ヤジロベーと魔族が戦うシチュエーションのリクエストが多かったので、ちょっくら書いて見ました(^^; 世界観はドラゴンボールを踏襲していますが、ヤジロベーが悟空に出会う前のパラレル小説ということでよろしくお願いします。バトルものなので、暴力シーンが多い予定です(^^;
登場人物
ヤジロベー。刀をもった大食漢で、ジャングルで風来坊な生活をしている。
シンバル。ピッコロ大魔王から生み出された魔族。太っているが動きは俊敏。手から雷を放出する。
俺様の名はヤんジロベーだ。
ジャングルで暮らし始めて、はや数年。
はじめは、食べ物にありつくのにえらい苦労したけんど、今となっては懐かしい思い出だな。
もはや、このジャングルで、俺様にかなうヤツはいねぇ。
クマでもライオンでも恐竜でも、なんでもかかってきやがれってんだ。
刺身にして食ってやらぁ。
自分で言うのもなんだけどよ、俺様は強えんだぜ。
自慢の刀で、なんでも一刀両断だ。
ヤジロベー様は無敵だぎゃ!
・
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「腹へったなぁ・・」
今日もヤジロベーは、巨体を揺らしてジャングルをさまよっていた。
どこへ行くという目的があるわけでもない。
ただ、おいしいものを探して、ジャングルの中を巡るのがヤジロベーの日課だ。
ジャングルは、未知な場所がたくさんある。
もしかしたら、とてつもなく美味い動物が生息しているかもしれない。
だから、歩き回って見つけた獲物を、なんでも焼いて食べて見る。
──おいしいものが食べたい。
それが、"自称グルメ"なヤジロベーの唯一の楽しみだった。
「ん、なんだありゃ?」
ヤジロベーがふと視線を上にあげると、なにやら大きな物体が空を飛んでいる。
自称、視力3.0のヤジロベーには、緑色の恐竜のように見えた。
←分かりやすいように画面ショット入れてみました(^^; 以下同w
「ずいぶんとでかいバケモンが、空を飛べるんだな」
翼を広げて空を飛んでいる巨大生物。
いままでジャングルを徘徊してきたが、こんな生物は記憶にはない。
どうやらこちらに向かってきているようだ。
「なんだかわかんねーけど、向こうから朝飯が飛んできたぜ・・えへへへ」
ヤジロベーは揉み手をしながら、思わずニンマリと笑みを浮かべた。
『グヘヘーッ!』
大きな恐竜はヤジロベーに接近すると、ズシンと大きな地響きをならして平地に降り立った。
ヤジロベーはけげんな顔で、その恐竜を睨み付ける。
お互い、しばらく様子を見ていたが、恐竜のほうから話をかけていた。
『おい、デブ! 俺様の質問に答えろ』
「なんだおめぇ、偉そうに。言葉喋れんのか?」
『俺様は魔族のシンバル様だ。言葉をつつしめ!』
「魔族? シンバル? 変わった部族だげな」
『いいか、正直にいわねーと死ぬことになるぜ。この辺りで星が入っている小さなボールを見たことがねぇか?』
「なんだ! それが人に物を尋ねる態度カァ!」
シンバルの言葉にヤジロベーの顔が赤黒く染まる。
ヤシロベーは、その日その日を自由奔放に生きている人間だ。
だから、人に命令口調で話しかけられると、すぐに頭に血が上る悪い癖があった。
それに自分がジャングルで無敵であるという自信もある。
『ん?』
シンバルはヤジロベーの胸にぶら下げているオレンジ色のボールを発見した。
『フヘヘヘッ、それだそれ。目の前にあったぜ。ラッキー!
そのオレンジ色のボールをよこしな。俺様がもらっていく』
思わず、パチンと指を鳴らすシンバル。
『さぁ、デブ! そのボールをよこせ!』
シンバルの一方的な態度に、ヤジロベーの目尻を吊り上がる。
「デブだと? ばーかタレ! 貴様のようなヤツになんでこれをやらなきゃダメなんだ!?」
『なんだと? この俺様に逆らおうっていうのか。早死にしてぇみたいだな』
シンバルは得意気な顔で、指をボキボキと鳴らし始めた。
『さぁ、デブ! 早くしな!』
「てんめー、俺様はデブじゃない! ヤジロベー様だ。覚えとけ!」
『ヘン。ヤジロベーだかジンジロベエだかしらねぇが、早くしな』
「取れるもんならとってみやがれ!」
『そうか。じゃ、死体にしてから遠慮なくボールをいただこうかい』
お互いに一歩も譲らない、強気の発言だ。
普通に考えれば、シンバルの体格は、ヤジロベーの4倍以上はあり、見るからに強そうだ。
おそらく、体重は500kgはあるのだろう。
どうみても、戦えばシンバルのほうに分があるように思える。
しかし、ヤジロベーの強気の発言は変わらない。
「さぁやろうぜ! あんまりうまそうじゃないけどな」
『貴様、魔族の恐ろしさを知らねぇようだな。素直に渡しときゃ良かったと後悔することになるぜ』
「後悔するのは、おんめぇだ!」
ヤジロベーは、太った体からは想像もできないようなスピードで、一気にシンバルに詰め寄る。
そして、シンバルのドテッ腹にパンチを繰り出した。
しかし、シンバルは軽く空中に飛び上がって、難なくかわすと、そのままシッポでヤジロベーの顔面を弾き飛ばす。
数メートル後方まで、転がり飛ばされるヤジロベー。
一瞬の攻防だった。
『どうした? もうあの世逝きかい?』
ピースサインを出して、勝利宣言をするシンバル。
ヤジロベーは、地面に伏したまま微動だに動かなかったのだ。
『死んじまったか。後悔する暇もなかったようだな』
シンバルは自慢のパワーとスピードで、ヤジロベーを叩き伏せたことで、高笑いをする。
『所詮はただの人間だぜ。魔族の俺様に勝とうなんぞ、100年かかってもムリだろうよ』
そういって、ヤジロベーの場所へ一歩踏み出そうとしたとき。
「へん。たいしたことない攻撃だな」
『な、なに!?』
ヤジロベーは平然とした顔で起き上がると、服についた泥をはらっていた。
「ジャングルの中に、まだ強いヤツがいたもんだな」
『き、貴様、生きているとはな・・タフなガキだぜ』
普通の人間ならば、いまの一撃で確実に即死だろう。
魔族の攻撃力は、人間の数百倍はあるのだから。
しかし、ヤジロベーはほとんどノーダメージで起き上がってきた。
魔族であるシンバルには、ちょっとした衝撃だったのだ。
ヤジロベーはすっくと立ち上がると、シンバルを睨み付ける。
「準備運動は終わりだぎゃ。おめーなんか刺身で食ってやらぁ!」
ヤジロベーは、先ほどのシンバルの一撃で目が覚めたのか、目つきが変わっていた。
シンバルがかなりの強敵であり、自分の力のすべてを出さなければ、勝ち目がないことを瞬時にして悟ったからだ。
ハァ!と武術の構えをとる。
『なんだい、まだやる気なのかい? よほど早死にしたいようだな』
デブで不恰好な、ヤジロベーの武術の構えを見て、思わず失笑するシンバル。
しかし、次の瞬間、ヤジロベーはシンバルの視界から消えていた。
次回予告
ヤジロベー「魔族とかシンバルとか、いままで見たこともないバケモンに驚いたけど、俺様の敵じゃないだぎゃ。早く刺身にして食ってやらぁ」