ブリッツモン×純平小説(2)


ようやく続きかきました。まだあまり進展してませんが・・。


登場人物

柴山純平。デジタルワールドから戻り、普通の生活をしている。

ブリッツモン。純平の力で蘇った伝説の十闘士の1人。


交差点で友達と話しながら時間を潰している純平。
そのときだった。
<純平・・>
「んっ?」
純平は後ろを振り向いてみたが、信号待ちをしている人混みが見えるだけだった。
いま確かに、自分の名前を呼ばれたはずなのに。
<純平・・>
「えっ?」
なにかトーンの低い、大人のような声。
純平はキョロキョロと周りを見渡す。
その聞き覚えのある声に、純平は戸惑った。
(ブリッツモン・・・?)
しばらく周りの様子を確認する。
(そんなわけないよな・・・)
しかし、なにか釈然としない感覚が続く。


スクランブル交差点の信号が赤から青に変わる。
東西南北のあらゆる方向から人が横断歩道を交差し始める。
前の人が進むのを待って、純平もようやく一歩目を踏む出そうとする。
そのときだった。
「なんだ、あれ?」
交差点を歩いている人たちが、突然空を指差し始めた。
純平の友達も、空を指差して驚いている。
ドッドッドッドッ・・・・・。
音が大きくなるに連れて、それが数機のヘリコプターであることに皆気がついた。
「あれって、自衛隊?」
「なんで自衛隊のヘリが、渋谷を飛んでるんだよ!」
「なにか事件があったんじゃないの?」
「ここヤバイんじゃねーの?」
群集はなにやら騒然となりパニック状態。
交差点の信号はとっくに赤になっているが、人はみな交差点で立ち往生していた。


純平は群集のど真ん中で、事態の状況が掴めずにいた。
(なにが起こったんだよ・・・)
いつの間にか友達とはぐれてしまっている。
「おい、みんな! どこに行ったんだよ!」
純平はいつもの倍の大きさで思いっきり叫ぶ。
事の成り行きに焦る純平だったが、突然胸のポケットから暖かみを感じた。
(な、なんだ!?)
純平は急いでツナギの中のポケットを確認する。
そして、その暖かい源を手に取り、そっと外に出してみる。
それを見た瞬間・・。
「あっ・・・・あっ・・・」
驚きのあまり、しばらく声がでなかった。
純平の手から溢れんばかりの光が放たれていたのだ。
そう、あの携帯電話。
よくみると、デジコードがぐるぐると巻かれていく。
そして携帯電話は青いデジバイスへと形状を変えていった。
「デジバイスが・・・どうして・・・?」
純平は何が起こったのか理解できなかった。


交差点の状況はさらに悪化し、逃げる人や、ヘリを追いかける野次馬でごったがえしている。
立ちすくむ純平に対し、ドシドシと人の肩が容赦なくぶつかっていく。
しかしいまの純平には、そのことを気に留める余裕はなかった。
デジバイスが・・・デジタルワールドにいるときにしか出現しないはずのデジバイスがそこにあるのだ。
何度見ても、デジタルワールドにいたときと同じ、あの青いデジバイス。
どうして、いまになって復活したのか・・。
純平の手は震えていた。
デジバイスの画面に、なにやらノイズのようなものが走っている。
ノイズの中に見える見覚えのある影。
「ブッ、ブリッツモン!」
純平は思わず叫んだ。
デジバイスの小窓に映っているのは間違いなくブリッツモンだ。


『純平・・』
懐かしい低い声。
その声を聞いて純平はうれしくて涙が出そうになった。
「ブリッツモン、なんだね・・?」
『そうだ、純平に会いに来たんだ・・・』
「ほ、本当に・・? でもどうして・・?」
すると、デジバイスから、一本の光がまっすぐに伸びていた。
どうやら、ブリッツモンのいる場所に向かって伸びているらしい。
「この光は・・・今行くから待ってて!」
純平は溢れる感情を抑えながら、光の方向に向かって走りだした。


純平はデジバイスが指す方向に向かって走っていた。
人ごみで先は見えなかったが、その方向にブリッツモンがいる。
そう考えただけで、純平の胸は踊り、感情が高ぶった。
走っていると、大型スクリーンから音声が聞こえる。
<現在渋谷から中継しています・・・。>
<カブトムシのような正体不明の生物が出現しています>
<なにかのアトラクションではないかと調査中ですので、念のため近くの方は避難してください>
純平がチラッと横をみると、大型のスクリーンに映像が流れていた。
<現在、警察と自衛隊がその生物に接近しています>
「えっ・・?」
その映像をみて純平は驚いた。


映像は不鮮明だったが、道路の中心に立つブリッツモンが見えた。
「ブリッツモン・・・本当に来てくれたんだ・・・」
カブトムシのような青い体は以前のままだ。
純平はその姿をみてうれしかったが、同時にとてつもない不安が襲ってきた。
ブリッツモンを警察官が包囲している。
周りはパニックになる人たちと、野次馬でごった返していている。
人が多いため、警察もうかつには発砲できないようだ。
「ど、どうしてこんなことに・・・」
純平はその映像を見て、急いで道玄坂方向へ坂を昇っていく。
事態は把握できないが、ブリッツモンに会えば事の成り行きが分かるはずだ。


