チョウジ小説(第2部) (1)


この物語は「チョウジ小説」の続きとなります。まだ読んでいない方は「チョウジ小説」の第一部を先にお読みください。三色の丸薬が秋道一族の精子から取れるというアホ設定だけ分かっていればいいんですが・・。(^^;
話的にはNARUTOの第一部と第二部の間の物語になります。きんたろーさんに挿絵を描いていただきましたので、今回は目に見えてエロいです(^^;


登場人物

秋道チョウジ。仲間想いでおっとりした性格。中忍試験の合格を目指して猛特訓中だが?

奈良シカマル。IQ200の天才でチョウジとは昔から大の仲良し。中忍に合格している。

山中いの。アスマ班の紅一点でサスケのことが好き。現在はサクラと医療忍術を学んでいる。

次郎坊。巨漢の忍者で土遁を得意とする。チョウジに2度負けており復讐を誓っている。

大蛇丸。音隠れの里の長で、三色の丸薬に興味を持っている。


秋道チョウジ・・。
俺はずっと考えてきた。
どうして、たかが下忍のクズに2度も負けたのか。
俺は何一つとっても、アイツに劣る点はない。
パワーも、頭脳も、忍術も、チャクラの量も、俺のほうがはるかに上だ。
それでも俺が負けた理由。
──『覚悟』。
たとえ刺し違えてでも、友達を守ろうとする揺ぎ無い信念。
秋道チョウジの強さは、おそらく心の強さ。
そんなものが、勝敗を左右するのか?
・・いや、いまさらそんなことを考えても仕方ない。
俺が負けたのは事実だ。


俺には秋道チョウジの覚悟を上回る力があるのか?
一年間、冷たい土牢の中でずっと考えた。
秋道チョウジのことだけを考えた。
他人から見れば、くだらないことを考えていると思うだろう。
だが、俺は納得できねぇ。
このまま、音の里の豚に成り下がるつもりは、これっぽっちもない。



──音隠れの里。
どこに存在するのか分からない、謎に満ちた里だ。
その入り口は容易に発見できず、足取りを掴むことすらできないと言われている。
・・・。
・・・。
いまその里はジメジメとした地中にあった。
迷路のように入り組んだ通路と、無数の小部屋。
侵入者を惑わすためのダミーなのだろうか?
陽が当たることはない。
ただ無機質な土の壁が延々と続き、まるで牢屋のような部屋がポツリポリツと点在する。
アリの巣のような不気味な地下迷路は、すべて大蛇丸の趣味なのかもしれない。


巨漢でモヒカン頭をした男と、長髪で不気味な顔色の男が、小部屋にいた。
「はっ・・うっ・・」
「最近、反応が悪いわね」
「大蛇丸様・・」
「デブをもてあそぶのは楽しいけど、いい加減にアナタは飽きたわ」
「・・・」
木製の乾いたベッドに仰向けに寝ている巨漢の忍者。
大蛇丸は、彼のすぐ横に座っていた。
素っ裸の巨漢の男の頬を、ヘビのように長い舌を伸ばしてベロンッと舐める。
「私色に染めすぎたかしら?」
「・・・」
「デブの忍者はレアだから。ねえ、次郎坊?」
女性的だが、どこか不気味さと陰湿さを感じる。
そんな大蛇丸の言葉に、次郎坊は大の字の格好で無言のままだった。


