どんどん痛くなってますが・・。
登場人物
金太君です。
権藤大三郎です。
太陽が沈みかけ、薄暗くなった青空町。
(ハァハァ・・権藤・・・)
金太は春風中学校から、休むこともなく無我夢中で走っていた。
体は疲れきっているはずなのに、いまはなぜか自然に体が動いていた。
(このまま権藤の家に行って、そして権藤に会って・・・俺はどうすればいい・・?)
金太には権藤に対する気持ちの整理が、まだ出来ていなかった。
つい数分前に、大河原に言われた衝撃の事実。
男が男を好きであるという事実を、受け入れることができなかったし、理解することもできなかった。
しかし、いま権藤から逃げてしまったら、このまま一生理解し合えないと思ったのだ。
──権藤の家が、ようやく金太の視界に入ったとき。
<オヤジはいつも勝手じゃないか!>
なにやら、怒声が聴こえる。
(権藤が叫んでいるのか・・なんだ?)
家の前には、有名企業の社長が乗っているかのような黒塗りの大きな車。
木造の平屋で、いまにも倒れそうな権藤の家とは、明らかに対照的で不釣合いだ。
権藤は柔道着姿のまま、なにやらヒゲをたくわえた男と、口喧嘩をしているようだった。
金太は、塀に沿って忍び足をする。
そして、ゆっくりと口論をしている2人に近づいてみる。
すると、大声で話す2人の会話がはっきりと聴き取れた。
<ふざけんな! 一度俺と母さんを捨てておいて、いまさらノコノコ現れるんじゃねーぞ!>
<お前のためを思って言ってるんだぞ。もう転校の手続きも済ませてある>
<勝手なことするな! 俺はこの町を離れたくないんだ!>
金太はその会話を聞いて、すぐにピンときた。
話している相手は、おそらく離婚したという権藤の父親なのだろう。
しかし、"転校"というのは一体・・・。
金太はその言葉に、一抹の不安を覚えた。
<あとで迎えに来るぞ。それまでに仕度をしておけ>
権藤の父親と思われる男は、そういい残すと、金太の目の前を車で通過していった。
金太は額に汗を垂らしながら、横目でチラッと、権藤の家の玄関をみてみる。
そこには、無言のまま立ち尽くした権藤の姿。
両手の拳をギュッと握り、なにかに耐えているように見える。
初めて見る、権藤の苦して辛そうな表情。
金太は、この状況で権藤に声をかけようかどうか迷った。
(一体、なにが起こったんだ・・。めちゃくちゃ話しかけにくい雰囲気だなぁ。どうしよう・・・。
でも、俺は権藤のことをもっと知らなくちゃいけないんだ。
こんなところで、ビクついて声をかけられないようじゃ、いつまで経ってもアイツを理解できないじゃないか!)
