金太君小説(10)


話があんまり進んでないですね・・・。


登場人物

我らが金太君です。

金太の親友の拳一です。

権藤大三郎です。

相変わらず緊張感のない拳一は、金太にイタズラを開始しようとしたが・・?


「まぁ、こんなもんで許してやっか」
一瞬本気で脱がしてしまおうかと思ったイタズラ好きの拳一だったが、場所が場所だ。
拳一はパンパンに張った金太のズボンから、ゆっくりと手を離した。
「くぅ・・拳一っ、またやったらタダじゃおかねーぞ」
金太は怒るというよりは、少し顔が紅潮して興奮気味だ。
「金太がいきなり乱暴したからだよっ」
「だって大きな声で言ったら、誤解されるだろ!」
「"エッチ"のこと?」
「だから、言うなって!」
「あれ、ごめんごめん」
拳一はニコッと笑い、頭の後ろに腕組みをする。
全く反省の色はないようだ。
「エッチしたのは本当だし、誤解もなにもないじゃん」
あっけらかんとした拳一に、あきれる金太。
(全く、拳一のヤツはいつもマイペースだからなぁ・・)
金太は勃起したモノを小さくしようと、少し屈伸したりしながらそう思った。
そのとき拳一が切り出してきた。


「でさ、お前最近なに悩んでるの?」
「いや、特になにもないよ・・・」
その答えに明らかに不満そうな拳一。
「また隠してるのかよ」
「えっ?」
「全部言えよ。俺にならすべてを見せるって前に言ったじゃねーか。あれはウソかよ!」
「わ、わかったよ・・」
金太は少し困った表情をしながら、ジッと腕組みをする。
どこから話を切り出そうか考える金太だが、あまり夢精の話はしたくない。
それが素直な気持ちだ。
拳一ならきっと力になってくれるのは、分かっているのだが。
「権藤大三郎のことでちょっとさ・・」
拳一は金太の口から出た固有名詞にピクッとする。
あの日、あの体育館で起こった出来事。
拳一も忘れようにも忘れられるはずがない。
金太と権藤の関係が分からないので、なおさら気になる。
「権藤って・・あの柔道野郎のことだよな?」
「あぁ」
「またなにかやられたのか?」
「いや・・」
どうもはっきりしない金太に拳一も苛立ち始めたようだ。


「あの柔道野郎と金太は、どういう関係なんなんだよ!?」
少し怒ったような拳一の口調に、金太は慌てた。
「拳一、落ち着けって」
「お前がちゃんと話さないからだろ!」
「は、話すから・・・」
「それで?」
金太は少し目を横に逸らしながら、話す。
「別にアイツとは何もないんだ・・前に柔道の練習中にイタズラされただけでさ」
「あのときの?」
「そう。あれっきり何もないよ・・」
拳一は、金太と権藤のあっさりとした関係に少し拍子抜けしたように見えた。
「それで、いまは何を困ってるんだよ?」
「その・・夢にさ・・アイツがでてくるんだ」
「へ? 夢?」
「あぁ」
ちょっと意外な金太の話に、拳一は少し興味が出てきたようだ。
「それで、夢の中でどうなるの?」
「それは・・その・・・アイツがいきなり出てきて柔道やったり・・・」
「金太って、随分変わった夢見るのな」
「そ、そうなんだよ・・・」
「うーん」
拳一は今の金太の話を聴いて、なにか考え事を始めたようだ。
どうせ拳一のことだから、考えたところでトンチンカンなことを言ってくる可能性が高い。
それでも、たまに考え付かないようなことを思いつく拳一の意見には興味がある。
「そうかー。わかったぜっ金太!」
ニンマリとする拳一。
「分かった?」
「お前、アイツに柔道で負けてるだろ?それがトラヌマになってるんだよ」
「トラヌマ・・?」
「そうそう。ずっとアイツに勝てないから、それが記憶に残って夢にでてくるんだ」
ヘヘンという表情で、拳一は謎解きをした探偵のように鼻の下を指でこすっていた。


