「仁王とどっこい」のパロディで「仁王とドスコイ」というのを書いてみました。アホ小説です。
登場人物
仁王(におう)。日本一の力持ちで、中国のドッコイと力比べをする。
ドスコイ。中国の唐(から)の国の力持ちで、身長は仁王の倍。
むかしむかし、仁王(におう)という力持ちの男がいた。
仁王はまだ12歳だったが、普通の子供の倍くらいの身長があり、体もよく太っていた。
自分の肉体を誇示するように上半身は裸で、下半身はふんどしと、腰布を一枚巻いている。
首から肩に、赤い衣をかけるているのが、彼のチャームポイントだ。
仁王は大木を軽々と持ち上げ、大人でも仁王に勝てる者はいなかったのだ。
「日本には俺より強いヤツは誰もおらん!」
しかし、あるとき、唐の国(からのくに)に、"ドスコイ"という、とてつもない力持ちがいると聞いた。
「よーし、俺とドスコイと、どっちが力持ちか勝負してやろう」
そう考えた仁王は、舟に乗って唐の国の、ドスコイの家に出かけたのである。
何日もかけてようやく唐の国にたどり着いた仁王は、ドスコイの家を探し当てた。
家の前にはお婆さんが1人。
「こりゃまた大きな男だな。アンタは一体何者だい?」
仁王はお婆さんを睨みつけながら話した。
「俺は日本一の力持ちの仁王だ。この家のドスコイと俺と、
どっかが力持ちか勝負しに来たんだが、ドスコイはどこにおる?」
「息子のドスコイはもうすぐ戻るから、ウチにあがって待ってろや」
どうやらドスコイは出かけているらしい。
それにしても、お婆さんは睨まれても動じることもなく、家にあがれという。
普通ならば仁王の目を見た者は、怖くて逃げ出すはずなのだが。
さすがはドスコイの親だと感心しながら、仁王は家でドスコイが帰るのを待つことにした。
部屋の中は水瓶や穀物などの食べ物で、散らかっていた。
そしてお婆さんがお風呂よりも大きな釜でご飯を炊いている。
不審に思った仁王は、おそるおそるお婆さんに尋ねた。
「なぁ婆さん?そんなにいっぱい飯を炊いて、一体誰が食べるんだ?」
「そりゃドスコイに決まっとるじゃろ。なんてった唐の国一番の力持ちじゃけな」
それを聞いて、仁王は凍りついた。
仁王もご飯は人の3倍以上は食べる。
しかし、風呂の釜よりも大きい飯を食べるなんて、人間とは思えない。
仁王の表情が固まると同時に、ドシンドシンという地響きが鳴り渡った。
「わぁ・・なんだ・・?」
「これはドスコイが帰ってきた音じゃ。息子の足音は一里向こうからでも聞こえるんじゃ」
「ええっ!?」
ドスコイという男は、想像していたよりも怪物のような大男。
そんな男と力比べをしたら勝てるどころか、どんな目に遭うか分かったものじゃない。
仁王はだんだん不安になってきた。
このまま力比べをしたら殺されるかもしれない。
だんだん恐ろしくなってきた仁王。
額から汗が滲んでくる。
とっさに仁王は言葉を発していた。
「あいたたた・・なぁ、婆さん、腹の具合が悪くなってきたんだが、便所を貸してくれないか?」
「便所は外に行って、裏庭にあるよ」
「す、すまん・・」
我ながら情けないと思ったが、背に腹は変えられない。
──死ぬよりはマシと玄関に向かおうとしたとき。
「この大きなワラジは誰のものだ?」
驚いたことにドスコイと思われる大男が、玄関に立っていたのだ!
「でっかいワラジだ。こんな足をしているのは、
日本の国の仁王しかいねぇ。もしかすると、お前が日本から来た仁王か?」
「うわわわっ・・・」
一里先から足音が聞こえるはずなのに、もう玄関についているなんて・・!
仁王が見上げると、そこには自分の倍はあろうかという大男。
身長も肩幅も身幅も、なにもかもが仁王よりも大きかった。
とても勝てそうな気がしない。
「お前が仁王か?」
仁王はウソをついて逃げようかと思ったが、お婆さんの前ではウソもばれるだろう。
「どうした、お前が仁王ではないのか?」
迫るドスコイに、仁王は苦悩に顔を歪ませて答えた。
「いやその・・」
「なんだ?」
「俺がその・・日本から来た仁王だ」
「そうかお前が仁王か、噂は聞いているぞ。
わしとどちらが強いか力比べをしに来たんだろう? こっちに来い」
ドスコイはドスドスは裏庭に歩いていった。
ここで逃げるても仕方ないと、仁王は覚悟を決めてドスコイについていった。
強引に改変してみました(^^;