ダンゴ小説(完)


陵辱表現の限界に達したので今回で終了とします。


登場人物

大牙剣(たいがけん)。右手の獅子のアザから獣神ライガーを呼び出すことができる。

団五郎。愛称ダンゴでケンの親友。


ダンゴの肩に噛み付いたケンは、そのまま牙を深くえぐり込ませる。
鋭利な刃物で突き刺されたような、肩の痛み。
ダンゴは悲痛な叫びをあげながら、必死に肩の牙を抜こうともがいた。
そして、ケンに向かって必死に訴え続ける。
「ケン、頼むからやめてくれ!」
「ククッ、俺に殺されるなんて、うれしいだろ?」
「違う、お前はケンじゃないっ」
「俺はケンだ。正真正銘の大牙剣だ」
「ウソだ!」
「俺は本物さ。だが、お前の知ってる剣とは少し違うかもな」
ケンは薄気味悪い笑みを浮かべながら、さらに牙を食い込ませる。


「ぎゃああ! 痛てぇ!」
ダンゴは反撃しようと、地面を手探りで探す。
すると偶然に、冷たい鉄のパイプが手元に転がっていた。
ダンゴは急いで、鉄パイプを手繰り寄せると、そのままケンの肩を殴りつけた。
一瞬、「ウギャア」と怯んだケンだが、すぐににじり寄ってくる。
ダンゴは急いで立ち上がり、ケンと距離をとった。
そして、硬い鉄パイプを前に構える。
「く、くるな・・」
「グゥゥゥ、無駄な抵抗をしやがって。殺してやる!」
「ケン、やめてくれーっ!」
ダンゴは「うわぁ」と声をあげながら、ケンをめくらめっぽうに鉄パイプで打ち据える。
鉄パイプを振るたびに、ミシッと骨の砕けるような音がする。
しかし、ケンはまったく痛みを感じないのか、意に介せずににじり寄ってきた。
口をグアーッと広げ、大きな牙をむき出して。
「ググッ、団五郎・・」
「お願いだから、もう来ないで」
ダンゴは祈るような気持ちで、再び鉄パイプを竹刀のように構えた。
しかし、ケンのアザだらけの体を見て、ダンゴはハッとする。


──俺はまた夢を見ているのか・・?
いや、俺はさっき夢から覚めたはずだ。
2匹のドラゴナイトに襲われる夢を見て、ケンに起こされて、テレビを見て驚いて、土手まで走って・・。
それもすべて夢だったというのか。


俺はケンの体をジッと見つめた。
目が真っ赤で牙を剥きだした姿は、どう見ても普通じゃない。
だけど、僅かにケンから荒い息遣いが聴こえる。
ボロボロでアザだらけの、ケンの体。
本当に痛くないのか・・?
血が出てるじゃないか・・。
苦しそうに、もがいているような声がしているじゃないか・・。
これって、まさか・・。


──夢じゃない。
俺は直感した。
目の前にいるのは、ドラゴナイトの姿に変えられたケン。
そして、ここは限りなく現実に近い"幻の世界"。
俺には分からないけど、この世界は、なぜか現実とつながっている。
どういうカラクリなのかは分からないが、自分がこの世界で殺した人間は、現実で死んでいるのだから。


このままじゃ、俺はケンに殺される。
だけど、このままケンを殴り殺してしまったら・・。
たぶん、現実にケンが死ぬ。
俺とケン、もしどちらかがここで死ぬ運命だとしたら・・。


ダンゴはギュッと目を瞑りながら、覚悟を決める。
ゆっくりと手に持っていた鉄パイプを落とした。 
「グゥララッ、観念しろ!」
「うわっ」
再び、ケンはダンゴに飛びかかる。
ケンは体ごと飛びつき、ダンゴを地面に仰向けに押し倒す。
そして、お腹の上に乗って、手首を抑え付けた。
「ケン! 目を覚ませ!」
「グェアア」
ケンの凄まじい力に、ダンゴの手首は真っ赤に腫れ上がる。
ケンの牙がダンゴの顔面に迫ってくる。
「うわわああっ!」
恐怖のあまり、ダンゴは顔を引き攣らせて悲鳴をあげる。
「ダンゴ、お前の喉を噛み切ってやる!」
ケンの剥きだした牙が、ダンゴの首筋を食いちぎろうとした瞬間。


