陵辱するのかしないのか、はっきりしろって感じですよね・・・。
登場人物
秋道チョウジ。倍化の術で肉体を巨大化させる忍術を使う。
奈良シカマル。13歳。影真似の術で相手の動きを封じる忍術を使う。
次郎坊(呪印状態1)。以前、チョウジに負けたことを根に持っているようだ。
シカマルとチョウジは木の葉の里を出発し、その日の夜に短冊街に到着した。
短冊街は賑やかな街で活気に溢れている。
賭博や料亭、風俗など、シカマルたちには無縁の店が多く並ぶ。
シカマルたちは、明日に備えて宿をとることにした。
「シカマル。この旅館、かなりいい設備だね」
大浴場からあがってきたチョウジはご満悦の様子だ。
体中から湯気がたっている。
「おいチョウジ、いちおう任務なんだぜ」
シカマルは頬杖をついて、窓から外をボケッと眺めていた。
「いいの。だって今は明日に備えて休むのが仕事なんだし」
チョウジのプラス思考の解釈には、シカマルも呆れるほどだ。
「ところでお前、その荷物に何が入ってるんだよ?」
シカマルは、チョウジが重たそうに背負ってきたリュックサックを指差した。
十中八九、シカマルの予想は当たっているのだが。
「あ、これ?だって、ポテチがなくなると困るでしょ」
やはり・・・。
チョウジはリュックからポテチを1つ取り出す。
そして「食」の字のシャツとパンツ一枚の格好で、ベッドに腰をかけた。
「もぐもぐもぐ」
パチンと袋を破くと、そのままバリバリとポテチを食べ始めた。
幸せそうにポテチを食べるチョウジを見つめるシカマル。
しかし、なにか考え付いたのか後ろからソッと近づいて、チョウジの太い首をギュッと抱え込む。
「うわっ、ゲホッ!」
チョウジは驚いて、ポテチを喉につまらせる。
「へへへっ、任務に緊張感がない罰な」
「シ、シカマルぅ。不意打ちなんてずるいよ」
「忍者たるもの、いつ攻撃されてもいいように準備しておくもんだぜ」
後ろからチョウジに密着していると、体中から石鹸のいい匂いがする。
風呂上りなので、肌がぷにぷに状態だ。
シカマルはプロレスごっこのようにチョウジをベッドに押し倒し、お腹の上の乗っかってマウント状態となる。
ポテチの袋がベッドから落ちた。
「チョウジ、覚悟しろよ!」
そのまま「食」の字のシャツの上から、ふっくらとした胸をモミモミし、さらにくすぐり攻撃。
「あは・・んはっ・・シカマル、ダメだったらっ」
チョウジは笑いながら悶絶するという奇妙な反応。
シカマルはチョウジのリアクションに笑いが止まらない。
しばらくチョウジの体にイタズラをしたあと、シカマルはお腹の上に、顔をうずめる。
膝枕ならぬ、お腹枕だ。
「もうシカマルっ」
シカマルはチョウジのお腹に顔を擦りつけ、そのプニプニした感触を味わっている。
「シカマル・・・久しぶりに一緒に寝ようか?」
「・・・」
「あれ、シカマル?」
ふと、頭をあげてシカマルをみると、よほど気持ちいいのかヨダレを垂らして、もうスヤスヤとしている。
シカマルにとって、この場所だけは世界中で一番安心できる、自分だけの特等席なのだ。
(シカマル・・)
チョウジはそんなシカマルを見て、クスッと笑い、体中の力を抜く。
この状態になったら、もうポテチは食べられないな、とチョウジも観念した。
そのまま目を閉じてシカマルと一緒に眠りについた。
次の日、短冊街のはずれにある深遠の森に2人は向かった。
そこで一族の者が発見されたという。
チョウジは相変わらず重いリュックを背負いながら、歩いていた。
「そんな重いリュック背負って、何かあったら逃げられないだろうが」
「いいの。ポテチは僕にとって命の次に大切なものなんだから」
「まったくよ・・・」
そんな会話をしながら、2人は森の中にある現場についた。
そこは森の中にポツンと平地があるような場所だった。
何本も倒されている木。
戦闘により、木々がなぎ倒されたのだろうか?
