純平小説(1)


この話は原作に沿っていません。パラレルになります。基本的な設定は同じですが、ボルケーモンや黒ブリッツモンの第24話の設定はなかったということで読んでください。それから、かなり痛いアホ陵辱小説になる予定です。純平をかけがえのない存在と思っている人は、純平考察にある小説を読んでください。一切苦情は受け付けません(←ぉぃ)。


登場人物

柴山純平。ブリッツモンに進化する。

ブリッツモン。純平がデジタルワールドで進化した姿で、伝説の10闘士の1人。

拓也と泉。拓也はデジタルワールドに来た5人のリーダー格。アグニモンに進化する。

ボルケーモン。サイボーグ型デジモンで剛力を持つ。


薔薇の明星に向かう拓也たち。
月明かりだけが地面を照らしている。
「なんか薄気味悪い森だなぁ」
ボソッと純平が呟く。
いま拓也たちが歩いているのは、森の中。
森といっても、きちんと道があるので迷うことはないのだが。


純平は拓也たちの後ろから、テクテクと歩いていた。
手を頭の後ろに組み、のほほんと年下の拓也たち4人の姿を見ている。
こうしていると、なんとなく自分がリーダーになったような気分になる。
実は、純平にはそうなりたいという願望があった。
いつも拓也に主導権は握られているが、純平は6年生で一番年上だ。
みんなから頼りにされる存在でありたいと思うのだ。
しかし、空回りしてしまう自分に、情けなさを感じる。


純平はデジタルワールドに来てから、漠然と不安に感じることがある。
もしかして、自分は他の仲間から必要ない人間と思われているのではないか・・・。
自分が居ても居なくても、何も変わらないのではないか・・。
心が不安で一杯になったとき、純平はおまじないのようにしていることがあった。


純平は皆が見ていないことを確認すると、木陰に大きな体をサッと隠した。
そして、胸のポケットから青いデジバイスを取り出した。
両手でデジバイスを握り、じっと見つめる。
「ブリッツモン・・・。
  ブリッツモンだけは俺のこと分かってくれるよね・・・」
デジバイスに向かって笑顔で話しかける純平。


拓也たちは、よくデジバイスに向かって話しかけていることがあった。
純平はそれを見て「そんな子供みたいなことやれるか」と言葉では格好をつけていた。
しかし、デジタルワールドで時が経つにつれて、気がついた。
心から信じあえる仲間がいないということに。
ここには家族もいない。
拓也や友樹は話相手にはなるが、まだ本当の友達とは言えない。
それは拓也たちが悪いのではなく、まだ会ってからほんの数週間しか経っていないから。
それに拓也たちが年下であるがゆえに、友達というよりは、自分は先輩なんだという意地もあった。


しかし、純平にはたった1人だけ信じあえる仲間がいた。
──ブリッツモン。
デジタルワールドで、いま唯一信じられるのはブリッツモンだ。
何も話しかけてくれないが、心は通じている。
ブリッツモンは純平を認めてくれたからこそ、スピリットを委ねてくれたのだろう。
純平が進化したとき、ブリッツモンの心を感じることができる。
デジタルワールドを守るという正義の魂が、純平の心を突き抜ける。
それが純平に勇気と自信を与えてくれるのだ。
話せるものなら、ブリッツモンと2人っきりで話がしたい。
そんな風にいつも思っていた。


純平は、デジバイスの画面に映っているブリッツモンを見て、ニコッと笑った。
ブリッツモンは何も語らない。
でも、純平に対して微笑んでいるように見える。
純平にはそれがとてもうれしかったのだ。
何事にも変えがたい安心感が得られるといえば分かり易いだろうか。
フッと安堵の息をついた純平は、木陰から戻った。


「あ、あれ?」
キョロキョロと周りを見渡すが、拓也たちの姿がない。
(まさか置いていかれたんだろうか・・)
純平は不安を感じながら、先ほどまで拓也たちがいた方向に向かって走り出した。
「拓也!輝二!友樹!泉ちゃん!」
しかし、周りからの反応はない。
ますます不安になった純平はいつもの2倍の声で叫ぶ。
「おい、拓也! 隠れてるなら出てこいよ! どこ行ったんだよ!」
純平の必死な呼びかけに対しても、返事をするものは誰もいなかった。
みんなに無視されてしまったのでは・・と純平はどんどん不安になっていった。


ズッコーン!
そこへ突然爆音がした。
純平は驚いて後ろを振り向くと、ガッチリとした体型のデジモンが立っていた。
「だっ、誰だ、お前は!」
突然現れた敵に、純平は大きな声で叫ぶ。
そのデジモンはゆっくりと純平の方へ近づいてきた。
「スーッ、ハーッ」と不気味な呼吸をしている。
その姿に、純平は自然と一二歩後退していく。
「俺様の名前はボルケーモン。こんなところに人間のガキがいるとは」
ボルケーモンは今にも純平に襲い掛かりそうだった。