意を決した金太は、勇気を振り絞って権藤の正面に出て行った。
金太は、玄関の前で立ち尽くす権藤の前に、そっと歩いていった。
そして、権藤を正面に見つめながら、話しかける。
「権藤・・?」
「キ、キンタ・・・お前どうして!?」
突然声をかけられて、我に帰ったのか、権藤は驚いたような声をあげた。
金太は、権藤の瞳を見つめながら、話しかける。
「お前とじっくり話がしたくてさ。ここまで来たんだ」
「俺と・・? キンタ、お前まさか、いまの会話を聞いていたのか?」
「あぁ。盗み聞きは悪いと思ったんだけどさ・・。あんなにでかい声じゃ聞きたくなくても聴こえちゃうよ」
「そ、そうか・・恥ずかしいところを見せちまったな」
「あのさ・・"転校"ってなんだよ・・?」
「・・・・」
「まさかお前、転校しちまうのか?」
金太の質問に、権藤は首を縦にふった。
「キンタ、済まないな。俺は東京に行くことになった。もう柔道をやめる・・」
「な、なんだよ、それ・・柔道はやめる必要はないだろ!」
「お前には関係ない! 東京に行ったら、もう柔道を続ける意味はないんだ」
「・・・」
金太には権藤のいう意味が分かっていた。
権藤が柔道をする目的は、自分と柔道をして体を合わせることにあるのだから。
「とにかく上がれよ。俺んちはなにもないけど、ここじゃ風も冷たいしな」
そういうと、権藤は金太を連れて、そのまま家の中に入っていった。
人がいる感じがしない、冷たい家の中。
父親も母親もいない、権藤1人の家。
権藤の部屋は相変わらず殺風景で、視界に入るものといえば、布団とテレビと机くらいしかない。
以前この部屋に入ったときと、全く変わっていないようだ。
権藤は先ほどよりも、少し落ち着きを取り戻したのか「フッ」と息を吐いて机に座った。
いつものふてぶてしい態度とまではいかないが、いつもの権藤らしい表情に戻っている。
そんな姿に、金太は安堵していた。
「キンタ、そのへんに座ってくれよ。そういや、お前、土門にやられた傷は大丈夫なのか?」
「あぁ。なんかとかな」
「そうか・・。それで俺に何の用だ?」
「それは・・その・・」
「ヘヘッ、もしかしてよ、俺を求めてきたんだろ? ついに俺様に愛撫されたくなったのか?」
「う、うん・・」
金太の返事に、一瞬2人の間にすきま風が通り抜ける。
頬を赤く染めている金太。
「キ、キンタ・・?」
「そうさ、俺はお前を求めてここにきたんだ。なんなら・・その・・エッチしても構わない・・」
「な・・に・・!?」
予想外の返事に、権藤の表情が固まった。
権藤は混乱する状況を整理していたのか。
しばらくして、バンッと机を叩いて、声を荒げる。
「キンタ、お前、どういうつもりだ!?」
「俺は・・お前の気持ちを理解しにきた。お前のことが分かるならば、エッチしてもいい・・」
「な、何をいってる・・」
「俺は嫌なんだ。お前が東京に行ってしまったら、もうお前の本当の心を知ることはできない。
だから、いまはっきりさせよう。決着をつけたいんだ」
「なにっ・・!」
「俺は今日だけはお前を求める。権藤大三郎を求めてみる。それしかお前を理解する方法が思いつかないから・・」
「なんだとっ・・!」
「俺は・・俺の気持ちを正直に話すよ。だから、お前も正直に話してくれ!」
「・・・」
「男同士の約束だからな!」
キッパリと断言した金太は、意を決したようにその場でスッと立ち上がる。
いつもとは明らかに違う、金太の真剣な表情。
権藤を睨みながら、自分の柔道着の襟に手を掛けた。
「キンタ、どうしようっていうんだ・・・」
金太は柔道着の上下を一気に脱ぎ捨てて、パンツ一枚の姿になる。
「お、おい・・」
さらに金太は、権藤の素っ頓狂な声を無視して、白いパンツに親指を掛ける。
一気にパンツを脱ぎ捨て、ポイッと投げ捨てた。
素っ裸になった金太。
そのまま腕を組んで股を広げて立ち、プイッと斜め上を向く。
