リクエストもので、健太くんのプチ小説書いてみました。この話は原作に沿っていません。パラレルになります。基本的な設定は同じですが、最終回の部分を自分なりに妄想したプチ小説です。かなり自己満足小説ですが。あまりメジャーとは思えないので、少し画像入れていきます。w
登場人物
花園ユーミ。ボーイッシュな外見どおりのアクティブ派。絵に描いたものを具現化する魔法を使える。
三沢健太。ユーミの幼少の頃からの友達で、ユーミのハートを射止めたいと思っている。10歳。
かき丸&ケシ丸。花の国の妖精。かき丸は優等生タイプで、ケシ丸はひねくれ屋。
氷の王。美しいものを好むナルシストな性格で、花の国を氷で覆い尽くそうとする。
花の国の長老。花の国を治める妖精で、かき丸やケシ丸と同じ姿をしている。
『フフフッ。さすがに花の国というだけあって、美しい・・・』
見渡す限り、美しい花が一面を覆う世界。
道化師のような井手達の男は、一本の花をポキッとへし折って、その香りを楽しむ。
『さぁ、美しいものは、すべて私のものとなるのです』
男は腕を緩やかに上空にかざす。
すると、男の体から寒々とした吹雪が舞う。
一瞬のうちに、周囲は青白い氷で覆い尽くされた。
美しい花で彩られていた世界が、一瞬のうちに氷の世界に変貌していく。
『これこそ、私の求める美なのです』
男は自分に酔いしれるかのように腕を広げ、さらに氷の領域を広げる。
『ウッハハハハッ』
その高笑いを聞くと、まともな品性を持ち合わせているとは思えない。
「氷の王よ、なぜ花の国に来た?ここから立ち去れ」
蚊の泣くような小さな声が聞こえる。
いまにも風で吹き飛びそうな、ヨボヨボした妖精。
『花の国の長老か・・・。私は花の国が気に入りました。
これから花の国をすべて氷で覆いつくすことに決めましたぞ!』
男は傲慢な表情で答えを返す。
「バ、バカなことを・・・」
『長老よ。氷ほど美しいものはありません。
どんな物も、光さえも、氷はすべてを透過して美しく彩るのです。
花の国を氷で覆い尽くせば、さらに美しくなりますぞ。ハーハハッ』
男は酔狂な高笑いを始める。
「花の女王をどこにやった・・?」
細々とした声で、長老が尋ねた。
『あぁ、あの女王様・・。あの方は特別に私が氷に閉じ込めておきました。
美しいものは、すべて私に独占されるべきなのです』
「な、なんてことを・・女王が眠りにつけば花の国は終わりですじゃ・・」
長老の落胆した姿を見て、男は笑みを浮かべている。
氷の王の理想など、花の国の妖精からみれば、単なる酔狂にすぎない。
「このままでは、花の国はおしまいじゃ・・・頼むぞ、かき丸、ケシ丸・・。
早くユーミさんを連れてくるのじゃ・・・」
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「いいですか、ユーミ!それから健太くん!」
「は、はい!」
ケシ丸の声に、思わず大きな返事をする健太。
「ちょっと健太くん。そんなに大声出さなくてもいいでしょ。鼓膜が破れちゃうじゃない!」
よほど健太の声が大きかったのか、ユーミは耳をふさいで、けげんな顔をしている。
「ユーミちゃん、ごめんなさい・・・」
ユーミの言うとおり、彼女の部屋でそんなに大声を出す必要はないのだが・・。
まだ"妖精"に馴染めなない健太は、話しかけられただけでオドオドしてしまう。
──ケシ丸さんとかき丸さん。
花の国の妖精さんだ。
僕がこの妖精さん達に出会ったのは、ついさっきユーミちゃんの部屋に入ったとき。
フラワータウンは、ここ一週間、真夏だというのに雪が降り続いていたんだ。
いわゆる異常気象ってヤツだ。
雪遊びも飽きたので、たまたまユーミちゃんの部屋に遊びにきて、ドアを開けたら・・・。
ユーミちゃんが、見たこともない生物と話をしているのをバッタリと目撃しちゃったんだ。
