そろそろ、エンジンかけていかないと・・ポルトスはマイナーっぽいのでそれらしいショット入れてみましたw
登場人物
ポルトス。三銃士の1人で、大食漢で十人力の怪力の持ち主。
ジュサック。護衛隊の隊長で腹黒い男。デブ専らしい?
──パリのはずれにある一軒の酒場。
太陽が沈み、あたりが暗くなった黄昏時。
ポルトスは、怪訝な顔をしながら、1人歩いていた。
(アラミスのヤツ、どうしてこの手紙がそんなに不審だっていうんだ・・。
もし、綺麗なご婦人だったら、楽しい夕食をご一緒させてもらってもバチはあたるまい・・・)
歩きながら、チラッ、チラッと後ろを振り向く。
(アラミスが俺のことを心配してついてきてる・・なんてわけないよな・・)
しばらく歩くと、町外れに小さな酒場を発見した。
ポルトスが店のドアを開けると、
中には男たちが数人、酒を飲んでいるだけだった。
(手紙によると、この店で間違いはないよな?)
ポルトスは、キョロキョロと店の中を見渡しながら、端にあるテーブルを見つける。
「よっこいしょ」と腰を掛けると、イスがミシッと鳴り、その体重に悲鳴をあげていた。
(約束の時間より、少し早かったかな・・)
ポルトスが柄にもなく思案していると、店のマスターと思われる男が声をかける。
「いらっしゃいませ。当店自慢のぶどう酒はいかがですか?」
「ぶどう酒か。では、それを1ついただこう」
ポルトスは指をパチンと鳴らして、上機嫌に答えた。
「なかなかうまい酒だな」
カップにぶどう酒を注ぎ、1人で一杯あけるポルトス。
時折、チラッ、チラッと店の中に目を配るが、目的の女性はいない。
(おかしいなぁ。やはりこの手紙は単なる冗談だったのか・・。
もっとも、女性が現れても、付き合うのは丁重にお断りするつもりだから、現れないほうがいいか。
しかし、このままだとアラミスに合わせる顔がないのも事実だな・・それもシャクだ)
うつむき加減に晩酌を続けるポルトス。
そんなとき突然、ポルトスの耳に、1人の女性の悲鳴が耳に入った。
<やめて!>
<ようよう、姉ちゃん。俺と遊ばねぇか?>
<いやです、やめてください>
なにやら、赤い服装をした者が、1人の女性にちょっかいを出している。
ポルトスは晩酌をしながら、チラッとの声の方向に視線を向ける。
(あいつ、護衛隊のジュサックじゃないか・・。なんでこんなところにいるんだ?)
ポルトスが様子を見ていると、ジュサックは嫌がる女性の腕を、無理矢理掴んでいるようだ。
(また悪いことしてやがるな。けしからんヤツだ)
ポルトスはどうしてジュサックがここにいるのか、不審に思ったが、
女性をそのままにしておくわけにもいかない。
もしかしたら、その女性がポルトスに手紙を送った主かもしれないからだ。
ポルトスはゆっくりと立ち上がると、ノシリノシリと床を揺らしながら、歩を進めた。
「よう、ジュサック」
ポルトスはそういいながら、ジュサックの肩にポンポンと指を乗せる。
「誰だ?」
ジュサックが振り返ると、そこには指をポキポキと鳴らしているポルトスの姿。
「嫌がる女性をムリヤリ口説くなど、けしからんヤツだ」
「お前は銃士隊のポルトス!」
「俺はせっかくうまい酒を飲んでいたのだ。女性の悲鳴を聞くと、酒がまずくなる」
そのままジュサックの胸に手を置くと、ポルトスは軽く突き飛ばした。
ドタガシャン!