金太の仁王立ちとでも、言えばよいのだろうか。
ちょっと鼻の上を赤く染めているが、威風堂々とおちんちんを権藤に見せ付けている。
すでに勃起気味。
その姿に、権藤は突然オロオロとしだし、額に汗を流した。
「お、お前、なにやってんだ・・」
「権藤、俺のチンチンみてみろよ」
「なに!?」
「俺はお前を見ているだけで、体がうずいちまってるんだ。その証拠にもう勃起してるだろ。
お前とエッチすると想像しただけで、勃起しちまっている。
どうしてかは分からない。でもこれは事実なんだ」
「・・・」
「俺はお前に愛撫されるのが大好きだ。エッチされるのは気持ちいい。もう否定しない。
俺はいままで自分にウソをついてきた。だけどもう隠すのはゴメンだ。だから本当のことをいう!」
「キンタ・・・」
金太は腕を組んだまま、権藤にキッパリと言い放つ。
目は真剣そのものだ。
「権藤、お前が俺に求める関係を、はっきり言ってくれ!」
その質問に、権藤は一瞬怯んだが、すぐにいつもの口調で切り返す。
「ヘッ、前にも言っただろうが。友達以上の関係さ。お前は俺だけを求めればいいんだ」
「友達以上の関係って、具体的にどういうことだ?」
「それは・・その・・」
額に汗を流し、答えを詰まらせる権藤。
そんな権藤に対し、金太は真剣な表情で話しかける。
「お前が俺に求めるもの・・俺なりに理解してみる。だから、柔道着を脱いでくれ」
「な、なにを言ってるんだ・・」
「どうしたんだよ。いま俺は"権藤大三郎の心と体を求める"と言ったんだ」
「ヘッ・・な、なに訳分かんないこと言い出してるんだ・・・」
権藤は、苦し紛れとも、苦笑いとも取れる笑みをこぼす。
そんなふてぶてしい権藤の態度に、金太は目尻を吊り上げる。
そして、権藤が座っている場所へ、悠然と歩を進めた。
「キンタ・・?」
「権藤、お前は他人の柔道着を脱がすくせに、自分からは脱げないのか? だったら・・・こうしてやる!!」
そのまま権藤の柔道着を掴み、一気に腕までめくりあげる。
権藤の逞しい上半身が、あらわになる。
「うわっ、なにすんだ、キンタ!」
「全部脱ぐんだ。俺は権藤大三郎の裸を要求してるんだ!」
「バ、バカ! やめろ!」
金太は権藤の道着の下半身に親指を掛けて、そのまま力一杯引きずり下ろした。
金太は、一気に権藤の道着を引きずり下ろす。
ボロン・・。
その瞬間、権藤の勃起したおちんちんが、ピシャッと湿った音を立てて上下する。
どうやら勢いあまって、パンツまで脱がしてしまったらしい。
「おわっ!」
特大サイズに勃起した権藤のおちんちん。
権藤のモノは、その体躯にふさわしい大きさと太さを持っていた。
金太のソレとは、大きさは比べ物にならない。
権藤は、自分の勃起したモノを見られて相当恥ずかしいのか、急いで両手で隠そうとする。
「隠すな!」
「なにっ・・!」
金太の迫力に、途中で両手を止めてしまう権藤。
恥辱からなのか、権藤の体はビクビクと震えていた。
金太と権藤は、2人で裸のまま立って向き合っていた。
お互い、おちんちんを勃起させたままだ。
権藤はこの状況に目のやり場に困ったのか、思わず視線を逸らした。
そんな慌てる権藤を尻目に、金太は悠然と話しかける。
「権藤、そのまま動くな・・」
金太はゆっくりと権藤の大きな背後に回りこむ。
そして、少し背伸びをしながら、舌でゆっくりと権藤の首筋をベロンと舐めた。
「ああっ!」
普段からは想像もつかない、権藤の甲高い喘ぎ声。
そのまま金太は、首筋から耳の裏まで、じっくりと嘗め回していく。
ペチャッ、ペチャッという音が、閑散とした部屋の中に響き渡る。
「んあっ!キンタ・・おわっ!なにするんだっ!」
「・・・・」
ブルブルと震える権藤の大きな背中。
金太は無言のまま、両手を権藤の脇の下から胸に回す。
権藤の逞しい胸は、金太よりもひと回りは大きい。
金太は、指を目的の場所まで運ぶと、そのまま乳首の先端をギュッと摘んだ。
