにいる方がいいと思ってよ・・。
  確かに、拓也がお兄ちゃんだったら自慢だよな・・。性格いいし、頭いいし・・。
  クラスの女子にも人気あるしな。弟の面倒も家の手伝いも立派にこなしてるよ。
  そんな男と比べられる、ダメ男の気持ちも考えくれよ。
  何かって言うと、拓也君、拓也君ってよ・・。うっ・・うっ・・」

母親 「それじゃ、お前は拓也君が好き好んで、弟の世話をしていると思っているのかい?」
ゴン 「うっ・・」
母親 「拓也君は、そうしなきゃいけない状況にあるんだよ。そんなことも分からないのかい?
  それなのに、拓也君は泣き言1つ言わないで、会えば明るく挨拶するし。
  拓也君のこと、わかってあげなきゃ。お前のは単なるわがままなんだよ。」

ゴン 「うん・・」


そのあと、ゴンちゃんは元気よく家を飛び出し、拓也に「ごめんな」と謝る。「なんでゴンちゃんが謝るの?」と不思議がる拓也だったが、ゴンちゃんは理由を言わずに、ヒロを自分の元に連れてくる。それまで笑顔1つ見せなかったヒロは、ゴンちゃんに抱かれて喜んだ。ヒロはずっと兄であるゴンちゃんのことを泣かずに待っていたのだ。それはゴンちゃんが少し大人に成長した瞬間だっただろう。


少女漫画は残酷

「赤ちゃんと僕」は原作が少女漫画であることから、女の子から見た男の子像や、どのような男の子がモテるのかというシビアな話が随所に見受けられる。
ゴンちゃんはがさつな性格だが、基本的には女の子にモテたいと思っている。これは男ならば当然のことだ。しかし、ゴンちゃんは見た目は3枚目で、クラスの女の子に「お前のガラスの女心は、どうせ防弾ガラスだろ」と不躾なことを平然という、デリカシーの欠片も無い男の子だ。もちろんゴンちゃんの発言に悪気はない。しかし、こんなことを言ってはモテるわけもなく、女子たちには「ゴンはあっちいけ!」と嫌われる。たぶんゴンちゃんは、女の子に接するのが苦手というよりは、女の子の扱い方が全く分からない男の子なのだろう。

第29話でバレンタインデーの話がある。この日は、ゴンちゃんが最も憂鬱な日。なぜならば、ゴンちゃんはいままでバレンタインデーでチョコレートをもらったことがないからだ。朝から、自分の下駄箱にチョコレートが入っていないか気にするゴンちゃんだが、相変わらずチョコレートは1個ももらえない。
その日、ゴンちゃんは1個もチョコレートをもらえなかった。親友の拓也はチョコレートを9個、藤井は7個ももらっているのだ。さらに拓也は本命チョコを大量にもらいながら、それが本命じゃなくて義理チョコだと思い込んでいるのである。ゴンちゃんの心はグサグサ。もうこの主人公は犯罪者だろ。あぁ、なんという美少年至上主義アニメ!

結局ゴンちゃんは涙を流して、家に帰るのである。さらに哀愁を誘うのが、家に帰った後である。家に帰ったゴンちゃんを待っていたのは、妹のヒロだった。ゴンちゃんは、妹のヒロが手作りした小さなチョコレートをもらう。ゴンちゃんはそのチョコを2つ割り、妹と半分ずつ泣きながらチョコを食べるのだ。


←「うおーっ!このチョコレート、すっげーうまいぞ!ヒロ!」


くねくねダンスをしながら、涙を流して喜ぶゴンちゃんの姿。こっちが泣きたくなってきました。


しかし、ゴンちゃんの悲運はこれだけでは終わらない。第18話でゴンちゃんは、隣のクラスの槍溝さん(また微妙な名前だなぁ・・)という女の子に一目惚れをする。

←変態魔性女「ヤリ溝」(ケツをヤラれないように注意!←ォィ)。


ところが、この槍溝さん、「逆セクハラ〜」などとわめいて、男子のお尻を触りまくる変態女(だから"ヤリ"みぞなのか?)。まさかこんな悪趣味女とも知らず、ゴンちゃんはデートを決行するのだが・・。その結末がまた悲惨。「くねくねくねくね・・痛いよーっ・・くねくねくね・・胸が・・痛いよーっ!」というゴンちゃんの悲痛な叫びが、そして影だけが悲壮なくねくねダンスを踊る演出が、いまでも俺の脳裏にこびりついたままだ。
翌日、くねくねダンスをするゴンちゃんに対し、拓也は平然と「ゴンちゃんは次の日笑って登校していた」、「僕にはゴンちゃんが、ちょっと大人になったような気がした」などとナレーションを入れていたが、ゴンちゃんは身も心もボロボロだったはずだ! なんという美少年至上主義アニメ!



(ちなみに、デートの翌日に無神経にゴンちゃんのお尻を触りまくるヤリ溝は、デブ専魔性女に決定です! そのうちにゴンちゃんのケツ穴に指突っ込むぞ。どうせなら俺に触らせろ!)

俺は数多くのデブショタキャラと女の子の恋愛を見てきた。
まず間違いなく、デブショタキャラは意中の女の子とは結ばれることはない。前回に考察した「玄田ゲン」を除き、女にモテるデブショタキャラは皆無なのだ。しかし、なんらかの救済措置があるアニメが多い。それは例えば、デブキャラが他の女の子と結ばれたり、魔性の女が主人公にふられたりと、まだデブキャラに対して寛容な部分があるのだ。スタッフも鬼や悪魔ではない。デブキャラとて、あまりに壮絶で無慈悲な結末は迎えないのである。

しかし、少女漫画をベースにしたアニメは残酷だ。これは「三沢健太」を考察したときもそうだったのだが、ともかく3枚目のキャラクターには容赦がない。少女漫画をベースにしたアニメを見るときは、まずデブショタキャラが幸せになることはない。これは不変の法則と勝手に断定する。だから、少女漫画系にこちらが感情移入するようなデブショタキャラを出すときは、最低でもまともな女の子からチョコの1つでも、貰えるな救済はしてほしい。俺の心が痛くなってしまう(くねくねくね・・心が・・痛いよーっ! 大きな星がついたり消えたりしている・・になっちゃいます!)。



ゴンちゃんのCVは亀井芳子さんがされていた。大きくてガラガラした声がピッタリで、かなり好印象を持ったのだが、この方の名前は聞いたことがなかった。調べてみると、「デ・ジ・キャラット」のゲマや「レレレの天才バカボン」のバカボンを演じているらしいのだが・・。


最後に

ゴンちゃんは作画によっては太ってる回があったり、痩せている回があったりと、デブショタというには微妙なキャラクターである。しかし、俺はゴンちゃんのような、ちょっと小太りで元気に走り回る、昔ながらのガキ大将みたいなキャラクターが大好きだ。今後のアニメにも、このようなキャラクターがたくさん登場することを期待したい。ゴンちゃんの萌えポイントは、元気さ+ガラ声+くねくねダンスの3hitコンボということで。



使用している画像、台詞等は「赤ちゃんと僕」VHSビデオより引用させていただきました。著作権は羅川真理茂、白泉社、テレビ東京、スタジオぴえろに帰属します。

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