──もうダメだ。
ダンゴは死を覚悟して、目をギュッと瞑る。
「くっ・・ううっ・・」
ダンゴはしばらく歯を食いしばって耐え続けた。
数分だったのだろうか。
(あむ・・はう・・ん・・んんっ?)
ダンゴの唇に暖かい感触。
そして、絡み付いてくる舌。
(はっ・・・なに・・・?)
ダンゴはブルブルと震えながら、唇の感触に耐えた。
そして、その感触が一体なんなのかを考えた。


(はむ、んあ・・この感触はまさか・・!)
唇の柔らかい感触に、ダンゴの硬直した体はだんだんとほぐされていく。
そして混乱していた精神が、徐々に落ち着いてくる。
(この感触は・・本物のケンの・・)
ダンゴは自然と求めていた。
そして、舌をケンの舌に絡ませていた。
(ほぐっ・・もぐ・・)
(はんぐっ・・・ケン・・!)
舌と舌が絡み合うたびに、心が癒される。
暖かくて、気持ちよくて・・。
自分がケンに守られているような安心感が、心を覆っていく。
ダンゴが薄っすらと目をあけると、
 そこには目を閉じてダンゴの舌を求める、優しいケンの姿があった。
(ケン・・)
(ダンゴ・・!)
再び目を閉じて、そのまま快感に流された。


(はむ・・はむ・・)
(んん、ダンゴ・・)
何度も何度も、唇を重ね合わせる。
お互いの存在を確認するかのように。
唇が、フッとダンゴの唇から離れた。
ダンゴがそっと目をあけると、そこには笑顔のケン。
「ケン、元に戻ったんだな!!」
ダンゴはうれしさのあまり、ケンの頬に思いっきり自分の頬をすり寄せた。



ダンゴは頬をすり寄せているうちに、自然に頬に涙が伝わっていた。
「ケンー・・」
「ダンゴ、また泣いてんのか」
「だってよ・・」
ケンはダンゴのおでこに、自分のおでこを当てて呟いた。
「でも、よかった。本当によかったぜ」
「ケン・・」
「ダンゴが元に戻ってくれてさ」
「俺が元に戻る・・?」
「だって、俺が近づいたら、いきなり鉄パイプで殴りかかってくるんだから。痛てーのなんのって」
ダンゴがケンの体をみると、体中に叩かれた傷跡が残っていた。
「ケン、体は大丈夫なのか!?」
「あんま大丈夫じゃねーよ」
「ごめんよ。だって、ケンが突然ドラゴナイトに変わって・・」
「俺が、ドラゴナイトに?」
「うん。怖かったんだ。お前、本物のケンだよな? 疑いたくはないけど・・」
「当たり前だろ!」
「その傷は俺が殴った跡だよな・・?」
「あぁ。かなり痛かったぜ。だけどダンゴの心の痛みに比べれば、屁でもねぇさ」
「ごめんよ、ケン」
「いいさ。俺がいけねぇんだ。ダンゴに何が起こっているのか、
  もっと早く分かっていれば、こんなことにならなかったんだ。俺が悪いんだ」
「なにが起こったのか説明してくれよ」
「こういうことさ・・」
ケンはおもむろに、自分の手のひらをダンゴにみせる。
すると、そこには獅子のアザが、わずかに浮かび上がっていた。


ケンの手のひらにある、獅子のアザ。
このアザが現れたということは、ドラゴ帝国が現れたということを意味する。
「ケン、獅子の模様が・・」
「あぁ。いまなら分かる。隠れてもムダだぜ。そこだ!」
ケンは振り向きざまに、持っていた携帯用のナイフを空に投げた。