1対1でガチンコで戦うのは分が悪い。
できれば拓也たちと一緒に戦いたい。
純平はボルケーモンに対して言葉で牽制をかける。
「お前、ボルケーモンとかいったな! 俺は人間だけど進化して伝説の闘士になれるんだぞ!」
「伝説の闘士・・・だと?」
その言葉を聞いて、ボルケーモンは一瞬怯んだように見えた。
ここぞとばかりに純平はたたみみ掛ける。
胸のポケットから青いデジバイスを取り出し、印籠のように見せる純平。
「このデジバイスを見ろ!」
純平はデジバイスを相手に見せ付ける。
「それがどうした?」
「雷の闘士、ブリッツモンに進化できるデジバイスだ」
これで相手が引いてくれれば、戦わずに済む。
できれば痛い思いはしたくない、というのが純平の本音だった。
しかし、ボルケーモンは純平の意図と反する行動をとった。
全くデシバイスなど気にしなかったのだ。


純平のデジバイスを全く無視して、突然襲い掛かるボルケーモン。
拳を振りかざし、純平に殴りかかる。
「うわっ!」
純平は咄嗟に、横に倒れてなんとかボルケーモンのパンチをよけた。
ドスンッ。
ボルケーモンのパンチで、地面に穴があく。
ブリッツモンと知って攻撃してくるということは、ボルケーモンは敵だ。
口で言って分からなければ、戦うしかない。
「分からなきゃ進化してやる!スピリットエボリューション・・」
純平はデジバイスでブリッツモンに進化しようとポーズをとった。


しかし、ボルケーモンはすばやい動きで、純平からデジバイスを奪い取る。
そして、デジバイスを遠くに投げてしまった。
「うわっ!」
コロコロッと転がっていくデジバイス。
「フン、ブリッツモンを語るニセモノめ!」
「ちっ、違う!」
命の次に大切なデジバイスを失い、純平は焦った。
ブリッツモンに進化できなければ、とてもボルケーモンと戦うことはできない。


ボルケーモンは純平を見下ろしながら話した。
「お前は人間なのにどうして進化できるんだ?」
「俺はブリッツモンに選ばれたんだ!」
「選ばれた?」
「そうだ。ブリッツモンが伝説の闘士として、俺を選んだんだ」
「ほう・・・」
そういうと、ボルケーモンは純平の体を嘗め回すように見ている。
「な、なにをジロジロみているんだ・・」
何かを探るようなボルケーモンの視線に、純平の首筋に嫌な汗が落ちる。


「ブリッツモンはパワー型だからな。お前みたいなデブを選んだんだろう」
「だ、黙れ!」
なんて失礼なことを言うヤツだ!と純平は思った。
たしかに自分は太っていて、それを気にもしている。
しかし、デブという体格だけで、ブリッツモンが自分を選ぶわけがない。
「どれ、ブリッツモンに選ばれた子供とやらが、どれくらいのパワーがあるのか試してやろう」
そういうと、ボルケーモンは純平に近づいてきた。
ドシッドシッと重たそうな足取り。
純平の2倍の大きさはあるボルケーモン。
純平の前に立つと、とても大きく感じる。


純平は逃げようかと迷ったが、ここで背中を向ければ確実に追撃されるという危険を感じた。
純平の正面に立ったボルケーモンは両腕に前に出した。
「さぁ、俺様と力比べだ」
そういうと、ボルケーモンは純平の左右の手首を強引に握り、そのまま押し倒そうとした。
「うっ・・うわっ・・」
物凄い力に、純平は押しつぶされそうになる。
このままではボルケーモンに背骨を折られてしまう。
「くそっ・・負けるもんか!」
純平は顔を真っ赤にして、持てる力をすべて腕に集中し、根性で押し戻す。
「ほう、人間の子供くせに馬鹿力があるじゃないか。
  本当にブリッツモンに選ばれた子供かもしれないな」
ボルケーモンは笑みを浮かべている。


そもそもデジモンと人間が生身で戦うなど、純平は考えたこともなかった。
しかし進化できない今、ボルケーモンをなんとかしてデジバイスを取り戻さなくてはいけない。
「こんなところでやられてたまるかっ!」
純平は玉砕覚悟で、ボルケーモンに体当たりをした。
ボルケーモンは純平に飛ばされて、ドスンと尻餅をつく。
意外とあっさりと倒れたボルケーモンに、純平は驚いた。
まるで手加減をされているみたいだ。
(よし、いまのうちにデジバイスを・・・)
純平は、向こうに転がってデジバイスを拾おうと周りを見回した。
そのとき、デジバイスに不思議なことが起こっていた。


ボルケーモンと純平って普通は戦えないか・・・まぁいいや<俺

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