(3)の続きです。(2),(3)はただ千太キュンを陵辱したかったという欲望だったんですが、ようやくストーリー的にはまともになりますんで(陵辱の方がいいのかもしれませんが・・)。
登場人物
千太キュンです。レッドに連れ去れました。
UXの艦長、レッド提督です。遠隔透視能力を持ちます。同じ能力の人間を探しているようです。
前回からのあらすじ・・
陵辱から解放された千太。
しかし、千太は自分が処刑されるのかをレッドに問う。
レッドは千太のその言葉に驚き、彼を自分の部屋につれいった。
レッドは部屋をでて、千太を抱えたまま廊下を歩いていく。
裸で抱えられた千太は、周囲をみないように目を閉じていた。
周りから声が聞こえる。
(なんだよ、ずいぶん太った子がエロい格好で抱っこされているじゃないか・・)
(レッド提督もお好きだなぁ)
千太は恥ずかしさのあまり、レッドにギュッとしがみつく。
なんだかドキドキした。
「なんだ、どうしたんだ?」
「い、いえ・・・・」
部屋から、少し歩くと、重厚な扉の部屋があった。
千太をゆっくりと降ろすレッド。
「ここが私の部屋だ。入りなさい」
「はい・・」
レッドがギーッとドアを開けると、ちょっと薄暗くて陰湿な感じの部屋がみえた。
しかし、中はとても広く、水槽に熱帯魚、ソファーは高級、ともかく内装はとても豪華だった。
「なにをしているのかね?そこのソファーに座りなさい」
千太は言われるまま、ソファーに座った。
ふかふかのソファー。一体、いくらするのだろう?
「これは、私のガウンだが、とりあえず裸ってのもなんだろう。これでも着ていなさい」
そういうと、レッドは千太に高級そうな金のガウンを手渡した。
「あ、ありがとうございます・・(でも、こんな色のガウン着ているのかな・・)」
とりあえず着るものがないので、ガウンをいそいそと受け取った。
千太は金色のガウンで裸を隠す。
「さて・・・海野君はまだコーヒーって柄ではないね。ジュースがいいかい?」
「え・・はい・・・」
千太は先ほどまでとは随分違うレッドの対応に、戸惑いを隠せない。
「オレンジジュースしかないが、これでも飲みたまえ」
レッドはコップにジュースを入れてソファーの前にあるガラスの机の上に置いた。
自分はコーヒーを入れ、千太の向かい側にドッシリと座った。
「・・・・・」
二人の間になにか重苦しい空気が流れる。
「どうした?飲まないのか?毒は入っていないんだがな」
「あ、すみません。飲みます・・」
千太は急いでコップを手に取り、ジュースを飲んだ。
「お、おいしい!」
千太から少し笑顔がこぼれる。
「はは、そうか。UXと707Rでは、どちらのほうが食事がおいしいのかな?」
「それは・・・僕は炊事班でしたから、707Rの食事のおいしさはピカ一です。あ、いやUXさんのもおいしいと思います・・」
「ほう、たいした自信だな」
料理のことになると、千太はついムキになってしまう。
しかし、なにかまだ重苦しい雰囲気。
と、そのとき突然レッドが叫んだ。
「海野千太!」
千太はビクッとした。
「は、はい!」
「私の目を見ろ!」
「えっ?」
「私の目を見るんだ」
千太は言われた通り、レッドの目をじっと見つめた。
レッドは名艦長と言われるに相応しい長髪とヒゲを蓄えた風貌であった。
目はなにか無気味な輝きがあるように感じる。
「ハァ!」
レッドが叫ぶと、レッドの目の色は変化し、千太は急に意識が飛んでしまった。
周りには何も見えない。
なにか宙に浮いている気分だ。
(あぁぁぁ・・・ぼ、僕は・・・どうなっちゃったんだ・・)
真っ暗な空間にフワフワと浮いているような感覚。
(海野君・・・いや・・千太・・・・)
どこからか、千太を呼ぶ声が聞こえる。
(あ・・レッドさんの声・・)
(そう、いま私はお前の意識の中にいる)
(え・・・僕の意識の中?)
(そう、お前の脳の波長に合わせて入り込んだんだ)
(そ、そんなことが・・・)
(できるのだよ、最も私もこれが初めてだがね・・)
(それって・・どういう意味ですか?)
