だんだん痛い小説になってきました。(w
登場人物
我らが金太君です。
金太の親友の拳一です。
金太の恋人の結花です。
権藤大三郎です。
拳一は降りしきる雨の中を、歩いていた。
傘は差していたが、体の半分がはみ出している。
びしょびしょに濡れていた。
金太のことを思わず非難してしまったが、どことなく後味が悪い。
(本当にあれでよかったのかな・・・)
拳一は心の中はどんよりと曇っていた。
拳一も金太と同様、心にポカンと穴が開いたような気がしていたのだ。
「拳一くん・・」
拳一は誰かに呼び止められた気がした。
雨で周りの音が聞こえにくい。
よくみると小さな傘が一本。
「あれ? 結花?」
「拳一くん、その格好どうしたの?」
「え?格好って・・?」
拳一はサッと下を向いて自分の服を確認する。
(そ、そうか・・柔道着きていたんだっけ)
「金太君と一緒じゃないの?」
柔道着を着ていることから、拳一が金太と一緒にいたことは容易に推察できたのだろう。
「い、いや・・その・・」
「ケンカでもしたの?怖い顔して歩いてたよ・・」
結花の洞察力は思った以上に鋭いようだ。
「いや・・その・・あの・・」
拳一は結花にどこまで話していいのか迷った。
「金太君と・・・なにかあったんでしょ?」
「ど、どうして?」
「だって、拳一くんの顔に書いてるもん」
「え、俺ってそんなに分かり易いかなぁ?」
拳一はちょっと照れながら、頭の後ろを掻く。
「お願い、話して・・」
拳一は結花の"女の勘"に正直驚いたが、ここで隠しても仕方が無い。
「実はさ、金太と青空第2小に道場破りに行ったんだけどさ・・
権藤大三郎っていただろ?金太が5月の大会で、決勝のときに戦った相手。
金太のヤツ、権藤に反則技使いやがったから、ぶん殴ってきちまった・・」
今の話を聞いて、結花は耳を押さえて震えている。
「あれ、結花? 結花どうしたんだよ?」
友達として、金太を殴ってしまったことがショックだったのかな、と拳一は思った。
「おい結花!一体どうしたんだよ?」
すると、結花は蚊の泣くような小さな声で話した。
「拳一くん・・金太君は・・金太君はいまどこ?」
「まだ青空第2小だと思うけど・・・。お、おい結花!」
結花は急に走り出した。
「おい、結花!ちょっと待てよ!」
拳一は急に走り出した結花の肩を握って止まらせる。
結花の顔をみると、グズグズと泣いている。
一体どうしたのかと拳一は驚いた。
「なんで泣いてるんだよ!?」
「うっうっ・・金太君・・・結花のせいで・・うっ」
「違うって!結花は関係ないよ!」
「拳一くんは知らないと思うけど、前に結花が青空第2小の柔道部に捕まったとき、
金太君は権藤っていう人にヒドイことされたんだから・・」
「な、なんだって!?」
拳一はその話を聞いて驚いた。
(そ、そんなことがあったなんて。金太のヤツ、一言も話してくれなかったじゃないか・・。
ま、待てよ・・・たしか俺が捕まったとき、金太が人質がどうのって言ってたな・・まさか、それのことか!)
拳一は拳を強く握り、もどかしい表情になる。
そんな拳一に、結花が泣きながら話しかける。
「金太君は、柔道で反則なんかしないよ。絶対に権藤って人が先になにかやったと思う・・・」
「そ、そうだよな・・あの金太が反則するなんて、なにか理由が・・」
拳一は目を閉じて試合のことを思い出していた。
(そうだ、金太は明らかに途中から様子がおかしかった・・
金太は何度も何度も俺の方になにかを伝えようとしていたよな・・
ハッ・・金太のあのときの顔・・・)
拳一はようやく気がついた。
金太のあのときの弱々しい表情。
(そうだ・・・春風小学校の体育館での金太の顔・・・あの時と同じじゃないか・・。
なんで俺はこんなことに気がつかなかったんだ・・)
「結花、これ持って帰れ! 金太は俺が絶対に助けるから!お前は来るなよ!」
「けっ、拳一くん!!」
拳一は傘を結花に渡して、いま来た道を全速力で戻っていった。
・・・・・・。
気がつくと、金太の目の前には一軒の家があった。
大雨でさらに外灯が薄暗いためか、暗くて家の全体像はよく見えない。
ちょっと寂れた感じの平屋のようだ。
言葉は悪いが、お世辞にもお金持ちの家とは到底思えない。
家には誰もいないのか、明かりはついていなかった。
「ここが、お前の家なのか?」
「あぁ。入れよ」
権藤はおぶっていた金太を、背中から降ろした。
「いててっ・・」
金太はまだ先ほどのダメージが残っているらしく、1人が立っているのがつらそうだ。