「ヴキャーーーーッ!」
ナイフは、木の枝に逆さにぶら下がっていた目玉のバケモノに命中した。
<おのれ、大牙剣・・>
「やはりそこにいやがったか」
<もう少しで、大牙剣を殺すことができたのに・・。
  親友の団五郎に殺されるという、最も惨めな末路を辿るはずだったのに・・>
「ドラゴナイトが偉そうにほざくな!」
<大牙剣と団五郎が、私の幻術を打ち破るほど強い意志で結ばれていたとは・・無念だ・・>
その言葉を聞いて、ケンは怒気を漲らせる。
「まだドラゴナイトの生り残りがいるとはな。人間を幻覚の中に陥れる・・危険な能力だぜ」
「ドラゴ帝国は、まだ滅びていない・・・いつか貴様のことを・・」
捨て台詞を吐いた目玉のバケモノは、そのまま塵となって消えていった。


ケンはダンゴに肩を貸して、ゆっくりと立ち上がった。
「ダンゴ、もう大丈夫だぞ」
「うん。でもさ、俺は・・・」
ダンゴはギュッと拳を握り締めて、僅かに肩を震わした。
「どうしたんだ?」
「俺はやっぱりケンがいないと何もできないんだ。
  俺って弱いだろ・・。あのまま夢にうなされ続けていたら、俺は・・」
「ダンゴ・・・」


ガックリと視線を落とすダンゴに、ケンはキッパリと断言した。
「ダンゴは弱くなんかない!」
「えっ・・?」
「だって、お前は幻覚に操られているときでさえ、俺のことを考えてくれたじゃないか」
「俺が?」
「そうさ。お前は途中で武器を捨てただろ? あのとき分かったんだ。ダンゴが自分の中で戦っているって」
「ケ、ケンー!」
ダンゴは再び、目を潤ませながらケンにしがみついた。
「なぁ、ダンゴ。俺が強くいられるのは、俺自身の力じゃない。
  お前のおかげなんだ。五郎がいるから・・俺はお前を守りたいから、強くいられるんだ」
「ケン・・」
「ダンゴがいるから、俺はここにいる」
「俺だって・・ケンがいるから俺も・・」
「じゃ、お互い様ってことだよな。もうメソメソしてるんじゃねぇ! ダンゴ!」
「うん・・」


ケンは、まだイジイジとしているダンゴに対し、フッとため息をついた。
「まったく・・世話が焼ける相棒だぜ」
ケンは、ダンゴの手首を軽く掴む。
そのまま、唐突に自分の股間に擦りつけた。
「へっ?」
「俺のも触りたかったんだろ?」
突然のケンの行動に、ダンゴは頬を赤く染める。
「バ、バカいうなっ」
「俺はダンゴのすべてを知りたい。すべてを知るなんて無理かもしれないけどさ。
  でも、俺は知りたいんだ。だからダンゴにも、俺のすべてを知ってほしい」
「ケン・・」
優しい顔で答えてくれるケン。
その言葉は、ダンゴの心に暖かさと力強さを同時に与えてくれた。
「ケン、うまく言えないけど・・俺、ケンのこと・・・」
「なに言ってるんだよ。続きは夜のお楽しみ。なんちゃって」
そういうと、ケンはニコッと笑い、今度はダンゴのブリーフの膨らみをギュッと掴む。
「ぎゃあ! いきなりなにすんだよ!」
「ダンゴ、チンチンが縮こまってるぞ。いっそのこと、この格好で学校行ったら?」
「バ、バカヤロ! パンツのまま行けるか!」
「ハハッ、じゃ早く戻ろうぜ。飯も食いなおしだ」
ケンとダンゴはお互いに肩を貸しあいながら、ゆっくりと歩き始めた。
お互いに照れくさそうな笑みを浮かべながら。


最後まで読んでくださった方、ありがとうございました。
今回は「ダンゴ小説でもいかがでしょう」というリクエストがあったので、書いて見ました。ダンゴの小説なら、ケンとのラブラブものにするか、ドラゴナイトとの陵辱モノにするか、迷ったのですが、欲張って2つとも入れてみました。うまく2つのエロい場面を入れられたかなーと思っているのですが、いかがでしたでしょうか? この小説は夢と現実が交錯するような話ですが、小説内の設定ではダンゴの行動はかなり過激であり、ダンゴファンに怒られそうです。どこまで読み取ってもらえるかは読者様次第ですが。それと最後にやっていることは白雪姫ですね、これ。

戻る