(いままで、誰もいなかったのだよ。私と同類の人間がね)
(同類・・・って・・)
(君にはもう分かっているはずだ・・)
(・・・何を言っているのか、わかりません・・)
(千太・・お前今まで、ずっと一人で苦しんできただろう?)
(な、なにをですか・・・)
(自分で自分の過去を封印しているんだろう? もう2度と味わいたくない苦しかった経験・・)
(うっ・・・)
千太はその言葉を聞いて、急に胸が苦しくなった。
(・・・やめてください・・・もう、思い出したくないんです・・苦しい・・・)
(私には分かるのだ。千太、お前の気持ちが・・)
(・・・ど、どういう意味ですか)
(私も君と同じ運命を辿ってきたからさ)
千太は意識の中でレッドと会話を続けていた。
(僕と同じって・・・まさか・・・レッドさんにも聞こえるんですか?)
(いや、能力は違うさ・・・私の能力は遠隔透視能力でね。精神を集中すれば物体を透過して周りをみることができる)
(遠隔透視能力・・?)
(そうさ。おそらく君の能力は"超聴力"だろう?)
(・・・・)
(君は精神を集中すればどんな遠くの小さな音でも聞こえるだろう?)
(・・・最初から知っていたんですか?)
(いや、知らないさ・・まさかそんな能力を持つ人間かいるとは思わなかったんでね。でも、さっきの君との会話ですぐにピンと来た)
(でも、こんな能力・・僕には必要ありません・・)
(今まではな・・君はずっと孤独だったはずだ・・その能力が故に・・)
(・・・・・)
(君は幼くして、人間の浅まして妬ましい、そして愚かな面をすべて見てしまったはずだ・・)
(や、やめて・・)
(いまこうして笑顔でいるのが奇跡とも言える位にね・・)
(・・やめてください・・)
(思い出してごらん)
(・・・もう思い出したくない・・はぁはぁ・・苦しい・・・息が・・・)
千太は息が詰まりそうになった。
心臓の鼓動も速くなっていく・・。
・・・・・
そこには千太が通っている小学校があった。
まだ幼い自分の姿があった。
「じゃ、来週の遠足の班を決めてちょうだい!」
クラスの先生が遠足のためのクラス分けをしているところだった。
千太はクラスの一番前の席で、うつむき加減で座っている。
「お前、俺と一緒の班な!」
「わはは、お前はいれてやんねーからな!」
クラスの他の子供たちは、ワイワイと騒ぎながら仲間集めをしている。
千太だけは取り残されていた。
「あれ、海野君だけ残っちゃったわね・・みんな海野君も仲間に入れてあげなさい!」
先生もかなり無神経なことを言う。
(あいつ、また残ってんのかよ・・・)
(海野って、いつのまにか俺たちがしゃべってることを知ったりするんだぜ、気味悪いぜ・・)
(そうそう、うちの親も海野とは付き合うなって)
(どうせ先生にゴマすって情報聞いてるんだぜ。優等生ぶりやがってよ・・)
(俺たちのことチクッているのも海野だろ)
千太は自分を誹謗中傷する声に、両手で耳をおおった。
「ど、どうしたの?海野君?」
先生は耳を塞いでいる千太を心配そうに話し掛ける。
(全く、この子、なんなのかしら・・)
先生がポツッと小声で漏らした声。
そんな声までも千太にはすべて聞こえてしまう。
(うぅ・・・・・・先生も僕のことなんか・・・)
先生は1人の生徒よりも、クラス全体が調和するほうが大切なのだ。
とりあえず仲間外れな子はどこかに入ってもらうしかない。
そんなとき、いつも千太をいじめているガキ大将の声が聞こえる。
(とりあえず俺たちの班に入れとこうぜ)
(えー、またあんなヤツいれんのかよ)
(バーカ、荷物持ちにもなるし、いじめ甲斐もあるし、おもしろいじゃん)
・・・・・・
(ハァハァ・・・やめて・・・誰か助けて・・)
・・・・・・
「先生!俺たち、海野と一緒の班でいいですよ!海野と俺たち、いっつも遊んでますから」
「よかったわね。海野君。郷田君と一緒の班でいいわね?」
千太は先生に見捨てらていた。
「・・・・・あ・・・はい・・・・」
(あいつウチの班に入るってよ。たっぷりいじめてやろうぜ)
(遠足の日が楽しみだな)
(うっうっ・・・・やめて・・・・・僕がなにをしたっていうの・・・)