権藤はそっと金太に肩を貸してあげた。
「まだ1人で歩くのは無理そうだな」
「す、すまない・・」
2人は家の中に入っていった。
家の中は真っ暗で何も見えない。さらに思ったよりも寒い。
人がいる感じがしない。
普通、その家の独特の生活感を感じるのだが、そういったものも感じられない。
カチッ。
権藤は手探りで玄関の明かりのスイッチを入れる。
そして金太に肩を貸しながら、入ってすぐ右にある部屋に入った。
その部屋は畳部屋だったが、やはりシーンとして寒い。
部屋にはほとんど物がなく、奥に布団とテレビと机がある。
「ここって・・・?」
「俺の部屋だよ」
「ここが?」
「まぁ他の部屋も俺の部屋みたいなもんだけど、ここしか使ってないからさ」
金太は権藤の言っている意味がよく分からなかったが、いまはそんなことを詮索しても仕方が無い。
「待ってろ、いま薬持ってくるよ」
「うん・・」
そういうと、権藤は部屋を出て行った。
(何もない部屋だなぁ・・)
金太は、キョロキョロと部屋を見回した。
天井の蛍光灯は暗く、たまに消えかかったりする。
権藤の部屋という割には、趣味らしいものはなにもない。
ただ、机の上に教科書やらノートやら、学校に必要なものが乱雑に重なり合っている。
その横にはカップめんなどのインスタントの食べ物がたくさん置いてあった。
(アイツ、親がご飯作ってくれないのかな・・そもそもこの家は誰もいないみたいだし・・)
金太は部屋の隅にある柔道着をみつけた。
(柔道着か・・これだけは綺麗にアイロンがけしているな・・)
何枚かある柔道着だけは大切にしているようだった。
(やっぱりアイツは柔道が好きなんだな・・)
金太は権藤の私生活を少し垣間見れて、なぜかうれしかった。
それにしても寒い。
どこから暖房器具はないのかと探すが、それらしいものはなかった。
「待たせたな、キンタ」
しばらくして、権藤は薬箱をもって部屋に入ってきた。
しかし、権藤の格好を見た途端、金太は目のやり場に困ってしまった。
なぜかすでにパンツ一枚になっている。
自分よりの2回りは大きい体。
密着すると汗臭そうなゴツい体。
その姿をみた瞬間、金太の脳裏に夢の記憶がスッと蘇る。
(い、いかん・・)
金太は首を振って自分をすぐに戒めた。
「柔道でよくケガするから、湿布だけはたくさんもっているんだ。これ使ってくれ」
「あぁ。・・・・しかし・・なんで裸なんだよ・・」
「自分の家でどういう格好をしようが関係ないだろ」
「そ、それはどうだけど・・・」
金太は話をしながら、その豊満な肉体に思わず目が行ってしまった。
白いパンツの下部が妙にモッコリとしていてる。
しかし、あまり権藤の体をジロジロとみるのも恥ずかしい。
すぐに目を逸らす金太。
しかし、急に顔がカッと熱くなってきた。
心臓の鼓動が速くなっている気がする。
(な、なんで急にドキドキしてるんだ、俺・・)
金太はごくりと唾を飲み込んだ。
「キンタ?どうしたんだ?」
金太は赤らめた頬を隠すかのように、適当に話をごまかした。
「いやその・・ちょっと寒いんだ・・暖房はないのか?」
「お前、その濡れた柔道着のままじゃ風邪引くぜ」
「そ、それはそうだけど・・」
「柔道着脱げよ。俺が暖めてやるからさ」
「えっ?」
一瞬"暖める"という言葉の意味を考えてしまう金太。
その隙に、権藤は金太の道着に手をかけた。
「うわっ!」
金太が言葉を発するよりも前に、権藤は金太の柔道着の上着をグイッと引っ張る。
そのままスパッと柔道着が床に落ちた。
「あっ!」
さらに柔道着の下をズルッと勢いよく下ろす。
雨で濡れた柔道着は意外と重く、ボタッと畳に落ちる。
あっという間にパンツ一枚にされてしまった金太。
金太は恥ずかしさのあまり、急いで両腕でパンツの膨らみを隠した。
猫背でうつむき加減だ。
(まさか、パンツも脱ぐのか・・)
ふと権藤をみると、<パンツも脱げ>と言わんばかりの表情をしている。
ニコッと笑う権藤に対して、思わず下を向いてしまった。
恥ずかしくて仕方がない。
金太はポッと赤くなり狼狽した。
反射的にクルッと権藤に背を向ける。
(ど、どうしよう・・・)
しばらくして、金太は迷いながらパンツに手をかける。
(あ、あれ・・)
このとき、金太はちょっとした異変に気がついた。
自分のおちんちんがすでに勃起し、パンツがテントを張っていたのだ。
(俺、アイツの体をみて勝手に想像しちまってる・・。
これから起きることを・・・)
もうちょっとで終わりです。