ほとんど第4話のトレースなんですが・・(^^;
登場人物
ベンケイ。真っ直ぐな性格で力は強いが単純でお人よしで世話焼き。
盾神キョウヤ。デブ専でクールな面と喧嘩っ早い面を合わせ持つ。
──ゴー、シュートゥ!
再び放たれるキョウヤとベンケイのベイブレード。
しかし、キョウヤのレオーネは、ベンケイのベイをいとも簡単に蹴散らしていく。
「うわっ」
「ぐぅ!」
レオーネの強烈なアタックに、ベンケイのベイブレードは弾き飛ばされた。
「ぎゃあ!」
ベイが体に当たり、服を切り裂き、アザを作る。
「ぐわっ!」
「ぎゃっ」
一体、何回負けたのだろうか、満身創痍となったベンケイはついに背中から倒れた。
しかし、根性で起き上がる。
「うぐっ・・・まだまだじゃあ〜!」
傷ついても起き上がってくるベンケイに対し、キョウヤは笑みを浮かべてみせる。
「倒れても倒れても立ち向かってくる。まるで闘牛だな!」
「お、俺が牛だとぉ!」
キョウヤの言葉に怒りを覚えたのだろうか、ベンケイはフラフラと立ち上がりベイを構えなおす。
肩で息をするベンケイを支えるのは、もはや根性以外の何物でもない。
「しゃらくせぇ!」
再び繰り出されるベンケイのベイ。
それを迎え撃つキョウヤのレオーネ。
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いつの間にか太陽は西に傾き、オレンジ色の夕日が2人の少年を照らしていた。
「うっ・・ぐっ・・」
ベンケイは大の字で仰向けに倒れていたが、ムクッと起き上がる。
一瞬立ち上がったが、足元がおぼつかずに、すぐに四つんばいになった。
「くくくっ・・・へへへっ・・俺のベイの突進を止めたのはお前が初めてじゃ・・」
なぜかベンケイは笑っていた。
──大敗。
これだけ負け続けると悔しさを通り越して、すがすがしさが沸いてくる。
ベンケイ四つんばいの格好で、キョウヤを見上げて、話しかけた。
「俺の負けじゃ・・完敗じゃ・・なのにこの気分はなんじゃい! わははは!」
1人で豪快に笑うベンケイに、キョウヤは困惑の表情を浮かべる。
そしてつぶやいた。
「ヘッ、変わったヤツだぜ」
しばらく笑っていたベンケイだが、なにかを思いついたようにキラリと目を輝かせた。
「惚れたぜ! 俺はお前についていく。お前が嫌だといってもついていくぞ!」
「俺についてくるだと?」
「そうじゃ、惚れたんじゃ!」
「勝手にしろ」
キョウヤはフッと息をつく。
そして目を閉じてベンケイに背を向けて、スタスタとその場から歩き始める。
不敵な笑みを浮かべながら。
ベンケイの目には、そんなキョウヤの背中がとても頼りがいのある野生児のように見えた。
(わしは惚れた・・理屈なんかじゃないわい。とにかくあの男につけていくんじゃい!)
ベンケイはその背中を追って、歩き始めた。
これから起きるキョウヤの恐ろしい試練を知らずに。
次回予告
ベンケイ 「惚れた・・わしはあのヤサ男に惚れたわい! 絶対についていくぞい」