シカマルがこんなキャラでいいのだろうか・・。
登場人物
秋道チョウジ。サスケ奪還編直後の話なので現在13歳。
奈良シカマル。13歳。唯一中忍に合格したIQ200の天才。チョウジとは幼馴染。
秋道チョウザ。チョウジの父親で現在秋道一族の当主。
・・・しばらくじゃれあった後。
「今日ここに来たのは、お前に協力してもらいたいことがあってよ」
「僕に?」
シカマルは急に真面目な顔になった。
「めんどくせーけど、火影様から直接任務与えられてよ」
「シカマル、すごいじゃないか!」
「だからめんどくせーって言ってんだろ」
シカマルはこういうときは本当にやる気がなさそうだ。
「下忍を1人連れて任務につけっていうから、アスマにいってお前を少し借りることにしたからよー」
「え?もう決定なの?」
「そう、決定」
はっきりと断定するシカマル。
シカマルのことだから、メンバーを考えるのも面倒だったんだろうな、とチョウジは思った。
「でも、よくアスマ先生の許可取れたね?だって、僕まだリハビリ中だよ?」
チョウジのケガはまだ完治したとはいえない。
最も忍術と体術を使っても支障はないくらい回復しているが。
しかし、通常は任務は与えられないはずだ。
「それがよ、お前の一族に関係する任務だから、OKだったみたいだぜ」
「もしかして、3色の丸薬の話?」
「そう、ご名答。知ってるなら話さなくてもいいよな」
つい先日の話。
チョウジは父親と夕食を食べていたときにそのことを知った。
秋道一族に伝わる秘薬である3色の丸薬。
残っていたホウレン丸が盗まれたというのだ。
あの丸薬は一族のものが管理しているから、詳しい状況はよく分からない。
現在、調査中らしいのだ。
きっと、その任務を手伝うために、秋道一族と親交の深い奈良一族のシカマルが選ばれたのだろう。
「あの丸薬だけどよ、もうお前のから作れるのか?」
「うん。僕のだったらカレー丸は作れると思うよ」
「そうかぁ。それはめんどくせーことになる可能性もあるな」
シカマルは今回の任務について、なにか考えていることがあるらしい。
「あの丸薬の精製法を知っているのは僕と父ちゃんと、シカマルだけだからね」
「まぁ部外者の俺が知っているってのは内緒な。お前から聞いたなんていったら、親父のチョウザから怒られるぞ」
「分かってるよ。それでなんで面倒なの?」
シカマルは、目をつぶり面倒くさそうに「フゥ」と息を吐く。
「チョウジ、もしあの丸薬の原料調べられたら、なにが必要なのか分かるってことだぜ?」
「え、でも調べても分からないでしょ?だって一族の秘薬なんだから」
「バーカ。上級の医療忍者だったら分かる可能性あるぜ」
「え、そうなの?」
「そうなの」
チョウジのあまりのマイペースぶりに、シカマルのすばやい思考回路がショートしそうになる。
「とりあえず、今はそんなことは後回しだ。まずは誰が盗んだかが問題だ」
「そうだね。それでどうするの?」
「まずはお前のオヤジに会って、直接話を聞くとするか」
そういうと、シカマルはテクテクと里の中心に向かって歩き始めた。
「おめーも早く来いよ」
チョウジは落ちたポテチの袋を拾うと、シカマルの後を追っていった。
チョウジの家は、木の葉の里の少しハズレにある。
一軒屋で2階建て。
木の葉ではどこにでもあるような一般的な住宅だ。
ドンドンドン。
「すみません、奈良一族のシカマルっすけど」
シカマルはすでにチョウジの家のドアを叩いている。
「シカマル、そんなことしなくても僕が父ちゃん呼んで来るよ」
ポテチをモグモグと食べながら、遅れてチョウジがやってきた。
目的の場所が自分の家だから、ゆっくりと歩いてきたようだ。
「おい、早いところ頼むぜ」
「うん」
チョウジがドアを開けようとすると、巨大な体がいきなりドアを開けて出てきた。
「うわ、父ちゃん!」
その巨大な体の正体はチョウジの父親のチョウザだったようだ。
「なんだ、チョウジか?これから出かけるから晩御飯まで待ってなさい」
チョウザはなにか急いでいるようだった。
「あの、お急ぎのところ申し訳ないんですが」
シカマルは、かしこまってチョウザに話かける。
「おや、シカクのせがれのシカマルじゃないか。久しぶりだね」
父親のチョウザは、シカマルの父親である奈良シカクとは旧知の仲だ。
当然、シカマルのことはよく知っている。
「ええ。実は3色の丸薬が盗まれたことで、火影様から捜査の依頼を受けたんですけど」
チョウザのその話を聞いてちょっと意外な顔をしたが、すぐに理解したようだ。
「そうか。君はチョウジと違ってもう中忍だもんな。なら私について来てくれ」
「なにかあったんすか?」
「たった今、一族の1人が重態で運ばれてきたんでね」
「そ、それは只事じゃないっすね」
ケガ人がでたとなると、里の外の人間か絡んでいる可能性もある。
丸薬を探すだけのDランク任務かと思っていたが、面倒くさいことになりそうだ。
シカマルとチョウジは、チョウザと一緒にケガ人が運ばれた家に行った。
ケガ人は重態で、布団の上に寝かされている。
医療忍者と思われる者が治療をしていた。
シカマルは、ケガ人の様子を注意深く観察する。
全身に打撲を負っているが、特に大きなケガだとは思えない。
しかしよく見ると所々に、無残なキズ跡が痛々しく残っている。
(拷問か・・・?)