大蛇丸は立ち上がると、床に落ちている着物にゆるりと袖を通す。
そして背中を向けたまま、次郎坊に口を開いた。
「アナタにピッタリの任務があるんだけど、引き受けてくれないかしら」
「俺に・・任務ですか?」
「なにか不服でも?」
「いいえ。俺は一年間、任務失敗の処罰としてこの牢に閉じ込められ、ただ大蛇丸様の道具として生きてきました。
  いまさらどのような任務であろうと、不服はありません。それでどのような任務でしょうか?」
「アナタの人生からすべてを奪った子を、捕まえてきて欲しいのよ」
その言葉を聞いて、次郎坊の顔色が変わった。
「俺のすべてを奪った・・まさか・・」
「ええ。アナタが、いつも憎らしいと口にしていた子」
「秋道チョウジ・・」
「そう。アナタは下忍の子供に2回も負けたんですもの。今度は勝てるかしら?」
「俺はずっと秋道チョウジに復讐することを考えていました。もしその機会を与えてくださるならば喜んで」
「まさか3度目は失敗しないわよね?」
「はい。しかし、なぜ秋道チョウジを捕えるのですか?」
「・・・」
大蛇丸は、くくっと押し殺したような笑い方をした。


「カブトの報告から、おもしろいことが分かったわ。
  チャクラが数倍になる丸薬の原料が、秋道一族の精液から取れるらしいわね?」
「はい・・俺は精液を飲んで死にかけました」
「カブトの医療忍術もたいしたものね。瀕死のアナタを助けたんだから。感謝しないさい」
「・・・」
次郎坊は思い出していた。
一年前、3色の丸薬の原料を調査するため、秋道チョウジと再び戦った。
そのときに、チョウジの精子を飲み干し、チャクラコントロールができなくなった。
細胞が超活性化してしまい、肉体が維持できなくなったのだ。
死にかけたところを、間一髪、カブトの医療忍術で一命を取り留めた。
かなり高度な医療技術で助けられたと、聞かされている。
・・・。
その後、次郎坊は地下牢でずっと考えていた。
どうしたら秋道チョウジに勝つことができるのかを。
秋道チョウジの強さは、心の強さ。
だから、チョウジの心を折らなければ勝ち目はない。
どうしたら、彼の心を折ることができるのか?
ただ、それだけを考え続けてきた。


ボッと思いに更ける次郎坊に、大蛇丸が口を挟んだ。
「アナタみたいなデブな忍者はレアだから、お金をたくさんかけて実験してきたけど、もういいわ」
「・・・」
「だから、今度は秋道一族を私のコレクションにしようと思ってね。
  特にあの太った子供ねぇ・・秋道チョウジって音の里の中でもひそかに人気があるのよ。
  アナタ以上にね。それにあの子の精液は実験材料にもなるから、一石二鳥だわ」
「俺だって大蛇丸様のために、道具になっています」
「そうねぇ。アナタはこの任務が終わったら、別の道具になってもらうから」
「・・・」
「秋道チョウジを豚のように家畜として飼って、毎日精液を搾り取るの。
  3色の丸薬を生産するための、ペットにでもしようかしら。
  そうそう、これを見て。もう首輪まで用意してるのよ。豚に首輪と手枷で動けなくてして、体をもてあそぶ。
  考えただけでも、ワクワクしてくるわ。おもしろいことになりそう、フフフッ」
大蛇丸は自分で話しながら、自分の会話に酔っているように、クククッと笑いを浮かべてみせる。
「1つだけ、お願いがあります」
「なぁに?」
「秋道チョウジを捕まえたら、俺のものにさせてください」
「ええ、アナタの奴隷にしても構わないわ。ただし、しばらくは私色に染めるかもしれないけど」
「ありがとうございます」
「さぁ、行きなさい。もう失敗は許されないわ」
「・・・」
次郎坊は黙ってその場を後にした。


──木の葉隠れの里。
「倍化の術!!」
滝の轟音を打ち消すような、元気な声。
流れ落ちる水を背後にして、チョウジは両手を顔の前で合わせる。
人差し指と小指だけを立てて、独特な印を結ぶ。
そしてチャクラを練って体に溜めて、それを体内で一気に爆発させる。
体内の細胞を巨大化させて、体を倍化させる秋道一族秘伝の技。
チョウジは今日も、アマスの修行の前に1人でチャクラコントロールの練習をしていた。
以前はポテチばかりを食べて、やる気のないチョウジだったが、
 3ヶ月後に中忍の選抜試験を控え、修行により一層の熱がこもっていた。


