天然の将に対して野呂は・・?
登場人物
風祭将。サッカーが大好きな中学2年生。
野呂弘美。デブだがサッカーが大好きな中学1年生。将に憧れている。
<僕が野呂くんを精通させてみせる!>
声高々に宣言した将。
なにか宣言の仕方が間違っているような気もするが、一点の曇りもない将の目は真剣そのものだ。
一方の野呂は、喉がからからになり、パニックに陥っていた。
そんな野呂の困った顔をよそに、将はさらにたたみかける。
「野呂くん。服を全部脱いで!」
「ええっ!?」
「裸になって、ベッドに仰向けに寝て」
「なんで裸で仰向けなんですか・・」
「いいから早く!」
「ちょ、ちょっと待ってくだ・・」
オドオドとする野呂に、目を吊り上げる将。
「もう、野呂くんなにやってるの! 早く裸になって!」
「で、でも・・」
「緊急事態なんだよ、緊急事態! こんなことで口論している時間はないんだから!」
「そ、そんなっ・・!」
マシンガンのように発射される将の衝撃的発言に、口から心臓が飛び出しそうに焦る野呂。
なにがなんだか分からない展開に、野呂は顔が凍りついていた。
そんな慌てふためく野呂に対し、将はだんだんイライラしてきた。
「ちょっと、野呂くん! ボケッとしてどうしたの?」
「ハ、ハイ・・いやその・・」
「早く裸になって、僕におちんちんをみせて!」
「なんで、おちんちん見せないといけないんですか・・」
「早くしないと・・。時間がないんだ。僕の前で裸になるのが、そんなに嫌なことなの?」
「そんなことありません・・僕は風祭センパイのことが好きです。尊敬してます・・」
「僕だって、野呂くんのことが、とってもとっても好きなんだよ」
「ほ、本当ですか、センパイ!?」
将の言葉を聞いて、野呂の顔は急に明るくなる。
なぜなら、野呂は将に憧れていたから。
「だから、早く裸になって!」
「でも、それとこれとは・・・」
大好きな先輩だからこそ、自分のすべてを見せるのが恥ずかしかった。
将に自分の肉体のすべてを晒す。
──サッカーをするには、似合わない太った体。
──太くて短い手足。
──未成熟な小さなおちんちん。
裸になるということは、自分の体型がサッカーに向いていないことを、将に証明するようなものだ。
さらに憧れのセンパイに、自分のおちんちんをあらわにするなんて・・。
だから、いくら将の頼みとはいえ、素直に「はい」とは言えなかった。
「もう、野呂くん、急いで! 早くしないと取り返しがつかないことに!」
「で、でも・・」
「あ〜、もう、じれったい! ええい!」
将は突然掛け声をあげると、野呂の黄色いトレーナーに手をかける。
そして、「えいやっ」と下から一気にめくりあげてしまった。
「とりゃ〜!」
部屋に響き渡る掛け声。
将は、茶巾のように野呂の服をめくりあげた。
黄色いトレーナーは、はるか遠くに投げられてしまったのだ。
いくらなんでも、そんな遠くに投げなくてもと、野呂はツッコミたくなったが、それどころではない。
野呂はトレーナーの下は、何も着ていなかったため、
将の目の前に、透き通るように白くて、綺麗な餅肌があらわになっていたのだ。
ボヨン・・・。
めくった反動からか、自分の乳房が上下に揺れている。
(ひぃええ!)
慌てて、野呂は両手で豊満な胸を隠した。
──女の子みたいなおっぱい。
それを将の前に晒すのは、絶対にあってはならないことだったのだ。
一方の将は、野呂の上半身を見て、なぜか目が釘付けになっていた。
(野呂くんの肌、すごいきれい・・)
それが、野呂の上半身を見たときの素直な気持ちだった。
いままで学生服や、サッカーのユニフォームで隠れていた野呂の上半身は、
ここまで太っていたかなと、将が想像する以上に、ぷにっと丸みを帯びていた。
擦り傷1つない野呂の体。
まだ本格的にサッカーをしていないためだろうか?