純平が人ごみの中を懸命に走っていると、ピストルの銃声が聞こえた。
人々の悲鳴も聞こえる。
(警官がブリッツモンに発砲している・・?)
そんなバカなことが・・・。
ブリッツモンは人間界を救ったデジタルワールドの英雄なんだ。
今だって、なにか理由があって俺に会いにきたに違いない。
「やめろっっ! ブリッツモンが何をしたっていうんだっ!」
純平は大声で叫びながら、巨体を揺らして走っていた。
"ブリッツモンに会える"といううれしさは、瞬く間に不安と焦りに変わっていく・・・。


×月○日 12:40 渋谷の地下から次元の歪を確認。
×月○日 12:45 その歪から謎の生命体が出現。
×月○日 13:00 謎の生命体に対し自衛隊の派遣を決定。
軌道衛星によって、生命体の移動先を追跡確認。
この生命体は3ヶ月ほど前に渋谷に出現したものと同種と判明。
多くの子供の証言から、デジタルワールドという世界の存在を確認。
今回出現した生命体はデジタルワールドのものと識別された。
捕獲を優先。
捕獲できないときは、混乱を避けるために射殺。
純平が知る由もない、日本政府が緊急事態として下した決定だった。


純平が進む先には、多くの野次馬や警察官で溢れていた。
人が密集するとこんなに先に進めないものなのか、と純平はいらついていた。
ブリッツモンはもうすぐそこにいるというのに。
必死に人の波をかき分けて進んでいくが、太った純平にはキツイ道のりだ。
こんなことなら、もう少しダイエットしておくべきだったと、純平は思った。
<おい、この先に化けモンがいるらしいぜ>
<仮面ライダーのアトラクションだろ?>
<人間の言葉を喋っていたわよ!>
近づくにつれて耳に入る生々しい会話。
(何もブリッツモンのことを知らないくせに・・・!)
ブリッツモンは人間界を救った英雄であることを知るものは誰もいない。
だから余計に純平は苛立はじめた。


<化け物はどうなったの?>
<この先で警察が捕まえているらしいぜ>
純平はその会話を聞いて、愕然とする。
人間がブリッツモンを捕獲しようとしているなんて。
しばらく走ると、ようやく最前線と思われる大きな群集の輪が現れた。
近くに寄って見るが、人のすし詰め状態とはこのことを言うのだろう。
デジバイスの光はその輪の中心に伸びている。
『純平・・・頼む・・急いでくれ・・』
デジバイスから声がした。
「ブリッツモン!」
純平な泣きそうな声でブリッツモンに応える。


純平は最前線に進もうとしたが、人のパワーに跳ね飛ばされる。
人が密集すると、こんなにもパワーがあるものなのかと純平は驚く。
「クソッ、なんとかしないと・・」
純平は周りを見渡すが、どこにも隙間らしきものはない。
しかし、ふと下をみると地面には多少の隙間がある。
純平は大きな体を縮めて、できるだけ低い姿勢をとる。
そして、ほふく前進をするように、人の股の間をぬって前進していく。
「痛っ!」
たまに背中を人に踏まれる。
そのたびに純平の背中に激痛が走った。
それでもなんとか人をかき分けていく。
汗まみれになりながら、ようやく人の股の間から最前線にヒョッコリと顔を出した。


最前線はロープが行く手を阻んでおり、警官が立ち並んでいる。
どうやらこれ以上先には、進めないらしい。
(あぁっ・ブリッツモン・・・)
純平の目の先には、小さく映るブリッモンの姿があった。
周りには拳銃を持った警官や自衛隊員が何人も取り囲んでいる。
ブリッツモンは警官から攻撃を受けたのか、荒い息遣いをしている。
上空に自衛隊のヘリコプター、地上には警官。
これでは移動することも、逃げることも困難だ。
未確認生物として、一方的な攻撃を受けたのだろう。
「ブリッツモン!!」
純平は大きな声で叫んだが、この群集の中ではかき消されてしまった。


『俺は人間と戦うためにここに来たんじゃない!』
ブリッツモンは人間に向かって話していた。
「不気味なヤツめ!それ以上動くと撃つぞ!」
なにやら警官隊が叫んでいる。
<あの不気味な生物・・言葉を喋ってるわ・・・特撮じゃないわよね・・?>
野次馬と化した群集も、ブリッツモンを興味津々にみている。
中には携帯で写真をとって楽しんでいるものもいる。
『頼む、攻撃をやめてくれ!』
ブリッツモンがいくら叫んだところで、人間の言葉を話す不気味な生物としか映らないのだろう。
(ど、どうしよう・・)
取り囲まれるブリッツモンをどう助けたらいいのか、純平は涙を溜めながら考えていた。
このまま突っ込んでいっても、純平の力では警官に取り押さえられるのは目に見えている。
しかし、純平が見る前で、状況は最悪になった。


進展しないですね・・。え、エロまだかですかって・・?

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