バスの中で、天城と関係をもってしまった影山だったが…。
登場人物
天城と影山。先輩、後輩の関係。
──その日、家に帰った後・・。
ボクは何も手につかなかった。
バスの中で触った天城先輩のアソコの感触。
短いけど太くて硬い感触。
まだ忘れることができない。
ぬくもりが残っているボクの右手。
この手が先輩のアソコを握っていたかと思うと、それだけで興奮してしまう。
夕食を食べて、自分の部屋に戻る。
母親に勉強をしろと言われて教科書を開いてみたものの、何も手につかない。
ベットと机と椅子とかない殺風景なボクの部屋は、いつもと何も変わりがないのに。
頭の中は、天城先輩の笑顔でいっぱいだった。
ボクは本当に天城先輩のことが・・。
好きで好きでたまらなくなってしまった。
「続きは・・来週のバスの帰りだド・・」
──ムリです・・。
来週まで待てません!
あぁ、先輩の言葉が何度も頭の中を駆け巡って・・。
頭がショートするほど天城先輩のことが気になって、頭が沸いてしまいそう・・。
今度のバスの帰りでは、ボクはどうしたらいいんだろう。
また先輩の隣に座って、そして・・・。
ボクはまた先輩に抱き着いて、太ももに触って・・・。
先輩の大事な部分を・・。
想像しただけで、ボクは興奮してしまう。
──先輩はいまどう思っているんですか?
今この瞬間、ボクのことを考えてくれてるんですか?
できることなら、メールで・・いや電話で話をしたい。
先輩の声が聴きたい。
先輩の心。先輩の本当の気持ち。
ボク、今日は少しだけ先輩の気持ちが分かって、すごい嬉しいんです。
たぶん、先輩とこれからもずっとうまくやっていけるはずです。
だから、先輩ともっと話したい、2人っきりになりたい。
ボクはベッドで横になり、自分のアソコをギュッと抑えた。
(天城先輩・・・)
先輩のモノの感触を思い出し、簡単に射精してしまいそうになる。
ボクは一呼吸おいて、枕元に置いてある携帯電話に手を伸ばした。
そしてボタンを押して、「連絡先」の欄をタッチする。
画面には、あまり多くないボクの友達のリストが並んでいた。
「あ」の行にある文字を探す。
──「天城先輩」
そう書かれた行で画面のスクロールが止まり、ボクはその行をタッチする。
天城先輩の携帯番号が表示される。
ここをタッチした瞬間、天城先輩に電話をかけることができる。
天城先輩・・。
(どうしよう・・)
なんでもいい。
天城先輩と話す理由を探してみる。
今日のサッカーの試合のこと、勉強のこと、バスの中のこと・・。
いや、バスの中のことは恥ずかしくて、とても切り出すことはできない。
あ〜、どうしたらいいんだ!
あーでもない、こーでもない。
ずっと天城先輩に電話をする理由を考えていたら、電話をするのも失礼な時間になってしまった。
なにをやっているんだろう、ボクは。
自分でも情けないほど、空回りしている。
天城先輩の声を聞きたいだけなのに、そんなこともできないボクは小心者だ。
仕方ない、明日の練習を楽しみにして寝よう。
ボクと天城先輩には、まだ時間があるのだから。
そうだ、時間はいくらでもあるんだ。
・・・・。
・・・。
──次の日。
いつものように放課後にサッカーの練習をしていた。
もちろん、大好きな天城先輩と一緒だ。
「影山いくド!」
「はい、先輩!!」
先輩は相変わらず大きな体を揺らして、器用にボールを扱っていた。
ボールを豊満な胸でトラップして、インサイドキックでボクにパスをする。
ボクはそのボールをしっかりと受け止めて、天城先輩に蹴り返す。
すると天城先輩もパスを受け止め、またそれを返す。
いつもと同じことをしているのに、今日は何か違った。
なんだかすごい楽しい。
天城先輩からのパスが、まるでボクの想いに応えてくれている・・そんな感じがした。
──先輩はいま、どんな気持ちでパスを送っているのだろう。
先輩のことばかり考えていた。
すると突然、ボクと天城先輩の間に割り込んで、ボールをかすめっとったヤツがいた。
狩屋だった。
「2人とも仲がいいですね〜」
狩屋のいやらしい声だった。
ボクは何が起こったのか分からず、思わず声をあげた。
「ちょっと、ボールを返してよ!」
すると狩屋はドリブルをやめ、ボールを足裏でキープしたまま立ち止まった。
ニコッと含み笑いをしたように見えた。
「あのさぁ、お二人さん。昨日のバスで変なことしてませんでした?」
「なっ・・!」
ボクは一瞬、顔から血の気が引く思いがした。
天城先輩に視線を向けると、先輩も動揺しているのか額に汗を浮かばせているようだった。
先輩は表情を隠すことがヘタだから、狩屋はその表情から何かを勘付いたかもしれない。
狩屋はニコッと笑い、そしてボクに話しかけてきた。
「影山ぁ、なにをビビッてるの?」
「いやその・・・」
一瞬、狩屋から「クッ・・」と笑いを堪えるような声が漏れた。
「いまさらだなぁ。みんな知ってるぜ。お前が天城先輩にベタ惚れだって」
ボクはさらに全身から血の気が引く思いがした。
「な、な、なにを・・・」
言葉が詰まって何も言えなくなった。
黙ってしまったボクに、天城先輩がドシッと地面を蹴って、怒鳴りつけた。
「狩屋、変なこというなド! 俺が勝手に影山を振り回しているだけだド!」
「そうなんですか? ま、俺には関係ないですけどね!」
そういうと、狩屋はドリブルしたまま、霧野先輩のところへ走っていってしまった。
──ウソだ。
まさか、狩屋が昨日のバスの中の出来事を知っていたなんて・・!