千太の胸はどんどん締め付けられていく。
(ハァハァ・・・・・)
千太は再び真っ暗な空間にいた。
そこに自分の家がみえてきた。
台所にいる千太のパパとママ。そして2階にいる幼い日の自分・・。
夜中にトイレに行こうとして偶然聞いた会話・・。
「ママ、千太を海軍の訓練学校に転入させたいって?」
「ええ。私もいろいろとあの子のことを考えているんですけど・・」
「たしかに、千太は変わったところがあるが、いまの小学校のままじゃまずいのか?」
「どうも学校ではイジメられているらしくって」
「イジメくらいで、転校させるのはどうだろう?」
「だって・・・このままじゃ千太が可哀相ですし・・・」
「たしかにそれはそうだが・・・」
「ねぇ・・・あなた・・あの子、"本当に私たちの子供"ですよね・・・」
その言葉を聞いて、千太は真っ青になってブルブルと震えだした。
(そ、そんな・・ママ・・・・うっうっ)
千太の頬に涙が流れる。
「おいおい、なにを言い出すんだ?」
「だって・・あの子は・・特別よ・・おかしいわ・・」
「それは俺も分かってはいるんだが・・」
「だって、向かいの家の人が部屋の中で話している声が聞こえるって・・・そんなバカな話はないわ」
「冗談なんだと私は思っているんるだけどな・・」
「あなたは会社に行っていて知らないでしょうけど、近所の方々もあの子を気味悪がっているんですよ」
「それはまた穏やかじゃない話だな」
「この間も、千太がお隣さんのネコが病気で大変だからっていうから、私、心配でお隣さんに話したんですよ」
「それで?」
「そうしたら、『どうして誰にも話していないのに知っているんだ』って・・『また千太がどこからか盗み聞きしたんだろう』って騒がれてしまって・・・千太があちこちで盗み聴きしているとか噂になってて・・もう私、耐えられませんわ」
「千太は病院で精密検査は受けたんだろう?」
「ええ、でも何も異常なんてありませんってお医者さんはいうんですもの・・」
「異常はないのか・・」
「もう私にはこれ以上、あの子をどうしたらいいのか分かりませんわ・・あの子は一度私たちの手から離れた方がいいかもしれないと思って・・訓練学校ならば全寮制ですし」
「そうだな・・お前も最近薬の量が増えているしな・・相当ストレスが溜まっているみたいだし、千太を一度訓練学校に入れてみるか・・」
(いやだよ・・・ママ・・パパ・・・僕を見捨てないで・・・)
千太はその夜ずっと泣いて眠れなかった。
「千太、来週から海軍の訓練学校に転校することに決めたわ」
千太はこの日、ママにも捨てられた。
「・・・ママ、僕はこの家に居られないの?」
ママはニコっとして千太にいう。
「ママはね、千太が学校でいじめられているっていうから、千太を転校させることにしたのよ」
「ウソだ!」
「そんなことないわ・・ママはいつも千太のことを考えているのよ」
「・・・僕がこの家からいなくなれば、近所の人たちから、ママは変な目で見られなくて済むからでしょ・・」
「そ、そんなことは・・・」
千太の目には涙が溢れていた。
「ご、ごめんなさい・・・ママ。僕・・いきます。訓練学校にいきます・・・・」
「千太・・・」
「僕、ママが大好きだから・・・だから・・いきます・・・本当にごめんなさい・・」
千太は建設中のビルの屋上にいた。
涙はもう枯れ果てていた。
冷たい風が千太のボサボサの髪の毛を揺らしていた。
屋上から下をみる。
小さく見える人や家。
(ここから飛び降りちゃえば、楽になるのかな・・)
(どうして僕だけこんな目に遭わなければいけないんだろう・・・いっそのこと、この耳さえなければ・・)
千太はそばに落ちている石を拾い、思いっきり耳にぶつけた。
「痛いっ・・・」
千太の耳から血が流れる。
「あ・・・あぁ・・・」
千太は石についた血をみて気分が悪くなった。
「僕は・・みんなに気味悪がれて・・この先もずっーとそうなのかな・・」
「僕はどうなっちゃうんだろう・・」
一人、屋上で膝をつき、落ち込む千太。
「とにかく、来週から訓練学校なんだ・・・。知らない人ばっかりだろうし、何を言われてもずっと笑顔でいよう・・」