(なにかうさんくせー場所だな)
シカマルは周囲の状況をいろいろと確認していく。
「ねぇ、シカマル!ちょっと来てよ!」
チョウジが向こうから大きな声で呼んでいる。
シカマルは何事かと、急いでチョウジの元へ向かった。
チョウジの目の前にあったのは、大きな土の塊。
まるで、ドームのような形に積みあがっている。
人間が1人通れるほどの穴が開いており、中は暗くてよく見えない。
「ねぇ、シカマル。これって・・・」
シカマルはその土のドームを見て、寒気がした。
「チョウジ、やべぇぜ・・すぐにここから逃げるぞ」
以前にサスケ奪還中に出会った音忍の1人にこんな技を使うヤツがいた。
シカマルたちは、その土牢の中に閉じ込められ、チャクラを吸い尽くされたのだ。
あのときはシカマルとチョウジの活躍で脱出はできたのだが。
きっとケガ人は、この土牢の中でチャクラを吸い尽くされ、その後に拷問にかけられたのだろう。
そうとしか推測できない。
そのときだった。
「よくぞ来てくれました」
聞き覚えのある低い男の声。
シカマルはすぐに理解した。
───音忍のデブ野郎。生きていたのか?
「チョウジ、まじでヤベーぜ、逃げろ!!」
シカマルはとっさに叫んだ。
しかし、その場から立ち去ろうとしたとき、すでに土が足に絡み付いていた。
「な、なんだこりゃ!? クソっ!」
まるで生き物のように足に絡みつく。
シカマルは足をとられ、その場で尻餅をついた。
一方、チョウジはシカマルの指示通り、その場から木々に飛び移って逃げていた。
しかし、その後ろから肝心のシカマルがついてこない。
「シ、シカマル!?」
驚いたチョウジは急いで先ほどの場所に戻った。
チョウジが近くまで戻ると、そこには足が絡まって動けないでいるシカマルが見えた。
「シカマル!」
急いでシカマルの元へ駆けつけようとする。
しかし、それを制するかのように、シカマルの大声で叫んだ。
「チョウジ!お前は逃げて里にこのことを知らせてくるんだ!」
「えっ・・」
チョウジはその言葉に従うか、シカマルを助けに行くべきか迷った。
「土遁結界、土遁堂無!」
その声が響いた途端、シカマルの周りの土がどんどんと盛り上がった。
「あの術は・・・まさか・・」
チョウジは、地面がシカマルを中心にして半球状に隆起していくのをみて驚いた。
以前、土牢に閉じ込められたときと同じ技。
この技を使う忍者といえば、アイツしかいない。
一度戦闘が始まると展開は恐ろしいほど早い。
あっという間に土は盛り上がり、シカマルを包んでいく。
「こりゃ、ヤベーことになってきたぜ・・」
シカマルは他人事のように、周りの状況をみている。
「シカマル、これ受け取って!!」
シカマルの行動をみたチョウジは、とっさに自分がもっていたリュックを投げつけた。
剛速球を投げるかのように。
「チョウジ?」
ドスンとリュックサックを受取ったシカマルは、そのまま土牢の中に消えていった。
シカマルは土牢の中に消えた。
地面から半球上の土が固まり、ドームのようにシカマルを閉じ込めていた。
チョウジはいま起きたことを、不得意ながらも必死に分析していた。
脳みそをフル回転させて考える。
───敵はあのデブの音忍の可能性が高い。
───土牢は敵のチャクラが張られていて簡単には壊せない。
───シカマルがチャクラを吸い取られるかもしれない。
───ここで里に向かったらシカマルの命の保証はない。
───シカマルと2人なら勝てないまでも逃げ切れる可能性もある。
まず初めにしなくてはいけないことは・・・。
敵の姿と位置を認知することだ。
「卑怯だぞ!姿をみせろ!」
「コラ!デブ!出て来い!」