チョウジをやる気にさせていたのは、大親友のシカマルの存在だった。
シカマルは、前回の中忍選抜試験で、ただ1人中忍に昇格した。
たしかにシカマルは天才と言われるだけあって、頭がキレて、技の覚えも早い。
自分とは頭の構造が根本的に違うし、中忍になる資格は十分にあるとチョウジも認めていた。
しかし、親友だからこそ、負けられない。
そして、追いつきたい。
シカマルが中忍から、上忍へと昇格してしまえば、自分との距離は遠くなってしまう。
だから、チョウジは次の選抜試験では、絶対に中忍になると心に誓っていたのだ。
シカマルの友であり、よきライバルであるためにも。
(よ〜し、シカマルには負けないぞ!)
修行にさらに熱が入る。


チョウジが修行に汗を流していると、遠くから声がする。
「チョージ〜!」
甲高い声から察するに、どうやらシカマルではないらしい。
あまり気に留めずに、チャクラを練って修行を続ける。
すると、正面から怒声に近い声がした。
「ちょっとチョウジ! 返事くらいしなさいよ」
「あれ? いの?」
チョウジの目の前に現れたのは、山中いの。
彼女はアスマ班で昔からスリーマンセルを組んでおり、
  シカマルとチョウジとイノの3人で、イノシカチョウトリオと呼ばれている。
シカマルが中忍になったため、アマス班は現在、チョウジといののツーマンセルで組んでいることになるのだが。




いのの膨れっ面を見ながら思う。
──山中いの。
僕がアカデミーに入ってから知り合った女の子だ。
僕の父ちゃんと、いののお父さんは昔から知り合いだったらしいけど・・。
いのは、同年代の女の子の中では、女を磨く努力を欠かさない。
金髪の長い髪をポニーテールで結び、左目が隠れるくらいに前髪を伸ばしている。
サスケのことが好きで、サスケに気に入られようとあれこれ工夫をしていた。
以前、僕がお腹を壊して入院したとき、いのはフルーツをたくさんもって差し入れにきたっけ。
そのときは、僕もまんざら捨てたもんじゃないなと思った。
もしかして、いのは僕に気があるのでは・・?
僕は女の子にはそれほど関心はないけど、いのが僕のことをどう思っているのか、少し気になっていた。
しかし、いのは所詮サスケファンだ。
フルーツを差し入れしたのは、ただの同じチームの仲間だからだろう。
でも僕のことを仲間として大切に思ってくれるから、差し入れしてくれたんだろうし、悪い気はしなかった。
だから、僕は恋愛感情は抜きにして、いののことはけっこう好きだ。
でも、不安に思うこともある。
いのはまだサスケのことを心配しているみたい。
サスケは、大蛇丸のもとへと去ってしまったから、きっと心の底は、複雑なんだろうな。
僕は不器用だけど、僕なりに、いののことだって考えてるんだから。



いのの声が、チョウジの耳元に届いた。
「チョウジ、火影様が呼んでるわよ」
「え、綱手様が? どうして?」
「そんなの、私にも分からないわよ。とにかく一緒に行きましょう」
「でも、アスマ先生の修行はどうするの?」
「アスマ先生も、この件に関しては了承しているみたい。今日の修行はナシですって」
「そんなぁ」
チョウジにしては、珍しくションボリとする。
いのは、チョウジの姿をみて、あっけらかんと笑った。
「アンタって、そんなに修行が好きだったかしら?」
「僕はね、今度の中忍試験を絶対に突破するんだから、一刻一秒が惜しいの」
「ハイハイ。分かったら行きましょう」
「ちょっと待って・・」
「火影様の命令に逆らって、どうするのよ!?」
いのは、やれやれという疲れた顔をして、チョウジの手を強引に引っ張った。


今回は挿絵の他に、登場人物紹介の絵まですべてを、きんたろーさんに描いていただきました。ありがとうございますー。

戻る