マッドの奇襲攻撃に不覚をとったベンケイだが・・?
登場人物
ベンケイ。マスクドブルと名乗りプロレスに乱入。
マッド。賭けプロレスのチャンピオン。180cmを超える大男で体重150kg。
ベンケイが体を丸めてうずくまる様子を見て、マッドはあざけり笑った。
「おい、マスクドブル!」
「ハァ・・ハァ・・」
「返事もできねーのか!? ガーハハハッ、弱い弱い、弱すぎるぜ!!」
「ハァ・・う、げはっ・・」
「額の猛牛マークはただのハッタリか? マメ粒みたいなチンチンのブルさんよ!」
「・・・」
「観客の意向で、お前さんをリングの上で公開処刑することにしたぜ。しかも一方的になぶり殺しだ!」
「・・・なんじゃと・・」
覆面の下でベンケイは激痛に顔をしかめ、苦い胃液を飲み込んでなんとか立ち上がろうとする。
少しでも休息が取れれば、まだ反撃が可能・・かもしれない。
必死にコーナーのロープを掴む。
しかし、マッドは相手が回復するのを待つほど甘い男ではなかった。
「おらおらおら、なにボケッとしてやがる!」
「ハァハァ・・ロープじゃ、ロープ・・」
「賭けプロレスにロープなんかねーんだよ! もうちょっと勉強しろや、小僧が!」
津波が押し寄せるような勢いで、ベンケイに詰め寄るマッド。
完全に動きが止まったベンケイに容赦ないストンピング攻撃を加える。
足裏30cm以上はある偏平足で、ベンケイの腹の柔らかそうな部分を、何度も何度も蹴りまくる。
「おげっ、ぐあっ!!」
「おらおら!! チンタラしてんじゃねーよ!」
すでに痛めているベンケイの内臓を弱点と見て、集中的に蹴りまくった。
「おええっ、げええ!」
このまま腹を攻撃され続ければ、内臓が完全に破壊されてしまう。
まったく反撃するチャンスがないベンケイは、たまらずに背中をむけて、うつ伏せの状態になった。
相手に背中を向けて体を丸めるしか、マッドの攻撃から逃れる方法がなかったのだ。
「なんだぁ、許してくれってかぁ? ふざけんじゃねーぞ」
マッドは容赦しない。
今度は背中を激しくストンピング攻撃。
空から槍が降ってくるような攻撃に、ベンケイは学校でいじられる子供のようにうずくまり、頭だけはなんとか死守する。
「どうした、どうした! 最初のマイクパフォーマンスはこけおどしか!?」
「があああっ、タッ、タンマじゃっ」
「タンマなんかあるわけねーだろ。いい体してるんだからよぉ、ちっとは反撃してみろ!」
(ぐゃああああ! 本当に殺される・・・どうしたらいいんじゃい・・)
ベンケイの背中は、ガッチリとした筋肉で覆われていたが、マッドのストンピング攻撃を守る防波堤にすらならない。
「ひぃっ、わあ、あえっ!」
泣いているんじゃないかと思うような、悲痛な声をあげるベンケイ。
これはプロレスといえるのか?
<晒せ、晒せ!>
<ぶっ殺せ!>
無抵抗な者を一方的になぶる行為に、観客たちの興奮もますますヒートアップしていく。
「これで地獄に行けや!」
次にマッドが取った行動は、その巨体からは考えられないものだった。
ベンケイのすぐ近くにあるコーナーポストに素早くよじ登り、リングに対して背中を向ける。
その状態からジャンプし、
バック転をしながら、リングの上にうつ伏しているベンケイの背中に全体重をかけてボディプレス。
プロレスでいうムーンサルトプレスだ。
「ぐえええええっ!」
150kgはある全体重がベンケイの背中を直撃し、息ができなくなる。
「ヘヘッ、地獄がみえてきたかい?」
ベンケイは、理科の実験のカエルのように、リングでブルブルとうつ伏せで痙攣していた。
あまりの衝撃に体が麻痺したような感覚になり、思うように動くことが出来なかったのだ。
「おらおら、お寝んねするのは早えーんだよ!」
マッドは立ち上がると、ベンケイの体を何度も踏み潰し、余裕の笑みを浮かべる。
ベンケイは激痛の走る背中に手を回して、息も絶え絶えになっていた。
「うがぁ・・ああっ・・」
「まったくつまんねーな。リングの中央に来てもらおうか」
悪魔の笑みを浮かべたマッドは、再びベンケイの足首を持ち、リングの中央に引きずり出す。
ヨレヨレになった老犬のように、ベンケイは仰向けにさせられて、体をズルズルと引きずられる。
「観客のみなさーん、いよいよブルの粗チンを晒しますぜ!!」
観客からザワザワというわめき声が聞こえる。みな興味津々のようだ。
いまのベンケイは、左右の平衡感覚がなくなり、自分がどこにいるのかすら分からない状態だった。
そんなのベンケイのパンツを脱がすことなど、マッドは目を瞑ってできる作業に等しかった。
マッドは、ベルトの部分を掴むと「えいやっ」の掛け声とともに、ジーパンを一気に足首まで脱がしてしまったのだ。
「次はパンツだ!!」
マッドは鼻息を荒くしながら、ベンケイの子供用とは思えないほど大きいトランクスに手をかけて左右に引きちぎる。
<おおおおっ・・・>
観客からゴクリという生唾の音。
そして、冷ややかな嘲笑。
「コイツ、マジで毛が生えてねぇぞ! 本当に小学生だぜ、ハーハハハッ!!!」
マッドはベンケイの陥没気味の小さいチンチンを見て、あざけり笑った。