シカマルはそのキズ跡を見てすぐに思った。
さらに医療忍者が言うには、記憶の一部が欠損しているのだという。
「記憶が欠損しているってどういう意味すか?」
「分かりません。何者かの手によって、ここ数日の記憶だけが消去されているのです」
「随分と手の込んだ忍術だな・・」
シカマルの知る限り、そのような忍術を使う者は木の葉の里にはいない。
「ねぇ、シカマル?」
隣にいるチョウジがシカマルの袖をクイクイッと引っ張った。
「記憶がないってどういうこと?」
シカマルは目を閉じてしばらく考える。
「記憶をわざわざ消すってことは、俺達に知られたくない何かを、敵が隠滅したってことだろ」
「それって何の意味があるの?」
チョウジはいつも質問ばかりだ。
昔からそうだが、自分で思考するのはあまり得意ではないらしい。
「丸薬がなくなったタイミングからみて、この人が持ち出した可能性が高いな」
「どうして?僕の一族だよ」
「厳重に管理している丸薬を部外の者が盗むのはかなり難しいし、なにかと引き換えで丸薬を要求されたのかもしれないぜ」
「うーん」
「さらに拷問の痕まであるからな・・丸薬の精製法を問い詰められた可能性もあるな」
「そ、そうなの?」
「あくまでも推論にすぎないけどよ。俺が考えるに、あながち可能性ゼロともいえないぜ」
「それじゃ、この人の記憶が戻るまで待つしかないの?」
「いや、発見された場所に行けばなにか分かるかもしれないぜ」
シカマルはそういうと、チョウザに発見場所を聞いた。
「少し遠いな・・・」
シカマルは独り言を言いながら、なにか考えているようだ。
しばらくした後、チョウジを見ながら、珍しく真面目な顔で話した。
「俺はいまから短冊街の隣の森まで行くからよ」
「え、じゃあ僕もいくよ。だってこの任務では、僕はシカマルの部下なんだから」
「いや、俺1人でいく」
その言葉にチョウジはちょっとムッとした顔をする。
「どうして?」
「どうも引っかかるぜ。普通なら拷問したらそのまま殺して行方不明にするだろ?」
「た、たしかに・・・」
「まるで発見場所まで来てくださいって言ってる感じだぜ」
「罠かもしれないってこと?」
「その可能性はあるぜ。それに丸薬の精製法を敵が知りたいとすれば、次に狙われるのはチョウジ、おめーだぜ」
「どうして?」
「拷問しても精製法は分からなかったはずだ。なにしろ、お前とチョウザしか知らないんだからな。
そうなると秋道当主の家の者を捕まえるのが一番効率的だろ。立派な人質にもなるしな」
「でも、そんなの全部推測でしょ? 相手は誰が精製法知っているかなんてわからないだろうし。
それに僕、なにもされてないよ」
「ともかく俺1人で行くからしばらく待ってろよ」
「そんな・・」
「これは隊長命令な」
シカマルは極めて冷静に判断する。
以前、サスケ奪還の任務を失敗したことが教訓になっているのか。
悲しそうな顔をするチョウジを横目に、シカマルは部屋を出た。
(短冊街までいくとなると、少し準備が必要だな・・)
短冊街は、木の葉の里を出て飛ばせば3時間ほどで到着する町。
今から出発しても夜になってしまうので、短冊街で一泊することになる。
(まためんどくせーことになってきたぜ)
シカマルは少しやる気がなさそうに、ボチボチと歩き始める。
そのとき、突然後ろから誰かにギュッと抱きしめられた。
ムニュッとした覚えのある感覚。
「おっおい・・・チョウジ?」
後ろを振り向くと、少し怒った顔をしているチョウジ。
「シカマル!絶対に一緒に行くからね!」
「おい、隊長命令無視する気かよ?」
「だって・・・だって・・シカマルと一緒に任務ができるなんて、もうこの先に何回あるかわからないし・・」
「チョウジ・・・」
「僕、以前より強くなってるし、足手まといにはならないから!」
「それは認めるけどよ、感情で動くな」
「いいじゃないか、感情で動いたって。だって僕シカマルのことが好きなんだもん」
そういうと、チョウジはさらにギュッとシカマルの胴体を握り締めた。
「痛ってえ・・。わかった、わかった。じゃ連れて行くから準備してこい」
「ほ、本当?シカマル?」
「あぁ。その代わり少しでもヤバイ感じがしたから速攻で退却な」
「うん、わかった」
先ほどまで怒っていたチョウジの顔が、ドキッとするような笑顔に変わる。
チョウジはシカマルを解放して急いで自分の家に戻っていった。
「全く、チョウジのヤツ、思いっきり抱きつきやがって。痛ぇつーの」
チョウジが抱きついた暖かい感覚がまだシカマルの体に残っていた。
(俺だって、ずっとお前と一緒に任務できたら、本当に幸せなんだけどよ・・・
そういえば、いまアイツ、俺のこと"好き"って言ったよな・・)
シカマルは柄にもなく、ちょっと照れていた。
なんか時代劇みたいになってるなぁ<俺