あのときは本当にビックリしたなぁ。
最初はユーミちゃんに怒られると思ったけど、
ユーミちゃんは、僕を信頼してすべてを話してくれたんだ。
──かき丸さんとケシ丸さんが、花の国から来た妖精であること。
──ユーミちゃんが、花の国の力で魔法を使えること。
──フラワータウンの異常気象は、花の国が氷に覆われたことが原因らしいこと。
──花の国を元に戻すために、ユーミちゃんは花の国に旅たつこと。
そして、僕も決めたんだ。
ユーミちゃんと一緒に花の国に行くって。
僕がユーミちゃんを守らないで、誰が守るっていうんだ。
僕はユーミちゃんのためなら、何だってできるもん。
そして、いつか・・・いつかユーミちゃんと・・・。
「ちょっと健太くん!」
ボケッとする健太にユーミが話しかける。
「あ、ユーミちゃん・・」
「なにボケッとしてるの?」
「いやその・・・」
「これから魔法で花の国への入り口をあけるから、健太くんは下がっててちょうだい!」
「はい・・・」
そういうと、健太はそそくさと部屋の隅に移動する。
ユーミに強く言われると、健太はそれに従うしかない。
そのまま太った体を、部屋の壁にもたれかけた。
ユーミは、スケッチブックに何やら花の輪を描き始めている。
ユーミは将来マンガ家を志望するだけあって、絵を描くのは得意だ。
(ユーミちゃん、さすがに絵がうまいなぁ・・)
健太は絵を描いているときのユーミが大好きだった。
それはユーミが、生き生きとしている瞬間だから。
「ケシ丸、かき丸、これでいい?」
自分の描いた花の輪を、ケシ丸たちにみせるユーミ。
「上出来!」
ケシ丸とかき丸は納得した様子で、お互い「うん」と頷いてみせる。
「じゃあ、行くよ! エボパン・ポルパル・パッピンポ!」
2匹の妖精がなにやら魔法を唱えると、眩しい光が周囲を包み込む。
そして、ユーミが描いた花の輪が、実体化していく。
やがて花の輪の中に、花の国が映し出された。
(わぁ・・どうなってるんだ・・・)
スケッチブックの中に、花の国が映し出されたのを見て、健太は心臓が飛び出るほど驚いた。
魔法という非現実的なものが、本当に存在するなんて。
(本当に花の国ってあったんだ・・)
正直にいうと、健太は花の国というものが本当にあるのか、半信半疑だった。
しかし、実際にスケッチブックの花が実体化し、世界が映し出されるのを見れば納得さぜるを得ない。
「じゃ、行きますよ!」
2匹の妖精は、スケッチブックに映し出された花の国に、飛び込んで消えていった。
「さぁ、健太くん。私たちも行きましょ!」
ユーミはそっと健太に手を差し出す。
「ユーミちゃん・・・う、うん!」
健太は頬を赤く染めながら、ユーミの手を軽く握った。
(ユーミちゃんから手を差し出してくるなんて・・・ユーミちゃん、きっと飛び込むのが怖いんだ・・・)
暖かいユーミの手の感触を確かめる。
ニタニタとしながら、1人で妄想を広げる健太。
手を握っただけで、健太はデレデレになってしまうのだ。
「健太くんは太っているから、一緒に入れるかしら?」
「え゛っ?」
「じゃあ、行くわよ」
「ちょ、ちょっと、まだ心の準備が・・ユーミちゃん!」
健太が話を終わらないうちに、ユーミはポンッと飛び跳ねる。
相変わらず、健太のことなどお構いなしらしい。
ユーミはスケッチブックの花の国に、スゥッと吸い込まれていく。
「わあぁぁ!一体どうなってんの!」
健太もユーミに強引に引っ張られる形で、花の国に吸い込まれていった。
(ユーミちゃん、ちっとも怖がってないじゃないか。心配して損した・・)
いつもと同じ、ユーミに翻弄されまくりの健太だった。
またまた微妙かな?氷の王は、「扉をあけて」のデュラン三世からいただきました。なにかそれっぽいイメージだったのでw