純平ネタで久しぶりに書いて見ました。以前書いた「純平小説」や「ブリッツモン×純平小説」とは全く関係ありません。設定はデジモンフロンティアの第42話「デジタマを守れ! 消えゆく命の奇跡」を元に作っています。
登場人物
柴山純平。小学6年生でチョコレートが大好きな甘えん坊。ブリッツモンに進化する。
織本泉。イタリアからの帰国子女で勝気な性格。フェアリモンに進化する。
神原拓也。正義感が強く明るい熱血漢でリーダー的存在。アグニモンに進化する。
揺りかごの中に、デジモンの赤ちゃんたち。
お腹がよほど空いているのか、大合唱で泣きじゃくっている。
「お願いだからミルク飲んでくれよ・・」
「・・・」
←相変わらずイメージ映像入れてみました。
純平がミルクを差し出しても、赤ちゃんはムスッと黙ったままだ。
もう一度、哺乳瓶を差し出して見る。
「ミルクでちゅよー」
「・・・」
「飲まないと大きくならないでちゅよー」
「・・・」
まったく反応しないデジモンに、フッとため息を吐く純平。
(おかしいなぁ・・。デジモンってミルク飲まないのかな・・)
純平が気を落として、視線を下ろした瞬間。
「ああっ」
胸に、ビリッと電気が走るような衝撃を感じた。
恐る恐るその部分を見てみると・・。
こともあろうにデジモンの赤ちゃんが、おっぱいの部分にしゃぶりついているではないか。
<ちゅうちゅう・・>
「ひゃああ、なにしてんの!」
<ちゅうちゅう!>
「んあっ・・俺のおっぱいに・・どうして・・」
<ちゅうちゅう!!>
「俺は男なんだぞ! それに服の上からミルクなんて出ないよー」
純平は乳房を執拗にしゃぶるデジモンを、両手で強引に引き離す。
「ハァハァ・・」
一人で荒い呼吸をする純平。
そこへ、聞き慣れた女の子の声が聴こえてきた。
「純平、なにやってるのよ?」
「ハァハァ・・あ、泉ちゃん・・」
騒々しいのに気がついたのか、泉が純平のそばに来てくれたようだ。
「アナタ、変な声を出してなかった?」
「そ、そんなことないよ、ハハ・・ハ・・」
「ふーん」
ジンジンとしたかゆみが残る乳首を、なんとかごまかす純平。
「それよりさ、赤ちゃんが全然ミルク飲まなくって・・」
「まったく、下手なんだから。ちょっと哺乳瓶貸して」
泉は純平から哺乳瓶を受け取り、それを手際よくデジモンの赤ちゃんに差し出す。
すると、不思議なことに赤ちゃんが元気よく、ミルクを吸い始めた。
「すごいよ! 泉ちゃん」
「こんなの簡単よ」
うっとりと泉を見つめる純平。
(泉ちゃん、やっぱり可愛い・・)
純平はニッコリと微笑みながら、泉に話しかける。
「なんかさ。俺たち、パパとママみたいだね?」
「全然」
「ホラ、パパでちゅよーって」
「・・バカみたい」
そういうと、泉はスタスタと歩いていってしまった。
「あ、ちょっと泉ちゃん!」
必死に呼びかけてみる。
「もうやだなー・・・泉ちゃんったら照れ屋さんなんだから・・」
次第に声が小さくなる純平。
(うーん・・泉ちゃん、相変わらずつれないなぁ・・)
いつも通りの泉の素っ気無い行動に対し、純平はガックリと肩を落とした。
──『はじまりの町』。
いま俺たちがいる場所だ。
『はじまりの町』は美しい木々に囲まれ、新しいデジタマが毎日生まれる、いわば"希望の場所"だ。
そして、デジタルデータが残っている、わずかなエリアの1つでもある。
ちなみに、デジタマっていうのは、デジモンの卵のことだ。
デジモンは、デジタマから生まれるらしい。
そして、すくすくとミルクを飲んで成長するんだ。
まるで、人間がお母さんから生まれて成長するように。
俺、デジタマの殻を破ってデジモンが生まれたのを目の当たりにしたら、感動して震えてきたんだ。
いま俺たちはロイヤルナイツという敵と戦っている。
奴らはルーチェモンを復活させようと企む、極悪非道な連中だ。
