ベンケイで小説を書いて欲しいというリクがあったので、がんばって書いてみました。とりあえず、ありがちなストーリーです(^^;
登場人物
ベンケイ。真っ直ぐな性格で力は強いが単純でお人よしで世話焼き。
盾神キョウヤ。一匹狼のベイブレーダー。デブ専でクールな面と喧嘩っ早い面を合わせ持つ。
「てめぇ、もう一度言ってみろ!」
「何度でも言ってやるよ。俺は格下の相手とは戦わない主義だ」
「ぬぅ!」
鉄橋がかかった河川敷で、2人の少年が言い争いをしていた。
いや、一方的に太った少年が、細身の少年に食って掛かっている。
しかし、細身の少年は大声にも動じず、威風堂々としていた。
2人はしばらく睨みあっていたが、
やがて細身の少年は腕を払いのけ、ポケットからベイブレードを取り出した。
それは緑色のベイブレード。
不敵な笑みを浮かべながら、太めな少年にサラリと言ってのけた。
「俺の気まぐれに感謝しな」
「ふ、ふざけんなぁ!」
両者、構えに入る。
──キョウヤとベンケイ。
それが2人の名前。
狼のような風貌でいて、なにより近寄りがたい雰囲気を持っているのがキョウヤ。
ガタイがよくて、大きな声を張り上げる熱血漢な少年がベンケイだ。
一体、何の因縁がこの2人をめぐり合わせたのだろうか?
「ゴー、シューッ!」
合図とともにキョウヤから、緑色のベイブレードが放たれる。
ベンケイは一瞬遅れたが、オレンジ色のベイブレードを自慢の怪力で力一杯に打ち出した。
まっすぐにぶつかり合う、2人のベイ。
──シャキーン!
金属が擦れるような、甲高い音。
最初の激突で勝ったのは、パワーに勝るベンケイだった。
「ハハハッ、口ほどにもないわい!」
ベンケイは最初の勢いにのって、一気にキョウヤのベイに襲い掛かる。
前後左右から強烈なアタックだ。
激しい金属音が響き渡る。
しかし、キョウヤの目は冷ややかだった。
「パワーはあるが・・」
「なに!?」
「それだけだ」
「なんじゃと!」
ベンケイの武器は、自らの巨体を活かしたパワー攻撃。
ベイを放つときに自分の体重をかけて、ベイの回転力をあげる。
そうして放たれたベイは、強烈なスピードと回転を得て、相手のベイをあっという間に蹴散らしてしまう。
それがベンケイの戦い方だった。
単純明快、パワーで押して押して押しまくる。
しかし、キョウヤはベンケイの攻撃を受け流し、彼の実力を見極めていたのだ。
「ぬぅぅ・・なぜじゃい・・。どうして弾き飛ばせんのじゃ!」
ベンケイはキョウヤのベイに攻撃を仕掛けるが、はじき飛ぶ様子はない。
「俺のレオーネは防御型。その程度のパワーで勝てると思ったのか?」
「な、なに!?」
「行け! レオーネ!」
キョウヤの掛け声に呼応するがごとく、レオーネは残虐な牙をベンケイのベイに向ける。
砂塵が巻き起こるように急回転をしながら、アタックをかけた。
「ああ!」
一瞬の出来事だった。
ベンケイは何もできずに、ベイを弾き飛ばされたのだ。
「俺のベイを弾き返すじゃと・・」
「ヘヘッ・・じゃあな」
キョウヤは得意な笑みを浮かべて、その場を立ち去ろうとする。
しかし、納得のいかないベンケイはすぐに声を荒げた。
「待て!」
「あぁ?」
「もう一回じゃい!」
ベンケイはすでにベイを拾って構えている。
(なんだコイツ、負けたくせにもう一回やるつもりか? 往生際が悪いぜ)
普通、ベイバトルは一回勝負が決まれば、それで決着、つまり終わりとする。
それが暗黙のルールなのだ。
ベンケイ自身もベイブレードの暗黙のルールは分かっている。
だが、納得がいなかったのだ。
どうして自分のベイが、いとも簡単に弾き飛ばされたのかを。
(このベンケイが・・この街で無敵の俺が、こんな簡単に・・)
いままで、ベンケイは巨体を活かしたパワーで連勝してきた。
やがてその強さは凶器と化し、弱いものからベイを狩る仲間を作った。
そのトップとして君臨してきた。
だが、いまプライドが、いとも簡単に崩されたのだ。
仲間のトップとして、ここで引き下がるわけにはいかなかったのだ。
次回予告
ベンケイ 「こんなヤサ男にワシが負けるわけないんじゃい! 今度こそひねりつぶしてやるわい!」