「それと、もう人とはなるべく話さないようにしよう・・」
「みんな僕のことなんか知らないほうがいいんだ・・」
「そのほうが楽でいいや・・」
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
どれくらい時が経ったのだろう。
千太が目を開けると、千太はレッドの膝を枕にして裸で眠っていた。
「あれ、僕・・・・」
「起きなくていい・・・そのまま目を閉じていなさい」
レッドはそういと、千太の頭をまるで自分の子供のように撫でる。
(なんだろう・・すごい気持ちいい・・・暖かいや・・)
「千太・・・私も同じなんだよ」
千太は目を閉じたまま、レッドの話に耳を傾けた。
「私は気づいたときにはもう両親が居なかった・・孤児院で育てられてね・・」
「私はなんでも透視することが出来た。遠くのもの、物体があっても、それを透視して見ることが出来た」
「最初は誰でも出来る当たり前のことだと思っていた。でも現実は私だけの特別な能力だった・・」
「そんな能力をみんなの前で話したらね・・・・みんな気味悪がって、寄り付かなくなった・・・」
「ウソつきだの・・頭がおかしいだの・・」
「ある事件があったとき、私はその事件の容疑者にされてしまってね・・そう、私の能力を疑ったみんなのせいだ・・」
「孤児院の先生が、私をかばうこともなかった・・」
「私は一人逃げた・・・でも、子供の力じゃどうすることもできない・・・」
「私はずっと留置所に入れられた。誰も自分のことを見てくれる人なんていなかった・・」
(レッドさん・・・・)
ゆっくりと千太を髪の毛を撫でるレッドを、千太は薄目を開けてみた。
なんとなくレッドは悲しい顔をしているようにみえた。
「でも、ある日私を引き取りたいという人が現れた。それが軍隊のお偉いさんだった」
「私は軍隊で頭角を現し、周りにも認められていった。私は自分の居場所みつけていった・・」
「その後、私はUSRという組織を作った。そしてUXの艦長として海を支配することに決めたのだ」
「もう誰も私の能力を認めないものはいない」
「人間には自分を能力を認めてくれる場所が必要なんだ・・千太・・」
「お前にはいままでそんな場所があったかい?」
レッドは千太の頭を撫でながら、ゆっくりと千太を見た。
千太の目からは涙がこぼれ落ちている。
「千太・・?」
「うっうっ・・ご、ごめんさい・・その・・わからないけど、涙がでてきちゃって・・」
レッドは千太の涙を優しく手で拭き取った。
「僕・・・訓練学校では自分の耳の能力はずっと隠してました。学校に入ってからしばらくして、やっと能力の抑制ができるようになってきて・・」
「それから、もうこの能力は使うのはやめようって・・・精一杯笑顔でいようって決めました」
千太は涙を流しながら起き上がり、レッドと見つめあった。
「でも、いまでもこの能力は、意識とは関係なく、僕のことを支配するんです・・」
「やっぱり聞こえてしまうんです・・聞きたくないことも・・・。どうしようもなくって・・・だからたまに物凄い悲しくなって・・」
「どうしたらいいのか、自分でもわからないんです。助けて欲しいんけど、誰も助けてくれない・・」
涙を流す千太の肩を、レッドはしっかりと握り締めた。
そして、レッドはそのまま自分の胸元にぎゅっと千太を抱きかかえた。
「レ、レッドさん・・・あぁ・・」
こんなに暖かい感覚を感じたのは何年ぶりだろう・・・。
「千太・・・。私の元へおいで。私はお前のすべて理解できる唯一の人間だ。同じ星の下に生まれ、いつかこうして出会う運命だったんだ」
「レッドさん・・」
「お前のすべてを理解できるのは、この世で私だけだ」
「私は同じ能力の人間をずっと探していたのかもしれない・・千太・・私と共に歩もう・・もうお前が悲しむ理由はない・・」
千太はコクッとうなずいた。
千太はすべての悲しみから解放されたのか、安堵した表情でそのまま眠りについた。
レッドも、裸の千太を優しく包み込んだ。
「千太・・・私はお前を放さないよ・・」
そういうと、千太にそっと口付けをした。
なんか一転してシリアスすぎかな〜<俺