とっても柔らかそうな豊満な肌。
思わず、どのくらい柔らかいか、触りたくなってしまう。
「センパイ、そんなに見ないでください・・」
野呂の弱々しい言葉に、将はふと現実に戻された。
「あ、あぁ・・野呂くん、ゴメン」
ポッと少しだけ頬を赤らめる将。
「あの・・それでどうすれば・・?」
「じゃ、次ね。ズボンとパンツを脱いで」
「ええっ!? いくらセンパイの頼みでも、そんな・・・」
「まさか、上だけ脱いで、下は脱がないつもりなの!?」
「そういう問題じゃなくて・・」
「緊急なんだよ! どうして僕の言うことが分からないの!?」
「そんな、分かるわけないですぅ・・」
「あ、野呂くん、後ろ、後ろ!」
「えっ?」
なにやらわからない将の言葉に、野呂は思わず後ろを振り向いた。
──ジーッ。
──ズリッ。
一瞬の出来事だった。
なにか金属が擦れるような音。
下半身が急に涼しくなった。
普段感じない、開放感を感じる。
「ああっ!」
こともあろうに、野呂が後ろを振り向いている間に、
将はスボンのチャックを思いっきり下げて、一気にズボンを脱がしていたのだ。
勢いがあまって、ブリーフまで脱がしてしまったらしい。
ポロンと垂れ下がる、可愛いおちんちん。
「ひゃあああ、センパイィィィ!」
「あは。野呂くん、こんな簡単なフェイントに引っかかっちゃダメじゃないか」
「そ、そんなぁ!」
突然の出来事に、全身が凍ったように固まってしまう野呂。
一瞬、いつも将のさわやかな笑顔が、悪魔の笑みに見えた。
まさかサッカーよろしく、こんな状況でフェイントをかけて脱がしてくるなんて。
スースーとする下半身。
野呂は思わず股間に両手を当てて、おちんちんを隠す。
そのまま猫背になりながら、うつむいて震える。
ううっと、眉毛を八の字に曲げて、ほとんど泣きそうな顔をした。
そんなモジモジとする野呂に対し、将はさらに声を荒げる。
「野呂くん、早くベッドに寝て。仰向けになって!」
「あの・・裸のままですか・・?」
「裸に決まってるじゃないか! "精通させる"って何回も言ってるでしょ!」
「だから、セイツウと病気に何の関係が・・」
「緊急事態なんだって! 僕は野呂くんが死ぬなんて嫌なんだ」
「は?」
「あ〜、もう、本当にじれったい! ええい!」
将は突然掛け声をあげると、野呂に思いっきりショルダーチャージよろしく、強引なタックルをぶちかました。
「ぎゃあ、センパイ!」
普段の練習ならば、体重の重い野呂が、将のタックルごときで倒されることはない。
しかし、生まれたままの恥ずかしい格好に、突然タックルをかまされれば、
体重の重い野呂も、ヨロヨロと押されて倒れてしまう以外に選択肢はない。
まさか、いつも練習しているショルダーチャージが、こんなところで使われるなんて。
ズシン・・・。
案の定、野呂はベッドの上に仰向けに倒されてしまった。
ベッドの上に、大の字に倒されてしまった野呂。
しかも、すっぽんぽんの裸の状態だ。
「いてて・・・」
野呂が頭を抱えて、顔をあげてみると・・・。
将がなぜか靴下を脱ぎながら、野呂の足元からベッドの上にのぼっているではないか。
さらに、緊急事態だという割には、「フンフン」と鼻歌交じりで嬉しそうだ。
(ひぃぃ、センパイ、なんで靴下脱いでるの・・?)
よく分からないツッコミをいれながらも、野呂は自分のおちんちんを見られまいと、キュッと股間を締める。
両手を胸に当てて、なるべく体を縮こませる。
とにかく恥ずかしいのだ。
自分の裸を将にさらけ出すことだけは、絶対に避けたい。
それが野呂の正直な気持ちだった。
ノロウルイスは精通とは全く関係ありません・・と思う。