「拳一・・それを言うならトラヌマじゃなくて、トラウマだろ?」
「えっ・・あ、そうそう。それそれ。トラウマだよ、トラウマ!」
偉そうなことを言っても、どこか抜けているのが拳一らしい。
拳一らしさをみてホッとする金太。
その一方で、金太は目をつぶって、過去のことを思い出した。
たしかに、権藤には小学4年生から試合で一度も勝ったことがない。
アイツには柔道では負け続けている。
さらに先日の陵辱のときは、一時の感情とはいえ、権藤を求めてしまった。
精神的にもアイツに負けている。
「なぁ拳一。権藤のことをどうやったら断ち切ることができるのかな?」
「えっへへ。よくぞ聞いてくれたぜ」
なにやら拳一は自信満々のような目つきだ。
「なにか方法があるのか?」
「アイツに勝てばいいんだよ」
「勝つ?」
「そう。柔道で試合して、アイツに勝つしかないと思うぜ」
「なるほど・・」
おそらく、拳一はその場で思いついたことを話しているだけだろうが、金太には説得力があった。
権藤に勝つことで、いままでの屈辱を克服できる可能性は確かに高い。


しかし、権藤に勝つといってもそうは簡単にいかない。
「柔道で試合をするといっても、大会は5月まではないし・・」
柔道の大会は毎年5月に行われるので、それまで権藤と対戦することはできないのだ。
さらに中学に進学すれば、大会自体がどうなるかも分からない。
金太はどうしようかと腕組みをしてあれこれと思案をめぐらせていた。
「アイツと試合するなんて簡単じゃん!」
拳一はまたなにかひらめいたような表情で、嬉しそうに話した。
「アイツの学校に乗り込んでって、試合すればいいじゃん」
「ええっ?」
何を言うのかと思えば、相手の学校に直接乗り込むとは・・。
「だって、道場破りみたいでカッコいいじゃねーか!」
「カッコイイって・・」
「勝てば問題ねーって」
「しかし・・」
「勝つ自信ないのかよ?それに他に方法あるのかよ」
「も、もちろん自信はあるさ」
売り言葉に買い言葉ではないが、"勝つ自信がないのか"とまで言われれば、男としてそれを否定することはできない。
それに拳一の自信たっぷりの言葉に、金太もその気になってきた。
「分かった。拳一、俺やるぜ。権藤を柔道でねじ伏せてやる!」
「それでこそ金太!男だねぇ」
「アイツの柔道は遊びなんだ。だから本当の柔道をみせてやる」
急に闘志をみなぎらせる金太。
(な、なんか金太やる気満々だなぁ・・
 ちょっと俺、悪乗りしすぎたかなぁ・・)
たいして考えもせずに言ったことが本当になってしまって、どうフォローしようかと拳一は困った。
しかし、金太がやる気を出しているのは悪いことでもなさそうだ。


「それでさぁ、拳一・・・練習に付き合ってほしいんだけど・・」
「もしかして早朝の?」
「早朝と放課後なっ!」
毎朝5時から起きるなんて、低血圧の拳一には拷問のようだ。
しかし、提案者としては嫌だとはいえない。
「なぁ、頼むよ拳一。一週間だけだから」
「そ、そうだな〜」
「"エッチした"仲だろ?」
金太はいまの自分の言葉に照れているのか、視線を拳一と反対の方向に反らした。
ポッと赤くなっている。
その金太のはにかんだ表情に、拳一はなにかグッときてしまった。
「よしわかった!応援するからな!」
脊髄反射のように、思わず言葉が出てしまった。
「拳一、ありがとう」
拳一の承諾に、金太はとてもうれしそうな顔をしている。
なにか金太の笑顔を久しぶりに見たような気がした。
そんな金太を見ていると、拳一の心もすがすがしくなっていた。


中途半端に話が終わってるなぁ<俺

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