縄文時代並の原始的な方法で、敵を罵るチョウジ。
「僕の友達を出せ!ゴラァ!」
チョウジは我ながら情けない作戦だと思ったが、言葉が先に出ていた。
きっと土牢に閉じ込められたシカマルが聞いていたら、さぞ呆れることだろう。
「はははっ、クズらしい行動だな。知性の欠片もない」
相撲取りのような大男が、土牢の横からズズズッと出てきた。
どうやら地面に隠れていたようだ。
その姿は紛れもない、以前戦った音忍のデブ。
あのとき倒したはずなのに・・・生きていたのか・・。
(ゴクリッ・・)
チョウジは生唾を飲み込む。
腰にしめ縄、頭はモヒカン。巨漢の忍者。
体重は自分の倍は軽くありそうだ。
チョウジは1ヵ月前に死闘を繰り広げた、この化け物を目の当たりにして恐怖していた。
このデブの強さは、チョウジが嫌というほど分かっていた。
そして、もう2度とこんなヤツと戦いたくないと思っていた。
手のひらに汗がにじんでくる。
「またお目にかかりましたね・・仲間はずれの哀れなおデブさん」
「デブっていうな!」
「なんだよ、君と逢いたくて地獄の底から蘇ってきたのに、随分と嫌われてるな」
「なにっ・・」
「それにしてもクズはいつまで経ってもクズだな。陰気な影使いの隊長さんは、また同じ作戦に引っかかるしな」
以前と変わらぬ毒舌ぶり。
しかし、チョウジも負けてはいない。
「お前は、そのクズに負けたんだぞ!」
「なるほど・・・。じゃ、まずは自己紹介しましょうか、秋道チョウジ君」
「ど、どうして僕の名前を?」
「ちなみに俺様の名前は次郎坊。以前は名乗ることができなかったからね。
その少ない脳みそできちんと名前を覚えてくれよ」
「次郎坊・・・」
チョウジの首筋に嫌な汗がスゥーッと落ちる。
チョウジは思い立ったように、スッと次郎坊と土牢を結んだ延長線上に移動した。
少し距離をとる。
そして、あらんばかりの大声で叫んだ。
「シカマル!こいつは僕が倒すから! 声の方向聞こえてるよね!」
次郎坊はそれを聞いて笑い出す。
「ははは、クズはよく吼えるぜ」
「シカマル!僕のリュックに入っているもの、ちゃんと確認してね!コイツを倒したら食べるんだから!」
「全くなにを言ってるんだ、コイツは」
チョウジの幼稚な発言に、次郎坊は半ば呆れた。
こんな頭の悪いヤツに負けたということが、今更ながら次郎坊のプライドに傷をつけた。
しかし、常に冷静さを併せ持つのが、次郎坊の強さでもある。
「まずは陰気な影のヤツからチャクラをいただくか。
お前はそのあとにゆっくり料理してやるから、待ってろ」
この言葉を聞いてチョウジは「ハッ」とする。
そして次郎坊を指差しながら、すぐに切り返す。
「待て!シカマルからチャクラを吸い取るんだったら、僕から先に吸い取ってみなよ!」
「うるさい蝿め。何も出来ないとはいえ、影のヤツのほうが攻撃は厄介だからな」
「お前、僕に勝つ自信がないんだろ!」
チョウジは次郎坊を執拗に挑発する。
「チッ、一度勝ったからっていい気になりやがって。じゃまずお前からいただくとしますか。
ただし、今回は別のものをいただくぜ」
「別のもの!?」
そういうと、次郎坊は物凄いスピードでチョウジに突っ込んで行った。
一方、土牢の中では・・・。
(全くチョウジのやつ、あんな大声ださなくても位置は分かるっつーの・・。
それに、なにが大事に取っておけだよ)
シカマルはゴソゴソとチョウジが持っていたリュックの中を確認していた。
(やっぱりお前は最高だぜ。ちゃんと準備してるじゃねーか。
あとは少しだけ時間を稼いでくれよ・・・俺が行くまで絶対に死ぬんじゃねぇぞ、チョウジ!)
アホ陵辱のはずが、意外とまともな話になってる?