web拍手でモコモコの小説のリクエストがあったので、簡単なエロを書いてみました。話的には本編の13話か14話くらいです。
登場人物
モコモコ。大食い、怪力の持ち主でアベルをライバル視している。
デイジィ。モコモコたちと旅をする賞金稼ぎ。モコモコをからかうのが好き。
ヤナック。女好きな魔法使いで多様な魔法を使う。
「オラも一人旅にでる!」
モコモコはムシャムシャと肉を頬張りながら、声高々に宣言した。
「なにを寝ぼけたことをいってるんだか・・」
モコモコの発言を冷やかすような声が聞こえる。
モコモコの大食漢ぶりを、横で頬杖をつきながら、呆れているデイジィがボソッと呟いたのだ。
←それっぽいシーンを入れてみました(以下同)
「オラ、寝ぼけてねぇぞ」
「はいはい、それで何の旅だって?」
デイジィはいつもと変わらず、ふてぶてしい態度だ。
モコモコの言うことをまともに聞いているとは思えない。
しかし、モコモコの独り言にきちんと絡んでくるのだから、彼のことが嫌いではないのだろう。
「オラも吹雪の剣(ふぶきのつるぎ)みたいな、格好いい武器が欲しい!」
「お前にはお爺さんの形見の、石の棍棒があるだろ?」
「オラも吹雪の棍棒(ふぶきのこんぼう)みたいなのが欲しいんだよ」
「そんな棍棒があるわけない」
「どっかにあるの! オラ専用のが!」
「アホくさ・・」
数日前、一人旅に出ていたアベルが、ネザーの町から戻ってきた。
青き珠を持つ勇者であるアベルは、見事に苦闘を乗り越えて"吹雪の剣"を持ち帰ったのだ。
アベルが無事に戻ったことを喜んだモコモコだったが、あることに気がついた。
いつのまにか、アベルが成長していたのだ。
以前は自分とそれほど剣の腕も、パワーも変わらなかったのに、
アベルは青き珠の勇者として着々とパワーアップし、なにか自分だけが弱くなった感じがした。
特にモンスターと戦っているときに、その差は歴然とする。
アベルは"吹雪の剣"で、モンスターたちをたちまち凍らせて倒していく。
しかし、モコモコは石の棍棒でひたすらモンスターを叩くだけだ。
小さい頃から友達でライバルであるアベルが、1人だけパワーアップしたことにモコモコは嫉妬してきたのだ。
だから、自分も強力な武器が欲しくなったのである。
例えば、"吹雪の棍棒"とか、"炎の棍棒"とか・・・。
なんでもいいから、格好いい武器が欲しかったのだ。
もっとも、ただ力任せに振る棍棒に、炎の属性がついた武器があるとは思えないのだが。
モコモコが突拍子もないことを言い始めたので、デイジィは呆れるような声で突っぱねた。
「どうせ、アベルが強くなったことに、嫉妬してるんだろう?」
的を射た発言に、モコモコは一瞬答えをためらう。
しかし、すぐに負けじと切り返した。
「オラは心が広いんだ。そんなことで嫉妬するもんか」
「ならば、専用の武器なんていらないじゃないか?」
「オラが強くなれば、みんなだって心強いだろ!」
「あー、それなら大丈夫。モコモコの戦力は計算してないから」
デイジィは悪気はないのだろうが、いちいち発言にトゲがあるのが玉にキズだ。
案の定、モコモコの顔は、みるみる間に赤黒く染まってしまった。
「オラが戦力になってないっていうのか!?」
「じょ、冗談だよ、そんなに怒るなって・・」
唾を飛ばして、激しく抗議するモコモコ。
デイジィは軽い気持ちで言ったつもりだったのだが、モコモコは真に受けてしまったようだ。
きっとモコモコは、自分が本当は役に立っていないことに気がついているのだろう。
だから、デイジィの発言を冗談だと受け取れなかったのだ。
デイジィは慌てて否定したが、すでに遅かったらしい。
モコモコは怒気を漲らせる。
「みんな、オラのこと戦力と思ってねぇんだな!」
「そんなことないって」
「こうなったら、オラ絶対に"吹雪の棍棒"を見つけてくる! じゃあな!」
「お、おい・・」
そういうと、モコモコはふて腐れた様子で、のしりのしりと街を歩いていった。
たった一人で。
デイジィは、向かいで酒を飲んでいるヤナックににじりよった。
「おい、ヤナック! 話を聞いていたんだろ。モコモコが1人で行っちまうぞ」
ヤナックは酒に酔ったような顔をして、デイジィを見てニッと笑いかける。
「もしかして、モコモコのことが心配なわけ?」
「そ、そんなことはない」
「頬にキスしたら、モコモコを止めてあげるから・・」
まだ会話が終わらないうちに、ヤナックはデイジィの平手打ちを喰らっていた。
「アホか!」
「いてててて・・・まぁ、モコモコも立派な戦士になるために、少しは荒療治が必要かもね。
一か八か、今回はモコモコの奮起に期待してみよう。もしかしたら本当に"吹雪の棍棒"とやらを取ってくるかもよ」
「でも、アイツはアベルと違って頼りないからなぁ・・」
「やっぱりモコモコがそんなに心配なの?」
「うるさい!」
ヤナックのやる気のない発言に、デイジィはプイと横を向いてしまった。
しかし、その視線の先には、1人で旅に出てしまったモコモコの姿があった。
デイジィはなんだか心のなかがざわざわしたが、照れくさくて呼び戻すことは出来なかった。
モコモコの1人旅の始まりです。