しかもボクが天城先輩のことを好きだって、みんなが知っている・・?
ボクはどうしたら良いかわからなくて、ボーゼンとした。
すると、天城先輩が声をかけてきた。
「影山、気にすることないド。以前にも俺は狩屋に騙されたことがあるド」
「は、はい・・」
そういわれても、ボクは狩屋の言葉がずっと頭の片隅から抜けなかった。
ボクは先輩と練習をするのが怖くなってしまった。
その後、ボクはサッカー部のみんなの視線を感じるたびに、なにか気まずくなった。
自分に向けられる視線は、まるでボクの心をすべて見透かしているようだったからだ。
・・・・・。
ボクはその日の夜、ずっと落ち込み、悩んだ。
──ボクは天城先輩が大好き。
でも、もしボクと天城先輩がバスの中でしていたことが、バレていたら・・・。
ボクは考えた。
少し天城先輩と距離をとるべきでは・・。
だって、ボクの勝手な感情は、天城先輩にとっても迷惑なことになるんじゃ・・。
だからこれ以上、先輩とベタベタしないほうがいいのかもしれない。
でも先輩と一緒にいたい。逞しい腕を掴んで放したくない。
自分でもどうしたらいいのか、分からないまま眠りについた。
次の日から、ボクと天城先輩のあいだに、どんよりとした溝ができた。
いや、正確にいうとボクが溝を作ってしまったのだ。
ボクは西園さんとパスの練習を始めた。
天城先輩はそんなボクの姿を見て、少し気を落としているようだった。
先輩は車田先輩と練習を始める。
ボクはチラチラと先輩のことを気にしたけど、話しにくい状況だった。
先輩も、昨日の狩屋の発言に気を遣っているのか、ボクを振り回すのような言動をしなくなった。
そして試合の帰りのバスでは、ボクは天城先輩と一番後ろの席に座るものの、座席ひとつ分離れた。
先輩の腕にしがみついたり、抱きついたりすることは他人の目が怖くてできなかったから。
──「続きは・・来週のバスの帰りだド・・」
そう、「来週のバスの続き」はもう二度とできなくなってしまった。
先輩、本当にごめんなさい。
ボクは一体どうしたら・・。
一か月ほど経ったある日・・。
その日はサッカーの練習が休みだったので、ボクは帰ろうと下駄箱をあけた。
すると靴のそばに一枚の紙切れが置いてあるのに気が付いた。
なにかのイタズラかと思ったけど、念のために紙を広げてみると・・。
──「来週のバスで続きをするド。何も怖くないんだド」
まさか・・先輩からの手紙だった。
先輩は、ボクのことをずっと気にかけてくれていたんだ・・。
そう思った瞬間、ボクの涙腺が緩んだ。
手紙から天城先輩の想いが伝わってくる。
ボクは手紙を持ったまま、涙を我慢して、それでも溢れるものを拭いながら家に帰った。
部屋に閉じこもり、手紙を何度も何度も口に出して読んだ。
天城先輩の字は、あまり綺麗ではないが、先輩らしく大きくぶっきらぼうな字だった。
その字を見ていたら、とても心が暖かくなって、先輩の顔で脳裏に浮かんだ。
この手紙をどういう気持ちで書いたんだろう。
・・・・。
先輩はボクのことを・・先輩の気持ちが知りたい・・。
「来週のバスで続きをする」ってことは、先輩のアソコを触るってことだ。
想像しただけでボクの股間は勃ちあがり、そして衝動を抑えられなくなった。
あのときの興奮が、いまでも脳裏にこびりついている。
先輩の股間の感触・・。
でも、同時に不安もあった。
もし狩屋や、他の人たちにこのことがバレてしまったら・・。
不安と期待が入り乱れながら、次の試合を迎えた。
ほんのもう少し続きます。