「あああっ!」
権藤の張り裂けんばかりの悶え声。
顔を天井に向けて仰け反らし、ハァハァと喘ぐ権藤。
全身がブルブルと痙攣している。
金太はそのままゆっくりと、権藤の乳首をつねったり、こねくり回したりしてみる。
「んんっ!あがっ・・キンタ、何のつもりだ!」
「気持ちいいのか?」
「はあっ、んああっ・・キンタ、何が言いたいんだ・・」
「俺の裸を見た瞬間から、ずっと感じていたんだろ!」
「キンタ、て、てめーっ!」
「チンチンを触るぞ!」
「うっ・・!」
その瞬間、権藤のおちんちんが、さらにビクンッ!とひと回り大きくなる。
金太は、権藤の股の下にスルッと手を入れて、おちんちんに手を伸ばす。
権藤のそそり立ったチンチン。
斜め45度に突き上げられている。
金太は股下から、権藤の竿を手探りで確認する。
「はぁっ! キンタっ! そこはっ・・!」
皮のかぶった亀頭と思われる場所を、親指と人差し指で、ギュッと握った。
「おわああっ!」
一瞬、権藤の体をビクン!と脈打った。
「権藤、お前も感じるんだな」
「ハァハァ・・キ、キンタ、やめろ・・」
「なんだよ、ものすごいガマン汁がでているじゃないか」
権藤は認めたくない事実を金太に指摘され、穴があったら入りたくなるような羞恥心に襲われる。
金太はそのまま、権藤の大きな竿を、上下に擦り付ける。
「はああっ!キンタ、んあっ!なにが言いたいんだっ!」
「・・・・」
「あっ!はん、あっ、やめろ。こんなことして・・」
顔を真っ赤に紅潮させる権藤。
「キンタ、ふざけんなっ! 俺がお前に求めているのはこんなことじゃない!」
「じゃ、お前は何を求めているんだ!?」
「うっ・・」
黙ってしまう権藤に、金太は真面目な声で話しかけた。
「俺の言いたいことが分かるか? 理解できるのか?」
「し、知るか!」
「分からないのか!」
「分かるわけないだろ!」
「そうさ。リョウジョクなんかで、人に気持ちを伝えることが出来るわけない!」
「な、なんだと・・」
「権藤、お前はいつも、俺にこうやって自分の気持ちを押し付けていたんだ。
お前は、いまの俺の気持ちを・・このリョウジョクの意味を理解できないだろう?
だから、俺だってお前のリョウジョクの意味を理解できるわけない! 分かるわけないんだ!」
「キ、キンタ・・・」
「お前はこうして他人を従わせていたんだぞ!」
「うぅっ・・」
「どうして素直になれないんだ! どうしてみんなに優しくしてやれないんだ!」
その瞬間、権藤はワナワナと震えて、しゃがみこんだ。
金太はすべての愛撫をやめて、ゆっくりと権藤の正面に戻った。
権藤はしばらく膝を床につけて、震えていた。
まるで、小さな子供が叱られたように、背中を丸めて、顔を床に伏せて。
「ううっ・・・」
静かな部屋に、権藤の嗚咽する声が響く。
しばらく経っただろうか。権藤はゆっくりと顔をあげる。
金太は、その顔を見てのを見てハッとした。
権藤の頬に涙が伝わっており、体をブルブルと震わせていたからだ。
「キンタ・・・そうか・・。俺はお前にこんなひどいことしていたのか・・」
「権藤・・・」
権藤の言葉は弱々しく、体の震えがそのまま声にも表れているようだった。
金太はゆっくりとしゃがんで、権藤と目線を合わせる。
そして、権藤の頬を伝わる涙を拭いてあげる。
「ううっ・・キンタ・・」
「ごめんな、権藤。お前にひどいことしちまってさ。許してくれ」
「俺のほうこそ、許してくれ・・・俺はお前のことを何度もリョウジョクして・・・。
俺の気持ちを勝手に押し付けて、平然と傷つけていたんだな・・」
「もう言うなよ・・」
「いや・・いいんだ。いまの俺ならば、お前に本当の気持ちを吐き出せる気がする」
「権藤・・・」
うつむき加減に肩を震わせる権藤。
(これが、権藤大三郎なのか・・・)
金太は初めて、権藤の本当の姿を見たような気がした。