プロレスというよりは単なる陵辱な気もしますが、話を妄想してみますた。内容は第24話「温泉旅行は大混乱!」の夜の話です。前の拳一×金太小説とはまったく関係ありません。
登場人物
峰崎拳一。ヤンチャで快活な少年。金太をライバル視している面も。
白金太郎。黙して語らず、努力と根性の男。拳一とは悪友?
左からチョビ、洋二、ボン。クラスメートでザウラーズの仲間。
──俺と金太。
小学1年からずっとガキ大将の座をめぐって、争ってきたライバルだ。
だから、金太の顔を見ていると、いろんなことを思い出しちまう。
「くくくっ・・・」
「拳一、なにを笑っているんだ?」
「いやさぁ、温泉旅行のときのこと思い出しちゃってさ」
「温泉旅行って・・?」
「あのときの金太は、サイコーだったよなー。なんちゃって」
「お前、まだ覚えてやがんのか!」
「だって、金太くぅんが〜。俺たちの前で、まさかあんな醜態を晒してー。はははっ」
「あれはお前のせいだろ!」
「くくっ・・アーハハハハッ」
「・・・」
「ギャハハハ! 笑いが止まらないぜ」
──ガツン!
金太が怒りで全身を震わせていたことに、俺は気がつかなかった。
その直後、金太のグーの拳が、予告もなしに俺の脳天に突き刺さっていた。
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(ったく・・痛いなー、金太のヤツ・・・)
俺は気がつくと保健室のベッドで、横になっていた。
(気絶するほど思いきり殴らなくてもいいじゃねーか。俺たち友達じゃねーのかよ)
頭に出来た大きなタンコブが、まだジンジンとする。
(温泉旅行の事件は、小学5年生から続いた因縁だったからな・・。
しかも、俺の作戦、大成功!って感じだったもんなー)
俺はクスクスと笑いがこみあげていた。
なにしろ、俺が初めて金太をギャフン!と言わせた記念すべき思い出なのだから。
タンコブはヒリヒリと痛むが、思い出せば思い出すほど、おかしくてたまらない。
(あのときの金太の姿・・いまも俺の目にも焼きついて、離れないんだよな・・)
いつも腕組みをして、黙っている金太。
ケンカしても、絶対に力では負けてしまう。
でも、あの瞬間の金太だけは、俺が好きなように出来たんだ。
そのことを思い出すと、なぜか俺の心臓はドクンと高鳴る。
(あの日の金太の姿を想像しただけで、ドキドキしてる・・。
それにチンチンがカチンカチンになっちまう・・・俺っておかしいのかな・・)
──『温泉旅行』
夏休みの真っ最中に強行した旅行。
しかも機械化帝国との戦いの中で、行ったんだっけ。
俺や金太、そしてザウラーズの面々が、小学6年の最後の思い出作りをした日だ。
青空温泉郷という、担任の中島先生の親戚の人が経営している温泉があり、
その親戚の好意で、温泉旅行に丸1日宿泊できることになったんだ。
そういえば、俺たちザウラーズは、ロボットでそのまま温泉まで出撃したっけ。
中島先生の親戚のおばさんは、ロボットを見てびっくりしていたなぁ。
温泉旅行では、奇想天外な事件が次々に発生したんだ。
男子全員で、露天風呂に入ることになって、俺がガラーッとドアを開けた瞬間──。
一瞬、目が点になった。
なぜなら、クラスの女どもが、先に露天風呂に入っていたんだから。
混浴って、ちゃんと見えるところに書いておけよな!
女どもときたら、見られて恥ずかしいような胸もないくせに、
俺たちに、風呂桶やら石鹸やらを投げまくりやがって・・。
俺は鉄砲の弾よりも速く、その場から逃げ出した。
そのときの男子全員の慌てようといったら、いま思い出しても爆笑だよな。
そうそう。
風呂場から逃げ出した俺は、偶然「ブラジャー」を手に持っていた。
いまでも、「ブラジャー事件」って呼ばれているんだけど。
そのブラジャーが、誰のモノかザウラーズの男子全員で、予想したんだ。
みんなはエリーのものじゃないかって、話をしていたんだけど、
フタを開けてみると、あのブラジャーが、しのぶのものだったからビックリ。
俺は「しのぶみたいなヤツが乳バンドするかよ」ってからかったら、しのぶが大激怒。
しのぶと俺は、ケンカしちまった。
さらに悪いことに、その後機械化帝国が攻めてきた。
俺はしのぶに謝って、力を合わせて機械化帝国に勝つことができた。
あのときは、俺はしのぶに悪いことしたなと、いまでも思っているんだ。
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そんなこんなで、いろんな事件があったんだけど・・。
俺たちはみんなで晩飯を食べて、夜は大部屋で泊まることになったんだ。
そこで、あの事件は起こった。
──『プロレス事件』。
俺が計画的に起こしたんだけどさ。
実は、あの事件は・・。
俺が小学5年生のときに、金太に受けた屈辱を晴らすためのリターンマッチだったんだ。
あらかじめ、金太以外のクラスの仲間には、作戦は手配済み。
あとは金太が罠にかかるのを、待つだけだった。
俺ってけっこう執念深い性格だったりして。
でも、相手が金太だから余計にライバル心をそそられるんだ。
それに、あのときの金太の慌てぶりといったら・・。
いまでも、俺ははっきりと覚えている。
金太のでかくて、逞しい体。
中学生になったら、金太はますます強くなって、
もうあんなことは、二度とできないんだろうな・・。
──温泉旅館の大部屋。
男だけの大部屋で、ザウラーズの面々は気のあった友達と、好き勝手に話し合っていた。
「あはははっ」
「それで、しのぶとエリーがさ・・」
拳一は、ボンとチョビと五郎と、「ブラジャー事件」の話で盛り上がっていた。
マーボーは1人でお菓子を食べまくる。
洋二は受験勉強にしか興味がないのか、ムスッとした顔で参考書を読んでいる。
金太と浩美と秀三の3人は、なにやら雑談をしているようだ。
そんな和気あいあいとした雰囲気の中。
「カーン!!」
突然、大きな声が部屋に響き渡った。
いつもと変わらん始まり方だ・・。