ジュサックは、あっという間に後ろに数メートル吹っ飛ばされる。
テーブルに頭をぶつけて、そのまま壁に転倒した。
その姿を見て、「あははっ」と笑いを堪えるポルトス。
「おいおい、ジュサック! ちょっと力を入れただけだぞ。ずいぶん派手に吹っ飛んだじゃないか」
「いてて・・・。うるさい、この怪力男が!」
「ハハハッ。これ以上やられたくなかったら、おとなしく帰るんだな」
その言葉に、ジュサックは口元に笑みを浮かべる。
「フフフッ。ポルトス、お前から手を出したな。
ということは、この先、どうなろうとお前の責任だ。何をされても文句は言えんな」
ポルトスは、「はて?」と首を傾げる。
「別に文句は言わないが、どうする気だ?」
「おい、お前ら! 出て来い!」
ジュサックが大声で叫ぶと、店の2階から20人ほどの護衛隊の連中が現れた。
突然、現れた大量の護衛隊。
2階があっという間に、真っ赤な護衛隊の衣装に、埋め尽くされたる。
「一体、どこにこんなに隠れていたんだ!?」
ポルトスは驚いたような顔をする。
「ハーハハ。今日こそ、お前をぶっつぶしてやる。観念しろ!」
「数だけ集めれば、俺に勝てるとでも思っているのか?」
「うるさい! ポルトス、たっぷりと礼をさせてもらうぞ。全員でなぶってしまえ!」
護衛隊は「わぁ!」と大声をあげながら、ポルトスに向かって突進していく。
2階から飛び降りる者、階段を降りてくる者。
あっという間にポルトスを前後から挟み込む。
ポルトスは剣を抜かずに、拳を自然に身構える。
そして、真っ先に飛び込んできた護衛隊の1人を、片手で軽く受け止めると、
そのまま首根っこを軽く持ち上げて、向かってくる護衛隊の中にぶん投げた。
「うぎぁぁ!」
あっという間に、護衛隊の数人が倒れていく。
しかし、護衛隊の数はまだまだ多い。
ポルトスをとり囲んで、数人が一斉に飛び掛っていく。
「まったく、いくら倒してもキリがないな」
ポルトスは、適当にぼやきながら、大きな体をヒョイと動かす。
巨漢に似合わず、軽く身をこなすのも、ポルトスの運動神経の良さを物語っている。
護衛隊の攻撃を軽くかわすと、そのまま特攻してくる男のわき腹に、蹴りをぶち込んだ。
その後も、護衛隊は「わぁ!」と悲鳴に近い声をあげながら、ポルトスに襲い掛かる。
しかし、ポルトスの拳と蹴りに、護衛隊の連中は、なにもできずに次々と倒されていった。
初めは圧倒的に数で有利だった護衛隊も、徐々にその数を減らす。
ジュサックは、額に汗を垂らしながら、士気をあげようと大声を出した。
「ええい、お前らなにをやっている! 相手はたった1人なのだぞ!」
「そのたった1人が、バケモノのように強いんですが・・」
「こうなったら、俺がやってやる。よく見てろ!」
ジュサックが剣を抜いて、ポルトスに飛びかかろうとしたとき・・。
ポルトスは、大きなテーブルを軽々と持ち上げる。
「とりゃーっ! どすこーいっ!」
ポルトスの一喝で、酒場全体が震えた。
<うわあああ!>
<逃げろ!>
<あんな男と戦っては命がいくつあっても足りないぞ!>
<ポルトスをやっつけるなんて、不可能だ!>
ポルトスの天を突くような声と迫力に、護衛隊全員がこぞって、逃げ出した。
「おい、お前ら! 待たんか!」
ジュサックは、逃げ惑う護衛隊をなんとか止めようとしたが、パニックに陥った彼らを留める術はなかった。
「くそっ、なんてことだ。これじゃ作戦が・・」
地団駄を踏んで悔しがるジュサックだが、1人ではもう何もできそうもない。
そんなジュサックに、ポルトスは笑いを堪えるように話しかけた。
「おいジュサック。なにをボソっと話しているんだ。お土産だぞ!」
ポルトスは持ち上げていたテーブルを、ヒョイとジュサックに投げつける。
「うげぇ」
ジュサックは、テーブルの下敷きになって、ヘナヘナと倒れてしまった。
「さてと、ジュサックにおしおきをしてやらないとな」
「ひぃえええ!」
ポルトスが、指を鳴らしながら足を踏み出したとき、ジュサックは一目散に外に逃げ出していた。
少し話が進んだ?