美しかったデジタルワールドは次々にスキャンされ、世界は虫食い状態になっている。
俺たちはデジモンに進化して、スキャンされるのを必死に阻止している。
しかし善戦虚しく、奴らにデジコードを次々に奪われている状態だ。
この町に、奴らがやってくるのも時間の問題だろう。
・
・
絶対に守らなくちゃいけない。
この平和な町を。
俺、思うんだ。
ブリッツモンやボルグモンは『はじまりの町』で生まれたんじゃないかと。
だから、この町は俺にとって、第二の故郷みたいなものだ。
俺はこの町を守りたい。
拓也たち一行は、デジモンの赤ちゃんの子守をようやく終え、デジタマに囲まれておやつを食べていた。
そのとき、泉がスッと立ち上がる。
「泉ちゃん、どうしたの?」
「私、トレイルモンを説得に行くわ。赤ちゃんたちを運んでくれるように」
「ここから、トレイルモンが隠れている山までかなり遠いし、危ないよ」
「大丈夫」
「でも、ロイヤルナイツが襲ってくるかもしれないしさ」
「ロイヤツナイツが狙っているのは、この町のデジコードでしょ?」
「とにかく、一人で行くのはダメだからね」
「なに勝手言ってるのよ。純平はいつからリーダーになったの?」
不満げに口を尖らす泉。
「いや、俺は泉ちゃんのことを思って・・」
純平は泉の機嫌を損ねてしまったのではないかと、アタフタとする。
純平は気を取り直してニコッと笑い、自分の顔を指差す。
そして、やんわりと話しかけた。
「あのさ、よかったら俺も一緒に・・?」
「え?」
「あの、俺も・・」
「じゃ、アナタが一人で説得に行って来なさいよ」
「ど、どうして俺ひとりで行かなきゃならないの?」
「だって、この町から2人もいなくなったら、ロイヤルナイツが来たときに困るでしょ?」
「・・・・」
「まったく、そんなことも考えないで、自分の意見を押し付けてるわけ?」
「いや、その・・俺は泉ちゃんが危ないと思ったから・・」
だんだんと空回りし始める2人の会話。
2人の言い争いに、その場の全員が気まずい雰囲気を感じていた。
拓也は「ウーン」と悩みながら、おもむろに口を開く。
「あ、あのさ・・」
「なによ、拓也?」
泉の視線が拓也に突き刺さる。
「そんな怖い目で俺を見るなよ」
「あ・・ごめんなさい・・」
「2人でトレイルモンを説得に行ったら?」
「私と純平で?」
「うん。ホラ、トレイルモンを説得することも、この町を救うのと同じくらい大切だと思うんだ。
デジタマをトレイルモンが運んでくれなきゃ、この町がデジタマでパンクしちゃうだろ?」
「だけど・・」
なかなか納得しない泉。
拓也はゆっくりと立ち上がって、泉に向かって目配せする。
「泉さぁ」
「なによ?」
「純平は、泉のこと心配してるんだぜ」
拓也は、そういうとチラリと純平を視線を向ける。
拓也は拓也なりに、純平の想いを理解しているようだ。
「心配・・ねぇ・・?」
そういうと、泉も横目で純平をチラッと見る。
泉の不審な眼差しに対し、
純平は額に汗をかきながら「えへへ」と作り笑いをした。
拓也はさらに話を進める。
「もしロイヤツナイツが来たら、お前たちが帰ってくるまで、俺と輝二でなんとかするからさ」
「でも、大丈夫なの?」
「大丈夫さ。ダブルスピリットだって、それなりに強いんだぜ」
「うーん、拓也がそういうなら、仕方ないか・・。じゃあ純平、行きましょう」
泉の顔は笑顔とはいえないまでも、先ほどまでの不機嫌さは消えていた。
純平はホッと安堵の息をついた。
(やった! 久しぶりに泉ちゃんと2人になれる。少しだけ恋が進展したりして・・)
鼻の下を伸ばし、すでに妄想を膨らませる純平。
こんな状況下でも泉のハートを射止めたいと願うのは、純平の心が一途である証ともいえるのだが・・。
2人で、トレイルモンを説得しに行くことに決定したのだ。
また勢いだけで書いてるなぁ。